●知事
皆さん、おはようございます。議会中でしばらくお休みをしておりましたけれども、また皆さまとお会いできることを楽しみにさせていただきました。議会も先週の金曜日に終わりまして、おかげさまでと申しますか、無事、私のほうでかねて提案をいたしておりました、これからの4年間に向けた土台づくりの補正予算を認めていただきましたし、組織改正の手掛かりも得ることができたと思います。これから新体制で次世代改革、それから産業振興、そうした組織も作っていくということになっております。これに併せた人事もさせていただいたところでございます。
予算編成の中でも随分と議論をさせていただきましたが、できることはやっていこうということを議論させていただきまして、例えば産業雇用の問題でいえば、基金を作りまして、そのファンドによって産業振興の後押しをしようとか、あるいは子どもたちの子育て応援パスポートを作りましょうとか、学力向上の推進プログラムを考える委員会を立ち上げましょうとか、さまざまな土台となるような事業、そして組織の一つの枠組みができたというふうに思います。
これからいよいよ始動させるという段階に入りますので、県民の皆さまの幅広いご協力をいただきながら新しい時代を開くような取り組みにまい進してまいりたいというように考えております。
それで、このたび次世代改革推進本部の中で、若手を登用していろいろな議論をわき起こしていきましょうということを考えております。県庁内で呼びかけをいたしましたところ、50名の若手職員が応募に応じてくれまして、10のテーマについてこれからチームを作って議論をしていこうということになります。こうした県庁内の風通しのよい環境も作りながら、施策づくりということを柔軟にやっていきたいというように考えております。
それから昨日、東京のほうに行ってまいりまして、そのとき赤城農林[水産]大臣にも申し上げていた最中に、国のほうの食品・薬事の審議会のほうで部会がありまして、それで例の東郷池のシジミ問題でポジティブリストが問題になっておりましたけれども、私ども県のほうでは、昨日もその話を申し上げたんですが、一刻も早くそれを、きちんとした残留農薬の基準を作って正常にシジミの出漁ができるようにしてもらいたいということを大臣に申し上げておりました。
そうしましたところ昨日ですね、今申し上げました厚生労働省のほうの審議会のほうで、部会としての残留農薬の基準の設定の答申といいますか、数字が出されました。0.4ppmということでございまして、クミルロンでございますが、クミルロンの残留農薬の基準を0.4ppmとしてはどうかと、そういう案が示されて決定されたという情報が入ってまいりました。
これによって、おそらく8月になると思いますが、これからWTOの関係もありますので、国際的な通告をしたり、パブリックコメントを求めたり、そうした手続きを経て、最終的にはこの0.4ppmがきちんと設定をされるということになります。ですから、シジミの出漁ができなかった問題について、今ようやくめどが立ったかなという気がいたします。本当に関係者の皆さまには大変なご苦労をおかけいたしましたことでありますけれども、何とか方向性が出てきたかなと思います。
これも、私ども自身も運動を展開させていただきましたが、5月に国会議員との懇談会を持って、これまでの県政の課題について随分と議論をいたしました。その席で県選出の国会議員のほうからご提案がありまして、国会議員の議員連盟を作って、厚生労働省、農林水産省に対してきちんとした対応を求めていこうという案が示されまして、その後、各県への呼びかけをなされて、我々のほうからも職員が議[員]連[盟]のほうにまいりまして説明いたしましたが、その取り組みの成果も随分と上がったんだろうというふうに思います。
そういう意味で、石破先生、常田先生、赤沢先生、田村先生、そうした先生方、4人とも議[員]連[盟]でご活躍いただきましたので、この場で感謝を申し上げたいなというように思います。
大体そういうところでございますが、一つだけ付け加えますと、昨日発足しました地方制度調査会におきまして、片山善博 慶應大学教授が副会長に互選をされたということ、私も喜ばしくお伺いいたしました。これからも山陰、そして鳥取県の立場も含めて、いろいろと地方制度等の面でご提案いただくことを願っている次第であります。私からは以上です。
○テレビ朝日 後藤龍彦 記者(幹事社)
各社、質問がありましたらお願いします。
○日本海新聞 荒木隆宏 記者
