●知事
どうも皆さん、おはようございます。本年最後の記者会見になりました。この1年間、皆さま方からいろいろとご理解、ご協力をいただきましたことを感謝申し上げたいと思いますし、この場をお借りしまして、県民の皆さまに対しまして県政発展にご尽力いただいたことを感謝申し上げたいと思います。
この1年でございますが、4月に就任以来、次世代改革推進本部を直ちに県庁の中で立ち上げまして、そして私ども県庁としての新しい時代をひらく事業の推進に努めてきたわけであります。おかげさまで一部、例えば子育て応援パスポートでありますとか、あるいは商工関係のステップアップ、あるいはスタートアップのファンドづくりだとか、トライアル使用とかですね、地域においてキャビネットを開催して商工関係者の意見を反映しましょうという、そういう取り組みだとか、また、学力向上のための委員会を立ち上げる、それぞれの分野で県庁として県政を一新をしていこう、新時代をひらいていこう、その取り組みが始まり、マニフェストに書かせていただいたことも、少しずつではありますけれども、実現に向けて動き出している、一部実現をしてきている、そんな状況かと思います。
ただ、来年にですね、残念ながら持ち越さざるを得ない課題もあるかなというのが率直な感想でありまして、特に自分として若干悔しいといいますか、残念といいますかですね、それは産業の振興に、雇用の確保に自分は全力を挙げるということでやってきているわけでありますけれども、いろいろな手は打ち、また、企業訪問も重ねてまいった次第でありますが、残念ながら有効求人倍率が上向いていないという現実であります。
これは経済のことでありますので、県庁としてできることは限られているのはもとよりでありますけれども、ただ、新年になってですね、私は全庁を挙げてこの地域の活力を高めるための、その施策に全力を挙げたいと思っています。新年早々、東京、名古屋、大阪の事務所長なども招集しまして、新たに企業誘致や県内企業の振興に向けた施策をやっていく、その議論を始めたいと思っています。これはもう1月4日にやろうかという話を今しているところであります。
そういう課題は残しましたけれども、初年としてまずまずのスタートは切れたかなというように考えております。特に韓国江原道のキム・ジンソン知事と友情を深め合う誓いを固めたことは、私にとっては思い出として大変大きなものでありましたし、併せて、北東アジアの地方政府サミットを行い、これからは実のある交流に全力を挙げていきましょうという合意を関係地域間で成したこと、環境にも取り組もうという合意を得たことは収穫であったかなと思っております。
アシアナ航空の問題も勃発はいたしましたが、12月は正直、搭乗率が思わしくないので心配もありますけれども、1月、2月、まずまずの出足になっております。そういう意味で、県域の方々、山陰の県域の方々のご理解を得ながら、このアシアナ航空の問題も8月末の危機から脱しつつあるかなと思います。これは年初にかけましてアシアナ航空側とさらに、この便の存続に向けた交渉をしていきたいというように考えております。
以上、年末にあたりましての簡単な所感を述べさせていただきました。
●知事
併せて、今ちょっと当面取り組んでいることをお話し、何点かさせていただきたいと思います。一つは、原油高高騰対策でありますが、昨日、第2回の県庁内のですね、連絡会議を開催をいたしました。その報告を夕べ受けまして、早速幾つか指示をしてあります。一つは、1月4日に窓口を開くにあたりまして、私どもの県の制度融資は明確に原油高対策に対応できるように、要項改正などをやっておくべきだということを申し上げました。この問題で非常に苦しんでいる方々が使いやすい制度にして窓口を開けるようにというような指示をさせていただいたところであります。
それからあと、非常に話題になっております灯油関係でございますが、今の状況は、市町村が検討開始をしております。市町村によってですね、取り組みがどうなるか、まだばらばらな感じがいたしますし、それぞれの思いがあります。例えばある町では、歳末助け合いの一環で、そのお金で灯油券を用意してはどうかと、そういう検討をしているところもありまして、スピーディーにやるにはそういう市町村の動きも歓迎したいと思います。
