●知事
皆さん、こんにちは。それでは私のほうからいくつか申し上げたいと思います。
まず、昨日午前10時過ぎに新潟県で発生しました中越沖地震におきまして、多くのかたがけがをされる、あるいは亡くなられたかたが7名おられる、そして大きな被害が発生をしたわけであります。同じく鳥取県西部地震で震災を経験いたしました私どもといたしましても、県民より謹んで哀悼の意を表したいと思いますし、そして被災されたかたがたに心からのお見舞いを申し上げたいと存じます。
このたびの震災の発生後の状況を見ておりますと、私どもも人ごととは思えないところもございます。これは日本海側沿岸のところで相次いで地震が発生しているわけでありますし、新潟[県]の場合でいえば3年でまた同じような大きな被害があったということでございますので、私ども鳥取県としても常日ごろの備えを怠ってはならないというような思いを強くいたしたところであります。
一つそれに関連して申し上げますと、先ほど12時20分ころ、私のほうから新潟県の泉田知事に電話をいたしました。そして、お見舞いの意思を申し上げました。と併せまして、もちろん見舞金などの送付などもさせていただこうということを申しましたが、それに限らず、震災を経験した鳥取県として、これからその被害状況の把握でありますとか、復興に向けての新潟県の非常に大変な力が必要になるわけでありまして、私どもとしてもできる協力があればさせていただきたいというように申しました。
この震災に関連する応援といたしましては全国的レベルで、消防庁だとか、あるいは中国ブロック、警察庁、日赤、そういうところで組織的な動きをさせていただいておりますが、それに加えまして、震災体験県として私どもとしてもオファーを申し上げたところであります。泉田知事からは、今新潟県として厄介なのは被害状況の把握であって、この点で支援をいただくことになるかもしれないというお話がありまして、それではそれぞれの事務ベースで、防災担当同士で話をさせましょうということを相談いたしました。
現在、家屋の被害、これは赤紙、黄紙という、皆さんも当時ご覧いただきましたけれども、ああした家屋の被害状況の整理については、これは特殊な技術でありますし、やはり経験したところでなければできないということもあります。ですから私どもで、県の職員で、その技術と経験を持った職員を派遣することはできますよということを今申し入れたところであります。まだ先方はですね、混乱も続いていまして、ちょっとはっきりしたお答えをいただけておりませんが、これに限らず随時、応援をすべきことは応援をしていこうというように考えております。
併せまして昨日、菅総務大臣が折しも来県されました。菅大臣には、私のほうから申し上げましたのは、鳥取県も西部地震を経験して一番困ったのは住宅の問題であると。一向に政府のほうとしては、この点についてきちんとした措置ができていないと。現在、生活再建支援制度はあるわけでありますけれども、これは住宅本体にお金を入れることができない。
それから、要件として非常に厳しゅうございまして、所得制限がどうだとか、年齢がどうだとか、細かい要件が付けられていますし、書類の作成も膨大であります。ですから現場では被災者の方も大変な負担になりますし、申請すること自体が、市町村だとかの行政関係者も、ただでさえ忙しいときにこれに煩わされるということがありまして、なかなか利用度が高くないというのも実情であります。
ですから大臣のほうには、今回の新潟[県]の実際の被害状況を見れば、前回[新潟県]中越地震で被災した家屋がまたもう一度被災しているとか、そんなようなことも報道されていますので、そういう状況の中でですね、ぜひ思い切った政府としての措置を考えるべきだということを申し上げました。
大臣のほうは、それについて前向きに考える必要があるなという感想をおっしゃっていましたけれども、私は震災を経験した県として、この問題にはですね、これを機会に政府として速やかに住宅本体に助成を行って、被災されたかたがたが安心してこれからの復旧活動に携わることができ、避難生活にも資することができるような、そうした道筋を付けるべきだと思っております。以上が震災関係でございます。
●知事
それから知事会関係などを申しますと、先週、7月12日から全国知事会[議]が熊本市において行われました。47名の知事のうち44名が出席をするということがございまして、随分と高い出席率だということで皆さん驚いておりましたけれども、その際に、私は他の4県の若手の知事と連携をさせていただきまして、会議を開催をいたしまして、ふるさと納税の仕組みの具体案を作成をいたしました。
その趣旨は、反対する県、批判的な方々からは、税制として成り立たないのではないか、技術的に難しいのではないかと、そういうご提言があります。それもうなずけるところがありますので、私どもとして、こういう制度であれば現実的に組みうる制度になるじゃないかということを、はっきり示そうというふうに考えました。