その地制調の話なんですが、一つの焦点としては、1万人以下の小規模自治体の取り扱いというのが焦点になるというふうに聞いているんですけれども、知事のお考えはどのようなお考えでしょうか。
●知事
私は1万人という基準が本当に妥当なのかどうかという気がいたします。そういう意味で、地[方]制[度]調[査会]の今回の諮問というものが果たしてどこまで実情に合っているのかなという感想を率直に持っております。それぞれの地域でこの自治体の規模については随分と議論をしてきたわけでございます。
鳥取県におきましても、それぞれに、例えば住民投票をやったり、あるいはこの合併を争点として選挙を戦ったり、デモクラシーの仕組みの中で結論が出されてきたという経緯があります。ですから私は性急に、1万人だからどうだ、1万人いっていないからどうだということで自治体を再編するというたぐいのものではないだろうと思います。
合併とか、こういう自治体の規模につきましては、確かに大きくなるとスケールメリットが働いたり、また、いろいろな意味で交流が盛んになるという、そういうメリットは確かにあると思います。ただ、もう片方で、果たして、自治体ですから、民主的に意志決定を行っていくという枠組みの大きさとしてどの程度が適当かという、デモクラシーのサイズの問題も私はあると思います。
そういう意味で、住民の皆さまがそれぞれに選択をされて大議論をした現状があるわけでありますから、私は今ここで1万人未満の自治体を鳥取県内において再編するということの必要性はあまり感じてはいません。もちろんこれから国のご審議も始まるということでありますから、それは注意深く見守ってまいりたいと思います。
○日本海新聞 荒木隆宏 記者
来週、全国知事会、ちょうど選挙の公示日と重なるようなんですけれども、どのような訴えといいますか、話をされるようにお考えでしょうか。
●知事
先週土曜日に志を共にしようということで集まりました佐賀[県]、徳島[県]、山形[県]、宮城[県]の知事さんとも率直な意見交換をしまして、やはり現状において我々の国が問題なのは地域間格差の問題ではないかということで腹を一つにいたしました。
例えば国立大学の問題だとか、財源の問題だとか、産業基盤の問題だとか、経済の問題、こうしたことをぜひとも国全体を正していく意味で我々としては行動していく必要があるんじゃないかと。地域間格差の解消に向けた取り組みを進める必要があるのではないかというようなことを話し合いました。この5人で、また知事会が始まる12日の朝に集まろうという話をいたしております。一つ大きなテーマとしては、税財政の問題が今回の知事会の焦点になるだろうと思います。
と申しますのも、地方分権推進の議論が進んでいますし、そのほかもさまざまな議論が進行中でありまして、先般の国の骨太の方針においても、一定の方向性は得られたものの、例えば税を国と地方で1対1にしようというような具体的な数字がないなど、いろいろな面で積み残しがありますし、不明確なところがあります。
ですから、これから議論が進んでくると思われるこの税財政のところが一つの焦点になるかなと思いますので、我が方といたしましては、例えばふるさと納税という仕組みをですね、これは一つのシンボルだと思っていますので、この導入について積極的に発言をしていく必要があると思いますし、ただ、これはあくまでも財政上の効果はそんなには大きくないと思っていますので、それと併せて本質的な議論、税源の体系の議論だとか税源偏在の是正問題だとかについて、率直に当県の立場は申し上げていきたいなと思っております。
○日本海新聞 村上俊夫 記者
ふるさと納税についてですけれども、住民税の間でのやりとりということになると、どうしても地方の富める地域と、それから貧しい地域の地方間の争いになると。むしろこの所得税で実額控除みたいな方法を考えたほうが、よりいいのではないかという考え方もあるようですけれども、その住民税の中でやるのかどうかということについては、知事はどういうふうにお考えですか。
●知事
私は住民税の議論も避けて通るべきではないと思います。ただ、今おっしゃるようにですね、住民税だけでなくて、所得税のほうにも本当は切り込むべきだというような思いを持っていまして、先般5県で話をしたときも、そこはぜひとも共通認識を持ちたいなということでありまして、私どもとしては、そういう案を呼び掛けることになるだろうと思います。
国のほうの所得課税の税額控除のようなことだとか、また住民税も税額控除で私は個人的にはいいんじゃないかと思いますが、そうした手法を具体的に考えてみる必要があるだろうと思っております。次の12日の朝に5県で集まる前にですね、それぞれのやりとりをさせていただきまして、どういう具体的な仕組みができるかということを考えていこうじゃないかと言っています。
