○中国新聞 土井誠一 記者
先週の北東アジアサミットなんですけれども、あらためてあの成果というか、意義を聞かせていただければと思うんですが。
●知事
北東アジア[地域国際交流・協力地方政府]サミットで、この日本海を挟んだ地域がやはり同じ環境問題を考えていることがよく理解できたと思います。共通理解として、黄砂の飛来という環境問題ですとか、あるいは水質とか海洋資源の問題など、共通理解を得られたことは大きな成果だったと思います。これから、取りあえず鳥取県が窓口となってやりたいと思いますが、その調査研究などから、一緒にできることに取り掛かっていくこととしておりまして、それを早速進めたいと思います。
併せて、環境と交流という交流のほうにつきましても2つ大きな成果があったと思いますが、1つは経済交流など、実質のある交流に我々は踏み出していこうという共通理解が得られたと、この点でも思っております。私どもとしては、航路だとか、米子-ソウル便の利用促進だとか、それについて他地域の協力を得られたと思っておりまして、これを私どもは活用させていただきたいと思います。先方は先方でこのそれぞれの経済交流からのベネフィットを受けることになりますので、Win-Win(ウィン・ウィン)の関係での国際交流ができつつあるかなと思っております。
あともう一つは、これは番外編でありますけれども、北東アジア[地域国際交流・協力地方政府]サミットの機会に江原道とかモンゴル中央県との友好交流について深めることができただろうと思っておりまして、この点も成果だったかなと思います。
○日本海新聞 小谷和之 記者
それに関連してなんですけども、江原道との、キム知事との会談で、キム知事と平井知事の間では、交流再開に向けてその話し合いの方向を、話し合っていく方向も確認されたということなんですが、キム知事は、やっと今、8合目ぐらいまで大体再開に向けてきていると。残りの2合目を鳥取県側でどうやって埋めていくのか、何が必要になってくるのかという部分と、あと、その会談の中で知事は、11月にも訪韓して最終的な決断をというような考えを持っておられるようなんですけど、その見通しなりについてお願いします。
●知事
私は、要は信頼関係が壊れたというのが今回の友好関係中断の原因だと思います。信頼関係を作り直すことが必要なんだろうと思います。そういう意味で、いろいろと我々としてできることを考えていこうというのが、8合目から上へ登る手順だと思っております。
一つは、このたび、これは全くプライベートで、私費で皆さん行くんですけども、私どもの副知事など江原道と縁のある人たち、向こうで職員として働いていたとか、そうしたメンバーであちらの大きなキムチの祭典にお伺いをしようということにしておりまして、この機会に、これはそういう意味で非公式とも言えるし、半分公式的かもしれませんが、あちらの行政副知事と会ってほしいということを副知事に申し上げております。
その際に、このたびの北東アジア[地域国際交流・協力地方政府]サミットでお互いに、話し合いで、皆さんもおられましたけども、あの二国間協議でお互いに確認し合ったことを、文書化といいますか、お手紙にしまして、お礼状といいますか、キム知事へのメッセージを伝えていただきたいと思っております。それがきっかけになるかどうかはまだ分かりません。そういうミッションを託したいなと思っています。
[県]議会のほうも鉄永議長が代表者会議を招集されて、その代表者会議でもこの方向性、北東アジア[地域国際交流・協力地方政府]サミットにおける、[鉄永]議長もキム・ジンソン知事と会談されておりますので、その成果に基づいた今後の展開について話し合われて。早速にも代表団を出そうかという方向なんだと思います。これもそういう意味で、道議会と県議会との関係回復につながっていけばなあと思います。
ただ、私は11月に実は会いたいなと、訪韓の機会も作れないかなと思っておりました。その時にキム・ジンソン知事と面談できないかなという思いを持っていたんですが、キム・ジンソン知事は外遊の予定が入っておりまして、ちょっと日程の調整が11月中はできそうもありません。ですから、11月の段階でお互い韓国でお会いするというのは、これはスケジュール上の問題として、できないかなと思っています。
ただ、できるだけ早く私は、お互いの熱したところが冷めやらぬうちに、鉄を熱いうちにうつということですね。早目にキム・ジンソン知事のほうでも、あちら側での合意を得る努力をぜひにしていただきたいなという気持ちです。私どももそのサポートをしていきたいと思います。
あと、赤碕町のほうも、私どもの北東アジア[地域国際交流・協力地方政府]サミットのレセプションをした時に、町長も来ておりまして、町長とはかねて、私も話をしておったこともあったのかもしれませんし、彼自身のインジェ郡とかウルチン郡との交流の思いもあったんだと思います。キム・ジンソン知事と、その場で赤碕の町長も話をされてます。あ、ごめんなさい、琴浦町。琴浦町の田中町長さん。
そういう意味で、琴浦町としても、これから事態の収拾に向けて、決まってしまったことは、決まってしまったこととして、ただ友好交流についてできることは、可能な限りやっていこうと。そういう何らかの解決策を彼らも模索するんではないかと思います。そうしたことも交流再開に向けての材料になってくるかなと思っております。
○日本海新聞 小谷和之 記者
キム知事は、いわゆる領土問題にからんで、知事であるとか議員であるとかが、キム知事の言葉で言えば、否定的な発言をしないというのが前提になるというメッセージを送っておられるんですけど。それを踏まえて県議会のほうも、竹島議員連盟はもう解散しましたよというのを、文書で残すかたちで、それを親書としてキム知事に送るようなんですけども。そういった約束手形というわけではないんでしょうけども、県側にも何かそれを求めているんではないかなという感じがするんですけども。
●知事
ですからこの間の二国間協議の時に、キム知事と私のほうで話をしました。私もかねて議会でも言っていることでありますけども、領土問題というのは本来、国と国との間できちんと解決をしていく必要がある問題ですと。地方団体の間で国境の確定はできませんので、これは地方団体間の議論ではないだろうと。国同士で話し合いをすべき課題であると。