したがいまして、5県で共同して、問題点を探しあったり、そして案を交換したりしまして、鳥取県は取りまとめ県として案を最終的に作成させていただき、承認をもらったというのが[全国]知事会[議]の朝でありました。それを、これから政府に対して訴えかけをしていくということでありました。
全国知事会には知事会の席で配布をいたし、簡単に説明をいたしました。賛否両論はございましたけれども、この議論は続けていくべきだと私たちは思っております。そして政府側には昨日、菅総務大臣にそのふるさと納税の導入の必要性と具体案について、5県を代表して申し入れをさせていただきました。
今後、例えば官邸とかに申し入れをするとか、それから反対をしておられる知事さんだとか、あるいは学識経験者とかを交えてシンポジウム的な、例えば討論会のような、問題点を明らかにするような、そういう会合をもってもいいんじゃないかというように思っております。これは今、5県で相談しながら今後の進め方を検討しているところでありまして、宮城県が今中心になって、この辺を今やってくださっております。
●知事
それから、本日これから[経済・雇用振興]キャビネットを開催させていただこうと思っております。これは6月の補正予算の中で認められたものでございますが、今、改革を通じて住民の皆さんと県庁との距離感も近くなってきております。こうした状況を活用いたしまして、現場の声、実際の事業者のかたがた、関係者のかたがたの声が商工施策、産業施策に反映されるように、その会議を今日から開かさせていただこうと思っております。
今日は取りあえず東部でありまして、これが皮切りになりますが、中・西部でも同じようにやっていきまして、これから年末の予算編成に向けて、いいご提言をぜひいただければなというように思っております。私のほうからは以上です。
○テレビ朝日 後藤龍彦 記者(幹事社)
各社、質問がありましたらお願いします。
○山陰中央新報 太田満明 記者
先ほどの地震のことですけれども、もう少し赤紙、黄紙という、鳥取県が何を支援できるのかという部分の話を。
●知事
実は今、庁内の応援能力を集計してきていまして、例えばブルーシートだったら3,000枚だか何千枚だか、毛布だったら3万9,000枚とかですね、そういう持っていける資材を今、把握をいたしております。そうした物的な応援も可能だと思います。これは全国で割り付けてくるベースでいくことになるんじゃないかと思います。
あと、医療関係とか、これも国のほうと相談しながら出していくわけでありますけれども、今、基本的には第一次と言いまして、近所の県から人的派遣が多く行われるシステムになっていまして、これがさらに足りないところでは二次応援と、こういうふうにだんだんと拡大をしていくということになります。そういうベースで、医療の関係だとかいうことも対応は考えられると思います。
今日、泉田知事にお電話申し上げましたのは、そうやって全国的な対応はありますけれども、ただ全国的な対応以外にも、震災を経験した県だからこそできるお手伝いもあるんじゃないかというように思いまして、先般、熊本市で顔を合わせて震災の話をしていたばかりだったものですから、ご相談を申し上げました。
やはり、一つは被害状況の把握というのは非常に難しいです。特に数が多いです。今回も住宅被害が、数が甚大でございますので、これに立ち入れないという状態で今、被災者のかたはおられるはずです、私どもの経験からして。ですから、この家屋は立ち入っても大丈夫ですよ、この家屋は、赤紙と申しましたが、危険家屋であって立ち入らないでくださいと、そういう判定をしなければいけないと思います。
これが、向こう1週間かそこらはですね、この作業が非常に濃密になってくると思いますし、経験も求められる分野だと思いますので、私はこの辺が本県らしい支援の仕方になるかなというように思っております。
事実、泉田[新潟県知事]さんの言い方としては、「被害状況の把握でお手伝いいただかなければいかんかもしらん」という言い方をしていましたので、それはまさにこのことだなと思っていまして、今、防災局、生活環境部に指示をしているところです。
○山陰中央新報 太田満明 記者
その判定ができるかたは鳥取県には何人ぐらいいらっしゃるんですか。
●知事
鳥取県西部地震のときは、正直申し上げて、県の職員だけでは足りませんでした。市役所にも建築士がいますが、これでも足りませんでした。ですから、建築士会のボランティアを大量にお願いをしていましたので、その方々ができることはできると思います。
ただ、前回ですね、中越地震のときも応援に行ったりしておりますけれども、そのときの経験から申し上げると、やはり県職員でまずはお手伝いに行くのが一番向こうにとって親切な気がいたします。ですから、まずはその県職員の建築関係者で出かけるということかなと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