今、ふるさと納税については技術的に難しいとか、税理論的にできないだろうとか、そういう話が飛び交っております。ですから、主張するからには「こういうふうにすれば実現可能ではないですか」ということを申し上げる必要があると思っています。住民税は確かに地方同士の財源の行き来ということにはなるとは思います。ただ、その影響は非常に限定的だと思いますし、また、それよりも大切なのは、ふるさとを持つ人たちがふるさとに貢献するという、財政的にも資金的にも貢献するという選択権を認めるかどうかということだと思うんです。
実際、私ども、皆さんもですね、東京とか大阪に行っていただいて、鳥取県出身の方、鳥取県で学んだという方、仕事をしたという方とお付き合いいただけるとお分かりいただけるように、非常に強烈な思いを持っておられますし、そういう方に限っていろいろご提言をいただいたりするもんですよね。だから鳥取県をこうしてほしいとか、いろいろとご提言があったりします。
そうした思いというものを、率直にそうしたふるさと納税という仕組みの中で表現をする、それは選択肢として与えていいんじゃないかと。そういう税制といいますか、仕組みがあってもいいんではないかというように思っております。そのことのほうが、財政的影響として確かに大都市部で若干税収が減るという懸念は持たれるでしょうけれども、それを埋めてあまりあるものはあるだろうと思います。
あと、仕組みの上でいえばですね、私は、交付税という仕組みも片方であるわけでありまして、税収が個々の団体でへこむという場合には、地方交付税上、財政的には基準財政収入額で算入されて補てんをされてくるという、そういう仕組みも連動するわけでありますから、概念としてはですね、そこでお金を取られるから絶対に駄目だということだけでもないんだろうと思うんです。
だから、制度として成り立ち得るような仕組みを考えることは私は可能だと思っていますし、他の若手の同志とも志を共にして、そういう制度は組みうるだろうと、一緒に考えてみようと、こういうようにいたした次第であります。
○日本海新聞 村上俊夫 記者
今度12日にもそういう形で討議をされて、知事会本番でも意見を言われるということになるんでしょうけれども、この土曜日の分ですから、直ちにというわけにはならんでしょうけれども、こういう話がされましたというようなことがですね、例えば鳥取県のホームページだとか、それから事務局、徳島でするのであれば徳島のホームページから見られるというようなかたちで、その5知事の意見そのものが国民の目にも直接触れるというようなことも考えたらどうかというふうに思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。
●知事
それは知事会とかの、こういうふうなことを主張するということは、それはホームページで出させていただこうと思います。5県で話をしていまして、5県のスキームとして考える、ふるさと納税の提案も、それぞれ公表していくようにすべきだと私は思いますが、これは5県で話をしてみたいと思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
一方では、地方税だけじゃなくて国税を合わせた一人当たりの税金は、むしろ地方のほうが高いじゃないかという、また論調もぶり返してきていますけれども、そういう論調に対してはどういうふうに反論されていくんですか。
●知事
税収額自体は、それは国税であっても、人口一人当たりは鳥取県は少ないと思います。税収はね。使われるほうですかね、それは。支出のほうですか。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
支出のほうですね。
●知事
支出のベースでそういう議論もありますけれども、ただ、公共投資に限らないわけですよね、社会資本の整備とかを考えますと。民間の設備投資だとか住宅投資だとか、そうしたものを合わせて計算をしていただきますと、やはり大都市部が高いんです。だからそれは一面的な議論だと思うんですね。
どういうふうに官民がそうした社会資本整備について投資を担っているかという実態も含めて議論しないと、私は方向を見誤るんじゃないかというふうに思っております。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
