【事業内容】
商業印刷用カラープロダクションプリンターの導入及び新店舗の改修による新たな市場確保と施設利用者の接客、就労技術スキルの向上
Studio-E(スタジオ・イー)の大森克美(おおもりかつみ)さんの話しにスタートから驚かされました。
冒頭のお話から『社会的意義はまったく考えていません』と大森さん。障がい者就労施設の方が最初に話されるコメントではないように感じました。のちのちお話しを聞くと納得できましたが、その時は驚いて、頭に?マークが一杯でした。
障がいを持つ利用者と一緒に作り上げているStudio-Eの活動ですが、意外にも大森さんは社会的な意義は一切考えていないといいます。
「社会的にどうのこうというのは、一切考えていません。たまたま障がい者の方と一緒にやって、その方の『就職がない』。その問題をどうしたら良いかということから入っただけで、社会的なことを考えて、やっているわけではないんです。だから事業者と利用者は、お互いに持ちつ持たれつな対等な関係だと思ってます。考え方は利潤を追求する他の会社と同じです。Studio-Eはそこを目指してやっています。」
冒頭の話しはここで出てきます。『社会的な意義』を考えた後のスタートではなく、利用者の問題からスタートしたStudio-Eの活動。大森さんが言いたいのは『社会的な意義』は利用者にとってはあまり関係ないということ。
だから福祉施設だから収入は少なくても仕方がないという、甘えのようなものは一切感じられません。施設がなんのためにあるのか、シビアな利用者目線の考えがそこにありました。
「利用者の方の思いはそれぞれ違うので、例えば給料をもらえればそれで良いって方や、仕事があればそれだけで良いって方、あるいは社会的に活動したい方など、人それぞれです。利用者が仕事をして、それに見合った対価がどうやって得られるか。そういう見方が大事だと考えています。」
誰のためでもない、利用者のためにどう関わって行くか考える必要があると、大森さんはいいます。
「利用者に来てもらって仕事をしてもらう。じゃあ誰の為に仕事をしているのか、自分のスキルのため、次のステップのためにやってもらっているわけです。自分のために来てもらって、自分のために働いて、自分のために稼いでもらう。そこに我々がどう関わっていくかっていう話しなんです。」
そんな「思い」でやっているStudio-Eですが、最近運営のスピードが上がったとのこと。
「日本財団と関わるようになって、5年分ぐらいはスピードが上がりました。スタートラインが変わっちゃったんです。スピードがグーンと上がり、今はそれについて行くのにいっぱいいっぱいです。それに答えないといけない。本当だったらこの人数をかかえちゃうと、多分工賃が落ちるんです。それがぐっと早まっちゃたんで、スピード感をあげて、今は走るしかないと思っています。」
そして利用者も増えました。利用者が増えることは、働きたい人にとっては良いことです。しかし一方で直面するのが工賃のこと。
「人が増えたら、(全体の)収益はあがるでしょう。でも1人1人の工賃が下がるのでは意味がありません。見合った収益が必要なので、人を増やせば増やすほど、(収益を)あげて行く必要が出てきます。そこが作業所の難しいところ。人は増やしたい、でも増やして、工賃が下がったら、なんのために増やしたのか利用者にとっては分からない。」