当然ながら、新潟との協定なんてないですよね。
●知事
ないですね。兵庫県は協定しておったようでして、兵庫が早かったのはそれが理由だと思います。私どもは新潟[県]とは協定はなかったですし、向こうもまさかもう一回地震があるとは思っていなかったんでしょうけれども、ただ、こういうことに相成りましたし、なかなか私どもは鳥取県西部地震で住宅被害の分類では苦労しましたので、そうした経験を生かす必要があるかなと思っています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
地震というのは、明日鳥取県で起きてもおかしくない。
●知事
おかしくないですね。私も今回の地震の発生のメカニズムが海底で起こったことというのは、ちょっと注意する必要があるだろうと思います。これは1県だけの問題ではないと思いますが、鳥取[県]、島根[県]、兵庫[県]あたり、海底がどういう状況かというのはあまり情報がございませんので、この辺は今後の課題になるかなというように思います。
今回も被害が大きかったのは海岸沿いに非常に近いところで亡くなられた方が7人おられますし、鉄道の駅が半ば埋まるという土砂崩れもそうでありますから、あの辺はおそらく震度6強を超えていたかもしれないですね、局地的に。そんなようなことを考えますと、海のほうもおろそかにはできないだろうと思います。政府のほうに、これはいずれ申し入れなりをしていかなければならない課題だと思います。
○NHK 辻浩平 記者
今回の地震で、原発で微量ながら放射能を含む水が流れ出たというのがありましたけれども、鳥取県もすぐ隣に原発があって、先月の議会からも中国電力とちょっと話し合っていくというようなお話がありましたけれども、今回のこういう事態を受けて、知事としては対応で中国電力との話し合いとか、そういうのを考えておられますか。
●知事
前回の議会の経緯がありましたものですから、先般、中国電力の副社長が来庁しましたときに、プルサーマルが今まさにこれは島根県で議論が進んでいるところでありまして、承認されるかどうかというのは今からの調査結果だとか判断にかかっていると思うのですが、そのプルサーマルがもし導入をされるということになると、我々のほうにそうした原子力関係の私どもの災害対策の問題もあるので、それは緊密な連携を取って情報を入れてほしいし、相談するということを申しまして、あちらもそれは了解されていました。
今回新たに判明しましたのは、私も非常に遺憾でありますけれども、想定を超える揺れがあったというふうに発表されていることでありまして、地震国日本でですね、想定を超える揺れの想定自体がおかしいのではないかというふうに思います。ですからこの点、隣県の島根ではありますけれども、いま一度これはぜひ早急に点検をしていただいて、その結果において措置を講じる必要があれば速やかにやっていただきたいと、こういうことは申し上げていきたいと思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
ふるさと納税ですけれども、ふるさと納税の影響力は1,700億円程度ではないかというふうな試算もありますけれども、知事もシンボルだというふうに言われていますけれども、こういう呼び水的な後の、もっと本体の議論というのはどういうところに導いていかれるお考えなんでしょうか。
●知事
昨日も菅大臣と話をした際、菅大臣も大体我々と同じような認識を持っておられましたけれども、税源偏在の問題というのはすごく大きな課題です。企業課税が中心ですので、東京[都]や愛知[県]と我々との格差はどんどん広がってきています。この状況を何とか打破しなければならないということは、ぜひ全国のかたに知っていただきたいと思います。ですから、これに手をつける、税の在り方に手をつけるという本体が我々の主眼であります。
ふるさと納税の話はですね、今1,700億円とおっしゃいましたけれども、それはマクシマムでありまして、利用されるかた、利用されないかたがおられましょうし、ふるさとがどうなっているかということもありますので、ですから大ざっぱな話でいえば100億から数百億、影響があるかどうかなというぐらいだと思うんです。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
ああ、そうですか。
●知事
だと思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
全体でですか。
●知事
全体でね。1,700億円というのは、全員がふるさと納税をしたような場合だと思いますから。ですから、そうすると限定的なものになると思いますし、それは当県でいえば数億円とか、そういうオーダーかもしれません。いずれにせよ、だからそういう意味ではシンボリックなものだと思います。