ただ、県としてどうするかということはですね、どうも昨日の会議の中でもすっきりしなかったようでありまして、今、担当部局のほうに年初にかけて検討するように指示をいたしておりますのは、例えば市町村がやる、少なくともですね、県が応援してもいいようなことがないだろうか。例えば生活保護世帯の方々のように、本当の意味で困窮していて、寒い中ですね、給油が急騰していることに苦しみを味わっている方を対象にして、それで価格差によるのか、あるいは灯油全額によるのか、その2分の1を県で助成をするとかですね、一定の市町村の事業を応援するような、一つのラインを引きながらですね、応援するような方策は県として検討すべきではないだろうかというように指示をしたところであります。
これは年末年始にかけて、もうついこの間、国のほうの施策が出たばかりなものですから、市町村側の対応もできていませんので、市町村の状況も把握してですね、2月補正になるのかと思いますが、これは検討を急ぐようにという話をしたところであります。
それから、C型肝炎の関係でありますが、いろいろ国のほうで動きもあり、福田総理が与野党できちんと話し合いをして法律を新たに出そうというように動きが出てきたことは、私は評価できようかと思います。患者の皆さま、苦しんでおられる方々の目線に立って、厚生労働省の立場ではなく、問題を解決をしようという姿勢は評価をしたいと思います。
そこで県として1月からですね、1月の年初早々から肝炎検査を無料で保健所で実施をするということに踏み切ろうと思います。国のほうの制度も活用させていただいて、保健所に心配な方、例えば「私は輸血を受けたんだけれども」とかですね、そういう方はお越しをいただきまして、保健所のほうで、負担金なしで県のほうで措置をさせていただき、検査をさせていただくということをしたいと思います。
先般も、県内で患者が何人とかですね、そういうデータも出されたわけでありますが、実は私ども県庁のほうで教えられている情報にはですね、どこの病院でだとか、どういう患者さんがという情報は我々に来ないものですから、よくわかりません。ですから、患者の皆さまですね、心配な方は自主的にぜひ検査を受けていただいて、それでその後の治療などにつなげていくというのがまず第一歩ではないかと思います。そういう意味で、今日明日しかありませんが、規則改正を行いまして、保健所で無料で肝炎検査が県民の方が受診できるように、これはさせていただきまして、1月から実施をしたいと思っております。
あと、昨日、三徳山の世界遺産の登録に向けまして再申請を文[部]科[学]省のほうに出させていただきました。ぜひ国におかれては、地域の意のあるところを酌んでいただき、お認めをいただきますようお願い申し上げたいと思いますし、併せて、ジオパークの集まりも昨日実施をされました。これは兵庫、京都と連携をしてやるわけでありますけれども、これもぜひ来年5月までに、国のほうで担当部局を決めていただく対応を取っていただきたいと思います。この両者の件につきましては、年末に上京させていただいた際に、渡海文[部]科[学]大臣のほうに、私のほうからも要望をさせていただいた次第であります。
こちらからは以上でございます。
○日本海新聞 小谷和之 記者(幹事社)
それでは各社、お願いします。
○朝日新聞 井石栄司 記者
ハローワークの問題なんですが、知事はかねがね鳥取版ハローワークというのをつくられるとおっしゃっているんですけれども、今のところ、いま一つその具体的な中身がわかっていないというところがあって、先般の国の予算措置を見ると、求職紹介とかそういうのに3人あてがって、自動検索機を5台設置するとか、そういうのが地域職業相談室という、今全国に80カ所ぐらいあるものと同じだと思うんですけれども、鳥取独自のものというのをそれに付け加えるお考えがあるのか、県として予算措置を取ってやっていくつもりがあるのかをお聞かせください。
●知事
私はまずですね、地元の境港市と八頭郡の町とで話をする必要があると思うんです。地域で残しておくべき機能は何なのか、その話をまずするのが先決問題だと思っておりまして、こちらの作業を今、事務的に始めているところであります。そこで出てきた考え方を基にですね、国から今回提示されている予算で措置したという部分とですね、併せて、鳥取県版ハローワークというものを開設をしてはどうかという考え方であります。
