○読売新聞 北島夏記 記者
神奈川県が多選禁止条例をこの間可決しましたけれども、この件について、知事のどういったお考えをお持ちか。それから、条例で多選を制限するということ自体の是非。それからそれに対するお考えを伺いたいです。
●知事
私は、本来は何選するかっていうことは、有権者の選択に任せられるべきことだというように考えてきました。なぜなら、民主主義でございますので、どの人を選びたいかというのは、どちらかというと有権者の権利の話なんだろうと思いますので。それを制度的に封じることが必要なのかどうか。併せて考えれば、最近の不祥事なんかでも、宮崎[県]の前の知事さんの事案など、1期とか2期とかいう、多選でない段階でも腐敗は起こる時は起こるということはありますので、そうすれば必ずしも、多選イコール腐敗という構図は成り立たないように思ってました。
ただ、最近になっていろんな議論も、その理由は分からなくもないです。アメリカで生活をしておりましたので、大体ある一定の時期がくると、これは別に知事職に限らないんですけども、多選を制限するというのは、結構一般的にとられてますし、どちらかというと広がってくる傾向にあります。腐敗のことだけでなくて、むしろ空気を入れ替えることで、政治の活力をもたらそうという積極的な意味も、本当はあるんではないかというようにも考えます。
ですから、国のほうで今、法律改正をしようという動きになっていますので、その法律改正の結果を見て、私はこのことは改めて考えてみたいなと。少し意見を修正させていただいております。
○山陰中央新報 今若靖男 記者
それを法律的による仕組みづくりをするという動きも出始めてますが、条例じゃなくて、法律による定めというのを知事はどういうふうに受け止められますか。
●知事
これはもともと、ちょっと法的には私は、多選制限は議論はあると思います。職業選択の自由のことだけでなくて、憲法上、公選職に対して任期制限はありますが、何期務めたら終わりという制限までは、設けられていないわけでありますから、ここはその趣旨をどう考えるかということだと思うんです。おそらく憲法の立案に当たって、ここは自由に自治体で定めていいよという意思であったかどうか。
私は必ずしもそうではなくて、むしろ戦前の官僚主義から民主主義へと転換する過程で、こういう任期の問題、それから期数の問題、これはすべて基本は法律で定めるけれども、あとは有権者の選択に任せるというのが、民主主義的な考え方だという思想に立ったものだと思っております。ですから、単純に任期制限をかけることが合法かどうかというのは、議論の余地はあるだろうと思います。そういう意味で、立法化によってそこの整理を明確にされるということの意義は私は大きいだろうと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
大きいというのは、良いという意味ですか、悪いという意味ですか。
●知事
それを可能かどうかを、今やってるんだと思いますんで。それを、任期はこういうことで、ルールを定めようということであれば、それはあり得ることだろうと思います。ただ、その際に、今の検討の方向は、条例で最終的には自治体のほうで決めなさいということになるんじゃないかと思うんですけどね。そういうことであれば、あんまり自治権の制限にはならないだろうと思いますし。一つの立法論としては、肯定できるだろうと思います。
今回の神奈川県の条例の議論を見ててもね、条例自体は通ってますけども、法律の発効がなければ動かない仕組みになっていまして、一体これは何なのかなと思わないものでもないと思います。松沢知事の強いご主張で、ご意見で、その情熱でああいう条例が実現したということで、それは一つの政治の在り方として評価できると思いますけれども。ただ、立法的な効果としては、あまり分からないところがありますんで。
まずは法律について国全体で議論をする。その動向をきちんと見て、自分なりに謙虚に考えて、法律が通った後、条例でどう向かうか、それを考えたいと思います。
○毎日新聞 山下貴史 記者
アシアナの関連で、議会開会中の企画土木常任委員会で、複数の県議の方が、10月31日に知事がキム・ジンソン知事と境港でお会いされると思うんですが。それまで待たずに、すぐにでもスケジュールを取って、韓国に飛ぶべきだというような意見が出ていたんですが、その批判については、知事はどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。
