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協働参画課の主な業務・制度

NPO法人 フェリース

NPO法人 フェリース

【事業内容】

フルーツショップとしての魅力向上を目的に、新鮮なフルーツを使ったジェラート、コーヒーショップを併設し、年間を通じた新たな顧客確保と施設利用者の接客、就労技術スキルの向上を図る

人気のカフェは、就労継続支援所?

店内の様子

鳥取市の千代川沿いに可愛いお店があります。三角屋根に白い壁。店内に一歩入ると、美味しそうなフルーツが並んでいます。取材前に行ったのはちょうどお昼前。店内のカフェスペースはお客さんで一杯です。外で待っている人もいます。モーニング、ランチはもちろん、パフェやワッフル、フルーツサンドなど、どれも見た目から美しく、味もおいしい。そしてリーズナブルな価格。鳥取の人気のお店となっています。来たお客さんでフルーツショップフェリースが、就労継続支援事業所だと意識している人は、ほとんどいないのではないでしょうか。

「就労継続支援事業所とは行っても、一般的には仕事をする場なので、一般の企業と同じ立ち位置でやらなければならないと思っています。」とフェリースの岡村さん。

同じ立ち位置でやらなければならないといっても、働いている方は、障がいを持つ方。そこはどうしても、他の企業と違ってきます。

「一般企業というのは、一定の能力がないと、はね落とされます。そこでは働く人にも、企業が望む最低限のことが求められます。しかし福祉には最低限の基準はないと思っているので、基準がないのが福祉の就労。だけど、仕事をする上では一般の会社と同じなのかなって思っています。」

同じ土俵で他の企業と勝負しているから、厳しいこともあります。様々な人が働いているからこそ、様々な工夫で、補っていく必要もあります。今は人気ショップに近づいているフェリースですが、最初は上手くいかないこともありました。

『ない』と『わぁー』の発想

ケーキ

「最初はカフェを普通にやっていて、どうしてもうまくいきませんでした。その時はありきたりの発想しか出てきませんでした。」

その時考えたのが、『ない』と『わぁー』という発想だそう。

「うちはよく考えたら経営のプロもいないし、すごいパティシエがいるわけでもない。そしてすごい人を雇うほど会社は大きくない。」

ないなら、ないで考えたのがフルーツショップ。

『これでは他の一般のお店に勝てないな』って、『鳥取にないもので、だれが見ても喜ぶものはなんだろう』って考えたときに、自分が見て『わぁー』って思えるものを作ることを考えました。思いついたのがフルーツです。お皿一杯のフルーツを出すこと。そしてそれが普通だったらとても値段が高くなるものを、頑張ってリーズナブルな値段にする。果物を使うのでどうしても原価率が高いんです。でもそこはケチらない。まずびっくりする。驚いてもらう。素材の美味しさを活かすメニューを作りました。」

取材の前の日のフェリースでは、お客さんが注文したパフェが来た時の、幸せそうな笑顔を見かけることができました。驚きが笑顔に変わったあの表情。これがまさにフェリースのしたいことなんだろうと感じました。

鳥取で珍しいシフォンケーキ専門店に挑戦

そしてフルーツショップの横に、今ちょうど新しいお店を建設しています。なんとそこでは、ジェラートとシフォンケーキのお店になるとのことです。ジェラートは、日本でも長く愛されるような、素材を活かしたもの。シフォンケーキは、鳥取ではちょっと珍しいものとなりそうです。

「シフォンケーキも良くあるものではなく、真四角な正方形なシフォンケーキを作って、中にクリームを入れ、一個ずつ焼くものにします。今、専門店は鳥取市にはないんですよ。専門店色をだして、年間例えば300種類とか、目指して作っています。行くたびにショーケースの中の内容が違ってくるようになってくると、楽しいものになると思います。」

「日本財団と一緒にプロジェクトをするようになり、計画は前倒しになりました。もともと次の店舗展開を考えていたんですけど、資金的な面で難しかった。そういう所はまだ先の話しなんだろうなって思ってました。計画が前倒しになることで、今年から工賃をあげることができます。今まで頑張って来てくれた人の工賃もあげることができる。これはとても嬉しいことですね。」

一生懸命やってくれる利用者に報うことができる。このことが何よりの喜びだと岡村さんはいいます。自社製品や自分のお店の仕事であれば、成果は違います。直接お金につながって行くので、来てもらった人の経済的自立をなしとげてもらうことが可能になります。

地元の人のテーマパークにしたい

店内の様子

今後の展望もうかがいました。

「今、フルーツショップの真向かいにジェラートとシフォンケーキのお店を建ててます。そうすると、例えば、カフェのスペースで食事が食べた後に、ぶらぶら歩いたら、ジェラートも食べることができる。お土産でシフォンケーキを買うことができる。帰り際にラテも飲める。テイクアウトもできる。そして子どもが遊べるところなんかを作って、1つのテーマパークみたいな感じになると良いですね。その1つ1つが洗練されていたらいいなって思います。

テーマパーク!素敵な響きです。ただし、県外の人向けでなく、地元の人に使って欲しいそう。

「地元の人が来れるお店にしたいです。価格帯も地元目線で設定しているので、地元の人、近所の人が楽しめる場所にしたいと思っています。テーマパークにして、楽しめる感じにしたいんですけど、県外の人ばかりになると違うかなって。鳥取の人が『あそこいいね』って普段使いできる場所にしたいですね。」

就労支援事業をやっている感覚はない

店員

フェリースの岡村さんは、福祉事務所の目線だけでなく、経営者の目線をされています。利用者の働く場所としてのカフェの考え方、お客さんが来るカフェの考え方、どちらも同じカフェですが、少し方向性が違います。それを創意工夫で克服して、利用者、そしてお客さんどちらもハッピーになれるような、そんな場所にしていこうという気概を感じました。

岡村さんはこんなことも話してくれました。

「あまり就労支援事業をやっている感覚でやっていないんで(笑)今はお店をしっかり作っていくことに集中してやっています。本当を言えば、就労支援だけで商売をなりたたせようと思えば、なりたたすこともできるんですけど、あえてそういう道に行かないようにしています。

楽して事業をすることも可能かもしれないですけど、それをやる意味ってないじゃないですか?就労支援事業をするんだったら工賃をしっかり増やす。美味しいものを作って行かないといけないので、今は一生懸命です。」




■ライター紹介
都丸 司(とまる つかさ)
鳥取県米子市在住。鳥取の魅力を伝えたい、鳥取に住んでいる人がもっと楽しくなる情報を発信したい。鳥取県外に住む人にも鳥取に来てもらいたい。ローカル情報サイト「鳥取マガジン」編集長。

  

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