実は舛添[厚生労働]大臣のほうに年末お願いに行きました際に、ハローワークの廃止自体はひっくり返ることはなかったですけれども、そこで幾つか指示された中からですね、今回の措置が出てきているわけであります。例えば求人開拓員をですね、増員をするとか、それから3名の雇用の相談員を設けるというのも、これはほかの企画とはちょっと違うんじゃないかと思います。ちょっと分析してみなければいけません。そういう意味でですね、国は国なりに、ある程度、機能をですね、充実して、県全体としての雇用斡旋の能力を高められるように配慮をしているんではないかと思われます。その国の措置もですね、取り込みながら、県とか市町村と一緒につくっていくというスタイルではないかと思います。ちょっと手続き的に、どうしても越年して相談をするということになろうかと思います。
○山陰中央新報 今若靖男 記者
原油高対策について、先ほどおっしゃいました生活困窮者に対する灯油代の助成なんですけれども、これは国のほうがそういう仕組みをやるということで、今、市町村にやるのかやらないのか照会中ですが、先ほど知事がおっしゃいました、2月補正での検討をしてみたいというふうにおっしゃった内容については、これはまた国とは全然違う、県独自の仕組みとして、そういう灯油代の助成などをやりたいというようなお考えということなんでしょうか。
●知事
国のスキームで今、市町村に呼び掛けていることを前提としてですね、それと連動したかたちだと考えていただいたらいいと思います。北海道の方式はですね、市町村が行うのに道が助成をして支援をするというかたちになっています。だからそのタイプに近いと思っていただいていいかと思います。
ただ、どういう範囲でですね、県の助成の仕組みを作るか、対象者はどこまでに置くかとかですね、それから、補てんすべき範囲ですね。例えば価格が急騰していますので、その価格の差額分に着目をして、市町村が折半するとかですね、いろいろとやり方は本当にあると思いますので、その辺の詳細はですね、市町村のちょっと出方をまず見て考える必要があるかなと思っていまして。北海道型に近いやり方だと思っていただいたらいいと思います。
○山陰中央新報 今若靖男 記者
国が特別交付税で措置をして各市町村でやれたらどうかと言っていますが、その仕組みを活用しながら、県独自でどういう範囲に助成をすべきかを決めていかれるということですか。
●知事
そうですね。市町村が今考えようとしていますので、その最大公約数的といいますか、ここは最低限支えたほうがいいかなという部分に助成をするということだと思います。市町村によってはかなり広めに対象者を取りたいとかですね、これは今後の議論でばらつきが出るんじゃないかと見込んでいます。ですから、県の制度はこの範囲で作りましょうという立て方かなと思いますね。
○中国新聞 土井誠一 記者
原油高に関連して、民主党のほうが、どうも暫定税率を廃止しようかということになっているようですけれども、知事は道路というところで国に対しては訴えてきたと思うんですけれども、民主党の方針について、いかが考えますか。
●知事
私は、今回の、いろいろな考え方があるんだろうと思いますけれども、分析を深くしてみないと断定はできないかもしれませんが、民主党さんは、道路は造るけれども税率は減らすんだというロジックでありまして、その財源のところがはっきりしないと思うんです。私は、そこをきちんと明示していただかないとこんがらがるのではないか、混乱するのではないかと懸念をいたしております。
端的にいえばですね、今までも鳥取県を挙げてずっと運動を展開してまいりましたが、鳥取県は高速道路などのですね、道路整備の順番待ちをしてきた県であります。大都市部はハイウェイ網が整備をされ、そして私どもは取り残されて、地域間格差の原因になっているわけでありまして、ぜひともこれをですね、解消しなければならないわけであります。私どもの順番になってきたときにですね、道路に使うべき財源をバッサリ半減してしまおうというのが暫定税率の廃止ということでありまして、いささか手順として腑に落ちないわけであります。
ですから、冷静なですね、議論をしていただきまして、本当に必要な道路を造るとおっしゃるのであれば、それができる、しかも鳥取のようにハイウェイ網がいまだに整備されていないところに対してどうやってですね、暫定税率があるときのように道路整備をやっていくのか明示をしていただきたいと思います。
5 企業誘致についての課題と鳥取三洋電機への対応について
○NHK 三浦太一 記者
