内閣府は、平成19年2月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、消費に弱さがみられるものの、回復している。企業収益は改善し、設備投資は増加している。雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。個人消費は、おおむね横ばいとなっている。輸出は、横ばいとなっている。生産は、緩やかに増加している。
先行きについては、企業部門の好調さが持続しており、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。
政府は、1月25日、日本が目指すべき経済社会の姿と、それを実現するための経済財政運営の中期的な指針を示した「日本経済の進路と戦略」を閣議決定した。また、同日、「平成19年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議決定し、平成19年度予算を国会に提出した。政府は、「新成長経済」の実現に向けた改革への取組を加速・深化する。
政府・日本銀行は、マクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、重点強化期間内に物価の安定基調を確実なものとするとともに、物価安定の下での民間主導の持続的な成長を図るため、一体となった取組を行う。
(各論)
消費・投資などの需要動向をみると、2006年10-12月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間最終消費支出、民間企業設備、財貨・サービスの純輸出(輸出―輸入)がプラスに寄与したことながら、前期比で1.2%増(年率4.8%増)となった(8四半期連続プラス)。また、名目GDP成長率は前期比で1.2%となった(2四半期ぶりのプラス)。個人消費は、おおむね横ばいとなっている。設備投資は、企業収益の改善や需要の増加等を受けて、増加している。住宅建設は、このところ増加している。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は横ばいとなっている。輸入は横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。
企業活動と雇用情勢をみると、鉱工業生産は、設備投資の増加などに支えられて、緩やかに増加している。企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかに改善している。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
物価と金融情勢をみると、国内企業物価、消費者物価は、ともに横ばいとなっている。なお、消費者物価の前年比は上昇しているものの、石油製品、その他特殊要因を除くとゼロ近傍で推移している。株価は、17,800円(日経平均株価)台まで上昇している。長期金利は、1.6%台半ばから1.7%台前半まで上昇している。
需要面の個人消費では、大型小売店販売額(12月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を上回った。ホームセンター・家電量販店販売額(12月)は前年を上回り、乗用車新車新規登録台数(1月)は前年を下回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(1月)は前年を上回ったが、用途別着工建築物工事金額(1月)、公共工事請負金額(1月)は前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(12月、季節調整済)が電気機械工業等の減により74.6で前月比3.9%下落した。また、大口需要電力実績(12月)のうち鉱工業は前年を上回った。
雇用面では、新規求人倍率(1月)は、1.12倍(前月差0.07ポイント低下、前年同月差0.17ポイント低下)であった。有効求人倍率(1月)は、0.75倍(前月差0.01ポイント低下、前年同月差0.08ポイント低下)と8年11か月連続で1.0倍を割り込んでいる。
現金給与総額(12月)は前年を下回り、所定外労働時間(12月)は前年を上回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(12月)は、全店舗計では70億1,467万円となり、前年同月比1.8%増と17か月ぶりに前年を上回り、店舗調整後でも、前年同月比1.8%増(全国3.4%減)と4か月ぶりに前年を上回っている。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が30億7,449万円(前年同月比0.2%減)、スーパーが39億4,018万円(前年同月比3.3%増)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(12月)は、46億4,406万円(前年同月比0.9%増)と2か月続いて前年を上回った。内訳では、ホームセンターが25億7,428万円 (前年同月比1.4%増)、家電量販店販売額が20億6,979万円(前年同月比0.3%増)であった。
乗用車新車新規登録台数(1月)は、1,402台(前年同月比2.0%減)と7か月続いて前年を下回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(1月)は、199戸(前年同月比55.5%増)と2か月ぶりに前年を上回った。増加の内訳では、貸家の増加(前年同月比120.0%増)が大きかった。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(1月)は、12億707万円(前年同月比17.7%減)と2か月ぶりに前年を下回った。用途別では、医療、福祉用(前年同月比69.9%減)等が前年を下回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(1月)は、57億7,300万円(前年同月比17.7%減)と2か月続いて前年を下回った。発注者別内訳では、国の減(前年同月比49.6%減)が大きな割合を占めた。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(12月)は、生産指数(季節調整済)が74.6となり前月比は3.9%低下、原指数は、77.6となり前年同月比では5.6%上昇した。
内訳を前月比で見ると、電気機械が液晶素子等の生産減により9.2%の低下、食料品・たばこが7.1%の低下、一般機械が28.3%の上昇、繊維が4.2%の低下となっている。
在庫指数(季節調整済)は75.6と前月比6.2%の上昇となった。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(1月)は、野菜が1,275t(前年同月比2.7%増)と2か月続いて前年を上回り、果実は685t(前年同月比9.6%減)と8か月続いて前年を下回った。
鳥取市場の青果物販売量(1月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が510tで全体に占める割合は40.0%(前年同月差3.7ポイント上昇)、果実は27tで全体に占める割合は3.9%(前年同月差2.4ポイント低下)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(1月)は、12,885t(前年同月比44.6%増)と6か月続いて前年を上回った。
【電力】
大口需要電力実績(12月)は、141,240千kWh(前年同月比3.4%増)と3か月続いて前年を上回り、鉱工業はパルプ・紙等で増となり5.4%増加した。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(1月)は、1.12倍(前月差0.07ポイント低下、前年同月差0.17ポイント低下)であった。なお、新規求人数(1月)は、4,214人で前年同月比9.0%の減であった。
有効求人倍率(1月)は、0.75倍(前月差0.01ポイント低下、前年同月差0.08ポイント低下)と8年11か月連続で1.0倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(12月)は、579,237円(前年同月比0.8%減)と6か月続いて前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与(12月)は、251,549円で6か月続いて前年を下回った。
【労働時間】
所定外労働時間(12月)は、9.9時間(前年同月比3.2%増)と2か月ぶりに前年を上回った。主力の製造業は4.6%減となった。〔実数による前年同月比では、教育、学習支援業(前年同月比220.0%増)等で前年を上回り、飲食店、宿泊業(前年同月比45.9%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(12月末)は、1兆8,524億円(前年同月比0.7%増)と4か月続いて前年を上回り、貸出金残高(12月末)は、1兆1,590億円(前年同月比3.0%減)と4か月続いて前年を下回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(12月)は、先行指数が10月25.0、11月50.0、12月50.0、一致指数が10月50.0、11月62.5、12月75.0、遅行指数10月66.7、11月66.7、12月58.3となった。
・ 企業倒産(1月)は、件数が5件で前年と同数で、負債総額は4億3,500万円で前年同月に比べて43億2,500万円減少(前年同月比90.9%減)した。。
・ 消費者物価指数(1月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、99.2(前月と同水準、前年同月比0.8%下落)となり、前年同月比は5か月続いて下落した。
・ 鳥取県の推計人口(2月1日現在)603,218人で、前月と比べて425人(0.07%)減少し、前年同月と比べて3,092人(0.51%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成19年2月調査でみると、平成19年4~6月期は、前四半期(平成19年1~3月期)に比べると、景気はやや好調であるが、売上高、経常利益はやや不調となる見通しとなっている。
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