防災・危機管理情報



 これより、本定例県議会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を御説明いたします。それに先立ち、今議会は私にとりまして初めての定例県議会でありますので、この機会をお借りいたしまして、改めて、県政を遂行するに当たっての私の所信を申し述べさせていただき、議員の皆様の御理解と御協力をお願いする次第であります。

 私は、選挙戦を通じまして、「次世代改革」を県民の皆様とともに実行し、「鳥取新時代」への道を切り開くことを宣言し、多くの県民の皆様方の御支持を賜りまして、知事として県政推進に当たることとなりました。これまで本県において取り組まれてきました、情報公開の徹底、現場主義、県民の視点での行政の展開など地方分権時代の先進県としての改革はその理念を引き継ぎながらも、地域発展型の伸び伸び改革へと脱皮させ、改革の果実をしっかりと県民と地域に還元するよう取り組んでまいりたいと考えております。
 この改革の推進に当たっては、既に、改革のエンジンとなり、庁内横断的に施策を展開する組織として、「次世代改革推進本部」を立ち上げ、各分野ごとに副知事、出納長等を長とするチームを編成して議論を始めたところであります。いわゆるお役所仕事に埋没することなく、県民との対話の上に立って、スピード感を持ち、機動的に、できることから随時実施していく所存であります。


 さて、この「次世代改革」を実施するに当たりまして、私は次のような基本的な姿勢で臨みたいと考えております。

 まず、「県民が主役で担い手の県政」であります。
 これからの時代は、県庁が全てを引っ張って行くのではなく、県民の方々、NPOの方々、企業の方々とのパートナーシップを拡大し、一緒になって活力のある地域づくりを進めることが重要であります。政策の立案と執行の両面にわたり、県民の方々との協働を原動力とする地域づくり、県民が担い手となる県政運営を行っていきたいと考えております。こうしたことから、今回の補正予算におきましては、民間の方々、現場の方々の意見を政策立案過程で反映できる仕組みづくりをする経費などを盛り込み、これから4年間の次世代改革をスタート台にのせる予算組みとしたところであります。

 次に、「地域の活力を生み出す県政」であります。
 全国的に好景気が長期化したと言われますが、鳥取県をはじめとする地方部には未だ景気の上昇感がもたらされておりません。現状を打破するためにも、民間と行政が一体となって、産業基盤の基本条件を整えながら、新しいビジネスに果敢に挑戦していく風土を創造していく必要があります。県外や海外に「打って出る鳥取県産業」も推進していかなければなりません。

 既に、中小企業団体中央会をはじめとする経済団体の皆さんやJAグループの皆さんなど、個別に意見交換を始めたところであり、現場の情勢に即して機動的に、民間の皆さんと一丸となって地域の活力高揚に向けた運動を展開したいと考えております。また、地域間格差の是正を目指して制定された「企業立地促進法」の適用をいち早く受けることを目指し、県、市町村及び県内関係機関による地域産業活性化協議会を立ち上げるなど、地域の活力を醸成する取組みを始めたところであります。

 次に、「自立と連携による県政」であります。
 地域としての競争力を高めるためには、これからは「自立」を前提としながらも、それ以上に「連携」も重視しなければなりません。そのため、市町村や国との連携はもとより、経済活動や観光に着目した他地域との連携を進めていきたいと考えております。また、県内の企業、住民団体、大学等いろいろなセクションとも連携しながら県の施策を実行してまいります。市町村との連携につきましては、地域の課題を共有できるよう、市町村が一堂に会する従来型の行政懇談会だけでなく、個別に各市町村との協議を進めていく所存であり、2年間で全市町村との協議の場がもてるよう、先日岩美町を皮切りにその取組みをスタートさせたところであります。

 次に、「未来を語って今を考える県政」であります。
 県民の中には将来の鳥取県の方向性が見えない、夢を持てないとの声があります。私は、県民の皆様が将来を展望して地域づくりを語ることが大切だと考えております。県民の皆様と一緒になって近未来の将来ビジョンを策定し、鳥取県のグランドデザインを共有することによって、それぞれの立場で地域の発展に取り組んでいただく目安となります。また、県としても、予算を組み立て、事業を展開する指針にしたいと考えております。

 最後に「県庁の改革」ですが、改めて申すまでもなく、県庁は県民から信頼される組織でなければなりません。県民志向で信頼される県庁組織を目指して、仕事のやり方を総点検し、県庁改革を断行します。また、県庁組織のスリム化や事業の効率化を進めていきたいと考えております。確かに、国の交付税改革、県債の償還負担など、県財政を取り巻く状況にはとても厳しいものがあります。財政運営については、財政の誘導目標を設定し、その許容範囲内で選択と集中により機動的な財政運営を行いたいと考えております。

