結核が今なお勢力を保っている理由についてはいくつかの原因が考えられています。
(1)高齢者の発病
現在高齢者の方は若かりし頃、戦前・戦後間もないころの流行期を過ごされています。 その頃に感染しても、まだ体力・抵抗力もあったため発症せずそのままだったものが、高齢にいたって抵抗力が衰えたころ、体内で「冬眠」していた結核菌が活動しだし発症するケースがあります。
我が国の結核患者の特徴として、高齢者の占める割合が高いことが挙げられます。
(2)若年層への感染
一方若年層ではそういった結核の流行期を経験しておらず、このため結核に対する免疫が弱い人が多いと考えられています。
実際ここ数年の若年層のなかで結核にかかるひとの割合(罹患率)は他の年齢層では減少がみられるにもかかわらず横ばいとなっています。
(3)その他の要因
薬の効かない・効きにくい結核菌(薬剤耐性結核菌)が出現し、その菌にかかっている患者の 割合が増えています。
適切で継続的な服薬治療を行わない(中断してしまう)ことが要因のひとつとして考えられています。
また、現代の気密性の高い居住環境が他の要因と合わさって感染のリスクを高めているともいわれています。
こういった理由が主なものとして考えられています。
しかし、最大の理由は結核を過去のもの、自分とは関係のないものと思いこんでしまうところにあるのかもしれません。
本県の結核の罹患率は減少傾向にあるものの、毎年50名程度の結核患者が届け出されます。
令和2年は34人(速報値)の結核患者が届出されました。
結核の感染拡大を防ぐには、早期発見・早期治療が重要です。
結核検診の対象者となっている方は、必ず受診しましょう。
新規患者数の推移(PDF 126KB)
1)結核の予防・早期発見のための対策を充実強化するため、定期健診が見直されました。
入学時、就職時等の節目の時期に当たる方、高齢者やホームレス等の発病しやすい方及び教員や医療従事者等の二次感染を起こしやすい職業等に従事している方を対象とした定期健診(※1)となります。
実施
主体
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学校長
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刑務所、社会福祉施設(※2)の長
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事業者
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市町村
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受診者
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学生
高校、高等専門学校、短大、大学、専門学校、各種学校(修業年限が1年未満のものを除く)
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入所(収容)者
65歳以上(刑務所は20歳以上)
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従事者
学校、病院、診療所、助産所、老健施設、社会福祉施設
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居住者
1.65歳以上(市町村が必要と認める者)
2.結核の発生の状況、定期健診の結核患者の発見率その他の事情を勘案して特に必要と認める者
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時期
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入学年度に1回
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毎年度1回
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毎年度1回
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1.毎年度1回
2.市町村が定める時期
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2) 生後1歳までにBCGを接種しましょう(※3)
BCGは結核菌による感染を予防するために行います。
以前は生後4才未満の乳幼児を対象にツベルクリン反応検査(※4)をして、陰性が出た場合にBCGを接種していました。
現時は、乳幼児期の重症結核などを早期に予防するため、対象年齢が生後1歳までに引き下げられ、ツベルクリン検査は行わず、直接BCGを接種することになりました。
公費の対象となるのは、生後1歳までですので、注意をしてください(※5)。
※1:胸部X線間接撮影を中心とした年1回の健康診断(一般住民健診、学校健診、事業所健診、施設健診)
※2:救護施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、知的障害者更生施設、身体障害者療護施設、身体障害者福祉ホーム、身体障害者授産施設、知的障害者更生施設、知的障害者授産施設、知的障害者福祉ホーム、知的障害者通勤寮、婦人保護施設
※3:結核菌を弱めたワクチンの管針法(針が付いたスタンプを押し付ける少し痛い注射)による接種
※4:結核菌に対するアレルギー反応を利用し、体内に結核の免疫があるかを調べる検査
※5:接種時期等については、お住まいの市町村役場へお問い合わせください。
以下の機関にご相談ください。
東部地区:鳥取市保健所 電話:0857-30-8533 FAX: 0857-20-3962
中部地区:倉吉保健所 電話:0858-23-31450858-23-3145 FAX:0858-23-4803
西部地区:米子保健所 電話:0859-31-93170859-31-9317 FAX:0859-34-1392
県庁:感染症対策センター 電話:0857-26-78570857-26-7857 FAX:0857-26-8143