●知事
そのご意見があったこと、担当から伺いました。実は江原道のほうにスケジュールのことだとか、その可能性のことなど、探りを入れるといいますか、状況を聞かせましたけれども先方も大変お忙しくていらっしゃって、ちょっと実現性は難しいだろうと思いました。むしろ、10月31日になるか、とにかく会期中に一度キム・ジンソン知事としっかりと話をする時間を取りたいと思います。
先般、民団の皆さまともお話をしました。議会終わって直ちに面談させていただきまして、民団のほうにも江原道との交流復活について協力してほしいということを申し上げました。民団の皆さまもキム・ジンソン知事と会っていただける、そういうチャンスを考えていただけるんではないかと思っております。それは私どもも積極的に協力をしたいと思っております。そういうことで、その会議まで、こちらから韓国にお伺いをするというのは、スケジュール上の問題として、難しいというふうに認識しています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
日程は決まっていますか。北東アジア地方政府サミットの。
●知事
今まだ調整中だと思います。今の情報では江原道からキム・ジンソン知事、それからモンゴル中央県の知事だけでなく、吉林省は副省長になるのではないかと言っておりましたが、ロシアは当初の予定から変わりまして、ダリキン知事が直接来るということになってまいりました。私も実は、外務省のロシア関係者を通じてウラジオストックからも働きかけていただきまして、知事ご本人が今回来られるという、今、話になっております。これからまだ、きちんと確定するかどうかはよく見てみないとならないと思いますが、いろいろな意味で流動的でして、まだ最終確定に至っていません。
○山陰中央新報 太田満明 記者
その中で、各県知事と知事同士の会談というようなものはあるんですか。
●知事
それはやりたいと思います。
○朝日新聞 井石栄司 記者
アシアナの関連で、議会中の答弁でも、10月からの経緯を見守った上で、県民の声とかを聞きながら判断していきたいというふうにおっしゃっていたのですけれども、県民の声を集約する方法は具体的にはどのように考えていらっしゃるのかというのが。
●知事
それは、いろいろといろいろな方のご意見を聞きながらということだと思います。特にパブリックコメントをするとか、そういうたぐいの話ではないだろうと思っております。これは二方面作戦でありまして、アシアナ[航空]との交渉ということも片方でなければならないと思っております。
議会が終わってすぐに、アシアナ[航空]のヒョン本部長のほうに面談をさせていただきまして、先般終了しました9月議会での議論だとか、県民の方のご意見だとか、あるいは報道されているいろいろなご意見だとかをすべてアシアナ[航空]のほうにもお伝えをしております。そして、私どもとしては、運行を継続するということで搭乗率を上げていきたいと、アシアナ[航空]からも当然協力してほしいというお話を申し上げましたし、今後来年度以降どうするかという協議も始まるでしょうから、それについても、こうした県内の意見にも配慮してもらいたいということも申し上げました。
あと合わせて、最近ちょっとトラブルになっていまして、修学旅行の機材繰りでアシアナ[航空]が適切に機材を振り向けることができなかったということについては、厳重に抗議いたしまして、アシアナ[航空]はその点は謝罪をしていました。そういうわけで、アシアナ[航空]側とのいろいろな折衝もこれからやっていかなければなりません。
あともう一つは、実際搭乗率の状況を見たり、県民の皆さんのご意見を聞いたりと、県内のほうでの状況把握だとか判断が必要でありまして、そういう二方面での検討が必要だろうと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
それに関して、一言言っておきたいのですけれども、情報公開をきっちりしてほしいということなんですけれども。この前知事がアシアナ航空に行かれたあとに、どうして知事はアシアナ航空に行かれたんですかと担当課に聞いたら、ただ、議会が終わったのであいさつに行きましたということだったんです。よく聞くとその修学旅行のことがあったらしいですね。
