内閣府は、平成19年4月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、生産の一部に弱さがみられるものの、回復している。企業収益は改善し、設備投資は増加している。雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。個人消費は、持ち直しの動きがみられる。輸出は、横ばいとなっている。生産は、このところ横ばいとなっている。
先行きについては、企業部門の好調さが持続し、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。
政府は、「日本経済の進路と戦略」に沿って、「新成長経済」の実現に向けた改革への取組を加速・深化する。また、平成19年度予算、税制改正法案等の成立を受け、これらを着実に執行・実施する。
政府・日本銀行は、マクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、物価の安定基調を確実なものとするとともに、物価安定の下での民間主導の持続的な成長を図るため、一体となった取組を行う。
(各論)
消費・投資などの需要動向をみると、個人消費は、おおむね横ばいとなっている。設備投資は、企業収益の改善や需要の増加等を受けて、増加している。住宅建設は、このところ増加している。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は横ばいとなっている。輸入は横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。
企業活動と雇用情勢をみると、鉱工業生産は、設備投資の増加などに支えられて、緩やかに増加している。企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかに改善している。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
物価と金融情勢をみると、国内企業物価、消費者物価は、ともに横ばいとなっている。なお、石油製品、その他特殊要因を除く消費者物価の前年比は、ゼロ近傍で推移している。株価は、18,200円(日経平均株価)台まで上昇した後、16,600円台まで下落し、その後17,100円台で推移している。為替レートは、対米ドルで121円台まで円安方向で推移した後、115円台まで円高方向で推移し、その後117円台まで円安方向で推移している。
需要面の個人消費では、大型小売店販売額(2月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を上回った。ホームセンター・家電量販店販売額(2月)は前年を上回り、乗用車新車新規登録台数(3月)は前年を下回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(3月)は前年を上回ったが、用途別着工建築物工事金額(3月)、公共工事請負金額(3月)は前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(2月、季節調整済)が電気機械工業等の増により69.8で前月比5.1%上昇した。また、大口需要電力実績(2月)のうち鉱工業は前年を上回った。
雇用面では、新規求人倍率(3月)は、1.12倍(前月差0.12ポイント低下、前年同月差0.14ポイント低下)であった。有効求人倍率(3月)は、0.71倍(前月差0.06ポイント低下、前年同月差0.11ポイント低下)と9年1か月連続で1.0倍を割り込んでいる。
現金給与総額(2月)、所定外労働時間(2月)とも前年を下回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(2月)は、全店舗計では49億6,996万円となり、前年同月比2.3%増と3か月続いて前年を上回り、店舗調整後でも、前年同月比2.3%増(全国0.5%増)と3か月続いて前年を上回っている。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が18億5,198万円(前年同月比0.6%減)、スーパーが31億1,798万円(前年同月比4.1%増)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(2月)は、27億478万円(前年同月比8.1%増)と4か月続いて前年を上回った。内訳では、ホームセンターが14億7,469万円 (前年同月比6.9%増)、家電量販店販売額が12億3,009万円(前年同月比9.4%増)であった。
乗用車新車新規登録台数(3月)は、3,895台(前年同月比11.8%減)と9か月続いて前年を下回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(3月)は、256戸(前年同月比20.8%増)と2か月ぶりに前年を上回った。増加の内訳では、貸家の増加(前年同月比69.0%増)が大きかった。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(3月)は、4億4,710万円(前年同月比66.2%減)と2か月ぶりに前年を下回った。用途別では、製造業用(前年同月比90.0%減)等が前年を下回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(3月)は、80億700万円(前年同月比44.9%減)と2か月ぶりに前年を下回った。発注者別内訳では、県の減(前年同月比43.5%減)が大きな割合を占めた。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(2月)は、生産指数(季節調整済)が69.8となり前月比は5.1%上昇、原指数は、64.9となり前年同月比では8.5%低下した。
内訳を前月比で見ると、電気機械が携帯電話等の生産増により12.9%の上昇、食料品・たばこが3.1%の低下、一般機械が2.7%の上昇、繊維が13.9%の上昇となっている。
在庫指数(季節調整済)は74.0と前月比5.2%の低下となった。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(3月)は、野菜が1,454t(前年同月比4.6%減)と2か月続いて前年を下回り、果実は764t(前年同月比11.9%減)と10か月続いて前年を下回った。
鳥取市場の青果物販売量(3月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が462tで市場全体に占める割合は31.8%(前年同月差4.6ポイント上昇)、果実は29tで市場全体に占める割合は3.8%(前年同月差1.1ポイント上昇)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(3月)は、12,275t(前年同月比418.8%増)と8か月続いて前年を上回った。
【電力】
大口需要電力実績(2月)は、127,963千kWh(前年同月比1.1%減)と5か月ぶりに前年を下回り、鉱工業はパルプ・紙等で増となり1.9%増加した。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(3月)は、1.12倍(前月差0.12ポイント低下、前年同月差0.14ポイント低下)であった。なお、新規求人数(3月)は、4,127人で前年同月比17.2%の減であった。
有効求人倍率(3月)は、0.71倍(前月差0.06ポイント低下、前年同月差0.11ポイント低下)と9年1か月連続で1.0倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(2月)は、251,315円(前年同月比0.4%減)と8か月続いて前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与(2月)は、249,714円で8か月続いて前年を下回った。
【労働時間】
所定外労働時間(2月)は、9.2時間(前年同月比6.6%減)と2か月続いて前年を下回った。主力の製造業は10.6%減となった。〔産業別の前年同月比では、情報通信業(前年同月比53.5%増)等で前年を上回り、飲食店、宿泊業(前年同月比48.1%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(2月末)は、1兆8,343億円(前年同月比1.7%増)と6か月続いて前年を上回り、貸出金残高(2月末)は、1兆1,644億円(前年同月比2.5%減)と6か月続いて前年を下回った。
○参考
・鳥取県景気動向指数(2月)は、先行指数が12月50.0、1月50.0、2月25.0、一致指数が12月75.0、1月37.5、2月50.0、遅行指数12月58.3、1月40.0、2月40.0となった。
・企業倒産(3月)は、件数が4件で前年に比べて1件減少(前年同月比20.0%減)し、負債総額は8億3,000万円で前年同月に比べて9億9,000万円減少(前年同月比54.4%減)した。
・消費者物価指数(3月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、98.7(前月比0.2%上昇、前年同月比0.7%下落)となり、前年同月比は7か月続いて下落した。
・鳥取県の推計人口(4月1日現在)600,209人で、前月と比べて2,508人(0.42%)減少し、前年同月と比べて3,468人(0.57%)減少した。
・鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成19年2月調査でみると、平成19年4~6月期は、前四半期(平成19年1~3月期)に比べると、景気はやや好調であるが、売上高、経常利益はやや不調となる見通しとなっている。