●知事
皆さん、おはようございます。まず、先般の中国の四川[省]におきます大地震に対しまして、被災をされた方々、亡くなられた方々、御家族に対し、心よりの哀悼の意を表したいと思います。
この件につきまして、発災当初から国を通じて、県として御協力ができることがあるだろうか問い合わせをしてきておりましたけれども、今のところ人的支援についてはお断りを国全体でいただいているという状態であります。ただ、これからも被災した、鳥取県西部地震の経験をした地域としてお役に立てることがあれば協力をしていこうという姿勢でおります。
●知事
災害に関連して先般来、鳥のインフルエンザが注目をされるようになってきました。青森[県]、十和田[湖]のところとか、それから北海道で白鳥が死んでいるのが発見され、それの原因が[高病原性]インフルエンザであるということが判明をいたしております。H5N1型という非常に毒性が高いものであり、将来の新型インフルエンザにも発展していく可能性のあるウイルスというふうに分析をされているところであります。
ただ、あれ自体はオオハクチョウのことでございまして、私どもの鳥取県に来るのはコハクチョウの方でございますから種類は違いますし、おそらく大方の渡り鳥はロシア方面へ帰っているはずでございますので、ですから、これ以上拡大するおそれは小さいのではないかと言われてはおります。
ただ、念のため私どももやるべきことはあるだろうということで、県内のすべての養鶏場を調査をいたしました。 100[ヵ所]足らずの養鶏場でありますが、すべて問題はありません。それから県内で野鳥の不審な死の問い合わせもありましたけれども、すべて調査をいたしましたが、これらは、このインフルエンザによるものではないということも判明をいたしております。
ただ、農家の皆様、養鶏業者の皆様と話し合いをさせていただきまして、県下の95の養鶏場できょうから昨日まで石灰を私どもの方で入荷をさせていただきまして配付をさせていただいております。きょうから5月いっぱいで念のための防疫措置を各養鶏場でとることにさせていただいております。そういう意味で、鳥取県の養鶏については安心していただきたいということを広く全国の皆様にも申し上げておきたいと思います。
●知事
それから、新型インフルエンザでございますが、今、パンデミックの恐怖が世界中を覆うようになってきております。海外では鳥から人へのインフルエンザの感染が報告をされてくるようになりました。ちょうど海の向こう側の韓国の方でも発生をしているわけでございまして、我々も無縁ではないと思います。
その意味で、鳥取県として、この新型インフルエンザに対する対策を早める必要があるだろうと考えておりまして、先般来、昨年度からかなり巻き直したといいますか、ねじを巻いて職員の皆さんに呼びかけて、現在はマニュアルを作成しております。
まだ今現在も作成中でありますが、明日の新型インフルエンザの対策本部でこれを協議をさせていただき、とりあえずは暫定的にもスタートをさせてもらおうと思っています。そして夏にはそれに基づく訓練を行ったり、我々としてマニュアルは一たん作りますけども、問題点があれば、だんだんと進化させていくということで対応していきたいと思います。
正直申し上げて、新型インフルエンザ対策は国全体として、またどこの地域をとっても万全ではあり得ないわけであります。これは新しい病気でありますから、それに対する対処に時間もかかりますし、あるいは新型インフルエンザのウイルスを使ったワクチンが作製をされたとしても、それが十分行き渡るものでもありません。
ですから、住民の皆さんと一緒になって、新型インフルエンザにかからないということを目指さなければなりませんし、それと対応して、社会的機能が低下をするということになりますので、その社会的機能低下対策というのも鍵になってくるんだろうと思います。
どれをとっても完全にこれで安心ということにはならないわけでありまして、住民の皆様が手洗いだとかうがいを心がけていただくとか、情報が出ているときはむやみな外出をしないとか、また、これはちょっとおかしいなと、異常があるというときは指定された発熱の外来に行っていただいて適切に診断を受けてもらうということが大切であります。
そうやって拡大を封じ込めることがこれの残された唯一の道ではないかと思っています。そういう意味で、住民の皆様にも広くこの問題を知っていただく必要があると考えまして、早目に暫定的であってもマニュアルをまず作ることからスタートしなければならないと考えた次第でございます。
●知事
昨日、国土交通省から私どもの方に連絡が来ました。道路の整備につきまして[地方]道路整備臨時交付金の内示がありました。あわせて補助金についても追加内示がありました。その結果は、[地方道路]臨時整備交付金の方は92億円の県に対する内示であります。これは予定していた、我々の方で要望していたものから10億[円]強欠けるものではありますけれども、かわりに補助金の方が10億[円]弱増えて内示がされております。
おおむねそちらの方に交付金から補助金の方に振りかわっておりまして、今来ていないのは岩美道路、新しい事業採択が必要な道路、これが大体1億円分ぐらいございます。そのほか若干でございまして、感想としては、予想以上に国が私どもの鳥取県の地方の道路整備に配慮してくれたという感触を持っております。
国トータルでは91%台ぐらいの、今回の内示状況ではないかと思うんですが、我々はそれで95%以上の額の内示が来ておりますので、そういう意味では、私どもがこれまで山陰地方の道路整備の必要性を訴えてきたことが、国としても受けとめてもらって配慮してもらった、そんな内示になったかなと思っております。
残された課題はということになりますと、これは国の直轄の方の事業がまず一つだと思います。山陰自動車道は、まだ9割方ぐらいしか来ていないわけでございます。これ以上の追加、よほどのことがないと難しい状況かもしれませんが、ただ、明年度以降、我々としてもこの山陰自動車道の整備は続いてまいりますので、早期の進捗を今年度のうちからもきちんと、もし追加できるなら追加してくれということも含めて、訴えかけていく必要があるだろうと思っております。