 さらに、私は、希望あふれる鳥取新時代の実現に向けて、「元気な産業 しっかり雇用」「人間第一 環境日本一」「学び育み 輝く文化」「安全・安心 いきいき地域」「県民サポート クリーン県政」という5つの重点事項について具体的な施策や目標を県民の皆様にお示ししました。これらにつきましては、これからひとつひとつ具現化していかなければなりませんが、具体の施策は固定的なものではなく、節目節目で柔軟に考えていく必要があります。県議会の皆さんの御意見を伺いながら、また県民の皆様と対話をしながら、必要に応じて見直しを行い、また補充・追加をして、これからの4年間をかけて実現に向けて努力してまいりたいと考えております。

 以上、これからの県政運営に当たっての私の基本的な考え方を申し述べました。議員の皆さんを始め、県民の皆様方の深い御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。


 それでは、これより、本定例会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を説明したいと思います。

 今議会に提案いたしました議案は、予算関係5件 条例関係12件 その他の案件1件 の合計18件であります。

 最初に、議案第1号 平成19年度鳥取県一般会計補正予算についてであります。

 はじめに、「元気な産業 しっかり雇用」であります。
 地域経済の発展と安定こそ県民の豊かな暮らしの源泉であります。民間の知恵を導入しながら、スピード感を持って機動的に企業支援や県内産業の高付加価値化、販路拡大などを展開することが必要と考えております。
 このため、地域の企業経営者等からなる「鳥取県経済・雇用振興キャビネット」を東部・中部・西部の圏域ごとに組織し、官民が協力して当面の重要テーマに即した連携・支援策を戦略的に検討・実施するとともに、県内中小企業の新技術や新商品の開発を支援するためのファンドを創設することとしております。
 また、雇用情勢は全国的には改善しつつあるのに対し、本県においては直近の4月の有効求人倍率が0.74と低迷している状況にあります。低迷する雇用情勢を打開するため、緊急的な措置として県に求人開拓員を3名配置し、ハローワークと連携した求人開拓を行うこととしております。
 さらに、鳥取県の美しい自然環境のもとで育てられた安全・安心な鳥取県産物のイメージをいかし、「食のみやこ鳥取」の産品として全国にPRするための戦略を構築するとともに、アンテナショップについて検討を行うほか、地域ブランドを創造し積極的な販路拡大等に取り組む団体等への助成を行うこととしております。また、本年10月に開催される「第9回全国和牛能力共進会」の機会を活用した集中的なPR等により「食のみやこ鳥取」へ向けた取組みを加速させたいと考えております。
 また、境港水産振興協会、境港市等の関係者がもうかる漁業を推進するため、協議会を立ち上げ、漁船漁業の収益性の向上や産地の流通機能強化について検討を行うこととされておりますが、県もこれに参画するとともに、併せて境港水産物卸売市場の今後のあり方を検討することとしております。

 次に、「人間第一 環境日本一」であります。
 医療・福祉など地域のセーフティネットをしっかり整備し、県民の皆さんが健康で生きがいを持って暮らせる鳥取県をつくりたいと考えております。
 本県においても公立病院をはじめとする病院に勤務する医師の不足が生じており、今後さらなる悪化も懸念される状況にあることから、病院間の連携による対策等を検討する取組みを進めるとともに、奨学金制度を拡充し地域医療を支える医師及び看護師の育成確保に努めることとしております。また、障害者自立支援法の影響を勘案しながら、利用者の負担軽減や事業者の運営基盤の整備等に対する支援を行うこととしております。メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病の対策につきましては、医療関係者、企業、地域住民と一緒になって、県民一人一人が健康づくりを意識し実践しようとする「健康づくり文化」の創造に向けた取組みを進めることとしております。
 また、県と関係市町が協力し、北朝鮮による拉致問題の早期全面解決の実現に向けて、国に働きかけるとともに、帰国後の支援体制の検討や県民の理解促進のための講演会等を開催することとしております。
 なお、特別医療費助成制度につきましては、障害者世帯の所得の状況や障害者自立支援法に基づく負担の状況等を踏まえて、これまでの見直し案を修正したいと考えており、その考え方を今定例会中にお示しする予定であります。