つまり、財政需要で考えていけば、地方のほうが非常にやっぱり必要であるっていうことになるわけでしょうか。
●知事
今、人口一人当たりの投資額とかいうことで見ますと、税金を使った、公共投資ということで言えば、確かに島根とかは高いです。高いですけども、ただ、民間資本の投資というものを加えますと、これは逆転をするわけであります。ご覧いただければお分かりいただけるように、大都市は今、非常に投資熱が盛んでありまして、東京とかがやはりトップなんです。人口一人当たりにとって。東京とか愛知とか、そうした大都市部が上の方にありまして、必ずしも地方部が上のほうにいっているわけではないです。
だから、需要はひょっとすると都市部が高いかもしれませんし、それを結局は官の投資と、それから民の投資で補い合いながら出していると。相対は一人頭高いというのが実情だと思うんです。
ただ、今は非常に一面的なものでありまして、とにかく税収は上がらないですよね、鳥取県みたいなところでは。税収が上がらないところに交付税が行くとか、補助金が行くとか、それで財政を膨らませているんじゃないかとかですね、また今、大都市部は高速道の整備がだいぶ進みましたけれども、鳥取県だといまだに高速道路を造らないと、今ないですから、いけないと。そういうところがやはり大都市部の住民の皆さまに誤解を与えている面があるのかなというように思っております。
5 鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例について
○NHK 雁田絋治 記者
人権救済条例についてなんですが、先日開かれた委員会で結論に向けた取りまとめの作業というのが始まりましたけれども、これまでの議論をどのように見られていて、どれぐらいまで踏み込んだ結論を知事としては求めたいというお考えでしょうか。
●知事
私は、実はそんなに詳細に、今、審議会の議論を見ておりません、これは正直申し上げて。これは引き継ぎのような話でありまして、片山知事の時代に議会が議決をして条例ができました。ただ、それを執行停止をさせていただいたということで、第三者的に委員会を作って検討なさっているということでありますので。私はその第三者性というのを尊重すべきだと思ってますんで。そこでじっくり皆さんの観点でご議論いただいたらいいと思っております。
側聞いたしますと、多くの関係者の方呼んだりして、実際どういうようなタイプの人権に関わる問題が発生するのか、それに対する有効な手段として何が考えられるのかってことを、現場の中から聞き出そうとして審議会が運営されていると聞いておりますので。一定の方向性を出していただけるのではないかと期待はいたしております。ただそこで、今どの程度踏みこんでとおっしゃいましたけど、それはあちらのほうで、審議会のほうで、ぜひこれがベストだというものを考えて出していただければと思います。
6 6月議会を終えた感想と昨日各省庁に行かれた成果について
○山陰中央新報 太田満明 記者
2点よろしいですか。
●知事
はい。
○山陰中央新報 太田満明 記者
6月議会が終わりまして、初めての知事にとって本格的な県議会だったと思います。その感想と、それと昨日国のほうに行かれて、だいぶ農水省なりなんなり歩かれたみたいですが、先ほどシジミの話がありましたけど、その辺の成果の話。それともう1つお願いは、もう少し大きい声で話していただけませんか、聞き取りにくいんで。
●知事
はい、分かりました。県議会は私初めて、今回知事として答弁もさせていただきまして、率直に申し上げて、私がこれまで訴えてきた次世代改革をやろうということに呼応して、議員の皆さまもいろんな質問を仕掛けてくださったなあというように思っております。県民の皆さまに、今県政で何が起ころうとしているか、分かりやすくなったのではないかと期待をいたしておりまして、一応の満足は覚えております。
あともう1つ、結果論としてですね、今回議決もなされて、これからの4年間を方向付ける補正予算認めていただいたこと、これも大きなことだと思いますんで。これをばねにして、土台にして元気良くスタートしていきたいなというふうに思っております。
あとそれから、昨日はいろいろと回らせていただきまして、シジミのことももちろん訴えました。赤城[農林水産]大臣は茨城なんでしょうね。ですから、向こうでも同じ問題があって、これは大変なんだということをおっしゃってました。折しも議連の活動もあった成果でですね、そうした厚生労働省側の動きが随分スピードアップされて昨日出てきたわけでありますが。そういうこともありました。