それから、新規の事業採択箇所が今回、完全に取り残されております。その意味で、青谷-瑞穂間の山陰自動車道路、それから地域高規格道路で兵庫県の但馬へ抜けていく岩美道路、この両路線の採択を働きかけていかなければならないだろうと思っております。これについての判断は今年の問題でありますので、これはきちんと展開していかなければならない運動になってくるだろうと思っております。
いずれにいたしましても、再三申し上げていますように、今、私はスタート台だと思います。これで国の道路財源の大方について、今年の全体像は示されたと思います。それから地方に対する配慮の中身もわかったと思います。それで地方に対する配慮の方は、今、4月分の穴が空いたところの補てん措置が、まだ議論として残っておりますけども、これ以外のところはおおむね、当県としては満足できる水準にほぼなってきた。
問題は、全国的に見て整備水準が随分遅れているハイウエーのところ、このところを他の地域と一緒になって働きかけていかなければならない、これが残された課題であろうかと思います。
●知事
それからあと、6月に近畿の知事会が予定をされていると伺っております。私どもなりにこれから鳥取自動車道や、それから東浜居組道路という近畿側との動脈がつながろうとしておりますので、近畿の中、近畿というか、グレーター近畿の中の鳥取県ということを位置づけとして広く認めてもらう必要があるんじゃないか、近畿の知事会にも加入したいと働きかけをしております。事務的にも今、調整が最終段階まで進みつつあると伺っております。ぜひ加入を認めていただきたいと今はお願いをしているところであります。
これと関連して、先日、副知事の藤井の方で、私ちょっと出席できなかったもんですから行ってもらいましたけども、近畿の地方の整備計画のヒアリングといいますか、協議を地方団体と国[土]交[通]省を交えてやった[第4回近畿圏広域計画検討]会議へ出席をさせていただきました。そこで関[西]経[済]連[合会]の方の会長さんの方からも、グレーター近畿という考え方が大切ではないかと、鳥取県なども含めて、単に近畿地方整備局の管内ではなくて、広い近畿の中で、グレーター近畿の中でこれからの発展方向を考えるべきではないかという発言が出てきたり、それから隣県の兵庫県の方から境港の必要性、これも近畿の港ということで、近畿との関連性で考えるべき港であると、その整備も重要だという認識が示されたりしております。
私どもの鳥取県からも、もちろん北東アジアゲートウエー構想を披露させていただきまして、県内の港、鳥取港もございますし境港もございますし、そういうものを近畿側でも、グレーター近畿の中で北東アジアへのゲートウエー、あるいは物流の拠点として考えるべきという主張をさせていただきました。福井県も出席をされていたわけでありまして、そうした広い近畿という考え方を示されたと伺っております。
こういうように、兵庫[県]の知事さんの発言など、私も大歓迎いたしたいと思います。これからは自立した地域同士が相互に緊密に結ばれていく、有機体として対外的に結びついていく、それが大切な発展の可能性の軸ではないかと思っております。その意味でようやっとまた別の見方が近畿との関連性の中で生まれつつある、これが近畿各県の中でも理解され始めたということは、私は評価をさせていただきたいと考えております。
近畿との結びつきの中では鉄道という軸もあります。これについては智頭急行が今通っているわけでございまして、その智頭急行の取締役会が近々開かれますけども、私が会社の方に申し上げておりますのは、その沿線の一帯の発展可能性、観光客の誘客だとか、そういうことにてこ入れといいますか、十分な力を注ぎながら、さらに現場に密着した智頭急行の経営もやるべきではないか。
ですから、今、鳥取市内にある本社機能を智頭急行のまさに沿線といいますか、起点であります智頭の方へ移転すべきではないかと、こういうことを今、会社側の方に申し上げております。これに賛同されておられる地域の方々もかなり多いと伺っております。いろんな意味で道路の整備があり、あるいは鉄道の機能の充実ですとか近畿側とのパイプづくりを発展させていく必要があるだろうと認識をいたしております。私の方からは以上です。
○日本経済新聞 斉藤徹弥 記者(幹事社)
各社、質問をどうぞ。
○日本海新聞 荒木隆宏 記者
一連の道路関係の騒動といいますか、一応決着がついたということなんですけども、この一連の騒動を振り返っての感想をお願いします。
●知事
私は、大いに国会の皆様には今回の推移を反省をしていただきたいと率直に思います。ちょうどシーソーをこぎ合っているような感じだったと思います。ばたんと参議院側の重しの方に振れてみて、ぐうっと世の中が傾いてしまう。さらに今度は与党側の重しの方に傾いてしまう。こうやってシーソーをぎっこんばったんとお互いに意地を張ってやっているわけでありますが、そのシーソーの上に我々の地域が立たされてしまって、右へよろよろ、左へよろよろとさせられてしまったというのは、政治の効率性からして本来は全く非効率な状況ではなかったかと思います。
本来は決めるべきときに結論を出してもらいたかったし、3月の末までに決着をしてもらいたかったと今でも思っています。ですから、3月の末に私と同志の若手の知事で集まりまして緊急にアピールをさせていただきました一番の目的というのは、与野党の協議を調えて、暫定税率問題だとか、あるいは一般財源化の問題だとか、いろんなテーマがあって国論が分かれているのは、それはみんなわかっているわけでありまして、それを国会という政治の統合機能を働かせて与野党間で協議をして決めるべきとき、すなわち3月の31日という、会社でいえば納期のときまでに決めてもらいたいと、このことを訴えかけていたわけでありますが、それが納期に納品ができずに漫然と4月の方に徒過をしてしまって、その影響でガソリン代が乱高下をするだとか、また道路についても、空ける必要があったのかどうかという穴が確かに空いているのも事実でありますので、そういう意味で今回の展開は今後の糧としていただきたいと思います。
