「地域のために何かしたい」、みなさん少なからず思われたことがあると思います。
鳥取県内の中でも、より熱い思いを持った方達に向けて地域を盛り上げるプロフェッショナルに育てていくのが、今回のこの「研志塾」のプロジェクトになります。
明治維新の頃、鳥取藩、現在の北栄町で始まった「研志塾」の思想に倣い、鳥取をよくしていく人材育成の場です。
前半3回のプログラムでは「個人編」として個のコミュニケーション能力、データの取り扱いについて、地域とのつながり方「地域観」を身につける内容に。
後半3回は「組織編」として組織に最も重要なビジョン・ミッションづくり、実践的な事業開発・マーケット手法、そして実際に運営するための資金調達・組織マネジメント、リーダーシップ手法について学ばれていました。
自覚できないことのデメリット
「個人編」の講師を担当されたのは株式会社イミカ代表の原田博一さん。
現在は日本財団鳥取プロジェクトのアドバイザーでもあります。
まず、この研志塾で参加されている方達に何を学んでもらいたいのか、鳥取の新しいリーダーに何を習得して欲しいのかお聞きしました。
人はものを考えるときにどうしても偏見(バイアス)を持って考えてしまいます。それはコミュニケーションを取る上で、自分のことが正しく把握できず、また相手のことも曖昧な状態で関係性を作ることになってしまいます。
まず自分が何であるかを自覚し、相手がどういう立場なのか、それがあって初めてその中間に何を持ってきたら正しいコミュニケーションが取れるかがわかるそうです。
そのためのツールを原田さんは参加者に用意して、常に変わっていく自分と相手とを同じ尺度で見つめ直せるようなベースを作ります。
そうして、地域と自分がどうつながっていくのか。
正しい「地域観」。地域を見るめる力を養ってほしいと言います。
普通の会社も地域づくりも同じようにマーケティングが必要
後半の「組織編」では株式会社PubliCo 代表取締役の長浜さんが熱弁をふるっていただきましたが、その内容はほとんど、普通の会社で役に立つようなものばかり、まさに普通の会社の研修のようでした。
長浜さんはそれぞれの立場で、できることを居心地よく継続できるように進めていくことが重要だとおっしゃいます。
その時の所属する組織でできることは限られているし、自分だけでできることはさらに限られている。まずそれを知ることで、誰とつながれればできるようになるのか、どこの組織とプロジェクトを組めば自分のしたい理想が実現できるのか。
「組織編」の一番はじめではその組織のビジョンとミッションを考えます。しかし、普通の会社も民間団体でもそれが明確になっていて、またその社員やメンバーの方達がそれを強く意識して活動している組織はあまりないのではないでしょうか。長浜さんのお話はそこからターゲットの設定、最終的には目標を達成するための資金調達まで至ります。
個人でも大きな組織になっても基本は変わらないとおっしゃいます。個人ならセルフマネジメントが必要だし、鳥取県をよくしようと思ったら、県レベルでのビジョン・ミッションの共有から始める必要がある。
鳥取県は人口当たりのボランティア率が全国で非常に高順位に推移しています。しかし、まだ鳥取の中で問題が山積しているのはその旗振りがうまくいってないのではと。
長浜さんのストイックなマーケット論が参加者の方に伝わり、鳥取県に反映されるのが楽しみです。
第1期生はリスクテーカーで面白い
5月に始まった研志塾に参加したのは17名。
チラシに書いてある内容だけでは、実際どんなことが学べるのか。
なかなか100%はわからなかったはずです。
2回目の人は1回目の人がどうだったか確認してから参加できますが、
そんなリスクのある中で参加を決めた一期生はすごく面白い人が集まると原田さんは言います。
実際、集まられた方達をみると若手は学生から会社役員を勤められる方まで非常に多様性に富んでいて、粒揃いの方ばかりです。
原田さんが今の所感じ出ている鳥取の問題は、「外の人と何かして、成功した経験が他県に比べ少ないんじゃないか」とおっしゃいます。
参加者の方には学んだことを活かして鳥取県内にも県外にも繋がりを広げていただき活躍していただきたいですね
研志塾はさらにこの秋から二期生の募集も開始します。
原田さんと長浜さんのメソッドを受け継いだ若きリーダーが今後、どんどん育っていくことが楽しみです。