内閣府は、平成20年2月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、このところ回復が緩やかになっている。企業収益は、改善に足踏みがみられる。設備投資は、緩やかに増加している。雇用情勢は、厳しさが残るなかで、改善に足踏みがみられる。個人消費は、おおむね横ばいとなっている。住宅建設は、持ち直しの動きがみられるものの、依然として低い水準にある。輸出は、緩やかに増加している。生産は、増勢が鈍化している。
先行きについては、設備投資や輸出が増加基調で推移し、緩やかな景気回復が続くと期待される。ただし、サブプライム住宅ローン問題を背景とするアメリカ経済の減速や金融資本市場の変動、原油価格の動向等から、景気の下振れリスクが高まっていることに留意する必要がある。
政府は、「日本経済の進路と戦略」と「経済財政改革の基本方針2007」を一体として、改革を推進する。平成19年度補正予算等の着実な実施を図る。
中小企業を巡る経営環境が厳しくなっていることにかんがみ、政府は、2月20日に「年度末に向けた中小企業対策について」を取りまとめた。
民間需要主導の持続的な成長を図るとともに、これと両立する安定的な物価上昇率を定着させるため、政府と日本銀行は、上記基本方針に示されたマクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、政策運営を行う。
(各論)
2007年10-12月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間住宅がマイナスに寄与したものの、民間設備投資、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)がプラスに寄与したことなどから、前期比で0.9%増(年率3.7%増)となった(2四半期連続のプラス)。また、名目GDP成長率は前期比で0.3%増となった(2四半期連続のプラス)。
消費・投資などの需要動向をみると、個人消費は、おおむね横ばいとなっている。設備投資は、緩やかに増加している。住宅建設は、持ち直しの動きがみられるものの、依然として低い水準にある。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、緩やかに増加している。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、減少している。
企業活動と雇用情勢をみると、鉱工業生産は、情報化関連生産財などを中心に、増勢が鈍化している。企業収益は、改善に足踏みがみられる。また、企業の業況判断は、慎重さがみられる。倒産件数は、緩やかな増加傾向にある。雇用情勢は、厳しさが残るなかで、改善に足踏みがみられる。
物価と金融情勢をみると、国内企業物価は、素材価格の上昇により上昇している。消費者物価は、このところ石油製品を中心に上昇しているが、基調としてはわずかな上昇にとどまっている。株価(日経平均株価)は、12,500円台まで下落した後、13,800円台まで上昇し、その後13,300円台で推移している。長期金利は、1.3%台前半まで低下した後、1.4%台後半まで上昇し、その後1.4%台前半で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(12月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(12月)は前年を上回り、乗用車新車新規登録台数(1月)は前年を下回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(12月)は前年を上回ったが、用途別着工建築物工事金額(12月)、公共工事請負金額(12月)は前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(12月、季節調整済)が一般機械工業等の増により81.2で前月比13.6%上昇した。また、大口需要電力実績(12月)のうち鉱工業は前年を上回った。
雇用面では、新規求人倍率(1月)は、1.12倍(前月差0.10ポイント低下、前年同月と同水準)であった。有効求人倍率(1月)は、0.73倍(前月差0.01ポイント上昇、前年同月差0.02ポイント低下)と9年11か月連続で1.0倍を割り込んでいる。
現金給与総額(12月)、所定外労働時間(12月)とも前年を下回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(12月)は、全店舗計では68億2,368万円となり、前年同月比2.7%減と2か月続いて前年を下回り、店舗調整後でも、前年同月比2.7%減(全国は前年同月比1.5%減)と2か月続いて前年を下回っている。
なお、全店舗計の内訳では、百貨店が28億6,610万円(前年同月比6.8%減)、スーパーが39億5,758万円(前年同月比0.4%増)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(12月)は、46億7,900万円(前年同月比0.2%増)と3か月続いて前年を上回った。内訳では、ホームセンターが24億4,494万円 (前年同月比5.0%減)、家電量販店販売額が22億3,406万円(前年同月比6.5%増)であった。