今、後期高齢者医療について改めて別のイシューでの協議が始まるわけでありますし、一般財源化の具体的なあり方は、これは相当大問題だと思います。一般財源化の話は地方の財源にももちろん関わりますし、それから消費税などの新しい税体系にも関わってくる話でありますし、単なる社会資本整備だけでなくて、福祉や教育やら環境問題やら、そうした他の施策とも一体として考えなければならないことであります。
非常に奥の深い問題でありますが、この一般財源化の問題を上手に仕上げていただく必要があるんではないかと思います。目の前に選挙がちらつくからということで、肝心の国民生活の方をおざなりにしていただきたくないというのが現場の側の意見として申し上げたいことであります。
それから今回、最終的な内示まで参りまして一応の区切りになりましたが、当県として訴えかけてきたことの意味は、それ相当に受けとめていただいたのではないかと手ごたえも持ちました。特にきのうの地方道路関係の内示状況は、私たちにとっては十分満足のいく内容だと言って差し支えないぐらいです。
ただ、新規事業の問題だとかございます。この辺は残された課題ではありますけども、それ以外のところは想像以上によかった、覚悟していた以上にはよかったと思います。これは全国一律ではおそらくなくて、全体が、パイが減っていますので、我々のところと比較すると割を食わされたなという地域があるのではないかと推測をするんです。
それはそうした傾斜をつけていただいたのは、山陰の道路に対する理解が政府側で進んだからだろうと私は思っております。ですから、これまでの私たちの運動は一定の成果をおさめることができたかなと思っております。
ただ、第3点として申し上げれば、道半ばといいますか、今は山でいったらまだまだ3合目ぐらいだろうと思います。地方道路財源を確保しなければならないという国民的コンセンサスが生まれたこと自体は歓迎したいと思いますけども、国全体として、国の責任でどういうハイウエーネットワークを構築すべきか、今つながっていないことで地域間格差に悩んでいる地域に対してきちんとした思いやりのある手当てを国家全体の戦略として考えることができるかどうか、これがこれからの本当のテーマではないか、山陰としてはそういうものが大切ではないかと思っております。このことは、これからの大きな課題として残されただろうと思います。
一連の騒動はありましたけれども、私どもとしては、もう後は粛々と今やれることをきちんと着実にこなしながら、今回内示のありました河原インター線とか、そういうものをやったりいたしまして、地域の皆様の願いを丹念にかなえていくこと、これに邁進をしていきたいと思いますし、国全体でのアピールも他の地域と連携してやっていきたいと思います。
○読売新聞 北島夏記 記者
道路の課題解消についてですが、今、道半ばとおっしゃいましたけれども、全国的にネットワークがつながっていない道路を構築する重要性、これは重ねてずっと主張されていますが、なかなか都心部に住む、大都市圏に住むかたからすると、その実感がわかないというのが感じてらっしゃると思うんですが、今までどおりの、例えば地方の知事と協力するとか、その重要性をたくさん訴えるという手法でいくのか、逆に何か新しい訴えの方法というのを、知事としてのアイデアってありますでしょうか。
●知事
これは、これからタイミングがあると思うんです。次の山は恐らく6月の一般財源化についての骨太の方針を決めるときじゃないかと思います。この山は、道路の選別まではおそらくは進まないのではないかと思います。さらに次の山は秋に道路についてのBバイCといいますか、事業効果を国の方で再調査をして公表する段階が出てきます。このときに道路整備計画を改めてまとめ直すわけでございまして、これが当面の最大の山になってくるかなと思います。
その後、予算編成の段階になってきて、さらに予算が成立するかどうか、またこれと関連した法律があれば衆議院、参議院、両方可決されるような形で通っていくかどうか、こういうように順番に節目が出てくると思います。その節目に向けまして、当面は秋が大きな山かなと思いますが、関係の地域と糾合して訴えかけをしていくことが私は大切ではないかと思うんです。
正直申し上げて、前、宮崎[県]の東国原知事とも話をしましたけども、この辺になってくると、全国知事会で簡単に一本にまとまれるということにはなかなかならないかもしれません。ある意味、大きくまとまれることはあります。例えば地方の道路財源を増やしましょう、拡大しましょうという、このフレーズにおいては、我々はまとまり得ると思います。
国の一般財源とするのであれば、地方側の一般財源にする、あるいは地方側の一般財源で道路にも使えるようなものを増やして実質上は担保をする、この辺は、おそらくは全国知事会とか全国市長会とか、全体的にまとまり得ることだろうとは思うんですけども、ただ、結局個々の道路整備でいきますと、進んでいる地域と遅れている地域の差が余りにも歴然としていますので、簡単にそこが一致するものではないだろうと思います。
ですから、全国的に見ると決して多数派ではない私どものような整備の遅れた地域で手をつないで声を上げること、これがないと忘れられてしまうと思いますので、私はこれで地道に訴えかけをしていくことが必要だろうと思います。
その対象は国民の皆様一般でありますし、なかんずくこれは納税者でいらっしゃいますし、今回の道路財源の騒動をごらんいただければ、納税者の皆様がこんな道路に使うのかという怒りがあった。あるいはマッサージチェアとか、そういう怒りがあってこういう展開になってきたわけでありますから、こういうところはせめて夢をかなえてもらわんといかんとか、そこの理解を得ることが大切だと思いますので、広く、例えばメディアを通じてだとか、訴えかけるようなやり方を工夫しなければいけないと思います。
