現在、漁業センサスという漁村、水産物流通、加工業などの漁業を取り巻く実態を把握する、5年に1度の統計調査が実施されています。
鳥取の水産物といえば、これから旬を迎えるズワイガニを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
山陰では、最終脱皮後1年以上経過した雄のズワイガニを特に「松葉がに」と呼び、その中でも大きさなど一定の基準を満たしたカニを、鳥取県では「特選とっとり松葉がに五輝星(いつきぼし)」として販売しています。
ズワイガニの漁獲量は、以前に比べ大きく減少しており、1963年には5000トンを超えていましたが、1971~74年頃から大きく減少しはじめ、1992年には最盛期の約6%の300トン程度にまで落ち込みました。
漁獲量の減少には様々な要因が考えられますが、無秩序な操業による資源の減少が一因と考えられています。そのため山陰では、国・県・漁業者によるズワイガニを保護・増殖するカニ牧場の整備、漁業者の自主禁漁による保護区域の設定、科学的根拠に基づく漁獲上限となる漁獲可能量(TAC)の設定などの資源管理を行い、徐々に漁獲量が回復してきました。
これからお鍋の季節となりますが、SDGsの取組が実を結び、「松葉がに」が私たちの食卓に上がる機会が増えると嬉しいですね。
本ページは、令和5年10月28日付「日本海新聞」掲載の同題コラム(鳥取県総務部統計課執筆)からの再録です。