乗用車新車新規登録台数(1月)は、1,330台(前年同月比5.1%減)と4か月続いて前年を下回った。減少の内訳では、小型車の減少(前年同月比11.3%減)が大きかった。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(1月)は、213戸(前年同月比8.7%増)と2か月続いて前年を上回った。増加の内訳では、貸家の増加(前年同月比22.7%増)が大きかった。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(1月)は、7億2,806万円(前年同月比39.5%減)と3か月続いて前年を下回った。用途別では、医療、福祉用(前年同月比76.3%減)等が前年を下回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(1月)は、55億4,900万円(前年同月比3.9%減)と7か月続いて前年を下回った。発注者別内訳では、市町村の減(前年同月比60.1%減)が大きな割合を占めた。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(12月)は、生産指数(季節調整済)が81.2となり前月比は13.6%上昇、原指数は、83.5となり前年同月比では7.7%上昇した。
内訳を前月比で見ると、電気機械が民生用電気機械器具等の生産増により6.3%の上昇、食料品・たばこが4.4%の低下、一般機械が199.4%の上昇、繊維が6.2%の上昇となっている。
在庫指数(季節調整済)は61.9と前月比4.7%の上昇となった。
【電力】
大口需要電力実績(12月)は、142,444千kWh(前年同月比0.9%増)と4か月続いて前年を上回り、鉱工業は機械等が増加し2.0%増加した。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(1月)は、野菜が1,225t(前年同月比3.9%増)と2か月ぶりに前年を下回り、果実は695t(前年同月比1.5%増)と3か月続いて前年を上回った。
鳥取市場の青果物販売量(1月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が454tで市場全体に占める割合は37.1%(前年同月差2.9ポイント低下)、果実は23tで市場全体に占める割合は3.3%(前年同月差0.6ポイント低下)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(1月)は、5,657t(前年同月比56.1%減)と4か月続いて前年を下回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(1月)は、1.12倍(前月差0.10ポイント低下、前年同月と同水準)であった。なお、新規求人数(1月)は、4,146人で前年同月比1.6%の減であった。
有効求人倍率(1月)は、0.73倍(前月差0.01ポイント上昇、前年同月差0.02ポイント低下)と9年11か月連続で1.0倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(12月)は、551,403円(前年同月比3.7%減)と6か月ぶりに前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与(12月)は、252,044円(前年同月比1.3%増)で7か月続いて前年を上回った。
【労働時間】
所定外労働時間(12月)は、9.8時間(前年同月比1.5%減)と7か月ぶりに前年を下回った。主力の製造業は11.8%減となった。〔産業別の前年同月比では、情報通信業(前年同月比75.9%増)等で前年を上回り、医療、福祉(前年同月比29.7%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(12月末)は、1兆8,919億円(前年同月比2.1%増)と16か月続いて前年を上回り、貸出金残高(12月末)は、1兆1,543億円(前年同月比0.4%減)と16か月続いて前年を下回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(12月)は、先行指数が10月50.0、11月37.5、12月50.0、一致指数が10月62.5、11月75.0、12月75.0、遅行指数が10月80.0、11月60.0、12月60.0となった。
・ 企業倒産(1月)は、件数が5件で前年同月と同数、負債総額は9億6,200万円で前年に比べて5億2,700万円増加(前年同月比121.1%増)した。
・ 消費者物価指数(1月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、100.1(前月比0.3%下落、前年同月比0.9%上昇)となった。
・ 鳥取県の推計人口(2月1日現在)598,961人で、前月と比べて413人(0.07%)減少し、前年同月と比べて4,257人(0.71%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成20年2月調査でみると、平成20年4~6月期は、前四半期(平成20年1~3月期)に比べると、景気、経常利益は不調となり、売上高はやや不調となる見通しとなっている。