 次に、「学び育み 輝く文化」であります。
 地域の将来を担う子どもたちの個性と学力を伸ばす教育環境の整備や安心して子育てできる家庭環境を創造するとともに、歴史と伝統、郷土愛に支えられたふるさと鳥取の風土を大切にし情報発信する取組みを推進したいと考えております。
 まず、学力向上に向けては、学力向上委員会を設置して、基礎学力調査や高校入試の結果から明らかになった学力の二極化の兆候や学ぶ意欲の低下など、本県の児童生徒の学力の現状を踏まえた具体的な対策を検討し、今後の小学校・中学校・高等学校における一貫した教育に反映させたいと考えております。また、教育環境の充実のため、鳥取西高等学校の改築に向けた基本設計を行うとともに、米子東高等学校体育館の改築及び鳥取工業高等学校弓道場の整備を進めることとしております。
 子育ての環境整備につきましては、子育て応援パスポートを発行することにより、市町村や地域の企業の方々と一緒になって子どもを生み育てやすい環境を整備し、社会全体で子育て家庭を応援する機運を醸成していきたいと考えております。また、中小企業における仕事と子育ての両立を支援するため、モデル的に男性労働者が育児のための休業を取得した場合、その事業主に対し奨励金を支給することとし、中小企業における制度化を支援することとしております。
 また、国内最大級の弥生時代の集落跡である妻木晩田遺跡の魅力や価値を国内外に情報発信するため、遺跡見学の拠点となる中央ガイダンス施設の整備を行うほか、山陰海岸学習館の水槽等の改修を行い、海洋生物の生態の学習や体験学習の機能充実を図ることとしております。

 次に、「安全・安心 いきいき地域」であります。
 鳥取県西部地震の経験等をいかし、万一の時に力を発揮する実践型の危機管理体制を市町村や地域と連携しながら構築するとともに、コミュニティ振興や国際交流の推進など、いきいきとした地域づくりを進めてまいりたいと考えております。
 昨年の消防組織法の一部改正により、消防の広域化に関する法的な枠組みが整備されたこともあり、本県における消防の広域化、常備消防のあり方を幅広い観点から議論することとしております。併せて、大山の土石流対策の検討や二の沢の土砂掘削など防災対策にも取り組むこととしております。
 また、県民の足腰となる交通基盤の整備を推進しなければなりません。とりわけ、山陰道、鳥取自動車道など高速交通基盤の整備を着実に進めるとともに、山陰道の早期供用に向けた機運醸成のためのシンポジウムを開催するほか、新たに岩美道路につきましても早期事業化を目指し、ルート検討・基礎調査を行うこととしております。

 こうした施策を着実に進めていくことが私に課せられた使命であると考えておりますが、厳しい財政状況の中で県民へのサポートを進めるためには、県庁自らが徹底した行財政改革を展開しなければなりません。そのためには、形式主義のお役所仕事を追放するなど行政経営の品質改善に取り組んでいかなければならないと考えております。また、県庁内のコンプライアンスを確立し、クリーンで信頼を得られる県庁づくりが必要であり、「県民サポート クリーン県政」に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 以上の結果、今回の補正予算の総額は78億9千万円余となり、補正後の予算の総額は、3,566億6千万円余となるものであります。


 次に、補正予算以外の主な議案につきまして御説明いたします。

 議案第8号 鳥取県収入証紙条例の一部改正につきましては、県外に居住されている方など、県内で証紙購入が困難な方の利便を図るため、証紙以外の方法により県の歳入を納めることができるようにしようとするものであります。
 
 議案第9号 貸付金の返還に係る債務の免除に関する条例等の一部改正につきましては、県内における医師の確保を図るための鳥取県医師養成確保奨学金について、その貸付対象者を従来の鳥取大学医学部の医学専攻課程の地域枠推薦入学者から拡大することに伴い、この奨学金の返還に係る債務の免除の要件を改めようとするものであります。また、鳥取大学医学部に創設される看護学専攻課程の地域枠推薦制度による入学者を貸付対象者とする奨学金を新設することに伴い、この奨学金の返還に係る債務の免除の要件等を定めようとするものであります。

 以上、今回提案した付議案につきまして、その概要を御説明いたしました。


 なお、年度途中ではありますが、次世代改革の取組みを始めるため当面必要となる組織を今議会後に設置したいと考えております。具体的には、次世代改革を進めていくために、先ほど触れました県民との「協働・連携」を推進する組織や「近未来の将来ビジョン」の取りまとめの中核となる組織のほか、産業・雇用に関する緊急課題に機動的に対応すべく商工労働部内にチーム制の組織を設置することとしておりますので、申し添えます。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

  

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