また、従来どおりのやり方かもしれませんが、与党とか野党の国会議員の皆さんだとか、それから政府側に対する働きかけとか、これも節目がありますので、その節目を大切にしながら運動を展開していくことが必要だと思っています。島根[県]の溝口知事とは、恐らくこの点では全く一致できるところだと思いますし、同じ道路を抱えているわけでございますから、つながった道路、ですからそうしたところとの連携とか、いろいろとこのテーマでは戦っていく同志はあるだろうと思っています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
一般財源化の問題について、消費税の問題を先ほど知事も触れられたんですが、端的にお伺いして、消費税を上げてこの道路財源なりを賄うということに知事は賛成なのでしょうか、反対なのでしょうか。大体消費税を1%上げれば2兆 6,000億円と伺っているんで、ほぼ暫定税率と同じ率になるんじゃないかと思うんですけれども。
●知事
消費税を上げるときは、私、今、問題設定がちょっと違うかなと思いますのは、消費税を上げるときは、これは道路財源という問題ではないと思います。それこそ真の限りなくその言葉どおりの一般財源の世界になってくると思います。それを確保して、それを教育だとか道路だとか、そういうものに振り向けていく。国の方の道路予算編成もその一つになり、それから地方の方も道路にどれだけ投資をするかというのも、その一つの項目になるということではないかと思います。
現在言われているのは、一般財源化の中身をどうするかで福田総理[大臣]がいろんな人から、いろんな閣僚から福祉に使ってくれとかいろいろ言われて、引く手あまただなみたいなことをおっしゃっておられますけれども、それは現在、仮にある暫定税率が存続した姿で現在の法律は一応動いていますので、これを前提とした話だと思うんです。
ただ、本来は道路のユーザーと自動車との関係を考えれば、この暫定税率の水準をいかに動かすべきか、この議論が、ここから本当は出てくるんだろうと思いますし、おそらくそうなるだろうと思いますね。その税率をどうするか。税率は、じゃあ道路財源の税率とするのか、あるいは環境目的なんかも加えるのか、そういう意味でガソリンのユーザーから理解を得たものにしていこうということだと思うんですが、その税率の操作があると思います。
この税率の操作をしますと、かなり財政的には大きな揺れが生じます。これとあわせて、これから国家モデルを考えなきゃいけないと思うんですけど、少子化対策だとか、それから高齢者の健やかな長寿社会の実現だとか、そうした医療・福祉関係やら何やら、手を打つべきところがまだほかにも本当は潜在的にあるわけでありまして、例えて言えば北ヨーロッパ型といいますか、ある程度の負担をしながら、そして行政側のサービスも拡大をしていくという選択肢もあるんだろうと思うんです。
ですから、そういうことを同時に議論しながら、じゃあ国民全体の負担のやり方は消費税でこう、所得税でこう、それからガソリン関係税でこうということを再セットしなきゃいけないんだと思うんです。これを12月の年末の税制改正の時期までに議論しようじゃないかというのが真っ当な流れだと思います。これは私は否定すべきことでもないですし、むしろやらなければならない議論だと思っています。その意味で消費税も当然視野に入った議論になってくるだろうという観測を申し上げたわけでございます。
私は、今の財政は国も地方も非常に窮屈な状態であって、借金が増えてきてしまっています。問題なのは、今回の騒動で道路財源がへこんだわけでありますが、その余波で国、地方を通じた財政赤字は確実に拡大してしまったわけでありまして、長い財政改革の流れの中では逆行する動きに今なってしまっているという恨みが残されたと思うんです。
ですから、ここらでもっと中・長期的な視野というのをもう一度やってみて、年金の話だとかいろいろ出ていますので、税制体系をどういうふうに組むべきか、これを出発点、スタート台からもう一度議論し直さなければいけないんだと思うんです。
我が国の税体系の構造は、他国と比べて非常に特殊な構造に今なってきていると思います。低負担ということがありまして、その割に日本人の感性として非常に優しい、ある意味優しいんですよ。ですから思いやりというのも大切にしようということでありますので、サービスの方は非常に増大圧力が高いと思うんです。
アメリカのように割り切りが激しいところ、小泉[元総理大臣]さんの構造改革もそういう時代だったかもしれませんけども、割り切りがきちんとできるといいますか、もうお金がかかるんだったらやめようやということで、結構多くの人が納得をするという社会であれば、低福祉、低負担の国家像は描けるかと思うんですが、今の日本はやや無理して低福祉、低負担の水準にいるんじゃないかなと思います。ですから、私は税体系全体の見直しに踏み込まなければならない時期に差しかかっているんじゃないかと申し上げたわけです。
○山陰中央新報 太田満明 記者
それは、消費税を上げても仕方がないということですか。
●知事
それは当然選択肢の中に入り得ると思います。ただ、それは全体の負担の問題ですよね。消費税が上がるとあわせて、例えばガソリン税が下がるとか、いろんなことが全部セットで来るんだろうと思うんです。それでさらに賦課された財源部分は、例えば我々でいえば30人学級の充実みたいなところに国としても責任を持って充てようとか、そういうことになってこなければならないのではないかなと思いますね。
○日本経済新聞 斉藤徹弥 記者
その場合、必ずしも暫定税率というふうにする必要はないとお考えですか。
●知事
そうですね。その場合はすべてスタート台からということではないか、もうノーサイドになるんだと思います。一たん今の議論といいますか、制度は終息をさせて、もう一度試合を始めるということではないかと思いますね。
