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協働参画課の主な業務・制度

Posted 2018年1月25日

鳥取市青谷町の勝部地区にて、鳥取県内への自伐型林業の普及を目指し、勝部まちづくり協議会の協力のもと、村楽エナジー株式会社代表の井筒耕平さんがコンサルタントに入り、研修を開催しました。座学から、実習まで体系的に学べる環境を提供していただきました。

事業内容

鳥取県内、林業を通じての地域活性のため、比較的導入しやすい自伐型林業の実践的な講習会の開催。林業で仕事を生み出すことで新しいライフスタイルの提唱。将来的には、自伐型林業から派生してバイオマス発電や伐採地を活用した農業などの新規事業が自発的に立ち上がることを目指す。

様子

森林率が7割を超える日本において、林業は一番伸びしろがある業界です。しかし、一番就労人口も少なく生活していけないイメージが強いのも現在の林業の特徴。それを覆す可能性を秘めた新たな林業へのアプローチ方法が自伐型林業です。自伐型林業は初期費用が少なく、参入障壁が非常に低いため、新規参入者獲得も比較的容易であり、かつ、小規模での経営が可能なため、無理のない就労で林業自体を楽しみながら所得を得るライフスタイルの構築が可能です。

今回主導としてこの事業を担っている井筒さんは、岡山県西粟倉村で林業を中心に材木の販売、製品作り、温泉街の整備、バイオマスを用いてエネルギー問題を解決するなどのコンサルタントをしています。実際に西粟倉村で培ってきた経験や技術をもとに、前例のない勝部で新たな林業・まちづくりの形を確立するきっかけ作りとして、今回の講習があります。

「勝部を何とかしたい!」想いに共鳴

井筒さん

「『勝部をなんとかしたい!』っていう漠然とした相談が僕に届いたんですよね。」
それが始まりだったと話すのは、今回の事業にコンサルタントとして協力している、井筒耕平さん。
相談を受け、勝部に来て色々な人に話を聞いて回ったところ、「勝部に仕事がない。」「何とかしたくても予算が足りない」そんな声が聞こえてきました。
何とかしたい!という勝部の人たちのやる気を汲み取り、まちづくりをしていくきっかけとして日本財団から支援を受けて、この事業が動き出します。
今回の事業のハブを担っているのは、勝部まちづくり協議会。会長を務める長谷川正昭さんは、勝部のまちづくりの要素として、「魅力あるまちづくり」「安心安全なまちづくり」「交流人口が増えるまちづくり」「雇用が増加するまちづくり」の四つの要素を掲げて活動されています。

長谷川さん

長谷川さん「勝部のまちづくりの要素の一つとして、雇用の増加を考えていました。しかし、もともと計画していたバイオマス発電も、担い手がなかなか見つからずあきらめざるを得なかった。そんな時に、井筒さんや日本財団の方を紹介してもらい、勝部の雇用の増加をはかる企画をお願いすることになりました。」

その企画が、今回の事業である、自伐型林業の研修です。
イノベーションと環境保全を同時に大切にする自伐型林業をみんなで学んでいきます。

自伐型林業を手段に

長谷川さんの話を聞いた井筒さんは、雇用の増加へ働きかける企画として自伐型林業を提案します。

様子

 

井筒さん「林業は、手段だと思っているんですよ。仕事をつくるっていう目的の中、勝部っていう超マニアックな地域でどうやってアプローチしようか模索していた時に、『みんな外に働きに出て行ってしまって、隣の人がどんな人かもわからない』という声があった。それを聞いて、顔が見える開けた仕事であり、かつ、僕が仕事で関わっている地域でも林業やバイオマスには取り組んでいたこともあって、まずは林業がいいんじゃないかと提案したんです。」

