平成23年1月4日(火)午前9時45分から
特別会議室
皆さまにおかれましては、ご家族と共に健やかに、そして輝かしい新春をお迎えのことと心からお喜びを申し上げたいと存じます。ただ、挨拶を始めるにあたりまして、まずもってこの度の豪雪にあたり、尊い命を落とされました江府町のスキー場の4名のかた、それから、大山町のかたに対しまして、心から哀悼の意を表し、御冥福をお祈り申し上げたいと思います。大変な正月、年末年始となりました。ここの、実は最前列のかたがたとは、結構年始に会っておりまして、年末年始から対策を急いでやっておったということがございます。出勤された職員も少なからずおられたと思います。皆さんの大変なご苦労に対しまして、敬意を表したいと思います。昨日も、西部の方に行ってきまして、そして、漁船の状況だとか、それから、実際に潰れてしまいました畜舎の状況でありますとか、倒木が著しい国道431号ですとか、ずっと回って帰って来たところであります。
ただ、そういう中で実際にロータリーの除雪車を回しておられました中田さんという職員と出会いましたけども、年末年始出られたにも関わらず、そうした仕事に対する大変な誇りも感じられたわけでありまして、ぜひとも、この1年間、皆さまには一丸となって、県民と地域のためにこういう厳しい幕開けの年だからこそ努めていただきたいと思う次第であります。その雪の話は、後程またさせていただくにいたしまして、今年は鳥取県にとりまして未来の土台を作っていく、そういう年にしなればならないと思います。今年、大きな行事として海づくりの大会がございます。第31回全国豊かな海づくり大会が鳥取市の賀露港で10月30日に式典、放流が行われます。こちらのとりぎん文化会館でも式典が行われるわけでございます。前日からは、ふれあい交流行事が始まるわけでございます。
この全国豊かな海づくり大会は、今回、漁船の被害がございました。こういう水産業の厳しい状況に対して、それを激励をする、それを育てていこうという県民皆の誓いの場にもなろうかと思います。さらに鳥取県が誇るべき豊かな自然環境、この中から自然の恵みが生まれているわけであり、全国豊かな海づくり大会の、そのメッセージが込められていると思います。ですから、こうした誇り高い鳥取県の豊かな自然や食文化、食のみやことしてのありかたを全国の皆さまにPRをしていく、そういう絶好の機会になろうかと思います。この大会をぜひとも成功に導いていかなければならないと思います。この食の意味での土台づくりが、豊かな海づくり大会になろうかと思いますが、B級グルメ、あるいは農林水産業、農商工連携などを初めといたしました、そういう産業基盤にもつながってくるところだろうと思います。まずは、この大会の年であることを私たちは念頭に置かなければならないだろうと思います。
それから、今年は交通の面でも幾つか画期的なことが起ころうとしています。今月中にも、半ばぐらいになろうかと思いますが、倉吉駅の南北の自由通路が出来上がることになります。中部は1つというスローガンをよく言うわけでありますが、実際には倉吉方面とそれから南側とで分断をされている色彩もないわけではありませんでした。そういう意味で新しい中部の在り方を問う一石にもなろうかと思います。中部で言えば、北条-湯原道路という懸案がございました。年末の予算折衝の中で関金~倉吉西インターに至るまで、この間の事業化が認められたわけであります。いよいよ南北の動脈がつながることになりました。山陰自動車道と併せて考えていただければ、これで交通の要所としての鳥取県の在り方が変わってくるのではないかと思います。2月の末ないし3月の頭ぐらいになろうかと思いますが、東伯-中山道路も開通をすることになります。このように道路交通の面で飛躍的な年になろうかと思います。
空の便も米子ソウル便が10周年を迎えることになります。さらにその他の空路のことも念頭に置きながら拡充を図っていくべき年ではないかと思います。また、船の便のDBSクルーズフェリーもようやく軌道に乗り始める時期に差し掛かってまいります。会社側の説明では、この夏ごろにかけて、実際に採算の状況だとかをぜひ見てみたいというような話も伝えられてきているわけでございまして、勝負の年に入ってきているかなというような考えをもっております。このように、交通の面でも大きく土台づくりをしていくべき年だろうと思います。
また、人づくり、なかんずく、子育て王国を去年は宣言をしました。その実質を作っていかなければいけません。4月からは子どもの医療費の助成が中学生まで広がることになります。認定こども園もいよいよ4月には姿を現そうといたしております。懸案であります鳥取環境大学も越年をしましたが、現在アンケート調査を改めてやっておりまして、新しい大学の姿、高等教育の在り方をこの県内から発信をしていく、そういう年になろうかと思います。そのような、人づくりの面でも重要なターニングポイントを迎えているのではないかと思います。産業面でもターニングポイント、土台づくりであろうと思います。電気自動車の工場誘致に成功しましたけれども、年頭、その会社の関係者が新聞に寄せておられるメッセージの中で、いよいよ今年中には具体的にどういう車を作ろうとしているのか、その姿を県民の皆様に示すことができるのではないかというように語っておられます。それから、バイオフロンティア事業、これは鳥取大学の医学部で実施をしていますが、4月にはオープンに向けまして最終準備、建設作業が終盤を迎えております。新しい産業に向けて、テイクオフをする、そういう時期になります。