もう一言だけ補足させてもらえば、財政改革努力を否定するものではありません。道路の59兆円をこのまま維持しろということであれば、おっしゃるように暫定税率を堅持しないと回らんじゃないかという議論になるかと思うんですが、私はここは、この際見直すべきものだろうと思います。
そのときに私どものような道路の必要性のことの議論だとか、また高速道路を造るコストのことも考えていただきたいと思います。非常に高コストな道路もあれば、低コストで比較的効率よく延長が延びる道路もある、このことも考慮に入れていただきたいと思います。
○日本海新聞 河崎誠 記者
話は変わるんですけども、中国地震の関係を冒頭おっしゃられてましたけども、県内から中国に進出されている企業というのは沿岸部の立地が多くて、直接的な被害はなかったようなんですけども、二次的あるいは三次的に県の経済であるとか企業、県民生活に与える影響というのはどのようにとらえているんですか。
●知事
これは、正直まだわからない未知数の分野です。今回、発災以後、県の関係者のかたで被災されたかたがおられるかどうか、私どもとしていろんなチャネルを通じて確認をしましたが、今のところ確認はされていません。ですから直接の人的被害にはつながっていないわけであります。ただ、経済的にあそこは日本企業で自動車系列ですとか、いろんな会社が出ているところでありまして、それが県内企業に波及する可能性は否定できないとは思います。
ただ、幸い本当の意味の関連企業というか、上海だとか蘇州に拠点を持つような企業さんおられますけども、あちらで県内と取引の深いところが操業しているという状況ではありませんので、そこの特別な対策の必要性までは、まだ感じていません。限定的ではないかと思いますね、県内への影響は。
○山陰放送 山本収 記者
近畿知事会の関係ですけれども、これに加入することによって、具体的にどういうメリットがあるというふうにお考えですか。
●知事
私は、今、新しい動脈としての鳥取自動車道や鳥取豊岡宮津自動車道ができる、これは往来がすごく容易になるわけであります。人や物の流れが確立をされることになるだろうと思います。これで経済的だとか、あるいは観光などの人の行き来で一体感が従来よりも格段に強まってくるだろうと、これはもう避けて通れないといいますか、私たちの歴史の流れだと思うんですね。
その上で、じゃあ経済的に結びつきをどう求めていこうか、観光ルートの設定だとか、共同してやっていけることもあるんじゃないか。視野を今までの中国地方でずっと西側とだけつながっていて一つの圏域を作っていたという私たちのイメージを変えなければならないんだと思うんです。もっと東側の方と一つになったこういう世界観も持たなければならないだろうと思います。
今、具体的にはKUと呼んでいるんですけど、関西ユニットですかね、関西の共同体を経済界と自治体とで構成をしています。ここが事業をいろいろ持っていまして、経済的には会社間のマッチング機能だとか、それから広域で観光開拓をしようじゃないかと、一緒になってグレーター近畿でよそに売り込もうじゃないかとか、こういう事業に入ろうとしておりまして、この辺は私どもはメリットがあるのではないかと期待をいたしております。
まだ加入できていないので、これからどういうことになってくるかというのは、いろんな面があるとは思うんですけども、我々としては、つながることは、もうこれは歴史の必然でありますので、それを生かす地域努力につなげるために近畿との一体感もあわせて作り上げる必要があるだろうと考えております。
○読売新聞 北島夏記 記者
関連してなんですが、これまでなぜ関西の、近畿の知事会とのつながりが逆に言うと薄かったのかという疑問があるんですが、それに加えて、KUに加わるといっても大阪、神戸、京都といった大都市と一緒になることで、逆に鳥取がかすんでしまわないか、それ相応の負担、金額的な負担、人的な負担もあると思うんですが、それに見合った効果というのは果たしてあるんでしょうか。
●知事
これは、まず今までなぜ進まなかったかは、やはり地勢的な問題だったと思います。近畿から通って因幡の国あるいは伯耆の国というのは山を越えて向こう側に行くと。気候も雪が降ったりしますし、それから川は北に向かって流れるという、非常に京阪神の人にとってはおもしろい話なわけです。そういう何か異質性をこれまで感じてきたんだと思いますし、現に、確かに道路も狭いですし、つながっているようなつながっていないような感じだったと思います。
しかし、高規格の道路が結ばれるということになりますと、従来の因美線に加えて動脈がきちんと走るということになりますので、私たちはだからそういう意味で断面に今いるんだと思うんです、時代が変わりつつあると。それをとらえて行動を起こす必要があるんじゃないかというのが今回のことであります。
京都だとか神戸だとか大阪といった大きな経済圏と我々とが一緒になることで、それでメリットは果たしてあるだろうか、デメリットもあるんじゃないかと。これはおっしゃるとおりだと思います。ただ、それがストロー効果と言われるような効果が生じる可能性は当然あるわけでありますけども、道路がつながれば、これは当然生まれてしまうわけですね。
だから、ここのところでただ漫然と私たちは手をこまねいているわけではなくて、むしろグレーター近畿の中に鳥取県が存在するようになったんですよと、存在感を私どもでもきちんとアピールをして、鳥取だったらば、例えばこういう技術を持った企業さんがありますよ、また皆さんはあまり知らないでしょうけども、岩ガキというおいしいものがこの5月の末ぐらいから出てきますよ、ハタハタも実は獲れるんですよ、おいしい食べ物、無農薬の野菜だとかもたくさん作っていて、道路ができれば素早く持っていけるようになりますよ、こういうアピールも我々の方でできると思うんです。
関西の人たちは結構ドライですから、おいしいものだとか、これはいいというものにはきちんと反応する面もありますので、私は結びついていって、我々も我々としての地歩をグレーター近畿の中で、もう道路がつながる以上は確立していく方が得策で、メリットも出てくるんではないかと思います。
