自分の地域観を見出し、暮らすまちで想いを実現するスキルの習得を目指す講座「研志塾」の第七回目。今回は「組織編」の三回目、講師は前回から引き続き、株式会社PubliCo代表の長浜洋二さんです。
まずはチェックインとして「最近のグッドニュース」からスタート。栗ご飯が超美味しい、友人にお子さんが生まれた、さらにはバッドニュースまで、さまざまな近況が語られました。
研志塾の後半「組織編」では、組織のビジョン・ミッションは何か、その組織が社会に提供する価値とは何か、具体的に社会の誰に価値を提供するのか、について考える力を学んできました。最終回となる今回は、事業や組織の成果とは何か、を中心に学びます。そして、個人から組織へ、そして地域・社会へという、研志塾が目指す大きな学びの流れを確認して、講義が始まりました。
ロジックモデル
事業や活動の設計図を作る考え方に、「ロジックモデル」があります。ロジックモデルは、組織のビジョン・ミッションに基づく事業や活動を実現するために、論理的に考えて整理・確認するための道具です。たとえば、事業や活動が地域性の高い活動である場合、そのロジックモデルは「地域づくりの設計図」といえます。
ロジックモデルの構造は、大きく「資源(インプット)」、「事業(アクティビティ)」、「結果(アウトプット)」、「成果(アウトカム)」、「波及効果(インパクト)」の五段階に分けられます。私たちはつい、目先のことで手がいっぱいになりがちです。例えば、イベントを開催して盛況でした、といった状態です。これをロジックモデルに当てはめると「結果」の段階に留まって一喜一憂しているという状態になります。組織のビジョン・ミッションに立ち返れば、本来はイベントを通じた「成果」や「波及効果」を意識して行動することが必要です。ロジックモデルは、そうした事業や活動のあるべき姿を整理・確認できる効果があります。
ロジックモデル作成のポイントには、最後の段階「波及効果」に示す目指す社会の姿から「逆算して考える」こと、成果は「受益者の視点で考える」こと、各段階が無理なく進むための「補完的な活動まで考える」こと、大きな流れを作るに留めずに「具体的な達成値と測定方法を考える」ことなどがあります。これらを、地域の活性化などと曖昧な表現になりがちな地域づくり活動を事例に学びました。
ここまでのまとめとして、自分の関わる組織の事業や活動についてのロジックモデルを作成する演習を行いました。ここで作成した内容が、次の講義内容へとつながっていきます。
コレクティブ・インパクト
課題の根本的解決を目指すための考え方に、「コレクティブ・インパクト」があります。「コレクティブ・インパクト」とは、異なるセクターの様々な主体が、共通のゴールを掲げてお互いの強みを出し合いながら社会課題の根本的解決を目指す活動のやり方のことです。
コレクティブ・インパクトを理解するために、インパクト(社会への波及効果や影響)の違いや、コレクティブ・インパクトの特徴、前提条件、基本的な流れについて学びました。また、教育や健康の領域において取り組まれている米国の事例が紹介されました。
本日のまとめとして、自分の関わる組織のロジックモデルをもとに、ほかの主体(関係者)まで含めたコレクティブ・インパクトの検討をする演習に取り組みました。
これまで個人編、組織編と進めてきた研志塾の講義も今回で終わりです。次回はいよいよ最終回、9月30日@cafe SOURCEでこれまでの学びや経験を総まとめします!