○中国新聞 土井誠一 記者
今日、全国学力テストの結果を一部出すようですけれども。それで個別情報については、非開示ということで、県教委のほうはそういうスタンス示されて、県のほうも県教委のスタンスを尊重されるということでしたけれども。情報公開条例の関連で、裁判ざたになる可能性もあるわけですけれども、そのあたり改めてお伺いしたいのですが。もし裁判になったら、結果として情報公開する、しないを裁判官に委ねることになると思うんですけど。知事はそれでよろしいんですかという。
●知事
それが司法の役割だと思いますので。意見の対立があって、条文の解釈に対立があれば、法解釈は最終的な司法の場。それには違和感はありません。
教育委員会にはぜひいろいろと、この機会によくご検討いただいて、裁判に行く前段階でも、県の審議会もあります。審議会の議論の結果なんかも、当然教育委員会は考慮してくださると思いますが。裁判に行って長期化する前に、もう一度再考してもらうというのが、審議会の場だと思いますので。そういう場でのご意見も、ぜひご検討いただきたいなと思います。
○中国新聞 土井誠一 記者
条例をいじろうという、そういう考えはない。
●知事
今は緊急なことでもありますし、その考えはありません。裁判の結果など、やはりちょっと今、仕組みに問題があるなということが明らかになれば、私はその時点で、条文について考える必要を見出すかもしれません。まだちょっと、そこまで至っておりません。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
知事はやはり、市町村別とか学校別の情報は開示したくない、したい、どちらをお考えなんですか。
●知事
私の率直な気持ちとしては、できる限り、情報というのは公開すべきだと思っております。ですから今回、国のほうというか全国的にそのようでありますけれども、どこの県の教育関係者も、子どもたちの教育的な観点から、市町村ごとの開示には消極といいますか、それはやらないというふうに、大体意見が統一しているようでありますけれども。
私は、今回の開示当局は教育委員会のほうでありますし、教育委員会の見識というのもありましょうから、最終的にはそれを見守るというのが、こちらの立場でありますけれども。できる限り開示できるものは、開示していくというスタンスで、臨んでいただきたいなと思います。
教育委員会のほうで、どうしても事情があって、ここは開示できないというのがあっても、それに準じるといいますか、いろんなかたちでその情報の加工をしたり、県民の皆さまのお役に立てるような情報の出し方はあると思いますんで。それは積極的にやっていただきたいなという気持ちです。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
ただ、側から見てますと、教育委員会はもう非開示にしたいという考えを明確にしてますよね。そうすると、でも解釈次第では、もしかしたら開示になるかもしれないという、そういう非常にグレーな部分を残しているわけ。ですから、そういうことは教育委員会の意思をきちんと保証できるように、条文改正は簡単にできるんじゃないかなというのが、私たち見ていて思うんですけれども。
●知事
そこまでやる必要性、自分は今見出していません。原則としていろんな議論があって、県議会で情報公開条例出来上がってきてますんで。そのいわば憲法のような部分を触ってまで特例を作る必要は、私はないと思いますんで。率直にそれに従って解釈をし、それが例えば異論があれば審議会にかかり、さらにこれが、ひょっとすると訴訟になると。それで司法の場に出ていって争われると。
要は憲法といいますか、情報公開条例という、きちんとしたその県の原則であるルール。これにのっとった運用をすることを見守りたいと思ってますんで、特にそれに特例を設けてまで、今回のものを特だしして保護する必要があるか、ちょっとそこまでは、自分は信念を持ってませんね。むしろ疑問を持ってます。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
ただ、鳥取県を複雑にしているのは、9条の7項の「10人以下の学級に対しては非開示とする」というその文言のところが非常に、今回、全国にはまれにない条例として、あいまいさを残しているということなんですけど。ただ、その7項をどうするかということだけの問題じゃないかなと思うんですけれど。
●知事
あれはもともと、県の学力テストを念頭に置いて作ったものであります。だいぶん、実は知事部局といいますか、執行部側で提案したものを、議会のほうで修正されて、ああなっているんですけれども。あれは今後も県の学力テストあるかもしれませんし、私はそれなりの機能を果たすと思います。