ただ漫然と経済圏が広がって近畿の辺境になってしまうというのを座して待っているよりは、打って出て私たちの主張すべきは主張したり、メリットになり得ることを模索して、例えば企業であればあちらとの商談をやるとか、その機会にKUというものを活用できるんではないかと考えているわけです。
○朝日新聞 井石栄司 記者
毎週お聞きして申しわけないんですけども、境港のフェリーの進捗はあったんでしょうか。それと、進捗がなくてコンソーシアムの見直しができていなくても、旅客ターミナル等の建設は影響はないんでしょうか。
●知事
先週から目立った進捗があるとは、ちょっとあえて言える状況じゃないと思います。ただ、DBSクルーズフェリー側での出資を集める動きとか、ある程度具体化をしてきています。ただ、それが完成形になっていないのが現段階だと思っております。その出資の組みかえに応じて会社としての役員構成もかわる可能性が今出ているんではないかと我々は見ております。
他方で、船の調達などの就航準備の作業も、これは進みつつあると思っています。一時的に船を動かす関係で、とりあえず傭船をするとか、そういうことも視野に入れて検討が始まっているというようにも伺っています。ただ、その際、今おっしゃった、私どものバース、仮設のフェリーターミナルを建設するかどうかについてでありますが、これはもう少し私たちも判断の時間が要るのかなと思っています。
一定のめどが立てば、そこで設計を取りまとめて着工するということだろうと我々も考えているんですけども、例えば一時的に傭船をしてテスト的にでもやってみようかというふうな動きになった場合には、現在の港湾施設で対応してしまうと、現状の施設の中で対応できるというところも出てくると思いますので、そこは今後の見極めが必要だろうと思います。
もう一度申し上げれば、先週から目立った進捗があるわけではありませんけれども、コンソーシアムの再構成について、資金の動きが出始めていますし、船の調達など具体的な就航準備も進展はしてきているということであります。ただ、完成形にはまだなっていないので、我々は期待を込めて見守っているということです。
○山陰中央新報 太田満明 記者
コンソーシアムについて、この話が出た一番最初で同じことを質問して、きっぱり否定されたんですけども、もし鳥取県にコンソーシアム参加みたいなことの話があった場合に、それがなければできないというふうなことが言われてきた場合に、県としては参加する、参加というような余地は出てくるんでしょうか。
●知事
今はそういうような御要請をいただいているわけではありませんし、私どもに直接そういう働きかけをしようというおつもりまではないんではないかと思います。多分DBSクルーズフェリー側は、我々が精力的に動いて民間の皆さんも呼応して新しい経済交流の促進協議会を立ち上げられたことなどを非常に評価をされていまして、そうした民間の皆さんと一緒に自分たちもロシアに販路開拓といいますか、ポートセールスに行かなきゃいけないんじゃないかと考え始めているぐらいでありまして、ある意味評価をしてくださっているんだと思うんですね。
ですから、直接的な資金の出資というところの御要請はありません。ただ、もちろん他の例を見れば、北東アジアフェリーと言われる江原道が資本参画しているような例もないわけではないですけども、今は御要請はないんで、そこまで考えておりません。
ただ、韓国の会社だけで構成するかどうか、日本側の会社も参加してもらえんだろうかとか、その辺の気持ちは、そこは否定できないと思いますね。これは海をまたいだ航路でありますので、いろんな国が寄り集まるような出資体制も先方には視野に入っているだろうとは思います。
○日本海テレビ 山尾義己 記者
地震の話に戻るんですが、先ほど中国の方の支援の準備もあるというお話がありましたが、具体的にはどういうことをされているんですか。
●知事
例えばDMAT(ディーマット)[災害派遣医療チーム]に参画している医師がいるとか、あるいは本来は国際消防の協力隊の方でやるわけでありますけども、手が足りないからさらに広げようとか、そういうことになってくれば、我々も早急に人選をして送り出すということを考えたいと思っていたんですけども、どうもこれは本当にちょっと不可解なんですが、中国側が今、本当は人手が欲しいと思いますし、例えばヘリコプターが飛んでいってやれることはいっぱいあると思うんですが、人の受け入れを拒否をされているというのが実情でありますので、我々も今は推移を見守らさせていただいて、いつでも御要請があれば対応しようじゃないかという確認をしているという段階です。ですから具体的に何を出そうかというところまでなかなかいかないです。
新潟[県]のときは、直接電話をして新潟[県]の泉田知事と話し合ったんで、これやりましょうってぱっと決められたんですけども、今回はちょっと国情が違いますので、それができていないということです。
○日本海テレビ 山尾義己 記者
国内でいろいろ大きな地震が起きていますし、また県内でも起きないとは限らないわけですが、その辺の体制というのは、県としてはどういうふうに認識を持ってらっしゃいますか。
●知事
私どもは、前回も新潟[県]の中越沖地震のときに参りましたけれども、県庁の中にもボランティアとしての応援隊を作っています。初動のボランティアなどの供給能力は持っていると思いますし、これは民間の輸送会社と一緒になりまして、あちらもボランティアで出ていくというようなことができますし、また消防のヘリコプターによる消防隊ですとか、派遣の糸口はいろいろあるんです。
そういうのは積極的にやっていかなきゃならないと思います。それは災害を経験した県としての、そのときにいただいた御恩に対する御奉公だと思いますので、このことは考えるべきだと思いますが、今回はちょっと残念ながら国情の違いから受け入れられていないということです。
○日本海テレビ 山尾義己 記者
何か県内でまた起きた場合の初動の体制というのは万全であるというふうな認識を持ってらっしゃいますか。
