【事業内容】
若者と地域住民の交流拠点として空き家を活用したゲストハウスやカフェの整備、運営、域外との交流事業による地域活性化を図る
地域住民と大学生が連携。誰でもチャレンジできる町づくり
鳥取市用瀬町では、地域住民と大学生によって結成された「もちがせコミュニティまちづくり」が地域活性化を目指し、取り組んでいます。地域住民と大学生が連携することで「誰でもチャレンジしやすい町」へ変化しつつあります。
もちがせコミュニティまちづくりは、空き家のリノベーション、特産品の販売、域外との交流等の事業を連携させ、地域活性化による資金循環モデルの構築に取り組んでいます。
町の人口減少に危機感を感じた地域住民が「なんとかしないと!」と思ったことが、コミュニティ立ち上げのきっかけです。2016年6月からは公立鳥取環境大学の学生がメンバーに加入しました。
このように、地域活性化に向けて取り組んでいるまちづくり団体は珍しくないですが、学生という若い力が入っているのは珍しいです。事務局長は、4回生の岩田さんが担当しています。
学生ならではの視点や行動力が、町に活力を与えています。もちろん、学生を受けいれてくれるメンバーの存在もとても大きいです。
町の課題としてよくあるのが、リーダー層の方々が「まだお前たちに任せられない」といって、なかなか若者に主導権を渡さないことです。しかし用瀬では若者にチャレンジできる機会を与えています。大学生までも受け入れている寛容な精神は素晴らしいと思います。
財団からの支援によって「用瀬パワーアッププロジェクト」を実施しています。以前から構想していた用瀬コミュニティのプロジェクトでしたが、財団からの補助金によって、具体的に行動に移すことができ、スタートアップの地盤を築けました。
プロジェクトは、以下の3つの事業を軸に取り組んでいます。
特産品の磨き上げ事業
特別栽培米「千代清流ひなの舞」を中心にお茶、梨、柿、キウイ、アスパラガス、白ネギ、松茸、梅、桑などの特産物を活かした加工品のブランド確立を図ります。特にお米とお茶に力を入れて進行中で、都市部への販路拡大を目指しています。
もちがせコミュニティー広場事業
古民家を改修して、カフェ「川のhotori用瀬」と体験型民泊の2つの事業を開業。特産品の販売・情報発信や地域住民と大学生の交流、観光客の受けいれ、案内等のためのコミュニティー広場として活用中で、交流人口の拡大を図っています。
都市部との住民交流事業
大阪等の都市部に住む用瀬町の出身者や賛同者らが「鳥取ひなの里 関西応援隊」を結成。特産品の販売会員を募集し、用瀬ファンクラブを結成。ゲストハウス等を活用した田舎暮らし体験等の住民交流により、移住・定住を促進しています。また、海外との交流により観光客の誘致も目指しています。
これらの取り組みを通じて、岩田さんは「町の人の考えが前向きになったという声をよく聞く」と話していました。今まで消極的だった住民が、パワーアッププロジェクトによって、「自分たちもやってみよう!」と意欲的になりました。もともと宿場町で商売が盛んな町だったので、「やり方が分からないけど何かやってみたい」という人が多かったのです。
用瀬は直近10年間で人口が約1500人も減少しています。岩田さんは「このままの状態では厳しい」と話していました。
「人口減少を解消したい」という思いから、生き生きとした町づくりに向けて取り組んでいます。
岩田さんは昨年の10月に用瀬に移住するとこで地域に溶け込みながら、日々活動しています。「用瀬町は応援してくれる人が非常に多いから助かる!」と話していました。
用瀬プロジェクトをきっかけに、大学生・用瀬住民が自己実現をしながら作り上げる町を目指しています。雇用が少ないという町の課題がありますが、チャレンジしやすい町にしていくことで、雇用を生み出だしていきます。
また、公立鳥取環境大学の学生は卒業後、県外で就職する人が多いです。そのため岩田さんは「学生が県内に残れるような仕組みをつくりたい!」と話していました。
さらには、伝統行事を残していくことで町の魅力を次の世代にも残しつつ、誰もが住みやすい町を目指しています。