我々はむしろ、江原道と鳥取県との日韓交流は、かつて日韓交流のお手本のように言われたことが失われているのは、大変に残念であると申し上げて、そうした地域と地域、人と人とが理解をし合う交流の重要性というものを、キム知事に理解をしてもらいたいと申し上げたわけであります。キム知事もそれに基本的に同意をされたと、私は思っております。
ですから、今回メッセージの中でも、キム知事のほうには、こうした領土問題については国と国との間で解決されるべき課題であると。そういう趣旨は、当然ながらこの間の会談を総括するものとして、盛り込んだメッセージとして持っていってもらおうと思っております。
○日本海新聞 小谷和之 記者
藤井副知事に。
●知事
藤井副知事に、はい。多分[県]議会側で用意されているものと、多分トーンは一緒だと思います、今のお話では。どうしても言葉の問題があるもんですから、ちょっと書き付けを作っておかないといけないかなと思っております。
○朝日新聞 井石栄司 記者
県財産の処分を検討されていて、早速崎津の住宅団地の処分をされていましたが、この段階で県財政にとってプラスになると判断された根拠についてお聞かせ願います。
●知事
今、正直な話を言って地方税で今年法人関係などを総括すれば10億以上の歳入欠損が出るのではないかと思っておったり、交付税が三位一体改革以後地方団体の総意に反して絞られてきている。これが現実であります。私どもはそういう意味で現金が手元に枯渇しつつある状況になっています。これは我々の団体に限らないと思います。そういう意味で負の遺産の整理もあえてしなければならないことはあるだろうと思っております。
崎津については、今、実は議会側に政調政審の場でご相談を始めさせていただいたところですが、このたび和牛全共が終わりまして和牛全共に伴って面的な整備をある程度しております。もちろん、住宅団地として完全なものかどうかというとそうでないかもしれませんが、少なくとも手入れはした状態になっていまして、近々消防関係の大会が開かれるのですが、その後は今の状態での空地になるということです。これをいつまでも抱えているのがいいのか、あるいは資産として現金化をすると。
もちろん、簿価と時価とは随分差があります。これは崎津に限りませんが、かつて造成したところは皆そういう状況に多かれ少なかれなっております。だからと言って、私は検討すらしないのは不誠実であると思いますので、崎津のように今住宅団地として売ろうと思ったら売れる状態になったところは世の中に打ち出していくということで、現金化を図るほうが手元の財政状況を考えると取りあえずベターな選択肢ではないかと思っております。
もう一つの選択肢はホールド、抱えておくという選択肢で、そのときにこれがもっと高い値段で売れるかどうかということになりますが、今ちょっとその見通しもないものですから、それだったら現金化をしていくというのも今の選択肢としては、手元の現金の状態からすると考えられるのではないかと思っております。同様のことは私はほかにもあるだろうと思っておりまして、遊休資産の検討処分については急ぐように部局のほうに申し上げております。
もう一つ例示すれば、例えば鳥取港の辺りですね。鳥取港の辺りも空き地があります。あれをあのまま私どもがホールドしておく、持っておくと。それでいずれ値上がりするかということで資産になるかという考え方もありますが、私は鳥取港は内貿をやっていますので、国内の航路がありますから、あれで入港することもできますし、また水産の基地でもありますので、その販売とか加工だとかそうした展開も考えられる立地だと思っております。
空き地で置いておくのであれば、むしろこれも現金化という考え方も含めて工業用地だとか商業用地とか、そうしたことで活用したほうが地域経済にとってもメリットがあるだろうと思います。こんな検討をそれぞれのところで始めてもらっているところであります。
○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者
おとといなんですけれども、鳥取環境大学の学生が鳥取県庁を脅迫した疑いで逮捕されたのですが、それについて一言。
●知事
非常に残念な事件であります。今回は私どもの採用に対する不満が高じて脅迫ということになったわけでありますが、実は今回[鳥取]西高の爆破予告の前から鳥取県庁に対する放火の予告とか、そういうものもございました。あるいは、ある特定の者に対する殺害をほのめかすような、そうした個人的に危害を加えるような脅迫もありました。そういう意味で、私どもは捜査当局とよく連絡を取り合いまして、これについて解決をしようとしていた矢先に、今回あろうことか罪のない高校生たちを恐怖に陥れるような爆破予告を行い、授業を妨害するという結果になったわけでありまして、誠に残念であります。
今回のようなことはぜひ無いように皆さんに意識を改めていただきたいなと思うのですが、私どものほうも今回採用の試験のやり方についてもし点検すべき点があれば点検しなければいけないかなという思いもあります。鳥取県の場合は、人事委員会が試験をしまして、そこで採用候補者の名簿を作ります。その名簿に基づいて、さらに任命権者のほうが面接をして採用、不採用という決定をすることになっておりまして、これは毎年のことでありますが、その段階で不採用もでます。
ですから、それを言葉を変えて言えば一次試験、二次試験、三次試験というように試験が分かれているようなものなのですが、これが分かりにくくて何か最後の段階で逆恨みされるような、そういう誤解を招くような点があったのかもしれないなと思います。その点は、試験のやり方は私どもも人事委員会の試験と任命権者の試験といわば融合させるような形で実施をしたほうが、こうしたたぐいの誤解を生じないかなと、そういう気持ちも持ちます。ちょっと点検はしてみたいとは思いますが、いずれにせよ、今回のは全く個人的な問題でありまして、誠に遺憾なことだと思います。