●知事
県内ですか。
○日本海テレビ 山尾義己 記者
はい。
●知事
それはもちろん訓練をきちんとやっていかなければならないと思います。私は今、急に近畿だとか中部で大地震が起こる可能性が取りざたされるようになりましたけれども、ああいう、本当に今、トラフが動くような、プレート型の大地震だけでなくて直下型で限定的に被害が拡大するような、そういうタイプの災害は県内でも否定できないと思います。
その意味で我々の方も、行政側の準備も例えば備蓄だとか、そういうことをしっかりやっていきますけども、これからは民間の方の皆さんが安全・安心を自分たちの手で作り上げるという、そういう防災のまちづくり、防災の地域づくりの取り組みが必要だと思います。
消防団の組織率が低下をしてきているとかいうことも報告されていますので、職場から消防団ではないけども、準消防団で出かけていくような体制を作るだとか、また集落の中に昼間もおられるような女性のかたも初期消火だとか、そういうことに対応できるような能力を持つとか、それを奨励していかなければならないと思います。
ですから、そうした防災型の県土づくりといいますか、コミュニティーづくりの条例をつくろうと思っていまして、これは今、庁内で検討し始めている、検討しているところであります。
○毎日新聞 小島健志 記者
関西と道路に関連してなんですけども、姫鳥線について、今回で09年度開通、鳥取側はめどが立ったということなんですが、岡山側はまだ用地買収も終わっていないと。09年度中には大阪まで2時間半で行けると思っている人は少なくないと思うんですが、どう説明をされるんでしょうか。
●知事
私どもとしては、これはここの区間が開通しますということで今までも広報させていただいておりますので、そのことは御理解をいただきたいと思います。きちんと誤解のないように、特に鳥取・因幡の祭典でお客さんが来られるとき、話が違うじゃないかということにならないような広報上の注意はしなきゃいけないと私どもも思います。
他方で、企業誘致なんかになりますと単年のことじゃありませんので、向こう四、五年を考えていただければ岡山側も開通をしていると我々は踏んでいますから、その辺は一体性を持って2時間半で大阪まで行くんだと、これは胸を張って申し上げるようにしているところでありまして、そこは誤解がないように注意をしていかなければいけないと私も思います。
○鳥取北中学生
話が変わりますが、今、世界的に温暖化が問題となってますが、温暖化を防止するためにエコ活動を県全体でしていくとすると、最初に何を取り組みたいと思いますか。
●知事
地球温暖化の防止ですか。
○鳥取北中学生
はい。
●知事
どういうことなら、じゃあ皆さんできるでしょうね。例えばごみの問題だとか、家でもやっていると思います。私は、やっぱりこれは例えば県庁がやったから、市役所がやったから地球温暖化が防止できたということにはならないと思います。みんなが力を合わせて、自分たちでできることを一つ一つ組み合わせていって初めて二酸化炭素の排出量が減ってくるということになると思うんです。
このために、例えば皆さんでもぜひやっていただきたいなと思うのは、スーパーマーケットに行きますと、レジ袋とかもらいますね。あのレジ袋というのは昔なかったんです。私が子どものころにはあんなものなかったですね。みんな買い物かごを持っていっていました。そこに買ったものを入れて持って帰っていました。その時代の方がむだ遣いがないと思いませんか。
ですから、そういう時代をもう一回思い出してみようじゃないかということです。便利な生活は、確かに便利なんですけども、ただ、便利さの代償というか、便利さのためにむだな資源を使っちゃっているということは反省しなきゃいけないんじゃないかなと思うんです。
だからレジ袋という、ああいうビニールの袋をなるべくやめるようにしましょうというのを、今年4月になりましてスーパーマーケットの人とかコンビニエンスストアの人とか、あるいは消費者の活動されている人たちいますね、食べ物が安全かなとか、そういう団体の人たちとみんなで話し合ったんです。できればこういうレジ袋をないように私たちみんなで協力していきましょうという話し合いをしたところなんです。こういうことを例えばできないかなと思っています。
それから、道路をずうっと車でお父さん、お母さんに乗せてもらうと、あちこちで大きな風車が回るようになりましたね。エネルギーもそうなんです。石油をたいて電気を作っています。あるいは石炭をたいて電気を作っています。これは二酸化炭素になっちゃいますので、それをやって、今、ここで使っていないエネルギーがあるんじゃないかなということですね。
県庁の前にも、そこに大きな太陽電池のソーラーパネル、紫色のパネルがありますね。あそこで発電したのを実は県庁の中で電気で使っているんです。ああいうことをやって風車で発電をしましょうとか、こうやめていろんなエネルギーを考えていけば、世の中は変わっていくんじゃないかと思うんです。
これは例えば今年予算があるんで、それで全部終わっちゃうということにならないと思います。みんなでこれは、日本人もそうですし、中国の人もそうですし、アメリカの人もそうですし、いろんな国の人たちが力を合わせて、できればこの21世紀の真ん中辺までに二酸化炭素の量を半分に減らせるように頑張ろうじゃないかということだと思うんです。
私たちは、自分たちでできることはないかなというのを県でみんなで考えてアクションプログラムという計画を今作っているんです。そういうのを見ていただいて、皆さんも家庭でこれはうちだったらできるなというのを考えてもらえればいいなと思います。学校でもそうした環境に優しい学校にしていこうという取り組みをいろんなところで始めていますので、ぜひ学校の中でも先生たちと話し合っていただければなと思います。
○鳥取北中学生
ありがとうございました。
●知事
あとよろしいですか。
○鳥取北中学生
新たに取り組みたい問題や課題などはありますか。
●知事
