●知事
皆さん、おはようございます。このたび東京とか名古屋の方に行ってまいりまして、それで昨日はナゴヤドームで妖怪のフェスティバルに参画をさせていただきました。これは中京圏で行われているものでありますけれども、親子連れが大変に目立った盛況の会であったと思います。
境港はもとよりといたしまして、県内一円から、倉吉、あるいは米子、境港、鳥取の皆様もステージに立たれるとか、これから1週間、そのイベントを繰り広げることにさせていただいております。
やはり妖怪の人気はすばらしいものでありまして、鬼太郎の名刺とかを配っていますと人だかりができるような、そんな状況でありました。これからもこうした夢のあるような誘引で、多くの人に鳥取[県]に来られることを呼びかけることにしていきたいと思いました。
●知事
それから、東京の方に参りまして、厚生労働省関係の障害者福祉に関する審議会の方へ参加をさせていただきまして、参考人として意見を述べさせていただきましたが、障害者自立支援法の見直しの時期でありますけども、ぜひこれを直すべきだという訴えかけをいたしました。
特に過疎地域といいますか、中山間地域で障害者の数自身が少ない、他地域と比較しまして、大都市部とは違って少ないところでは事業が成り立ちにくい状況がある。それに対して手を国としても考えるべきではないかというような訴えかけでありますとか、また、夜間を通じて夜間支援員を置くための手当てが、報酬の方に乏しさがあるなど、そのような不備を幾つか指摘をさせていただきました。
また、地域における障害者福祉制度を支える国庫補助金が年度途中で足りなくなっていることに対しても、私どもの方でこれはおかしいという声を上げさせていただいたところであります。
●知事
それから、地方財政対策などについて、総務省の方に出かけまして意見交換をさせていただきました。その際の私が得た感触としては、かなり早い時期に、近々に、遅くとも今月いっぱいで経済対策を政府の方で取りまとめをしようとされていると、そういう感触を得ました。
私どもは現在、9月補正予算の策定作業中でありますが、特に油代が上がるだとか、それから原材料費が上がるとか、飼料高、こういうことが国民生活や県内産業への影響は大変大きいものですから、これに対する国の施策を、経済対策に期待をいたしたいと思います。
その中身を早急に精査をして、大変ちょっとタイトな日程ではありますが、9月補正予算、遅くとも9月議会の中の議論には間に合わせるように、土俵に上げる必要があるだろうと思っております。
あわせて、県内の関係先にいろいろと御意見を伺いながら、どういう対策が必要かということを県独自に今、取りまとめをしようといたしております。これもこの経済対策で出される施策とあわせて提案をさせていただくことにいたしたいと思っております。
●知事
また、地方財政の関係では、[普通]交付税の配分が決定をされました。臨時財政対策債も含めて 1,500億[円]を超えるという水準になりまして、昨年よりは3%増えたわけであります。これで十分とは思いません。
いまだに三位一体改革の前と後で比べますと 259億[円]、私どもの県では不足が出ているという試算になっておりまして、これがまだこれだけ、 259億[円]残っている状態でありますから十分だとは申しませんけれども、ただ、交付税の低落傾向に歯どめがかかったことを実感できたことは評価をさせていただきたいと思います。
さらに、4月の暫定税率で穴があいた分を取り戻さなければなりませんが、これをはじいてみますと大体3億[円]弱ぐらいあります。こういうものもこのたびの国の補正予算を出すのであれば、そこで現ナマで出すことを国として考えてもらいたいと、そういう趣旨を述べてまいりました。
●知事
あわせて、昨年の決算が一般会計でまとまってきているわけであります。歳入の方、それから歳出の方、それぞれ数字が出ております、 3,480億[円]とか、そういう数字が出ておりますけども、実質収支ベースで52億[円]確保できたわけでございまして、一応まずまずではあるかなと思います。
ただ、財政調整型の基金が 400億[円]ちょっとにへこんできておりまして、まだまだ予断を許さない状況でありますし、経常収支比率が上がってきておりまして、これも94%を超える水準まで上がってきております。これは恐らく全国的にそういうことじゃないかと思いますが、まだまだ要警戒であろうかと思います。
公債費の負担比率は全国平均よりは下の水準にまだありますので、全く危険水域に入ったというわけではありませんけれども、なお引き締めていかなければならない決算状況であるというように考えております。
●知事
先般、常田鳥取県中小企業[団体]中央会の会長さんが率いる応援のシステムができ上がりまして、県民の皆様、県内企業の皆様にガイナーレの応援を呼びかける運動が始まったところであります。私もその一員として、そうしたガイナーレの今、危機的な状況に対して応援をさせていただきたいと思います。
これについては、ただ余りにもちょっと時間がない中でJリーグ側の話が出てきておりますので、どういう知恵が出せるかどうか、鳥取市などと協議をする必要があるだろうと思っております。
単純に2億円穴があいているから、それを一般財源で県が出せという話にはストレートにならないと思います。まずは企業努力としてのガイナーレ側の動きがあり、そして県民の皆様、県内企業一円で一体となった応援の取り組みをやることが必要であります。ただ、それで私は十分賄えるかどうかというのは疑問があります。