ただ、この議論を通じて、いかに大都市部と地方部とが差が開いてきているか、財政的に。税のことも含めて考えなければならないんじゃないかというのは理解していただく、その絶好のチャンスだと思っていまして、ですからふるさと納税の議論する、先ほど申しました、例えばシンポジウムをやります。ふるさと納税の議論だけではなくて、その場では当然、税源偏在の在り方だとか、財政事情がどうなっているかとか、そういうこともありますので、広い議論をこれからやっていく手掛かりになってくると思うんです。
ですから、ふるさと納税の議論をすることで、これからの地方部の財源充実の道を開いていくというのが主眼であります。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
でも、財源充実というと、やはり地方交付税を充実させることに主眼を置いていくということになるのでしょうか。
●知事
地方交付税か、あるいはその地方交付税を基にした制度で、これはぜひ調整をしていただく必要があると思います。昨日も菅さんのほうにそれを申しましたけれども、要は我々として一般財源がどれだけあるかのほうがよほど大事でございまして、税は移譲されたけれども、かえって財源が減ってしまったということになってはおかしいわけです。
前回の三位一体改革のときも、鳥取県は損をしています。こんなことになるんだったら税源移譲してもらいたくなかったというのが本音でございまして、同じような轍[てつ]は絶対に繰り返さないでほしいということを国に対して申し上げたいと思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
でも今、全国、六団体なんかでは共有税構想というのがあるんですけれども、そこの辺と連結させていくというお考えなんですか。
●知事
共有税構想というのは、交付税を、今は交付税特別会計の方に一般会計から出していくということでありまして、これは結局、国の国家財政の査定が入る余地がありますので、そうでなくて、直接地方の共有財源としてプールしたお金にしてもらいたいということです。これは評価できると思いますし、そういうふうにやっていただきたいと思います。
問題はその額の問題だと思いますので、その額をしっかりと確保していただかないと、税源は移譲されたはいいけれども、かえって団体によっては減ってしまうと。地方トータルでは、東京[都]だとか、愛知県だとか増える団体はあったけども、何だ、ふた開けてみたら一番財政が厳しいこうした地方部の県のほうがですね、割を食ってしまったというのはいけませんと、こういうふうに申し上げているわけです。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
でもですね、この間もちょっと指摘されているということを言ったんですけれども、割とそういう一般財源、地方税と地方交付税合わせた分の1人当たりの一般財源の額というのは、むしろ地方のほうが、東京とか都市部に比べたら格段と高いんじゃないかという議論もありますけれども、その辺はどういうふうに。
●知事
ええ、それはですね、だいぶん誤解を招きやすい表現だと思うんですね。先般も、公開の会議ですから、名前を挙げていいかもしれません。神奈川県の知事さんが、全国知事会[議]で、要は1人頭で言えば、一般財源は地方のほうが多いんだというようなお話をされるんですね。これは2つ大きな間違いがあって、1つは、それはスケールメリットが行政には働くということです。
小さな県であっても、大きな県であっても、同じようにですね、人口密度が高いところ、低いところありますけども、同じような行政需要に応えていかなければならない。その行政サービスを提供するには、やはりスケールメリットの問題がどうしても働きますので、それの片方でですね、入りのほうの問題だけじゃなくて、片方で、じゃあ人口1人当たりの行政経費はどうかと、この、要は浮き沈みの話だと思うんですね。この点の視点が欠けているのが1つ間違いだと思います。
あと、もう1つ間違いなのはですね、これはその行政投資のことだけを考えがちなんですけども、実はその民間の企業活動、事業活動ってありまして、そういうものも何か社会的インフラをですね、整備していくなどにおいては大切なことであります。実際、そのウエートは高いです。なぜ、あんなに東京とか愛知とかで、あれだけ建物が建つかというと、それは民間の活力もあるからでありまして、そういう民間の活力で上乗せされる投資とかを考慮しますと、決してその鳥取県とか島根県が高いわけではありません。
だから、そういうふうに見方がですね、一面的であるという、私は2点において、この主張はあまり取れないだろうと思います。ただ、分かりやすい話なもんですから、そういうふうにおっしゃる方もおられるんですけども、その入りの話もあれば、出の話もあって、入りと出でどうやってうまくマッチングできるかですよという観点と、後、公的セクターだけでなくて、民間のセクターも入りますから、それも考慮しなきゃ不公平じゃないですかという話と、私は2つあると思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
