内閣府は、平成20年5月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気回復は、このところ足踏み状態にある。
・輸出は、伸びが鈍化している。生産は、横ばいとなっている。
・企業収益は、弱含みとなっている。設備投資は、おおむね横ばいとなっている。
・雇用情勢は、厳しさが残るなかで、改善に足踏みがみられる。
・個人消費は、おおむね横ばいとなっている。
・住宅建設は、おおむね持ち直してきたが、このところ横ばいとなっている。
先行きについては、改正建築基準法施行の影響が収束していくなかで、輸出が増加基調で推移し、景気は緩やかに回復していくと期待される。ただし、サブプライム住宅ローン問題を背景とするアメリカの景気後退懸念や株式・為替市場の変動、原油価格の動向等から、景気の下振れリスクが高まっていることに留意する必要がある。
政府は、「日本経済の進路と戦略」と「経済財政改革の基本方針2007」を一体として、改革を推進するとともに、現下の経済状況やリスクの高まりにかんがみ、「成長力強化への早期実施策」を着実に実行していく。
民間需要主導の持続的な成長を図るとともに、これと両立する安定的な物価上昇率を定着させるため、政府と日本銀行は、上記基本方針に示されたマクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、政策運営を行う。
(各論)
(1)消費・投資などの需要動向
2008年1-3月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間最終消費支出、財貨・サービスの純輸出 (輸出-輸入)がプラスに寄与したことなどから、前期比で0.8%増(年率3.3%増)となった(3四半期連続のプラ ス)。また、名目GDP成長率は前期比で0.4%増となった(2四半期ぶりのプラス)。
個人消費は、おおむね横ばいとなっている。消費者マインドは悪化しており、所得はおおむね横ばいで推移している。設備投資は、おおむね横ばいとなっている。住宅建設は、おおむね持ち直してきたが、このところ横ばいとなっている。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、伸びが鈍化している。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、減少している。
(2)企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、横ばいとなっている。第3次産業活動は、弱含んでいる。企業収益は、弱含みとなってい る。また、企業の業況判断は、慎重さが増している。倒産件数は、緩やかな増加傾向にある。雇用情勢は、厳しさが残るなかで、改善に足踏みがみられる。
(3)物価と金融情勢
国内企業物価は、素材価格の上昇により上昇している。消費者物価の基調を「生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合」でみると、わずかながら上昇している。株価(日経平均株価)は、13,600円台から14,200円台まで上昇した後、14,100円台で推移している。長期金利は、1.4%台半ばから1.7%台まで上昇した後、1.6%台前半で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(3月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を上回った。ホームセンター・家電量販店販売額(3月)、乗用車新車新規登録台数(4月)とも前年を上回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(4月) 、公共工事請負金額(4月)は前年を上回ったが、用途別着工建築物工事金額(4月)前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(3月、季節調整済)が電気機械工業等の減により63.0で前月比9.0%低下した。また、大口需要電力実績(3月)のうち鉱工業は前年を上回った。
雇用面では、新規求人倍率(4月)は、1.14倍(前月差0.14ポイント上昇、前年同月差0.04ポイント低下)であった。有効求人倍率(4月)は、0.67倍(前月差0.01ポイント低下、前年同月差0.07ポイント低下)と24か月続いて0.8倍を割り込んでいる。
現金給与総額(3月)は前年を下回り、所定外労働時間(3月)は前年を上回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(3月)は、全店舗計では54億2,229万円となり、前年同月比3.2%増と5か月ぶりに前年を上回り、店舗調整後でも、前年同月比3.2%増(全国は前年同月比0.2%増)と5か月ぶりに前年を上回っている。
なお、全店舗計の内訳では、百貨店が22億612万円(前年同月比0.4%増)、スーパーが32億1,617万円(前年同月比5.3%増)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(3月)は、36億9,330万円(前年同月比2.8%増)と3か月ぶりに前年を上回った。内訳では、ホームセンターが18億8,398万円 (前年同月比0.9%減)、家電量販店販売額が18億931万円(前年同月比6.9%増)であった。