昨日回ってみて非常に印象的だったのは、外務省行ったときですね。浅野[外務]副大臣とお会いをいたしましたけれども、北朝鮮による拉致問題について、外務省としてもいろんな機会をとらえて、真剣にやっていますという熱意は伝わりましたんで、それは1つ印象に残りました。
それから総務大臣、菅大臣とお会いをいたしました。当時はちょうど久間防衛大臣の辞任問題で随分記者に取り囲まれたりしてましたけど、会う時間もできまして、お会いさせていただきました。ふるさと納税の話を申し上げました。私たち若手の5人で、この問題、若手らしくですね、少し元気良く騒がせてもらいますという話をさせていただきました。
菅[総務]大臣のほうは、菅[総務]大臣の率直な制度に対する思い入れを語っておられましたですね。夕張問題があって、それに随分大臣も関わられておられて、いろんな方がその夕張を応援したいという人がいて、そういうふうに、かつてふるさととして住んだかただとか、思いを持ったかたが自治体に貢献をしようという制度を作るべきだというのが、自分の発想の原点だというふうにおっしゃっていまして、なるほどなあというように、それは思った次第であります。
そのほか、国立大学の運営交付金の問題だとか、あるいは再編の恐れがあるんじゃないかということで、これは文部科学省のほうにまいりまして、私どもとしては、鳥取大学が知のとりでとして地域で頑張っておられる。ぜひともこういう地方大学の運営に支障がないような、そうした国としてのこれからの骨太の方針で、今方向性を出そうとしてますけれども、今後の検討が国としても地方大学に影響を与えるようなものにならないように、知のとりでとしての意義をしっかりととらえてほしいと、こういう話を強く申し上げました。
文部科学省は、全くそのとおりだという感じだったですね。ただこれから、議論が展開してきて、概算要求から始まってくるわけでありますが、その段階でいろいろと動きがあるだろというような見通しを述べておられました。大体そういうことかなと。ほかにもいろいろありますけれども。
○朝日新聞 北村有樹子 記者
自民党は知事など首長の多選禁止を法制化することを今度の参議院選の公約にも含めているようなんですが、この多選禁止について知事のお考えがあれば、教えていただきたいと思います。
●知事
私はこの知事多選問題、限らず首長の多選問題ですかね、こういう事柄っていうのは優れて民主主義の問題だろうと、自分は思ってるんです。その人を選ぶかどうかっていうのは選挙民の権利でありまして、これが制限されるということが果たしていいかどうかということはありまして。私は自立的に本来、国民の皆さま、住民の皆さまが選択をして、この人はもうおしまいとかですね、この人はもう1回とかいうことを決められれば、それで何ら不都合もないと思います。それが自然の姿だというふうに思います。
昨今の課題の背景には、大きな問題化した背景にあるのは、ゼネコンとか、ゼネコンに限りませんかね、そういう談合汚職の問題があったんだろうというように思いますけども。確かに和歌山[県]とかですか、そうしたところで何選か重ねられたところはありますけれども、片方で宮崎[県]のようなところは別に多選したわけでも何でもなくて、なったばっかりで捕まったっていう話でありますから、私はちょっと問題設定が違うんではないかという気持ちを持っております。
ただ、これがじゃあ憲法に違反するかどうかという議論がありましたけれども、憲法に違反するかどうか、すなわち職業選択の自由を、知事になろうという候補者側といいますか、政治家のほうの職業選択の自由にかかわるんじゃないかという観点で、憲法違反ではないかという議論がありましたが、私はそこまでのことはなくて、これは立法政策で決め得るものだというふうに思います。ただ当否としては私はその必要性は本来ないだろうというように思っております。
○日本海テレビ 前田俊博 記者
環境大学の件ですけれども。県議会後速やかに懇談会とか話し合いを持つと言われておりますけど、今後の見通しいかがですか。
●知事
これは今相談している最中ですね。場をセットしようとしています。今月中になるか来月にずれ込むかくらいかなと思いますけど。いずれにせよ、理事会を開こうって話があるそうでして、そこで発言の機会は、私まず与えていただけるんじゃないかと思ってます。
○日本海新聞 村上俊夫 記者
その理事会のことで聞くんですけれども、議会の答弁では、就任日の4月の23日ですか、その就任日当日あった理事会には出席の案内がなかったというふうに聞いたんですが、これは事実でしょうか。
●知事