でも、民間セクターを含めて、その財力というのを、地方の財力、地域の財力というものを数字で出すというのは、今まであまりそういう数値がなかったような気がするんですけど。
●知事
いや、それはどこだろう、従来の経[済]企[画]庁とかみたいなとこでやっていました。ええ、それは統計があります。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
ああ、そうですか。
●知事
はい。例えば、こういうホールですね。私のほうで県民文化会館、自前で建てていますけれども、サントリーホールとかあるじゃないですか。ああいうものを考えていただくと、公共施設も結構民間が造ってるわけでありますよね。そういうのを考慮していくと、必ずしも大都市部が割を食っているわけではなくて、むしろ投資は進んでいると見たほうがいいと思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
じゃあ、そういう数値もどんどん出して、議論をされるということになるわけですね。
●知事
ええ、そうです、そうですね、はい。
○山陰中央新報 太田満明 記者
知事、この前の議会でですね、産廃、産業廃棄、最終廃棄物、西部のほうで民間との間で話が進んでいるとありましたが、その後進展ありますか。
●知事
最近は、ちょっと報告は受けていません。今、それは進行中であるということではないかと思います。
○日本海新聞 荒木隆宏 記者
王子製紙米子工場が、海に基準を超す廃液を流していたというような問題が発覚しましたけども、これについて県の対応なり、知事のお考えはどのようになってますでしょうか。
●知事
王子製紙についてですね、今社会的問題も起こったのは、あのばい煙の問題だと思います。社内の調査によって今まで報告をしていなかった排出基準違反というものが見つかったということでありまして、鳥取県の工場においても、同じことが見つかったと。現に、米子市、日吉津村と協定をしている数値を超える時間があったということでありまして、もし超えていれば、これは報告をしなければいけなかったわけでありまして、そこは欠けていたということがあります。これと全く、軌を一にしてですね、今おっしゃるような廃液の問題が発生しております。
先般、工場長とかを呼びまして、厳重に私どものほうで抗議をさせていただきました。私がその呼ぶという話をいたしましたら、米子市長さんとか日吉津の村長さんも同席させてくれということでありましたので、じゃあ一緒に話を聞き、それで向こうに抗議をしましょうということにいたしたわけであります。
そのときに私が申し上げましたのは、先方にですね、要は水酸化ナトリウムという苛性ソーダですね、そうした劇物に当たるんですが、この劇物を取り扱っていることで、毒物及び劇物取締法の適用があるんですけども、その辺りの認識がですね、空虚であったというように思いました。
説明を伺っていても、水質汚濁[防止]法の関係の話とか、自治体との協定の話ばっかりされるんですけども、その毒物及び劇物取締法によれば、例えば、要は漏れが始まるような段階において、速やかに保健所だとか、警察、消防のほうにも通知をしなきゃいけないんです。そこが欠けていました。ですから、そういうことなどがですね、やはりコンプライアンスに問題があるんじゃないかということを、これは強く申し上げました。
工場側は、そこを率直に認めておられて、その後、この点改善をしてきていると思います。ただ、王子製紙が全国的にこうして報道されているってこと自体がですね、社の信用にかかわるような状態ではないかと思いますので、私はこの機会にですね、ぜひ社内の体制を確立をして、市民、村民の信頼を得られる、地域からも頼られる王子製紙として復活していただきたいというように思います。
県はですね、廃液がはっきりした、その通知があった、これは実は6時ごろで大変遅かったんですね。私どものほうは、これは社からも、ちゃんと広く県民にも知らせなきゃならんということ申しまして、その後8時半ころですか、記者会見始まったと思うんですが、それも3時ごろから考えると随分遅くなっているわけでありまして、随分問題だと思うんですが。
その翌日、朝からですね、私どもは立入調査をさせていただいております、法的権限に基づきまして。それで、また水質検査もさせていただきました。結果としてはですね、今正常なレンジの中に入っていると思います。
問題は、今破損した部分を王子製紙側でそれを修繕といいますか、改修したり、それから今回の排煙の問題だとかも含めてですね、うまく機能していなかったところを直していく。そのためには、施設の改修に伴うものもあります。
例えば、窒素酸化物が出てくるとき尿素をかけるとかですね、そういうものが必要だそうでありまして、そこらは今、社側で緊急に対応するんだと思うんですが、それで今後安全になるかどうか、私どもとしてはですね、県としてはあらためて見させてもらいますよということを通告をいたしております。