産業の振興についてなんですが、先ほども知事のお話がありましたけれども、企業誘致に対して知事はかなりトップセールスのほうも一生懸命やっていると思うんですが、鳥取県として企業誘致をする上でどういう点が今後課題となっているのか、足りないと思っているのかということと、あと鳥取三洋についてなんですが、雇用が確保されると言いましたが、具体策はまだ不透明なところもあります。県としての考え、対応について伺えますか。
●知事
まず企業誘致をする上で、我々のハンディキャップ、負っているのは、インフラストラクチャーなどですね、地域の利便性が欠けているという点が一つあると思います。ですから、骨格となるハイウェイ網をはじめとした整備は必要だと思いますし、あと、我々なりのメリットを逆に主張するとすれば、日本海側に面していることを逆手に取るという戦略だろうと思っていまして、境港から、航路がですね、使いやすくなるとか、そうしたメリットを今後も引き出していかないといけないかなと思います。
あと、私どものハンディキャップにどうしてもなってしまうのは財政力でありまして、大阪府や兵庫県はかなりのお金を使って誘致企業に対する助成をなし得るわけであります。我々は残念ながらそれだけの財布を持っていない実情にありまして、できる限りワンストップサービスなどで企業さんのメリットになるような交渉をしていくわけでありますけれども、ただ、それでもですね、限界があるわけであります。そういう意味で、私は国として産業再配置のための税制上の優遇措置、あるいは地方に対する立地を促進する助成措置などですね、国策として行うべき分野があるのではないかと思っております。
この点は、年明けて、他県と一緒にですね、これは一通り片付いた後ということになろうかと思いますが、予算も何も。来年度以降のですね、長期的課題になろうと思いますけれども、これは連携して訴えていく部隊を作っていきたいと思っております。それから、あともう一つ、何でしたっけ。
○NHK 三浦太一 記者
鳥取三洋。
●知事
すみません、鳥取三洋。失礼しました。鳥取三洋についてですね、私ども実は、この間の11月以来の情報があまり来ておりません。そこに持ってきて今、三洋本体のほうの決算問題が浮上していまして、これがどういうふうに影響するのか注視しているところであります。
いずれにいたしましても、鳥取三洋のほうでトップバリュー製品を作るとかですね、また従来から強みを持っていたカーナビゲーションなどの製品もございますので、あるいはそれに付随したさまざまなデバイスもあろうかと思います。鳥取三洋なりにこれから展開をされると、私どもは接触している感じでは思っておりますので、そうした鳥取三洋の取り組みを応援していきたいというところであります。
雇用が確保できるかの具体策というのは、われわれもちょっと三洋から聞いているわけではございませんが、三洋本体としても支えると言っていましたので、まずはそれを前提にして、鳥取三洋の取り組みの応援をしていく姿勢でおります。
○山陰中央新報 今若靖男 記者
知事の期末手当について、ちょっとお尋ねしたいんですけども。昨日、特別職の給与に関する有識者会議で、特別職の皆さんの期末手当は、一般職は0.2下がったんだけど、現状のままでいいんじゃないかというような意見が6人中5人を占めるという状況で、大勢を占めていましたけども。知事自身、現在のお考えで、具体的に何かお持ちだったら、どうあるべきだというふうに、お気持ちがあれば教えてほしいと思います。
●知事
本当に正直な話を申し上げれば、職員の皆さんの給料について、人事委員会の勧告も出ましたので、私はそれと合わせていくのが筋合いかなと思っておりました。ただ、たぶん片山[前知事]さんのころに、その給与の水準について、特別職の水準について、いろいろと精細な議論をして、セッティングがされたわけで、それに基づいて委員会の委員の皆さんが継続して今回、否定的な意見が多く出されているということではないかと思います。
まだ、その委員会の状況を詳細に聞いておりませんけれども。よく委員会の議論の内容をお伺いをしてみて、確かめてみまして、どうするか考えたいと思いますけれども。正直、白紙と思っていただいたほうがいいんじゃないかと思います。
○日本海新聞 村上俊夫 記者