5月ですかね。5月23日ですね。私は本当に後から知りました。事務的には連絡あったのかもしれませんが。ちょっとこれは私のほうの不手際かもしれませんけれども。ただ、おそらく日程がもう既に詰まっているとこに決まってきたのかなと思います。
○日本海新聞 村上俊夫 記者
正直いいまして、株式会社であれば役員会いつやるかっていうのを、役員の都合も聞かずに決めたりはしないわけで。大学当局、当局といってもこれは理事者ではなくて、事務当局が理事会が経営主体であるという認識を著しく欠いている、そのことの表れではないかと。理事に就任いただく知事に就任当日開かれる理事会の案内がないということ自体が、非常に不正常な私学運営ではないかと。それは理事者としても言われるべきではないかと、それは不正常なやり方だと。我々が経営の実体を持っている、そういう認識がこの理事会の側にも、それから大学の事務当局にもないとするならば、非常にその責任の所在という面で大きな問題になるだろうと。これもそのかたちの上では私学法人ですけれども、出資もあるわけですから、3セクと同じような責任の不明確さが残るとですね、やっぱり県政にとっても禍根になるという懸念があると思いますけども。その辺はどうでしょう。
●知事
一般論として申し上げれば、おっしゃるとおりだと思います。ただ、多分私の前任者があんまり出ていなかったということがあって、向こう側にもあきらめがあったのかなという気もいたしますんで、あまりそこをとやかく言うつもりはないんですけども。ただ、これからはそうしたことで経営に対してもっときちっとした、確固たる信念を持ったり、方針を持ってですね、いろんな議論をしながら改善に向けていくような、努力を求めていく必要はあると思いますんで、発言をしていきたいと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
それに関連しまして、協議会、懇談会を作るって話でしたけれども、大学との懇談会、市との協議会。道筋は何かもうできていますか。
●知事
今はもう事務的に話は始めていると思います。あとは、日程設定なんですけれども、大学のほうのご事情もいろいろあったりしますので、ちょっと今まだセットできていないです。多分7月後半か8月じゃないかなと思います。
○日本海テレビ 前田俊博 記者
経営面という一方で前向きな面で、新入学生を確保していくという両面での対策が必要だと思うんですけれども、その辺、学生確保という面では何かお考えありますか。
●知事
こういうことを、それこそ懇談会で話していくべきだろうと思うんですが。大学としての魅力をいかに作りあげていくかということだと思うんです。生徒の皆さんにとって、受けてみたい大学にならなければならないわけでありまして、もし、学科編成の問題があるのであれば、それを直したりですね、またPRとか、生徒に知れ渡っていないという面があるのであれば、そこを補うようなことをやっていくべきだと思います。これは、県内に限らず県外も、いわば生徒さんの数はいっぱいいるわけでありまして、県外からの方も含めてそうしたPRの機会を考える必要があるかなというふうに思います。
○日本海テレビ 前田俊博 記者
県議会でも4回ですか、何度も環境大学についてテーマになっていましたけれども、その中でも環境大学は、これから地球温暖化とか次世代改革といわれている環境としてリンクさせながら、それをさっきおっしゃっていた鳥大じゃないけれども、知の拠点として生かし方というのはもっと必要かと思うのですが、その辺は、いろいろな面でお考えがありますか。
●知事
今言っていた協議会がまさにその1つだと思うんですが、県政とあまり、鳥取環境大学これまで関係がなかったもんですから、せっかく環境大学という人材集団、知のとりでがあるわけでありまして、これを県の環境行政だとか、いろいろな面に生かす素地はいっぱいあると思います。そういう意味で協議会を開いて、県庁の幹部とあちらと意見交換をしながら、いま鳥大と産学官連携をやっているようなことを、強めていきたいというように思います。
○日本海テレビ 前田俊博 記者
確認ですけど、協議会はどちらかというとそういうような、懇談会はどちらかというと経営面というかたちで、すみ分けしながらということですか。
●知事
そうです。ですから、懇談会は市が入ってと思っています。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