一刻も早くですね、改修をしていただきたいと思いますし、県民の安心を得られるように王子製紙にも努力していただきたいと思います。
○日本海新聞 荒木隆宏 記者
知事の公約の中で、環境日本一というのを掲げられておられる中、こういう、この王子製紙の話だけじゃなくて、企業のコンプライアンスを問われるような問題、かなり全国的に起こっていますけども、この環境という部分に関しては県のほうの調査の在り方なんかも考え直す必要があるんじゃないかなと思うんですけども、それについては。
●知事
それは、点検してみたいと思います。我々のほうで、そうした今回のような毒物劇物の取り扱いの規制もありますし、水質汚濁だとか大気汚染の関係の法令上の権限もありますので、その運用の仕方については点検をしてみたいと思います。今回のは、事故というか誤操作から始まってますんで、多分県で点検したから防止できたというたぐいのもんではないとは思います。
○日本経済新聞 斎藤徹弥 記者
今日から始まるキャビネットについてなんですけども、委員のかたを見ると、経営の第一線で活躍されているかたが多いかと思うんですけども、人選でどのような点を考慮されて選ばれたのかということを教えてもらえますか。
●知事
地元それぞれの、東・中・西の商工関係だとか、いろいろなかたがたと調整しながら人選をしていきました。
特にこれから、今、東のほうだと、地元の商工会議所や市などと事前に相談をさせていただきましたら、やはり鳥取自動車道開通をにらんで、その後ここの経済をどうしていくかということを中心に話し合ってもらいたいということでありましたので、例えば観光関係の岩井屋さんに入っていただくとか、あるいは食品関係の花のれんさんに入ってもらうとかですね、そういう感じの人選になっていますし、中部のほうだと、これは6次産業的なことを目指してもらいたいと。
これは、あそこの商工会議所の安部会頭なんかは前から熱心でして、これからは農と商が連携していかないといけないとか、観光なんかも入っていかなければならないと、こういう問題意識が中部の問題意識でありまして、ですから、農業関係者なんかも入っています。
そういうふうに、それぞれのテーマに即して発言していただけるようなかたを相談して人選していったということがございます。以前から申しましたように、これは固定化するつもりはありませんで、テーマが終わったり、またテーマが変わったりしてですね、随時、そのときそのときの人を人選していくということになろうかと思います。
○日本海テレビ 前田俊博 記者
そのキャビネットもそうなんですけど、産業振興というのを大きなテーマに掲げてマニフェストにされていますけども、その中に、知事自らがトップセールスということもかなり力を入れて言っておられましたけども、ある全国の知事の中には、海外まで行ってですね、乗り込んでやっておられるとか、やっぱり知事みずからのそういう姿というか、そういうものも県民に示すところもあったらいいと思ったりするんですけども、そういう、近くトップセールスを考えておられることが何かありますか。
●知事
それはもう、行ったときには必ずそういうことをやろうと思っていまして、例えば今度、東京に7月23日にお伺いしますけど、これは公表してるんですかね、リコーさんに会いに行こうとかいうことはもうセットをさせていただいていますし、まあ、いろいろとこれからも随時トップセールスに伺おうと思っていますけども。
○日本海テレビ 前田俊博 記者
交渉事だけではなくて、例えば農産品をですね、分かりやすく、こう、そういうようなかたちで、まあ、そういう姿を県民のほうに見せられるということも、一つのですね。
●知事
そうですよね。まあ、考えてみます。海外市場なんかをにらんでね。台湾とか、ああいうことも含めてですか。
○日本海テレビ 前田俊博 記者
はい。まあ、農産品にしてもですね。そういうアピールというか、そういうのも一つの刺激になるかなと思うんですけども。
●知事
そうですね。積極的にやっていきたいと思います、それは。
○日本海テレビ 前田俊博 記者
例えば、具体的にどうでしょうか。
●知事
今はまだ、ちょっと海外関係ではアイデアはありません。
○日本海テレビ 前田俊博 記者
国内でも構いませんけども。
○山陰中央新報 太田満明 記者
スイカを。
●知事
スイカを売りに行きましたよね。例えばああいうやつのことだと思うんですが。
○日本海テレビ 前田俊博 記者
分かりました。
○山陰中央新報 太田満明 記者
どうでしたか、スイカは。
●知事
スイカですか。まあ、今年はまずまずだと思います、今のところは。ちょっとシーズンが早く始まりましたんでね、ちょっと心配もありましたけれども。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
