平成20年1月4日(金)午前10時から
県庁講堂
皆さま、明けましておめでとうございます。皆さまにおかれましては、つつがなくご家族や地域の皆さまと共に素晴らしい新春を過ごされたことと思います。
少々雪が降りすぎまして、大変な正月だったかなと思います。私も正月元旦から連日のように雪かきをいたしまして、随分重たい雪だなと思いながら雪をかいておりましたら、すっかり腰が痛くなりまして、寝る前にアンメルツを塗って寝るというそんな正月でした。皆さんもそれぞれに楽しいお正月を過ごされたのではないかと思うわけであります。
今からちょうど1250年前、758年というその年に大伴家持が、因幡守に任命をされました。そして、こちらのほうにやってきたわけであります。その大伴家持が翌年の新春に詠んだ歌というのが、『新しき年の始めの初春の今日降る雪のいや重け吉事』という句でございまして、本当に当時から重たい雪だったんでしょうね。
その重たい雪のように素晴らしい幸福が、この国にやってきますように、そういうようにお祈りをしたそんな新春であったわけであります。それから、随分時が経ちました。今年もまた重たい雪が降りしきる中で、正月を迎えたわけであります。その重たい雪のように素晴らしい幸福がこの鳥取県にやってきてほしい、そういうように、願うわけであります。
しかし、皆さんもどうでありましょうか、肌で感じられる地合いといいますか、空気というものはそれほど簡単なことではないなと思うことも多いんではないかと思います。
年を締めくくる前にいろんな出来事が身の回りでもあったと思いますし、世間でもありました。今日の新聞を見ても1バレル=100ドルという高値をアメリカのニューヨークで原油価格がつけたという報道であります。わずか1年前には50ドルのレベルであったものですから、また10年前で言えば10ドルぐらいのレベルであったものが、すっかり上がってきているわけであります。
これは景気の実勢によるものというよりは、どちらかというと投機的なお金もうけに走る、そうした人たちが作り上げた相場だという面も多分にあると思います。マネーゲームが市場主義の故でありましょうけれども、かえってそのマネーゲーム故に市場の首を絞めているような気もするわけであります。実体経済のほうが厳しくなってしまう。そんな不吉な予感も漂う、そんな今日の新聞の記事であったというように思うわけであります。
これに限らず、私たちの鳥取県を取り巻く環境というものは、地域間格差に悩みながらの最近の情勢でございます。ぜひともこれをはね飛ばしていくような力を私たちは持たなければならないわけだろうと思うわけであります。私はこの年に、ぜひ鳥取県から自立と連携によりまして、安心と活力を県民の皆さまと地域へ提供していかなければならないと思います。安心と活力、これをテーマにぜひ皆さまにも今年1年頑張ってやっていただきたいと思うわけであります。
例えば、今、私たちは、B型肝炎やC型肝炎というそんな状況にも直面しているわけです。今日から保健所のほうで、皆さまに安心をお届けするために無料の検査を行うようにさせていただいたところであります。
それから、原油価格の高騰も実体経済に与える影響はもとよりといたしまして、県民生活に多大な影響を及ぼすと思われます。ですから、今日から、その窓口も商工労働部や県民局につくらさせていただいたところであります。いろんなチャンスや手だてがあると思います。県民の皆さまに安心して暮らしていただける、そういう行政を是非、努めてやっていただきたいと思うわけであります。
また、活力の問題も大切な課題であります。農林水産業や商工業など生業とするところに警鐘が打ち鳴らされている。それが最近の鳥取県の情勢であると思います。大都会では、建設ラッシュが進み、摩天楼のようなビルが立ち並ぶようになってきていますが、鳥取県の発展は今、半歩、あるいは1歩、2歩、3歩と遅れてきているように思うわけであります。
これを何とか取り戻すために、私はこの1月4日を契機と致しまして、あらためて景気対策といいますか、経済の浮揚に向けた取り組みを全庁を挙げてやらなければならないと思います。
農林水産業の関係でも米対策だとか、あるいは梨の問題、そういうことをやっていかなければならない。和牛の博覧会が開かれ大成功をおさめましたが、これを本当の意味での和牛の再生につなげていかなければなりません。そういう取り組みも必要でありますし、低コスト林業やもうかる漁業、こういう対策も出てくると思います。
地元のほうでも、一生懸命になってやろうという動きもあります。例えば境港ですとか、賀露でももうかる漁業にふさわしい対策を練ろうじゃないかと地域を挙げて始めようとしておられますし、低コスト林業に向けたモデル団地の形成の輪も20個所を超えるようにふくらんできているわけであります。
