内閣府は、平成19年5月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、生産の一部に弱さがみられるものの、回復している。企業収益は改善し、設備投資は増加している。雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。個人消費は、持ち直しの動きがみられる。輸出は、横ばいとなっている。生産は、このところ横ばいとなっている。
先行きについては、企業部門の好調さが持続し、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。
政府は、「日本経済の進路と戦略」に沿って、「新成長経済」の実現に向けた改革への取組を加速・深化する。4月25日、経済財政諮問会議において我が国経済全体の生産性を高めることを目指す「成長力加速プログラム」をとりまとめた。
政府・日本銀行は、マクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、物価の安定基調を確実なものとするとともに、物価安定の下での民間主導の持続的な成長を図るため、一体となった取組を行う。
(各論)
2007年1-3月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間最終消費支出、財貨・サービスの純輸出(輸出―輸入)がプラスに寄与したことから、前期比で0.6%増(年率2.4%増)となった(9四半期連続のプラス)。また、名目GDP成長率は前期比で0.3%増となった(2四半期連続のプラス)。
消費・投資などの需要動向をみると、個人消費は、持ち直しの動きがみられる。設備投資は、企業収益の改善や需要の増加等を受けて、増加している。住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は横ばいとなっている。輸入は横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。
企業活動と雇用情勢をみると、鉱工業生産は、昨年末にかけて輸送機械などで高い伸びとなったことの反動に加え、情報化関連生産財の生産がこのところ横ばいで推移していることなどから、このところ横ばいとなっている。企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、おおむね横ばいとなっている。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
物価と金融情勢をみると、国内企業物価は、素材価格の上昇によりこのところ上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。なお、石油製品、その他特殊要因を除く消費者物価の前年比は、ゼロ近傍で推移している。株価は、17,200円(日経平均株価)台まで下落した後、17,700円台まで上昇し、その後17,300円台で推移している。為替レートは、対米ドル円レートで121円台まで円安方向で推移している。
需要面の個人消費では、大型小売店販売額(3月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を上回った。ホームセンター・家電量販店販売額(3月)は前年を上回り、乗用車新車新規登録台数(4月)は前年を下回った。
建設等では、用途別着工建築物工事金額(4月)は前年を上回ったが、新設住宅着工戸数(4月)、公共工事請負金額(4月)は前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(3月、季節調整済)が電気機械工業等の減により62.8で前月比10.0%低下した。また、大口需要電力実績(3月)のうち鉱工業は前年を上回った。
雇用面では、新規求人倍率(4月)は、1.19倍(前月差0.07ポイント上昇、前年同月差0.06ポイント低下)であった。有効求人倍率(4月)は、0.74倍(前月差0.03ポイント上昇、前年同月差0.06ポイント低下)と9年2か月連続で1.0倍を割り込んでいる。
現金給与総額(3月)は前年を上回り、所定外労働時間(3月)は前年を下回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(3月)は、全店舗計では52億5,187万円となり、前年同月比0.1%増と4か月続いて前年を上回り、店舗調整後でも、前年同月比0.1%増(全国1.1%減)と4か月続いて前年を上回っている。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が21億9,792万円(前年同月比3.7%減)、スーパーが30億5,395万円(前年同月比3.1%増)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(3月)は、35億7,257万円(前年同月比7.7%増)と5か月続いて前年を上回った。内訳では、ホームセンターが19億120万円 (前年同月比7.3%増)、家電量販店販売額が16億7,137万円(前年同月比8.2%増)であった。
乗用車新車新規登録台数(4月)は、1,496台(前年同月比9.2%減)と10か月続いて前年を下回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(4月)は、259戸(前年同月比19.3%減)と2か月ぶりに前年を下回った。減少の内訳では、分譲住宅の減少(前年同月比82.2%減)が大きかった。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(4月)は、18億2,400万円(前年同月比55.7%増)と2か月ぶりに前年を上回った。用途別では、医療、福祉用(前年同月比111.9%増)等が前年を上回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(4月)は、63億円(前年同月比53.4%減)と2か月続いて前年を下回った。発注者別内訳では、県の減(前年同月比61.8%減)が大きな割合を占めた。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(3月)は、生産指数(季節調整済)が62.8となり前月比は10.0%低下、原指数は、68.9となり前年同月比では9.8%低下した。
内訳を前月比で見ると、電気機械が携帯電話等の生産減により11.9%の低下、食料品・たばこが3.4%の上昇、一般機械が49.8%の低下、繊維が6.3%の低下となっている。
在庫指数(季節調整済)は73.0と前月比1.4%の低下となった。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(4月)は、野菜が1,369t(前年同月比0.1%増)と3か月ぶりに前年を上回り、果実は655t(前年同月比13.0%減)と11か月続いて前年を下回った。
鳥取市場の青果物販売量(4月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が320tで市場全体に占める割合は23.4%(前年同月差0.1ポイント低下)、果実は37tで市場全体に占める割合は5.6%(前年同月差0.8ポイント上昇)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(4月)は、11,573t(前年同月比62.0%増)と9か月続いて前年を上回った。
【電力】
大口需要電力実績(3月)は、140,951千kWh(前年同月比0.5%減)と2か月続いて前年を下回り、鉱工業はパルプ・紙等で増となり3.8%増加した。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(4月)は、1.19倍(前月差0.07ポイント上昇、前年同月差0.06ポイント低下)であった。なお、新規求人数(4月)は、3,828人で前年同月比7.6%の減であった。
有効求人倍率(4月)は、0.74倍(前月差0.03ポイント上昇、前年同月差0.06ポイント低下)と9年2か月連続で1.0倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(3月)は、256,341円(前年同月比0.8%増)と9か月ぶりに前年を上回った。そのうち、きまって支給する給与(3月)は、249,871円で9か月続いて前年を下回った。
【労働時間】
所定外労働時間(3月)は、9.7時間(前年同月比1.5%減)と3か月続いて前年を下回った。主力の製造業は6.2%減となった。〔産業別の前年同月比では、複合サービス事業(前年同月比117.2%増)等で前年を上回り、飲食店、宿泊業(前年同月比46.6%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(3月末)は、1兆8,587億円(前年同月比1.0%増)と7か月続いて前年を上回り、貸出金残高(3月末)は、1兆1,615億円(前年同月比2.9%減)と7か月続いて前年を下回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(3月)は、先行指数が1月50.0、2月25.0、3月25.0、一致指数が1月37.5、2月50.0、3月25.0、遅行指数1月40.0、2月40.0、3月40.0となった。
・ 企業倒産(4月)は、件数が2件で前年に比べて5件減少(前年同月比71.4%減)し、負債総額は40億3,000万円で前年同月に比べて28億3,900万円減少(前年同月比41.3%減)した。
・ 消費者物価指数(4月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、98.7(前月と同水準、前年同月比0.8%下落)となり、前年同月比は8か月続いて下落した。
・ 鳥取県の推計人口(5月1日現在)600,707人で、前月と比べて498人(0.08%)増加し、前年同月と比べて3,848人(0.64%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成19年5月調査でみると、平成19年7~9月期は、前四半期(平成19年4~6月期)に比べると、景気、売上高、経常利益ともやや好調となる見通しとなっている。