議会で、非常に大学の独立性とか自治的要素が非常に強調されたんですけど、公立の学校なら、大学なら責任が明確なんですが、公設民営という中での大学の自治とか、独立性とかというものと、それから行政が介入するという、どこまでが踏み込めるようになったとお考えでしょうか。
●知事
法的には、私ども理事としての立場以上に、踏み込むことはできないんだと思います。そういう意味で経営責任は大学の、学校法人側に一義的にはあると思います。ただ、地域と共に大学自体も運営されていかなければ、生徒の募集だとか、また就職だとか、いろいろなことができなくなると思いますし、その研究成果、人材を地域に生かすことも大切なことでありますので、そういう意味で私ども鳥取県、鳥取市といわば連携するといいますか、懇談会のようなところで懇談をしたり、あるいはいろいろと協議をしたりして、もっと大学が地域と一緒になってやっていく必要あるだろうと思います。
これまで、どちらかというと学校法人の責任だという、その1点だけで県庁もやってきたと、今、中で伺っているんですけれども、そうではなくて、もっと体の向きを変えてですね、一体何ができるかということを、きちんと話し合うべきだと思います。場合によっては、鳥取大学とかほかの学術研究機関なんかもありますし、そういうところとのコンソーシアム的な話だとか。いろいろな展開はこれからも考えられるんだろうと思います。
昨日も文部科学省のほうで[鳥取]環境大学の話も実はしたんです。高等教育のほうにまいりましたんで、文[部]科[学]省のほうも中四国で私立大学が相当定員を落ち込んできているという問題意識を持っていまして、鳥取環境大学の話を私ども持ち出してこれからいろいろ取り組みをやっていきたいんでという話を申し上げましたら、それについてはそうした大きな西日本のこの辺りの流れと軌を一にしているなということをおっしゃりまして、国としても、例えば大学間連携だとか何らかの仕組みをこれから考えるんじゃないでしょうかね、彼らも。
そういうのも見ながら、私はこれからの[鳥取]環境大学について率直に胸襟を開いた話し合いをしていくということが、まず第一歩かなと思っています。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
まず何ができるかというところの検討から始めていくということですね。
●知事
そうですね、非常に厄介だと思います。これは、子どもたちが大学の門戸をたたかないと、経営は補助しないということでありますので、それは行政が決められることではありませんからね。ですから、これは大学自体の問題でありますと同時に、いろいろなアイデアを凝らして、それこそ民間企業と一緒でありますので、やっていくたぐいのものだと思っています。
9 日本原子力研究開発機構の事故発生時の対応改善について
○NHK 辻浩平 記者
昨日原子力機構が通報の遅れに関する回答があって、防災監のほうでは、十分じゃないんじゃないかという感想が、ちょっとあった、知事はどのように受け止められたでしょうか。
●知事
その程度のことならもっと早くできたんじゃあないかなということだと思いますね。通報の遅れについて、報告を求めて、明らかにされたということでありますけれども、もっと迅速に対応を今回報告自体もしていただきたかったと思いますし、これからぜひ改善をしていただきたいなと思います。防災監が言っていたのは、多分この程度のことならもっと早く持ってきてもよかったんじゃないのという、そんなことじゃないですかね。同じような感想持っています。
○NHK 辻浩平 記者
議会でもご質問が出ていましたけれども、参議院選挙まで1カ月切って、知事はどのように関わるのかという質問が、議会で出されていましたけれども、1カ月切って知事は政治信条の自由というか、一政治家として関わっていくということを、答弁でされていましたけれども、今後議会が終わって支援活動とかそういうものは、これまで以上に頻繁になったりとか、力の入れぐらいが変わってきたりとか、どういうふうに参議院選挙に向けて知事として活動していかれますか。
●知事
そこは、必要に応じてということだと思います。やはり知事という立場がありますので、公務がたくさん入っていますから、公務をもちろん優先しながら、そういう中で余裕のあるときに私の私的な活動として政治活動、選挙運動に関わらさせて頂くことはあると思います。それは頻繁にとかいうことでは、多分ないと思います。公務もいっぱいありますので。
○NHK 辻浩平 記者
議会を聞いていると、議員の多くは、ちょっとどうなんだという批判的な見方の人が多かったように思いますけれども、それについてもやっぱり知事自身の考えは変わらない。