今、日本全体が産業構造、変わらなければなりませんので、その中で鳥取県は1つのモデルを作っていくべきだと思います。小さな鳥取県だからこそ、小回りを活かして、そういう産業挑戦をしていく時期にかかっていると思います。これは、農林水産業も含めてその在り方を問われる年だろうと思っています。政治上はTPPの議論が盛んになってきております。だからこそ、強い農林水産業を作っていかなければ、これから先の鳥取県の産業はなくなってしまうかもしれない。国に対しては、検討について、慎重な検討を求めるわけでありますが、それと併せて、我々でも基礎体力をしっかりとしていかなければならない年だろうというふうに考えております。こういうように、新しい未来の鳥取県を作っていくその土台を今年は形成をしていくことが、県民の負託に応える道であるというふうに信じます。ぜひ、職員の皆様にも、そうした時代のテーマを背負っている年だというふうに認識をしていただきまして、皆様の方でも、それぞれの職場、リードをしていただきたいというふうに思います。
今年、そういうわけで、舵を切っていくことになりますけれども、ゲゲゲの寅年が終わりまして、いよいよ因幡の白兎年が始まったわけであります。そういう意味で、鳥取の年が続いていけばなあと思います。去年は大フィーバーでした。370万人の人が境港にやってくるということがありました。これは境港だけではなくて、皆生温泉だとか、大山も含めて、賑わいを見せたそういう年でありました。そういう観光面では、賑わいづくりが、これから4月~6月にかけましてJRの重点キャンペーンが鳥取県東部で行なわれます。また、年末にかけまして、今度は西部の方でも、そういうキャンペーン話が始まってきておりますが、ともかく、こういう意味で兎というのを活かしていかなければならないんじゃないかなというふうに思うわけであります。
その兎でありますけれども、ゆく年くる年の中で白兎神社が取り上げられました。縁結びの神様だそうでありまして、まだ、この中にはどうもおられないと思いますが、まだご縁がないかたは、急いで白兎神社に行っていただきまして、ご縁を作っていただければと思いますが、そういう物語が鳥取県内で生まれようとしている年にもなっています。だからこそ、海づくりの祭典でも白うさぎ大使というテーマを我々は掲げました。両陛下がおそらくお見えになるこの秋、10月30日の秋に向けまして、こういう行事をする前に、県内でも白うさぎ大使と名付けられた、そういう子どもたちをはじめとしたボランティアの皆さんが顔を揃えるようになってほしいと、そういう願いを込めてこの運動を始めたわけであります。こういう白兎の伝承がある鳥取県、ぜひ、今年は皆様の力で、上方気流へと導いていただきたいというふうに思います。兎の上り坂という、そういう言葉があります。兎は前足と後足がありますけども、後足が非常にしっかりしています。だから、後足を蹴って、上り坂を上がっていく、それが得意であると、こういうことであります。
これは、よく地域について例えられる言葉でありまして、地域の特性、強みを活かして、それで、ターっと、こう上り坂を上がっていく。兎こそ鳥取県のシンボルだと思いますので、今年はそういう兎の上り坂の年にして、県民と一緒にこの鳥取県を良い方向へ、強い方向へと導いていきたいと思います。地政学的な特性がある、環日本海時代を担うには鳥取県はいいポジションにある。あるいは、農林水産業を初めとしたしっかりとした自然を基軸にした産業基盤がある。美しい自然やそれから健康産業に相応しいような、そういう地盤がある。子育てをしようと思えば、例えば保育所の数だとか、それから医療の体制だとか、他県に劣らないものを持っている。こういうことを活かして、そして上り坂を上がる兎に鳥取県がなっていただきたいと、そういう念願をこの元旦に込めさせていただきました。
ただ、残念ながら、今、経済の足元は非常に厳しい状況があります。だからこそ、気を抜かないで県庁も一丸となって地域の信頼に応えていかなければなりません。そして、当面急がれることは雪害対策だろうというふうに思います。12月30日に境港の方で行事がございました。ゲゲゲのふるさと鳥取県の感謝を込めまして、私も参列をさせていただきました感謝祭がございました。その席上、マイクを通して私も1つ申し上げたんですけども、実はその日は、境港はもうすでに雪が降り始めておりまして、米子の方から来ますと、あの辺だけ雪が結構降っているんですね、しっかり路面にも雪がついておりました。今日は、このゲゲゲの感謝祭で境港の皆さんが鬼太郎だとか、ねこ娘だとか、いろんな妖怪に招待状を出された。ただ雪女まで呼んでしまったんでこんなことになったというふうに申し上げましたら、その後、雪女が居心地が良かったみたいでして、年末年始大変なことになりました。
