令和6年2月定例県議会付議案に対する知事提案理由説明要旨
提案理由説明に当たり、能登半島地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、今なお困難な状況にある被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
私自身、先週末17日・18日に石川県志賀町等へ伺い、稲岡健太郎町長や馳浩知事と今後の支援のあり方等について協議致しました。本県においては発災後速やかに石川県志賀町への対口支援を開始し、支援物資配送調整、保健師による健康調査、被災建築物応急危険度判定等に当たるとともに、全国知事会の支援の一環として、感染症対策の確立に携わったほか、DWAT派遣、職員災害応援隊による生活回復に向けた活動など、被災地支援を精力的に展開してまいりました。引き続き、国、全国知事会、関西広域連合などと連携し、早期の復旧・復興に向け、その段階に応じ建物公費解体や各種復旧事業等の技術者派遣に協力するなど、被災地に寄り添った支援を行ってまいります。
世界に目を向けると、新型コロナ・パンデミックは収束しつつあるものの、ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢など先行き不透明な状況が続き、エネルギー高騰を惹起しています。県内においても、昨年の台風7号をはじめ頻発する災害、物価・肥料・飼料高、人口減少や店舗閉店など、山積する課題への対応が待ったなしです。
こうした困難を乗り越え、県民の皆様の命と暮らしを守り抜くことが重要であり、令和6年度は能登半島地震の教訓に基づく地震・津波対策や台風7号災害からの復旧・復興を迅速に推し進め、市町村や事業者等と連携して、地域の「支え愛」を活かし、買物環境の確保、「コミュニティ・ドライブ・シェア」、医療人材確保など、安心して住める「課題解決先進県」への挑戦へ乗り出してまいります。
更に、コロナ禍で失われかけた活力を取り戻し、一人ひとりが輝き活気あふれる安心社会を築いていくため、未来を担う若者世代の声を県政に直接反映する新しい行政スタイルを導入し、「ねんりんピック鳥取大会」を成功させ、「シン・子育て王国」への展開、新分野開拓と生産性向上・賃上げによる産業・雇用の振興、IJUターンや交流人口の拡大など、コロナ後の時代へ力強く飛躍を遂げるべく全身全霊をあげて邁進してまいりますので、議員各位、県民の皆様の格別の御理解と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
それでは、本議会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
この度提案いたしました議案は、
予算関係 32件
条例関係 21件
その他の案件 17件 の 合計70件であります。
最初に、議案第1号 令和6年度鳥取県一般会計予算についてであります。
令和6年度は、臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税の減額が見込まれるものの、県税収入増で今年度を上回る一般財源を確保できる見通しです。しかしながら、物価・光熱費・人件費・社会保障負担の上昇により、実質的には歳出増圧力が一般財源増を上回ることから、厳しい予算編成を余儀なくされました。そうした中にあっても、災害や人口減少への対応をはじめとする課題を克服し、本県におけるコロナ後の活力と安心を築くため、未来へ向け力強く踏み出すこととし、新たな鳥取県づくりへの挑戦を果たす積極型予算といたしました。
なお、県民との約束である「財政誘導目標」につきましては、「財政調整型基金確保」・「実質的県債残高抑制」・「プライマリーバランス黒字」の3指標いずれも目標圏内に収め、健全な財政運営を堅持しております。
それでは、令和6年度当初予算案の概要につきまして、御説明申し上げます。
第一に、「災害に強いふるさとづくり」についてであります。
能登半島地震を教訓とし甚大な災害にも対処できる体制を築くため、総合防災情報システムを広島県と共同導入し、防災情報ポータルサイトを構築するなど防災DXを推進するとともに、災害オペレーション室や広域防災拠点を整備し、通信手段など孤立集落の機能強化、トイレカーなど避難所環境整備、カメラ新設など津波監視能力の向上、危険木事前伐採や防災重点ため池改修、住宅耐震化支援拡大等の対策を、戦略的に講じることといたします。
更に、台風7号災害で被災した河川・道路・農地・農業用施設・林道等の復旧に向け着実に進捗を図り、被災を乗り越える営農支援や「創造的復興」に突き進むとともに、山陰道・鳥取道・志戸坂峠バイパス・北条倉吉道路・江府道路の整備など、災害にも備えた道路網構築に邁進してまいります。