有識者会議というのは、恒常的に行うものですか。そうではなくて、制度の設計にかかわるということで設けたものではなかったんですか。だから今回のような、期末手当どうするかというようなこともかかるということになると、もう毎年勧告が出たら、それに連動して有識者会議を開くというようなことは、何かおかしいなあと。そこまでやる必要性があるのかなと。基本設計にかかわる部分で、有識者会議を設けたのではないかと思うんですけども、それはどうですか。
●知事
実は今回、人事委員会の勧告が出まして、それで私自身が非常にこの点、きちんと考えなければならないと思ったもんですから。事務当局に特別職の給与の改定について検討をするように、実は申し上げたんですよ。そうしますと、今の給与の制度設計が議会側と、それから執行部側の特別職と、それぞれにこっちの執行部側であれば、有識者会議にかけて意見をもらって決めるという、そういう仕組みになっているということでありまして。これは恒常的に、そういう制度がビルトインされているんだそうです。
改めるとなると、これの議を経るということになるわけでありまして。今回それで、あの検討委員会が開催されたというのが真相であります。私のほうで、むしろ改めるべきではないかという考えを持って、それで検討委員会が、結果として開かれたということであります。
この仕組みがいいかどうか、ちょっと検討しなければならない課題があるかもしれませんけれども。第三者のご意見の中で決めていくほうが、本来かなという気もするんです。それはなぜなら、私ども自身、執行部のほうに予算の編成権もすべてあるわけでありますから。自分で決めて、自分で提出をするということではなくて。もちろん議会のチェックは受けるにいたしましても、その決める案について、外部の第三者の有識者の方のご意見を伺うのが筋合いかと思います。ですから、何らかのかたちで、そうした有識者の意見を聞くような場が必要だとは思います。
○日本海新聞 村上俊夫 記者
流れとしては、報酬審議会というのが昔あった。その条例廃止をして、有識者会議を作ったわけですよね。言われるようなことであるなら、報酬審を廃止する必要性がなかったんではないかと思います。そうじゃなくて、審議会のような、鉄筋コンクリートのようなかたちで答申されたら、ほとんど半強制的にそれを尊重せねばいかんというようなものではなくて、有識者会議というようなかたちで、この制度設計をしましょうということだったように思うんですよ。だから毎年連動してやるというようなことになるのなら、勧告と連動して、職員給与が上がった、下がった。それじゃ知事の毎年の給与をどうするかというような話になるということになると、ちょっとやっぱり違うのではないかなというふうに思いますけどね。
●知事
それは実は私が居ないときに、この有識者会議が設置されているもんで、ちょっとそこの経緯は申し訳ありませんが、分からないところがあります。確かめてみたいと思います。私もちょっとそれは、前のイメージがあったもんですから。大体その職員の給与が動きますと報酬審[議会]が開かれまして、連動して特別職も改定していくという、そういう流れだったもんですから、そういうものかなと思っていたんですけども。
今回、昨日開かれた有識者会議では、否定的な意見が出されたというふうにお伺いをしていまして。ちょっとそれは、まず議論の中身を点検してみたいと思いますし。それはそれとして、検討してどうするか、ということも考える必要があるかなと思っています。
○山陰中央新報 今若靖男 記者
知事さっき白紙と、こだわるようで申し訳ないですけど、白紙とおっしゃいましたけれども。要はまだ、いろんな選択肢があって、何がいい、これがいいというお考えはまだ持っておられないという状況だと思っていいわけですか。
●知事
そうですね。実は昨日の議論、一応点検しなければいけないと思いますんで。冬休みの宿題にさせていただいたほうがありがたいかなと思った次第であります。ただ、自分は正直なことをいえば、職員の給与が下がるのであれば、自分もその組織におる者として、同じ傷みを分かち合うべきではないかと思っていました。そういう気持ちは根っこにあるもんですから、昨日そういう検討委員会が開かれましたと、報道は拝見しましたけれども、実際はどんな議論だったのか、確認してみなければならないなと思っていたところです。
○山陰放送 山本収 記者
先ほどの鳥取県版ハローワークの件なんですが、それなりのスピード感を持ってやる必要があるということですが。知事の中でスケジュールというのは、どのような手順を考えていらっしゃいますか。
