自分の地域観を見出し、暮らすまちで想いを実現するスキルの習得を目指す講座「研志塾」の第五回目。これまでの「個人編」に代わって、今回からは後半の「組織編」へと進みます。組織編の講師は、株式会社PubliCo代表の長浜洋二さんです。
まずはチェックイン。改めての自己紹介とともに、“自分にとっては「組織」とは?”という問いかけに答えます。こうして自分の中にある「組織観」を自覚・共有することから一日が始まりました。
組織とは、そこに集まる人々がもつ共通の目的を達成するための手段であり、その組織が成果をだすための機関(機能)がマネジメントです。そして、このマネジメントにおいて重要なのは、組織と、その組織を構成している個人とを結びつけること。ここで、「ビジョン」「ミッション」という考え方が必要になります。
ビジョンとは、組織が最終的・究極的に「目指す姿」で、ミッションとは、その姿を実現するために組織が果たす「役割」のことです。企業やNPOなど、社会に貢献する組織であれば、ビジョンは「事業を通じて目指す社会の姿」で、ミッションは「ビジョン実現に向けた社会における役割」となります。
ではいったい、よいビジョン・ミッションの条件とは何だろう?ビジョン・ミッションはどのように伝えたらいいのだろう?という視点から、企業や地域・自治体のキャッチコピーやプロモーションムービーなどの具体例を見たうえで、自分自身の仕事や関わる活動のビジョン・ミッションを考え、小グループでの相互レビューと、簡易投票を行いました。
ここまで、組織のビジョン・ミッションを考えること(何を)について学びました。次に、組織の存在や活動を社会に伝えることについて学びます。言わずもがな、社会を構成するすべての人に対して等しく伝えることは困難です。そこで、いかに伝える相手を明確にして、絞り込んでいくか(誰に)、を考えることが必要になります。これを「ターゲット(ターゲティング)」といいます。
何をするにも、相手のことが分からなければ、何もできません。それは、事業や活動でも、恋愛でも同じです。どんな生活をしている?どんな好みがある?どんな困りごとがある?どんなことに喜ぶ?相手のことが分からないままでは、どんなに組織のビジョン・ミッションが明確だったとしても、それは「独りよがりなことをしている」に過ぎません。
誰が自分たちの組織に関係しているのか・影響を及ぼすのかを理解することで、初めて次の一手が打てるようになります。そのためのターゲットを特定する基準や、セグメンテーション(細分化)について学びました。
ターゲティングでは、居住地域や性別、年齢、職業、収入など、複数の条件(変数)で対象者を絞り込み、不特定多数を特定少数にします。ここに嗜好や価値観、生活パターンといった要素を加えて詳細に記述し、対象者を「ある条件に合致する人」から「あたかも実在するような人」へと具体化します。こうしてできたデータ(人物像)を「ペルソナ」といいます。
ペルソナを作ることによって、対象者の生活様式(ライフスタイル)を考慮できる効果が得られます。そのため、組織が何らかの行動をするとき、「この人に届くか?」「この人はどう反応するか?」といった、対象者の行動に即した検討や判断を行うことができます。
最後は、自分自身の仕事や活動を伝えたい相手(対象者)のペルソナを作るワークを行いました。名前や性別、年齢といった基本的な情報から、悩みごと、一週間の時間割など、できる限り詳細に記述していきます。小グループで発表し合うことで、ペルソナの精度が高められていく様子が印象的でした。
次回の研志塾は、8月19日(土)@鳥取県立倉吉未来中心、事業開発やマーケティングについて学びます!