通常、インフルエンザウイルスは、例えばヒトからヒトへといった同種の間で感染するものです。しかし、インフルエンザウイルスの性質が変わる(変異する)ことによって、これまでに、ヒトに感染しなかったインフルエンザウイルスが、ヒトへ感染するようになり、そしてさらにはヒトからヒトへ感染するようになります。
もともとインフルエンザウイルスは、己の生存をかけて毎年、少しずつ遺伝子を変化(変異)させていますが、ヒトに感染しなかったものがヒトの間で感染する位まで大きく変異した(突然変異型の)インフルエンザウイルスのことを新型インフルエンザウイルスといいます。 従って、鳥と密接に接触したヒトが鳥インフルエンザに感染しただけでは、新型インフルエンザとは認められません。
現在、新型インフルエンザウイルスに変異する可能性が高いものとして鳥インフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザ)ウイルスが考えられています。
高病原性鳥インフルエンザウイルスはニワトリやカモが感染するウイルスで、死亡など重篤な症状をきたすものです。
高病原性鳥インフルエンザウイルスが新型インフルエンザに変異する仕組みは2通り考えられます。
まず、高病原性鳥インフルエンザウイルスがヒトに感染、ヒトの体内で変異するこで新型となる仕組みです。
次に、高病原性鳥インフルエンザウイルスと従来のインフルエンザウイルスがヒトに同時に感染し、ヒトの体内で混ざり合い変異し、新型になる仕組みです。実はブタは鳥インフルエンザウイルスとヒトのインフルエンザウイルス両方に感染するため、ブタが同時に感染し、ブタの体内で混ざり、新型になる可能性もあります。(下図参照:厚生労働省より引用)
新型インフルエンザとして、大正7年(1918年)に「スペインインフルエンザ(スペインかぜ)」、昭和32年(1957年)に「アジアインフルエンザ(アジアかぜ)」、昭和43年(1968年)に「香港インフルエンザ(香港かぜ)」、昭和52年(1977年)に「ソ連インフルエンザ(ソ連かぜ)」が流行しています。これらはいずれも世界的に流行し、多くの死亡者(たとえば、「スペインインフルエンザ」において、世界で4千万人、国内で約39万人が死亡)を出しました。