中でも特に、自伐型の林業を井筒さんは提案しました。
現行林業は、高額の初期投資が必要となるため、利益を得るには大規模での取り組みが前提となり、就労者も林業を専業にしたうえでさらにノルマを課されることもあります。
それに比べて自伐型林業は、小規模から取り組むことができるため、初期投資が少なく自分の配分で経営をすることが可能です。林業を専業にやるのではなく、兼業として林業をすることができます。

様子

井筒さん「現行林業は高単価のハイテクマシーンでコストが莫大にかかるから、相当の山をやんないといけない。でも、僕らがやろうとしている自伐型の林業は、コストを抑えて小規模でできる。自分で売り上げを決めて、“経営”することができる。現行林業でよくあるのは、サラリーマンみたいに一日のノルマなんかを課せられて、つまらなくなって辞めてしまうこと。そういう林業界の働き方も含めて変えないといけないなって思っています。林業は稼げるんですよ。」

今回の研修では、自伐型林業推進協会から、五人の講師の方を紹介していただき、そういった収益化のプロセスもレクチャーできるようになっています。

勝部で自伐型林業を始める意味

様子

現時点では、勝部で林業はほとんど行われておりません。しかし、勝部で自伐型林業に挑戦することに意味がある、と井筒さんらは言います。

井筒さん「誰もやっていない勝部だからやるんです。誰かやっていたらやらない。誰もやっていなくても、やってみなくちゃわからないし、勝部のような冬に積雪のある地域は、自伐型林業を季節労働としてやっていったらいいと思う。農業×林業だっていいし、観光業×林業もいいかもしれない。西粟倉村での経験ももちろんですが、その地域に合ったやり方でやっていけばいいと思うんです。」

長谷川さん「僕は、勝部に“働きやすいフィールド”をつくりたいと思って活動しています。正直、今の段階で村の人たちは、林業そのものにあまり期待感を持っていない人が多いんですよ。だから、この自伐型林業の取り組みも様子見している人たちが多い。それでも、一つの成功事例が人を呼ぶんです。この勝部というまちに、井筒さんの西粟倉村での成功事例を取り入れて今回の自伐型林業をなんとか成功に持っていくことで、働きやすいフィールドづくりへのきっかけとしたいです。」

勝部での取り組みはきっかけのひとつ

勝部での自伐型林業はきっかけのひとつに過ぎません。
伐採した土地や休耕田を用いて、薬草栽培の事業を行ったり、担い手不足であきらめていたバイオマス発電にもチャレンジしたいと長谷川さんは語ります。

様子

長谷川さん「将来的には、色々な事業がぽつぽつと生まれてくる勝部をつくりたいですね。街づくりは短期的ではなく、一生続くものです。その大きなきっかけづくりを日本財団の支援を受けて作ることができた。でも、この研修が終わった後も、自分たちで限界をつくらないで、僕らでできることは僕らでやっていきたい。頭や年齢に限界はないんです。」

さらに将来的には、勝部が林業でのまちづくりの成功事例となり、新たな林業やまちづくりの在り方がつくられることを見据えています。

井筒さん「勝部で兼業としての林業をしていくことで、多様な人が多様な形で林業に関わっていって林業のあり方を変えていってほしい。

様子

様子

そういった意味で、勝部での自伐型林業に街づくりや林業の先駆的な立場になってもらいたいです。勝部がロールモデルとなって、新しい林業のあり方が考え直されるようになることが最終目的ですね。」

取材後記

前例のない勝部だからこそ、そこに無限の可能性を感じ、チャレンジする井筒さんと長谷川さん。お二人のまなざしからは、今回の事業だけで決して終わらないで次のステップへ必ずつなげるんだ、という強い想いが感じられました。
昨今、まちづくりやまちおこしといった言葉をよく聞くようになりましたが、本当に成功している事例は多くありません。しかし、勝部という限界集落にも近いような土地でも、やる気に溢れた人たちが集い、本気でまちを変えようと行動を起こしています。数年後、勝部が林業を中心とした街づくりの新たなロールモデルとなっている姿が期待できたように感じます。
  

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