●知事
ありました。
○山陰中央新報 太田満明 記者
なんで、そういう情報公開をしてくれないのか。
●知事
それは正したいと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
やはり、こういう問題ですから、ちゃんとそういうこと、いいこともまずいことも情報公開してくれないと。
●知事
もちろん、あいさつはあります。こんにちはと。あいさつはありますけれども、あいさつだけでなくて、当然議会が終わって直後のことでありますから。私としては、県民の代表として、県内のいろいろな人の考え方を率直にアシアナ[航空]に伝える必要があると思いました。そういう意味でお伺いをしたわけでありまして、アシアナ[航空]もその事情はよく分かってくれたと思います。今の情報公開の面で、皆さんに、問い合わせがあったときですか。
○山陰中央新報 太田満明 記者
個々に聞きに、僕が聞きに行ったらそういうことだったので、僕らは一緒に行っているわけではないので、どういう話をしておられるのか分かりませんが。今の話のように修学旅行で機材繰りしていなかった話なんて、今回の話としては意味があると思うんです。
●知事
その対応については、厳しく担当課のほうに話をしたいと思いますし、今後もしそういうことがあれば、またご指摘いただきたいと思います。
○共同通信 宮沢大志 記者
人権条例なんですが、先ほど議会の検討を受け止めた後考えていきたいとおっしゃられたのですが、今日は意見書ほぼまとまって、近々知事に提出されると思うんですけれども、スタンスとしては、受けた後いろいろと考えられると思うんですが、今後の県としてのさらなる検討が必要だと思うんで、作業の予定とか見通しとか何かお考えがありますか。
●知事
これはまだ、きちんと中でも議論していません。正直申し上げて今は検討結果を待っている段階でして、本当に、うちのほうで受け止めたあとの議論はあまりしていないのですが、私のイメージとしては、拙速にわたる必要はないだろうと思っています。特に人権の問題でありますので、慎重な検討を要する分野もあると思いますので、今もらったからすぐに12月議会へ提出するとか、そういうマターではないと認識をいたしております。
国のほうが人権に関する法律をどうするかということもこれは大きく関係しますので、国のほうがどういう状況にあるかを把握したり、また私どもで検討委員会のご意見の趣旨をよく確認をしてみないといけないこともあると思いますし、また、立法論的に必要なこともあると思いますし。
今ちょっとお伺いしている、報道されている感じでは、選択肢がいくつかあるんですか、そういうことになるとちょっとどうしても時間がかかると思います。そういう意味ではすぐに条例を挙げて12月でということではないと思っております。
○朝日新聞 下司佳代子 記者
人権条例について伺いたいのですが、今日が最終回になってこれからどんな条例にするのかというのは考えられるということなんですが、作業自体について県だけでされるのか、またはほかの方も入れるのかとか、その作業の方法について今考えられていることはありますか。
●知事
まだそこは私も事務局と話をしていません。出てからきちんとそこの方向性を付けていきたいと思います。いずれにしても大変大きなイシュー[issue(関心事)}として全国的にも議論のあった条例でありますので慎重に検討していく、しかも公平といいますか、公平であって実際に人権の問題で苦しんだ人たちにもお役に立てるようなそういう仕組みづくりを目指せるように、行政の独断でない検討が必要だろうと思います。
今のちょっとご主旨はあれですが、もう一度検討委員会をもう一回作り直してどうのこうのということはあまり考えていませんけれども、県として条例化していくに当たっては当然、その過程でこれはパブリックコメントを求めるだとかいろいろとやっていかなければならない条例だと思いますので、きちんと節義を持ってですね、多くの方のご意見、有識者の方のご意見も聞きながら進めていく問題だろうと思っております。
○日本海新聞 小谷和之 記者(幹事社)
そのほか何かありますか。ないようなのでこれで終わりたいと思います。
●知事
どうもありがとうございました。