教育委員会のほうが言ってますのは、国が実施主体であって、うちはデータを預かるだけだというものでありまして。ちょっと県が自ら実施したテストとは違うということを、立論の根源に持っているように思います。ですから、それ以外の条文で、非開示という論を立てておられると思いますので。それは見守ってみたいなと思ってますけども。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
ただ7項の場合ですと、県実施の試験に限るということが、解釈上確定できないというところが問題になっているわけなんですよね。
●知事
それはそうだとしますね。県実施かどうかにかかわらず、これが働く可能性があると。その分は開示しなければならないとなりますが、そのほかの条文で非開示が働けば、これは非開示になりますので。教育委員会はそういう立論を取ってるわけですよね。ですからそれは、あんまり論理的な矛盾はないと思います。
○日本海新聞 村上俊夫 記者
いわば、開示の決定権者の都合に合わせて条例を作りかえるという論理は、やっぱり非常におかしいなというふうに思いますんで。制定段階で、いわばその網の目といいましょうか、メッシュをどれくらいの細かさにするのかということが論議をされて、現在の条例が議会で修正をされてできていると。国の事業であれ、それから県がやるものであれ、同じメッシュでかけて何の不都合もないというふうに思うのが、多くの県民だろうと思いますのでね。いわば、国がこう言うから、そこの部分と合わないと。だから条例本体をさわろうというのは論議が逆転しているんではないかと。もう先ほど知事が言われることに私は基本的には賛同するんですけれども、やっぱり条例というのをどういうふうに位置付けるかというところもあると思うんですが、その辺についてはどういうお考えでしょうか。
●知事
先ほども申しましたように、現代の地方自治にとって内部の情報を、持っている情報を明らかにすること、これは大切なことだと思うんです。行政は何のためにあるかといえば、住民の皆さまのためにあるわけです。
ここはうまくいっていないのが厚生省とかですね、いうところだったんだと思うんです。これほんとうにひどい話だと思いますし、きちんとですね、患者の方に対して、実際にその処置を受けた人に対して、フィブリノゲンについてですね、これは明確にお伝えをして早急に対応しなければならないと思いますが、ああいうことが何年もこう放置されてきているっていうのは、大変問題だと思います。
私ども行政は、それに対してもっと謙虚になるべきだというのが地方自治の新しい流れを形作ってきたんだと思いますし、だからこそ住民の皆さまにもですね、信頼を得てきたんだと思います。
情報公開条例も、以前の公文書公開条例という単なる技術的なものから、表現の自由の前提としての知る権利を明確にうたっている条例へと進化をしていったわけでありまして、この憲法とも言うべきものは私は今の鳥取県の条例の中で非常に重要視するべき条例だと思っていますので、この条例をですね、何か1つの事象があったから軽々に改めるというよりも、その原則に忠実にやっていくのが、執行するほうの責務ではないかなと思っております。
ですから、ちょっと私は今回のあれで、例えば7号を削除しようということとか、どっかつけ焼き刃でやろうというつもりはあんまり持たないんです。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
でも軽々に改めると言われましたけども、県の学力テストのときにはやっぱりあくまでも少数学級は守らなきゃいけないというので非開示規程を設けたわけですから、非常に側から見てると条例というのはそういう実情に応じてですね、必要に応じて改正できるというふうな印象、非常に受けているんですけれど。
●知事
ええ、それは議論を尽くして、あのときもですね、県議会で相当議論闘わされまして、その結果としてああいう条文が出てきたわけでありまして、これからですね、もしそういういろんな議論があって、その条例自体を直そうと。今、今日情報が来たんですか。今日開示をされるんですかね。開示というか情報が来たということから、今からスタートする話なんで、今後の県民の皆さまのご議論の行方には注目していきたいと思います。
ただいずれにせよ、開示、多分請求が出てくればですね、開示するかしないかという教育委員会のまず判断が出て、これ今の手続き上、止めるわけにも何もいかんもんです。それが不服あれば審議会にかかる。さらには訴訟という、こういう手続きを私は正当に踏んでいっていただいて、それを私どものほうはちょっと今回コミットできる立場じゃありませんので、拝見をしたいと。
ただ希望としてはできる限りですね、何かいろんな理論構成で、これは開示できないという厳密なものがあるにしても、せっかく県民が利用できる可能性がある情報なんで、工夫の余地はあるだろうと思ってますんで、教育委員会にはそうした対応をお願いしたいなと思っています。