●知事
政治活動の自由ですか。
○NHK 辻浩平 記者
そうですね。
●知事
それは、私は変わりません。やはり民主主義というのは、いろいろな思想信条政策を戦わせて初めて成り立つもんだと思います。その基本にあるのは、憲法で保障された、思想信条の自由だとか、表現の自由だとか、団体結社の自由もありますが、そういうものに基づいて政治活動の自由というものは等しく保障されているわけであります。
ですから、法律に違反するようなことはもとよりやるつもりもありませんし、公職の影響力を不当に行使して何かしようというつもりも、もともとありませんが、ただ、自分の政治信条に従って政治的発言をするということまで妨げるものではないと、そういうふうに思っています。
ただ、自分は県政を担当している一政治家という立場でございますので、国政とのつながりということを意識するのが広く長い目で見て、県民の役にも立つかなという思いもありましてですね、一定の政治活動はさせていただくというつもりではあります。
○日本海新聞 荒木隆宏 記者
明日から、先ほどお話でもありました、土台となる新しい組織の枠組みができたということで、明日からスタートすると思いますけれども、その組織編成のねらいを改めてお聞きしたいということと、あと目玉といいますか、商工労働部長の起用というのが1つの目玉だと思うのですが、その商工労働部長を総務省から呼んでこられたその辺のねらいなり、期待なりを聞かせていただけませんでしょうか。
●知事
今回、組織改正はそんなに大きな規模にはあえてしてません。年度途中ということもありまして、あまり混乱を来しても業務が円滑に運営する意味で支障が出てもいけないと思いまして、特に必要なことだけを触ったつもりです。1つは、次世代改革を推進していく体制を作ろうということで企画部を改めました。その中に次世代改革を見ていただくような部屋を作ったり、それから民間の皆さま、県民との協働を推進する仕組みが今県庁の中にありませんので、そうした連携協働を推進する組織を作ったり、そういうことを1つはやっております。
あともう1つは、産業雇用の振興という観点から、商工労働部をアメーバ的に柔軟に動かせるような、そういう組織を大胆に導入しようと思いました。ですから、産業振興戦略総室というものをこしらえまして、チーム制を初めて県庁の中に導入をさせていただきました。できれば企業の皆さまにとってワンストップサービスになるような、そういう仕組みにできたらなというふうに思っています。これまた、運用の中で考えていきたいというように思っております。
このほかも、いろいろと必要に応じて組織改正をさせていただきまして、まずはスタートを切る体制を作らさせていただくことができたと思っております。
あと、人事につきましては商工労働部長に門前氏を起用させていただくということにいたしました。今まで空席で副知事がやっているようなかたちでありましたけれども、やはりちゃんと補充して組織を整えておかないと支障があると考えました。
彼は、国からということでありますので、国とのパイプもいろいろな意味では期待できるというふうに思っております。これまでも、地方行政、地方財政と各省との折衝を行うポストにいたりしておりますし、地域的には私ども、これから鳥取自動車道も開通するということでありますが、門前氏は姫路市に勤務をしていたこともございまして、そうしたつながりもひとつ活かしてもらえるかなというような期待はしています。ただ、思う存分仕事をしていただいたらいいと思っております。
そのほかも、例えば教育委員会の林次長を次世代改革のキーパーソンとして企画部のほうに起用させていただくなど、全体的に体制を整える人事をさせていただいたつもりであります。
○日本海新聞 荒木隆宏 記者
門前部長とは、昔から面識をお持ちだったのでしょうか。
●知事
一緒に仕事をしたことはありませんが、面識はあります。彼は、福井県の出身者でありまして、私も福井県庁に勤務したこともあるものですから、そういう意味でよく知っています。本人とは昨日、内示はもう彼らは出ていましたので会いましたけれども、こちらに赴任するのを楽しみにしておられました。子どもさんは野球が好きだとか言って、自然の中で、自然の豊かなところで思いっきりできることを楽しみにしておられたということで、ご家族で来られるそうです。
○テレビ朝日 後藤龍彦 記者(幹事社)
ほかにありますでしょうか。なければ終わります。ありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。