●知事
デッドラインは4月ですね。ですから、3月に現行のハローワークが廃止されますので、その4月に向けてということになるかと思います。実はこの間、正式にハローワークは廃止をするというのが出されたわけでありますが、それまで皆さんご案内のように、境港市も若桜町とかも、みなこぞって廃止撤回で、東京のほうに陳情していましたから。ちょっと時間が、そこから展開を変えていくには若干時間がかかるかと思います。
ただ年明けには、今担当部局の指示をしておりますのは、市長とそれから町長さんと話し合う場をセットしてくれと言っております。この場で鳥取県版ハローワークを実現するに当たって、必要な機能は何かというのを話し合ってみたいと。それを話し合った上で労働局と、こういうものが必要だけれども、国のほうは何が用意できるかと。おそらく舛添[厚生労働]大臣が提示したものは、われわれとしても盛り込んで大丈夫だと思うんですけども。
そのほか労働局側で協力できること、何があるかということも、これは話し合いというか交渉としてやっていく必要があるだろうと思います。その上で、国とそれから県・市町村一体となった鳥取県版ハローワークの姿を作り上げていきたいと思っています。ですから、1月中にはめどをつけたいと思っています。
○山陰中央新報 今若靖男 記者
ハローワークについては、今まであったものがなくなるという、マイナスからのスタートになってしまったことがあると思いますけども。県版ハローワークって、そのハローワークの代替機能ももちろんなんですが、むしろミスマッチの解消という部分が、鳥取県の雇用が抱えている課題の大きなものだと。そこが改善されないと、なかなか有効求人倍率にはね返っていかないし、もちろん産業振興にもつながっていかないと思うんですが。そういう機能、逆にこういった国の撤退をきっかけに、県版ハローワークに工夫を凝らして新しいものを生み出していくというようなお考えというものは、いかがでしょうか。
●知事
これは県版ハローワークに限らないと思うんです。今、機能が低下しているのは、求人開拓のほうですね。求人票が出てこないということであります。これはやっぱり労働局側のハローワーク側の人員が絞られてきたことが、背景にあると思うんです。その意味で私どもは、国のほうに年末に一連の要請活動をいたしましたけれども。ハローワークの廃止の撤回と併せて求人機能を向上するようにということを申し上げておりました。
この求人機能の向上を県全体でどうやって図っていくか。これは拠点がハローワークと違いまして、お客さん、それぞれの被用者の方というか、職を求めておられる方が、身近なところに出向くのとは違いまして、これは会社を回って協力を求めていくという作業になりますので、これは拠点がどこかに集約されてもいいのかなと思います。
それも織り込んだ上で、求人開拓機能を強化して、全県的な職業紹介が高まれば、これは有効求人倍率にもいい方向に作用してくると思います。ですから、そういう意味でその辺。きっと取り組みもハローワークと、それから旧来のハローワークの機能強化分とかを、これを合わせてどういう姿が描けるか。これを国側と協議をしていきたいと思っておるんです。
○読売新聞 北島夏記 記者
これはあくまでも構想で結構なんですけども、例えば県版ハローワークという場所をこちらに持ってこられる場合、費用の負担ですね。市町村への移行を図るということですが、市町村の負担も求めるようなものなのか。これは費用負担というかたちに。
●知事
先ほど、井石[朝日新聞記者]さんがおっしゃった国のスキームは、本来市町村の施設にそういう職業相談室を設けるっていうことなんです。ただこれが、私は現場にフィットするかなというのは若干疑問もありまして、例えば境港の市役所は非常に狭隘ですが、あの中に今、ハローワークがあるものを持ってくるということが、現実可能かどうかということはあります。
ですから、そこは私は国に柔軟にそうした助成制度といいますか、補助金みたいな制度なんですけども、それの適用は柔軟にしてもらって、その意味で鳥取県版ハローワークとでもいうべきものを、考えてもらえないだろうかということを申し上げておりました。