お金があれば何でもやりたいなと思うんですけども、私はやっぱり学校をもっと元気にしたいなというのは、本当は願いなんですね。皆さんがこれから長い人生ですけども、勉強をしたり体を動かしたり、今もやっていると思うんです。それが必ず人生の中で生きてくるんです。ただ、それも伸びればどんどん伸びるんですね。これは植物に水をやったり肥やしをやったりするのと一緒でありまして、皆さんがすくすくと発展していく可能性を持って伸びていくというのを支えるようにしたいなと思うんです。
本当はお金があれば、クラスなんかをもっともっとよくしていきたいと思いますし、私たちは県なので、県では高校なんかあります。例えば中学と高校とつなげた学校を造ってもいいかなと思うんです。皆さん、どう思いますか。そうすると高校受験なくなるでしょう。
○鳥取北中学生
はい。
●知事
そうすると、高校受験で、何かいろいろと勉強することがあるぐらいだったら、それだったら例えば絵を描くことをもっとしっかりやってみたいなとか、あるいは先に今度、大学の受験なんかがあったりして、大学の受験なんかを考えれば、もっと別の勉強もしたいなとかいうことあると思うんですね。私は中部だとか西部にはそうした中学と高校がつながった学校があるんですけども、東[部]の方にもそうした中学と高校がつながった学校があってもいいんじゃないかなと思っているんです。
そういうことも今、ここの教育委員会で話を始めました。場合によっては国立の学校だとか私立の学校もありますので、そうした国立の学校の関係者の人たちとかとも話し合ってみたいなと今思っているところです。こういうようなことをいろいろとやって、道路を造るのも本当は大切なんですけども、一番やりたいのは福祉だとか医療だとか教育だとか、そういう身近なところで皆さんが幸せを実感するようなことを一つ一つやっていきたいなと思っています。
○鳥取北中学生
ありがとうございました。
○鳥取北中学生
知事として、これから鳥取県をどのように変えていきたいと思われますか。
●知事
それは、どういうふうにしたいですか、じゃあ鳥取県を。そういうふうにしたいと思いますから、僕も。
○鳥取北中学生
僕は特にないんですけど、知事として。
●知事
そうですか。私は、皆さんが大きくなって、ここで生き生きと働けるというところにしたいなと思いますね。多分大学ぐらいになって県外の学校に行ったりするかもしれませんね。それでもふるさと、鳥取ってすばらしいとこですよね。皆さんは北中[学校]ですか。
○鳥取北中学生
はい。
●知事
北中[学校]ですか。ここは今、岡野貞一さんの [生誕]130周年をやろうとしていますけども、昔からいい教育をやっていたところですし、緑も豊かで、だからああいう「ふるさと」という歌が生まれたんだと思うんですよ。こうしたところで伸び伸びと、さらに家族も増やして暮らしていけるようにならなきゃいけないと思うんです。だから働く場が、皆さんが働きたいなと思う場所を増やしたいと思います。
それから、皆さんが老後も安心してお医者さんにもかかれるし、地域もあったかいコミュニティーがあって、相談相手もいっぱいいるという世の中にしていきたいなと思います。そうすると多分、今、人口は減ってきていますけども、住むんだったら鳥取県だでとなって、今60万[人]とか言っていますが、それが 100万[人]とか 200万[人]も住みたくなるようなまちに、それから県になっていけばいいなと思います。
○鳥取北中学生
ありがとうございます。
○鳥取北中学生
もう一ついいですか。
●知事
はい。
○鳥取北中学生
鳥取県を発展させていくために、具体的にどのようなことを取り組めばいいと思いますか。
●知事
私は、これからは一つ一つの地域がひとり立ちできるように、まずはならなきゃいけないと思うんですね。そのためには、これはちょっと説明が要るのかもしれませんけども、そのためにはむしろお互いに行き来をするということも必要なんだと思うんです。今は世界、地球が一つの国になったと思うんです。昔は因幡の国が一つの国でした。それが日本という国になって、それがさらに世界中が一つの国に今なってきているんだと思うんです。
ですから、ちっちゃな単位のことだけ考えていても多分だめなんですね。ですから海の向こうと結びついて、アジア全体の中で、さらにはそことつながって世界とのつながりの中で鳥取県の元気が生まれてこなきゃいけないと思うんですね。
例えば貿易をやるような拠点になるんじゃないかと。ここはとっても大陸に近いです。それからすばらしい企業さんもありますね。電気関係の企業さんだとか、あるいは健康食品なんかを作っているところもあります。今、例えば美容のコラーゲンの会社なんかもありまして、コラーゲンというのは、皆さんは全然心配ないんですけども、お父さん、お母さんはだんだん肌が老化してきていますよね。そういうのの健康補助食品というんですけど、そういうのを作っている会社が、もう生産が間に合わなくなるぐらいです。
これもともとは魚のうろこだとかカニの甲羅から生まれたものです。鳥取県ではごみになるようなものが、それが商売になってきている。こういうふうにアイデアによって世界じゅう、日本の国内と結びついていろんなビジネスが生まれてくるというようになってきているんです。こんなようにしていくことで鳥取県は、私は今、生まれ変わるチャンスができてきているんじゃないかなと思うんです。
テレビではいろいろ報道もありますけども、道路ができるとかできないとか言っています。これはとっても大きなことです。皆さんが住んでいる鳥取市には大変な影響があると思うんです。これが生かせるかどうか、皆さんこれからだんだん大人になっていく中で、あの道路ができて随分ここのまちは変わったな、よくなったなというふうになれるようにしなきゃいけない、そのために今できることをやらなきゃいけないと思いますね。
○鳥取北中学生
ありがとうございました。
○日本経済新聞 斉藤徹弥 記者(幹事社)
いいですか。じゃあ、これで終わります。
●知事
どうもありがとうございました。