乗用車新車新規登録台数(4月)は、1,555台(前年同月比3.9%増)と7か月ぶりに前年を上回った。増加の内訳では、普通車の増加(前年同月比24.8%増)が大きかった。ただし、年累計(1月~4月)では前年を下回っている。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(4月)は、309戸(前年同月比19.3%増)と2か月続いて前年を上回った。増加の内訳では、貸家の増加(前年同月比74.4%増)が大きかった。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(4月)は、7億8,510万円(前年同月比55.0%減)と3か月ぶりに前年を下回った。用途別では、その他のサービス業用(前年同月比76.9%減)等が前年を下回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(4月)は、80億7,300万円(前年同月比28.1%増)と2か月続いて前年を上回った。発注者別内訳では、独立行政法人等の増(前年同月比229.6%増)が大きな割合を占めた。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(3月)は、生産指数(季節調整済)が63.0となり前月比は9.0%低下、原指数は、67.9となり前年同月比では1.5%低下した。
内訳を前月比で見ると、電気機械が通信機械器具等の生産減により10.7%の低下、食料品・たばこが0.4%の低下、一般機械が50.2%の低下、繊維が11.3%の上昇となっている。
在庫指数(季節調整済)は68.0と前月比4.0%の上昇となった。
【電力】
大口需要電力実績(3月)は、142,732千kWh(前年同月比1.3%増)と7か月続いて前年を上回り、鉱工業は機械等が増加し0.7%増加した。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(4月)は、野菜が1,498t(前年同月比9.4%増)と2か月ぶりに前年を上回り、果実は707t(前年同月比7.9%増)と6か月続いて前年を上回った。
鳥取市場の青果物販売量(4月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が298tで市場全体に占める割合は19.9%(前年同月差3.5ポイント低下)、果実は29tで市場全体に占める割合は4.1%(前年同月差1.5ポイント低下)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(4月)は、9,681t(前年同月比16.3%減)と3か月ぶりに前年を下回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(4月)は、1.14倍(前月差0.14ポイント上昇、前年同月差0.04ポイント低下)であった。なお、新規求人数(4月)は、3,635人(前年同月比5.0%減)と7か月続いて前年を下回った。
有効求人倍率(4月)は、0.67倍(前月差0.01ポイント低下、前年同月差0.07ポイント低下)と24か月続いて0.8倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(3月)は、253,908円(前年同月比1.0%減)と3か月ぶりに前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与(3月)は、252,641円(前年同月比1.1%増)で2か月続いて前年を上回った。
【労働時間】
所定外労働時間(3月)は、10.1時間(前年同月比4.1%増)と2か月続いて前年を上回った。主力の製造業は0.8%増となった。〔産業別の前年同月比では、建設業(前年同月比50.0%増)等で前年を上回り、金融保険業(前年同月比24.8%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(3月末)は、1兆8,727億円(前年同月比0.8%増)と19か月続いて前年を上回り、貸出金残高(3月末)は、1兆1,495億円(前年同月比1.0%減)と19か月続いて前年を下回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(3月)は、先行指数が1月37.5、2月50.0、3月75.0、一致指数が1月31.3、2月37.5、3月37.5、遅行指数が1月80.0、2月80.0、3月100.0となった。
・ 企業倒産(4月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、100.2(前月比0.1%上昇、前年同月比1.5%上昇)となった。
・ 消費者物価指数(5月1日現在)596,017人で、前月と比べて173人(0.03%)増加し、前年同月と比べて4,690人(0.78%)減少した。
・ 鳥取県の推計人口(11月1日現在)599,911人で、前月と比べて81人(0.01%)増加し、前年同月と比べて4,083人(0.68%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成20年5月調査でみると、平成20年4~6月期は、平成20年1~3月期に比べると、景気、経常利益は不調であり、売上高はやや不調である。また、平成20年7~9月期は、平成20年4~6月期に比べると、景気、経常利益は不調となり、売上高はやや好調となる見通しとなっている。