今回国のほうで提示されたのは、職業相談室の、既存の事業に似たようなスキームになっておりますけれども。それがそのまま本県に妥当するかどうかは、私は懐疑的に思ってます。ですから、市町村に無理無理場所を提供してもらって、費用を出してもらってというかたちがいいかどうかは、私は柔軟に考えられると思いますし、県の施設もないわけではありませんし。そこはまずは地元と話し合ってみたいと思います。
○日本海新聞 荒木隆宏 記者
いろいろ来年に向けて、予算とか必要なものがだいぶ増えていると思うんですけども。新年度予算の編成が進んでおると思うんですけども、知事が就任後の掲げられました借金を増やさない貯金を減らさないという、任期中ではあるんですけれども、初年度から新年度の予算編成に向けてプライマリーバランスを達成できるかどうかというのが一つのポイントではないかと思いますが、それについての見通しはどうでしょうか。
●知事
率直に申し上げて非常に厳しいものがあると正直思っています。なぜなら、人員削減をこれからやっていこうと思うのですが、それでスリム化を図って県庁の効率を高めることで財源を生み出していこうと考えておりますが、この効果は即効的でありません。
ですから、後年度で効果が出てくるわけでありまして、そういう意味では歳入と歳出の間でミスマッチがこの4年の任期を考えますと起こるんですね。ですから、初年度は特に予算編成の困難を抱え込みながらということになりそうだと今思っております。ですから、例えば財産売却収入とか、そういった負の遺産整理的なものだとか、いろいろと工夫をしてやりくりをしないといけないなと思っております。
とにかく、出口として4年を卒業する間に今以上に、300億を基金が切らないという目標を大事にしたいと思っておりますが、初年度でかなりぎりぎりのところまで落ち込んでしまう可能性は今の手銭の関係からするとありそうな気がしますね。それは、できるだけの工夫をしていきたいと思っています。
○朝日新聞 井石英司 記者
人員削減についてなんですが、この間の議会でも答弁されていらっしゃいましたが、500人減らして30億円という数字がぱっと出たのですが、来年度予算編成に向けてまず初年度に来年度に何人減らすのかっていうことと、今後4年間採用を抑制して達成していくにしても一律削減みたいなことを現場に押し付けたら、ハローワークの問題みたいな縮小再生産みたいなことになってしまうので、そろそろタイムスケジュールが必要な時期じゃないかと思うのですが、これはいつごろ示されるお考えなのか教えてください。
●知事
私は今大枠として5パーセントできればもっと上目にいけるようなぐらいを目指したいと思っています。今、具体的に事務局で議論をしております。私も間を行ったり来たりしながら議論をしておりますが、そういうやりとりは要は工夫をしていこうということであります。単に、各部局に何パーセント減らせという割付をしてやるということではなくて、仕事の上の重複があるのではないかと思われるところを勇断を持ってまとめてしまうとか。
それから、他県だとハイラーキが部長、次長、課長、課長補佐とはっきりしているものでありますが、ただ大きな県もあれば小さな県もあるわけでありまして、私どもは全国最小の県でありますから、その最小の県がフルセットでよそと同じ格好を付けなければいけないというわけではないだろうと思っています。ですから、そうした職階と関連するような見直しができないだろうかと、そこらを具体的に今1つ1つの組織について、丹念に精査しているところであります。
その積み上げの結果として来年度どういう組織になるかというのが出てきて、定員がはっきりしてくると思うのですが、分析的にやっていますので、ざくっと初年度で何人、次の年度で何人という姿にはなっておりません。
今年は、私が就任して間もないということもありますが、随分事務局のほうも混乱しているところもございまして、どうしてもいきなり難しいことがいっぱい出てくるものですから。私が厳しいということもあるかもしれませんけど、今年はまずとにかくやってみることで答えを出していきたいと思いますが、確かに来年度以降ある程度の目標値が定められれば定めてみたいと思います。
○朝日新聞 井石栄司 記者
精査はいつぐらいまでに終えられるというのは。
●知事
2月の予算案の段階でお示しをさせていただけると思います。
○朝日新聞 井石栄司 記者
人件費の抑制と表裏一体の関係にあるのが、正規の職員を減らして臨時の職員を増やすとか。そうなると、臨時の職員は物件費の方に入っていくと思うのですが、この間の答弁でも、物件費の増額というか、現状のままでいいのか、それとも減らすのか増やすのか。そういった方向性は物件費については。