最初は、風情かなと思っておりましたけども、大晦日の頃から、これはどうも様子がおかしいということになりまして、実は、職員の皆様、限定的に集めさせていただきましたが、大晦日の午後5時に招集をかけさせていただき、警戒態勢を敷き始めたところでありました。その後、雪の足は止みませんで、1月ずっと降り続きました。今ほども、岩美町のかたが来られておられましたけれども、岩美は田後の方に船を止めておられるかたもおられます。そんなわけで、その中に巻き込まれて沈んだ船も出たということでございました。県下で260隻を上回ってくると思います。そういう漁船が沈んでしまった正月を迎えた、そういう人たちを思いやっていただきたいと思います。地域として、これから活力を出していくためにも、この雪害対策、全身全霊を捧げてやっていく必要がございます。
農林水産業の制御対策もありますし、まだ米子市内では5割程しか雪がかけていないというふうに言われています。昨日は市役所が堪りかねて市民にすら除雪を呼び掛けたというふうに伺いました。そんなような正月でございますけれども、これをぜひ跳ね返していかなければなりません。正月三ヶ日も毎日のように対策に当たってきたわけであります。ただ、その1日1日、越えるごとに結果も出てくるのが地域づくりの私たちの持ち味なんだろうというふうに信じます。例えば、始まった大渋滞ですね、1月、正月1日、なんとかお正月らしい正月にしなければならない。とにかくカタをつけようやということで、本来は国の方の河川国道事務所が所管をする国道9号ではありますけども、県やあるいは自衛隊にもお願いをしました。それから、地元の町も協力をしていただきまして、渋滞を解消しようとしました。福島か鳥取かと、雪深いところだというふうに誤解をされております。そんなことはないんでありますけども、ただ、そういう状況になってしまったので、これをぜひ解消しなければならない、地域を挙げてやりました。
最初は自衛隊に声を掛けて、なかなか出動するのが大変で、結局4時頃になりました。夜半前から準備はしていたんですけども、実際に動き出せたのはそういうことになりましたけれども、そうやってだんだんと歯車が噛み合ってきます。中には、赤碕のあるかたに電話をしました。これからうちの奥さんが炊き出しに出るんですって言うんですね。これが山陰の良いところだなと思います。寒さに震えているんじゃないかという人たちが目の前におられれば、自分たちは炊き出しをやってでもこの人たちを助けたいというのが、山陰の良さではないかと思いました。そうして、まずは渋滞が解消され、それから県内の県道全部、雪掻きが昨日終わってくるというような状況になってきたり、被害の状況も1日1日分かってきて対策を考える、そういう時期に入ってくる。1日1日が大切だというのが地域づくり、我々が抱えるテーマだと思います。一日一生、内村鑑三は言いました。1日を疎かにすることはあってはならないと、1日は大切な一生だと、尊い一生であるというふうに言うんですね。1日は尊い一生であると。これを我々の仕事にも当てはまるのではないかと思います。
内村鑑三によれば、1日の仕事を始める朝から始まると、それで、朝の心、初心を大切にして1日をしっかりと努める、それが毎日毎日、続くことで一生が輝くのであると、こういうように言うんです。我々の鳥取県、決して大きな県ではありません。この度の人口調査でも大きく前年を下回ってくるという傾向が続いておりまして、かつて60万県民と言われていたところの影も薄れ始めています。そういう小さな鳥取県ですけども、1日1日を大切にして、そして真摯に地域の現場の課題、住民の抱えている未来に対して向き合っていくことで、我々は鳥取県を変えることができると思います。ぜひ、職員の皆さんにはその機知となっていただきたいと思います。住民の皆様と手を携えてこの1年を良い1年にすること、それを1日1日の輝きの中から、生み出していくことで、そして鳥取県の未来を切り開く土台づくりの年にしていただきたいと思います。
皆様にはぜひ、そうした仕事のことばかり申し上げましたけども、楽しい1年にもしていただきたいと思います。ご家族も大切でありますし、地域の暮らしも大切であります。なかんずく心の問題も含めた健康も大切であります。そうしたところにも、幹部の皆様には目を配っていただきまして、職員みんながこの1年、明るい1年だったなと振り返るように、最後にはしていただきたいと思う次第でございます。皆様の輝かしいこの年となりますよう、心からお祈りを申し上げ、ご家族共々健やかな暮らしがあらんことをお祈り申し上げまして、私の方からの訓示とさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いします。