第二に、「安心して住める支え愛ふるさとづくり」についてであります。
人口減少をはね返し暮らし続けられる地域をつくるため、買物環境、「コミュニティ・ドライブ・シェア」、医療人材の整備・確保を市町村等と連携して推進するとともに、生活機能を地域で守る新たな拠点づくり、投票所減や政治離れを防ぐ投票所リモート立会の導入に着手し、特定地域づくり事業協同組合を含め、中山間地の人材確保を進めてまいります。
また、生活困窮者や医療・高齢者施設への光熱費等助成など実情に即した切れ目ない支援を行うほか、脱炭素化などを先導するため、「置き配ボックス」による再配達削減、省エネ事業所「ZEB」助成をスタートし、アルツハイマー病治療支援や地域と協働したフレイル対策を展開するとともに、行政・警察・民間一体の「犯罪被害者総合サポートセンター」を全国で初めて設置するほか、「ミラ・クル・とっとり運動」を立ち上げ、学校でのあいサポート学習や若者等のオーバードーズ対策を実施します。
第三に、「一人ひとりが輝くふるさとづくり」についてであります。
「ねんりんピックはばたけとっとり2024」を成功に導きシニア世代の活躍を応援するとともに、「とっとり若者Uターン・定住戦略本部」を設置し、ふるさとキャリア教育、県内定着に向けた大学生の活動支援、メタバースでの交流を進めるほか、パリオリ・パラなどアスリート強化はもちろん、新たにジュニアアーティスト育成や若者ミュージックコンテストをスタートするなど、若者の活躍を応援します。
また、「シン・子育て王国」で全国をリードすべく、小児医療完全無償化や不妊治療支援拡充に踏み出すほか、保育士確保に向けたキャリアアドバイザー設置、助産師によるSNS相談、産後ケア無償化の拡充などを展開してまいります。
併せて、学習段階に応じた「学習支援プラットフォーム」を開始し、寮整備を含め高校魅力化を進めるとともに、新「若鳥丸」建造、初の県立夜間中学「まなびの森学園」開校など、未来を担う「人財」育成を図ります。
最後に、「産業と交流で活力あるふるさとづくり」についてであります。
新型コロナ、物価高、人手不足を乗り越え活力ある産業・雇用を確立するため、新たな借換資金制度の創設、リスキリングをはじめとした人材育成、望まない離職の防止、2024年問題に対応した取引環境改善や物流効率化などを推進します。併せて、生産性向上や研究開発への支援を強化し、DX・脱炭素化・宇宙産業をはじめ新産業の創出に舵を切ります。
また、地球温暖化対応や飼料高騰対策、産地・担い手に対する支援拡大や「食パラダイス鳥取県」推進など、農業生産1千億円達成に向け農林水産業の飛躍的発展に挑戦してまいります。
更に、空の道・海の道の回復・発展にチャレンジし、ビジネスジェットによる旅やアドベンチャーツーリズム、自転車・サウナの活用をはじめ、観光交流の戦略的拡大を図ってまいります。
これら各般にわたる事業を積極的に計上いたしました結果、令和6年度当初予算案の総額は3,604億8千4百万円となるものであります。
また、議案第22号 令和5年度鳥取県一般会計補正予算(第8号)につきましては、能登半島地震で被災した石川県と志賀町のためのふるさと納税代行や被災地への支援物資購入・職員派遣などの経費を計上するなど精査いたしました結果、103億8千8百万円余を減額することとし、補正後の令和5年度予算総額は4,353億8千4百万円余となるものであります。なお、鳥取市選挙区県会議員補欠選挙の執行経費については、専決処分により措置いたしましたことを御報告申し上げます。
次に、予算関係以外の主な議案につきまして御説明いたします。
議案第34号 「鳥取県営鳥取空港の設置及び管理に関する条例」の改正につきましては、公募による運営権設定など、民間活力を活用し鳥取空港の運営効率化、利用促進、賑わい創出を進めようとするものであります。
議案第38号 「鳥取県薬物の濫用の防止に関する条例」等の改正につきましては、過剰服用によりオーバードーズのおそれのある医薬品の適正使用に関する県・事業者・県民の責務を定め、健康被害の拡大を防止しようとするものであります。
議案第39号 「子育て王国とっとり条例」の改正につきましては、「シン・子育て王国」を推進するため、地域で子どもを見守る環境を整備し、子どもの多様性の尊重や意見を聴く機会の確保など、安心して子育てできる地域づくりを展開しようとするものであります。
議案第65号 「職員の給与に関する条例」等の改正につきましては、台風7号災害からの復旧に必要な建設技術人材確保を図るため、60歳を超えても勤続する場合の時限的特別措置を設けるものであります。
以上、今回提案いたしました付議案につきまして、その概要を御説明いたしました。
よろしく御審議のほどお願い申し上げます。