●知事
今、同時並行でやっていますのは、臨時職員でおられる方々を非常勤職員という人件費に計上される職員のほうに振り替えようとしていまして、これがこの間の議会で取り上げられた点ですね。これも併せてやっていますので、従来よりは物件費よりは人件費に費目上は寄ったかたちになると思います。その上でもなお臨時職員の扱いの人もいますので、これは職種によりまして、そういう方々の分も予算の説明資料の中では臨時職員の経費はこのくらいありますよというのを付記させていただいて、分かりやすくしていきたいと思っています。
○朝日新聞 井石英司 記者
破たん状態にある、造林公社の関係なんですが、25日に滋賀県は調停に提出したということで、県のほうは国のほうに要望活動としていろいろ挙げてらっしゃったんですが、具体的なものは何も出てきていないというのが現状で、県として造林公社の個別に対処していくのか、それとも今の姿勢のまま国に頼って支援策を求めていくのかどちらでしょうか。
●知事
造林公社につきましては、まずひとつ申し上げなくてはならないのは、私は国策の失敗だと思っています。ですから、国のほうで滋賀県の嘉田知事も前回全国知事会のときに発言をされていまして、私も本当に同じ意見だなと思いながら聞いていたのですが、造林公社は国はあれは県がやったこと、そして公社という事業体がやったことという整理をされるんですけども、現実には全国に呼びかけてああした分収林の方式を取らせたわけであります。しかも、農林公庫のほうから貸し付ける金利が非常に高いのです。この高い金利が年々経費の増嵩を呼びまして、そしてにっちもさっちもいかなくなった公社があっちにもこっちにも出てきた。これは鳥取県1県の問題ではなくて、全国の問題であります。
これは、役所間の話なので今までクローズアップされて来なかったのですが、滋賀県が特定調停を求めるに至って表面化してきたわけでありまして、私はこの議論を国全体できちんと本来はやっていただきたいと思っております。ですから、国に対する要望の中でも入れましたけども、ここは国も非常にかたくなでしてなかなか動きません。
ただ、以前と比べて、我々も地道にずっとやってきていまして、以前ではなかったのですが、金利負担について交付税の措置が入るとか改善が若干ここ数年なされてきてはいるのですけども、抜本的な巨額債務の解消には至らないわけであります。なぜなら、木が売れないわけであります。そうした国全体の取り組みを求めたいというのがひとつあります。もうひとつですけれども、県としてこれは2度ほど改善のための動きをやってまいりました。それは、将来的な債務をできるだけ縮小していこうということでありまして、手入れのやり方とか、そうした経費について工夫できることを縮小してきましたし、また造林公社の組織自体も以前と比べますとほぼ無いに近いくらいの小さな組織に変えてしまっております。
それから、これは私が居なかったときでありますが、昨年度の予算編成過程の中で従来の資金を県からの貸付金に全面的に改めています。ですから、現在は他県でも同じ方式を取っているところもありますが、これ以上問題が大きくならないという止血の措置は県としてできたわけであります。
この次のステップをどうするかということでありますが、ここから先が非常に考慮がいるところだと思っておりまして、これを県有化して造林公社を廃止するという選択肢を採られた県もあります。しかし、それをやってみると造林公社の債務を県に付け替えただけで終わってしまって、逆に県のほうでそれをお守りする組織が必要になってしまう。これが果たして合理的なのかどうかということがあります。
ですから、私の考えとしては去年、今、止血措置を終えてやったところでありますので、現在の造林公社のスキームで当面は置いておいて片方で国に対して働きかけをやっていくということではないかと思います。期待しておりますのは、滋賀[県]の問題が発端になりまして、このことについての突破口が開かれればありがたいかなと思いますが、何せ各県とも額が多いものですから、困難な課題ではないかと思っております。
○日本海新聞 小谷和之 記者(幹事社)
そのほか、ございますでしょうか。ないようですので、以上で終わります。ありがとうございました。
●知事
どうぞ、よいお年を。ありがとうございました。