内閣府は、平成19年11月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、回復している。企業収益は、改善している。設備投資は、このところ弱い動きがみられるものの、基調として増加している。雇用情勢は、厳しさが残るなかで、このところ改善に足踏みがみられる。個人消費は、おおむね横ばいとなっている。住宅建設は、このところ減少している。輸出は、増加している。生産は、持ち直している。
先行きについては、企業部門の好調さが持続し、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、サブプライム住宅ローン問題を背景とする金融資本市場の変動や原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。
政府は、「経済財政改革の基本方針2007」に基づき、改革への取組を加速・深化する。
民間需要主導の持続的な成長を図るとともに、これと両立する安定的な物価上昇率を定着させるため、政府と日本銀行は、上記基本方針に示されたマクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、政策運営を行う。
(各論)
2007年7-9月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間住宅がマイナスに寄与したものの、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)、民間企業設備、民間最終消費支出がプラスに寄与したことから、前期比で0.6%増(年率2.6%増)となった(2四半期ぶりのプラス)。また、名目GDP成長率は前期比0.3%増となった(2四半期ぶりのプラス)。
消費・投資などの需要動向をみると、個人消費は、おおむね横ばいとなっている。設備投資は、このところ弱い動きがみられるものの、基調として増加している。住宅建設は、このところ減少している。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、増加している。輸入は、緩やかに減少している。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。
企業活動と雇用情勢をみると、鉱工業生産は、情報化関連生産財の在庫調整の進捗などを受けて、持ち直している。企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、大企業製造業では横ばいとなっているものの、全体としては慎重さがみられる。倒産件数は、緩やかな増加傾向にある。雇用情勢は、厳しさが残るなかで、このところ改善に足踏みがみられる。
物価と金融情勢をみると、国内企業物価は、素材価格の上昇により上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。なお、石油製品、その他特殊要因を除く消費者物価の前年比は、ゼロ近傍で推移している。株価は、16,800円(日経平均株価)台まで上昇した後、14,800円台まで下落している。対米ドル円ルートは、115円台から108円台まで円高方向で推移している。
需要面の個人消費では、大型小売店販売額(9月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(9月)、乗用車新車新規登録台数(10月)とも前年を下回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(10月)、用途別着工建築物工事金額(10月)は前年を上回り、公共工事請負金額(10月)は前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(9月、季節調整済)が電気機械工業等の減により61.8で前月比9.3%低下した。なお、大口需要電力実績(9月)のうち鉱工業は前年を上回った。
雇用面では、新規求人倍率(10月)は、1.04倍(前月差0.18ポイント低下、前年同月差0.11ポイント低下)であった。有効求人倍率(10月)は、0.76倍(前月差0.02ポイント低下、前年同月差0.01ポイント上昇)と9年8か月連続で1.0倍を割り込んでいる。
現金給与総額(9月)、所定外労働時間(9月)とも前年を上回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(9月)は、全店舗計では47億6,752万円となり、前年同月比8.4%減と2か月ぶりに前年を下回り、店舗調整後でも、前年同月比8.4%減(全国は前年同月比2.0%減)と2か月ぶりに前年を下回っている。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が18億3,047万円(前年同月比8.5%減)、スーパーが29億3,705万円(前年同月比8.3%減)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(9月)は、29億2,904万円(前年同月比3.6%減)と2か月ぶりに前年を下回った。内訳では、ホームセンターが17億2,514万円 (前年同月比0.4%減)、家電量販店販売額が12億390万円(前年同月比7.7%減)であった。
乗用車新車新規登録台数(10月)は、1,644台(前年同月比3.1%減)と3か月ぶりに前年を下回った。減少の内訳では、軽自動車の減少(前年同月比11.7%減)が大きかった。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(10月)は、258戸(前年同月比27.7%増)と5か月ぶりに前年を上回った。増加の内訳では、貸家の増加(前年同月比70.4%増)が大きかった。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(10月)は、48億9,500万円(前年同月比123.0%増)と5か月ぶりに前年を上回った。用途別では、卸売・小売業用(前年同月比1,679.3%増)等が前年を上回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(10月)は、92億2,800万円(前年同月比11.2%減)と4か月続いて前年を下回った。発注者別内訳では、県の減(前年同月比27.2%減)が大きな割合を占めた。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(9月)は、生産指数(季節調整済)が61.8となり前月比は9.3%低下、原指数は、61.6となり前年同月比では10.7%低下した。
内訳を前月比で見ると、電気機械が通信機械器具等の生産減により12.0%の低下、食料品・たばこが0.6%の上昇、一般機械が52.7%の低下、繊維が7.5%の上昇となっている。
在庫指数(季節調整済)は65.7と前月比7.5%の上昇となった。
【電力】
大口需要電力実績(9月)は、149,740千kWh(前年同月比3.7%増)と4か月ぶりに前年を上回り、鉱工業はパルプ・紙等が増加し6.7%増加した。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(10月)は、野菜が1,702t(前年同月比3.7%減)と2か月続いて前年を下回り、果実は1,002t(前年同月比6.8%減)と4か月続いて前年を下回った。
鳥取市場の青果物販売量(10月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が586tで市場全体に占める割合は34.4%(前年同月差9.1ポイント低下)、果実は284tで市場全体に占める割合は28.3%(前年同月差6.9ポイント低下)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(10月)は、12,785t(前年同月比17.0%減)と2か月ぶりに前年を下回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(10月)は、1.04倍(前月差0.18ポイント低下、前年同月差0.11ポイント低下)であった。なお、新規求人数(10月)は、4,372人で前年同月比0.9%の減であった。
有効求人倍率(10月)は、0.76倍(前月差0.02ポイント低下、前年同月差0.01ポイント上昇)と9年8か月連続で1.0倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(9月)は、253,653円(前年同月比1.5%増)と3か月続いて前年を上回った。そのうち、きまって支給する給与(9月)は、252,801円(前年同月比1.9%増)で4か月続いて前年を上回った。
【労働時間】
所定外労働時間(9月)は、9.5時間(前年同月比0.6%増)と4か月続いて前年を上回った。主力の製造業は15.1%減となった。〔産業別の前年同月比では、複合サービス事業(前年同月比162.0%増)等で前年を上回り、電気ガス水道業(前年同月比16.9%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(9月末)は、1兆8,785億円(前年同月比1.7%増)と13か月続いて前年を上回り、貸出金残高(9月末)は、1兆1,461億円(前年同月比1.7%減)と13か月続いて前年を下回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(9月)は、先行指数が7月37.5、8月50.0、9月50.0、一致指数が7月87.5、8月50.0、9月12.5、遅行指数7月20.0、8月80.0、9月80.0となった。
・ 企業倒産(10月)は、件数が11件で前年に比べて5件増加(前年同月比83.3%増)し、負債総額も56億6,600万円で前年に比べて45億3,000万円増加(前年同月比398.8%増)した。
・ 消費者物価指数(10月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、99.7(前月と同水準、前年同月と同水準)となった。
・ 鳥取県の推計人口(11月1日現在)599,911人で、前月と比べて81人(0.01%)増加し、前年同月と比べて4,083人(0.68%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成19年11月調査でみると、平成20年1~3月期は、前四半期(平成19年10~12月期)に比べると、景気、売上高、経常利益の全てがきわめて不調となる見通しとなっている。