今、参議院選挙でマニフェストを各政党が出していますけども、その中での地方分権についてはどういうふうな感想をお持ちでしょうか。
●知事
今回、全体の争点の中でややその分権の話だとか地域の振興がかすんでいるなという、むしろそれにちょっと寂しさといいますか、物足りなさを感じています。マニフェストには、いろいろと書いていただいて、例えばさっきのふるさと納税のことなんかも取り上げてくださる政党もあったりしますので、それぞれ持ち味を出していただいていると思いますけれども、私は、立場としてはですね、ぜひその地域振興だとか格差の問題、分権の問題というのをクローズアップしてですね、戦っていただきたいなと思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
やっぱりそういう地域の争点がかすんでいるというのはなぜだというふうに思われますか。
●知事
それは他の争点が大き過ぎるからじゃないでしょうか。
○日本海テレビ 前田俊博 記者
今回、知事の立場から見られて、今度の選挙をどういう、何とか選挙という言い方でもいいですけど、どういう選挙に映りますか、一言で言って。
●知事
今のところは年金選挙なんでしょうね。だと思います。ただ、これから後半戦に入っていきますから、どういうふうに展開していくか注目しています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
その選挙に関連してですが、知事選では知事のマニフェストがあったじゃないですか。今回あるマニフェストというのは政党のマニフェストだと思うんですよね。まあ、政党といいましても、それぞれの地域事情、特に参議院というのはそれぞれの都道府県代表、選挙区選挙というのは都道府県の代表という性格があると思うんですよ。その意味で言うと、政党が中央で作ったマニフェストがどこまで地方に適用されるかというのは疑問符がつくと思うんですよね。そうしますと、やはり個々の選挙区候補者もマニフェストはやっぱり出すべきじゃないかと思ったりするんですが、その点、知事なんかは、ご自分で知事選でマニフェストを作った立場からはどうでしょうか。
●知事
それは、それぞれの候補者でぜひ考えていただいたらいいと思います。ただ、ちょっと注意しなければならないのは、国政選挙とやっぱりローカルの地方選挙とはですね、タイプが違うと思います。
私は個人的には、もともとマニフェストという言葉自体、これはイギリスの選挙で発達したものですけども、やっぱり政党選挙をやっていますので、政党がマニフェストという冊子を作りまして、これで論を戦わせると。そして、有権者の皆さまはマニフェストをご覧いただいてそれで判断されるというのから始まっているわけでありまして、もとの仕組みがですね、政党が示す政策綱領という訳語が本当は正しいんだと思うんです。
それを今回、北川、前の三重県知事などがローカルマニフェストということをおっしゃって、それで、知事選だとか市長選だとかでマニフェストを出しなさいと、こう推奨されているわけであります。
本来は、国の大きな政党のときはですね、これは非常にスタッフもいっぱいいますし、自分たちでこれを作る能力も随分あると思うんですけども、なかなかローカルでこれをやろうとすると本当は難しいと思いますね。ですから、自分も苦労しましたし、各候補者、本当は苦労しているんだと思うんです。
ただ、従来の単なる公約よりはですね、もっと具体的に県民の前にアジェンダを提示するというのは率直に自分の役目だと思いましたので一生懸命やりましたけども、そういうことは可能な限りですね、国政選挙で国としてマニフェストを出しますけども、地方レベルでも、自分の地域ではこういう特殊なことがありますが自分はこう考えますよということを、積極的に出されることは民主主義にかなうと思います。選挙区選挙と比例代表と別々に投票がありますし、現実に違う政党に入れるということは往々にしてありますので。
○山陰中央新報 太田満明 記者
政党のマニフェストを見ていると、何か参考にならないですね。
●知事
まあ、国レベルですからね。選挙区選挙の話だと、ここだったら例えば山陰自動車道がどうだとかいうような気になりますけど、1個も書いてないですからね。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
マニフェストを見ていると、地方分権については本当に真剣に、国会議員になろうかなという人たちが本気で考えているのかなという、思いつきで書かれているような感じを非常に受けるんですけどね、地方分権については。
●知事
そうですね。本当は財源的な整合性をきちんと考えながら提示するというのは今のローカルマニフェストのルールでありますので。国のほうの政党が、大組織が出されるのは、ぜひそうしたことも考えていただきたいなと思います。
○テレビ朝日 後藤龍彦 記者(幹事社)
ほかにありますか。なければ終わります。ありがとうございました。