また、商工業関係でも新しくハイウエーがこの鳥取県を結ぼうとしています。鳥取自動車道も、もうすぐ智頭のインターチェンジまでやってまいります。さらに、山陰自動車道も名和のインターチェンジまで結ばれます。これにとどまらず、年々鳥取へ大阪方面からのハイウエーはつながってまいりますし、山陰自動車道も10年以内といっていた夢のような話が、実は夢でなくなるくらいの感じがするくらい早まってきていると思います。
さらに、但馬のほうへ抜ける自動車道も新年度には県境のところが出来上がる。こういうことになってまいります。これは、国内だけにとどまりません。海外と結ぶネットワークも大切な課題でありまして、米子-ソウル便の問題もありますが、それにとどまらず海の道も開かれなければならないと考えています。
こうして、大交流時代を鳥取県は迎えようとしているわけでありまして、このチャンスにビジネスを浮揚させることが我々の今を生きるテーマではないかと思うわけであります。そういう意味で、今日は企業立地の戦略本部を立ち上げ、会議を開こうとしております。
全庁に号令をかけさせていただきまして、皆さんの力をお借りしながら、また地域の皆さま、商工業関係の皆さま、関係者の皆さまと一体となりながら、地域に企業を呼び込んだり、地場の企業が今疲れていますがこれに元気を出していただく、そのための施策を、また取り組みをやっていくことといたしたいと考えております。
このように、私たちは新しい時代に向けて帆を張って出ていかなければならないわけであります。しかし、今一度自分の身の回りの仕事の仕方を全庁の職員の皆さんには振り返っていただきたい、点検をしていただきたいなと思います。
いろいろなところに仕事の無駄が隠れているのではないか、無理やむらがあるのではないか、その辺を点検していただきまして、もっとスリムに効率よく行政を展開できるその基盤を、皆さんの周りから整えていただきたいと思います。
昨年、職員の皆さんの提案に基づいて、DOプロジェクトということをさせていただきました。おかげさまで、電話をかけさせていただきますと、私もしょっちゅう電話をかけるほうでありますが、別に検査のために電話をかけているわけではないですが、電話をかけさせていただきますと、必ずありがとうございますとか、おはようございますとか、お電話いただきましてありがとうございますとか、そうした言葉が返ってくるようになりまして、鳥取県庁も変わってきたなと思うわけであります。
しかし、あいさつだけで満足していてはいけないわけでありまして、本当の意味で効率よく県民の皆さまに満足していただけるようなサービス体制を整えていかなければなりません。ふと、職場を回ってみると、気が付くことがあります。これは、10年前では考えられなかったことだと思いますが、皆さんパソコンを開けておられます。
パソコンと向き合って無言で終始一生懸命にキーボードをたたいたり見つめたりされておられるわけであります。 ちょっと前までは、パソコンは机の上にはなくて、お互いに話をしながら、また多くのお客さんが県庁外からやってきて、そういう人たちと話をしている。そこに実は時間を使っていたんですね。これは、いいことなのか悪いことなのか。確かに、効率よく仕事ができるようになってきている、そういう面もあると思います。
例えば、一斉にメールで送信をすることによって、大量の通知を行うことができる。そういう文明の便利さは享受できるようになったと思いますが、しかし、行政にとって一番大切なマンツーマンでのコミュニケーション、あるいはグループで討議をしていい知恵をひねり出してくる。そして、みんなが納得して一丸となって行動する。そうした組織力を蓄えるためには、今の仕事のやり方はもう一度あらためるべきところもあるではないかと思います。
職員課の担当になるかもしれませんが、DOプロジェクトも次のステージへぜひ進んでいただいて、全庁の皆さんと話し合いながらパソコンに頼らずに実際に話をしながら政策を練り上げたり、また外へ出かけていって外で課題を拾ってくる。いろいろな議論をして県民の皆さまにも勇気を持っていただいて行動をしていただく。そういう体制を整えていくことができないかと思っております。
本当の意味での自立と連携、パートナーシップ、それを目指すには県庁自身も仕事のやり方を変えていかなければならないと思います。今一度、胸に手を当てて振り返ってみていただきたいと思います。
そして、この1年間素晴らしい仕事をして多くの県民の皆さまの笑顔を勝ち得ていただきたいと思います。皆さまのこの1年のご奮闘とご家族を含めた弥栄(いやさか)、そして鳥取県の発展を願いまして新春のあいさつに代えさせていただきたいと思います。本年もどうかよろしくお願いいたします。