先般、鳥取市長さんの方でバードスタジアムの基金[バードスタジアム国際交流基金]から 1,000万円の余裕財源を出そうじゃないかという、そういう動きがありました。ただ、先方の方が2億円ほど足りないと言っている中で 1,000万円出てきたからそれで安心というわけではないのだろうと思います。
ちょっとけたが違いますので、やはり何らかの知恵を出す必要はあるのかなと思いますが、そうしたバードスタジアムの基金も、これも県と市とで、両方で出資をし合ったものでありますから、この扱いなんかも含めて、鳥取市や関係先と協議をする必要があるかなと思っております。
ただ、いずれにせよ、これはそれぞれに力を合わせていかなければできないことだと思います。このたび立ち上がった常田会長率いる応援のシステム、この中で少しでもガイナーレの力になるような動きが出てくればと念願をいたしております。
●知事
それから、遊休資産を整理をしようという取り組みをやってきておりますけども、鳥取港の遊休敷地について、まずは期限を切った募集をかけた取り組みをいたしまして、8月20日でこれを締め切ったところであります。
その結果、現在のところ8社、応募が来ております。これについてはまだまだ空き地がございまして、随時これは受け付けていこうという考え方でやっておりますので、今、どちらかというと優先受け付けをするようなところを8社、とりあえずお話を聞いたというところでありますが、今後も引き続きこの鳥取港の[遊休敷地の]売却なり利用に向けて取り組みを進めてまいりたいと考えております。
●知事
また、きょうからですけども、鳥取駅の北口広場で社会実験を開始をさせていただきました。それから、きょう、鳥取市と話し合いをすることにいたしておりますし、あしたは倉吉市と話し合いをすることにいたしております。
駅を中心とした、要はシティーセンターとも言うべきところをどういうように展開をしていくか、社会実験を行って、例えばケヤキの植え込みをどうするかとか、それから人の流れや車の流れをどう整理をしていくか、観光客にわかりやすい入り口をどうするか、そういう調査を始めたところでありますし、倉吉市や鳥取市とも中心市街地の問題などを協議をさせていただこうと考えております。私の方からは以上です。
○共同通信 増井杏菜 記者(幹事社)
各社、質問があれば。
○日本海新聞 小谷和之 記者
ガイナーレですけども、先ほど基金の扱いを含めて関係先と協議したいとおっしゃられたんですけども、これは3億ちょっとある基金の取り崩しといいますか、そういったことを前提に考えてくるような感じになるんでしょうか。
●知事
私は、そこは議論されていいんではないかと思います。基金の設置目的と照らして、今回のような事態を収拾する一つの手段にはなり得るだろうと思います。ただ、これは県と市と半分ずつ出資をした基金でありますから、また先方もあることでありますので、議論をすべきだろうと思います。
ただ、それで全部ということを、全部手当てをするということには恐らくはならないと思うんです。やはり長い目で見てJリーグに入った後も経営を続けていかなければならないわけでありますから、まずは会社の力、ガイナーレ自身の力とか、それをサポートする力を地域でつけていかなければならないと思いますので、余りおんぶにだっこのようなことではいけないだろうと思います。
そこは非常に難しい、今、事態に追い込まれていると思うんですね。ガイナーレも恐らく予想してなかったと思うんですが、従来ですと決算上、赤字があってもJリーグに昇格をすることは認められていたのが、今、急遽それができなくなって、そういう通告が来たというわけでありますから、事態の急変でありまして、緊急避難的な対応というのはある程度必要かなと思うんですけども、今後、よく関係者と話し合ってみたいと思います。
ただ先般、鳥取市さんが 1,000万円支援をするということ、これは恐らく今の資金繰りについては非常に有効な手だてではあると思うんですけども、もしJリーグに昇格をするのであれば、その要件を満たすためには抜本的な手だてともまだ言えないのではないかと思います。ですから、話し合いが必要だと思います。
○日本海新聞 小谷和之 記者
例えばきょう早速、きょうの段階で話しするとかっていうのはあるんでしょうか。
●知事
私は話をしようと思ってました。
○日本海新聞 小谷和之 記者
話をされるのですか。
●知事
したいなと思ってました。ただ、予定された議題には確かに入ってないので、ですから、最初のあいさつの中で指摘をさせていただこうかなと思ってたんですけども、ちょっと正直な話を申し上げれば。どうでしょう、きょう、その話も、当然向こうも関心あると思いますので、出てもおかしくないと思いますが。
○読売新聞 北島夏記 記者
関連して、これまでガイナーレ、対策として、県としては遠征費の補助ですとか、一定の公費も投入されてて、今後、寄附金を集めるという形ではなくて、直接その予算を組むというお考えはないでしょうか、ガイナーレの支援のために。
●知事
遠征費などは一定のルールでやってますので、もしそこが必要額が変わってくれば、9月で補正する必要もあるだろうと思います。それは精査してみなければいけないと思います。
ただ、それはある意味自然体で年度の初めから設定した遠征費なりなんなりを支援していこうとか、あるいは福祉関係などで協力してもらおうとか、ガイナーレに。そうした予算がございますので、その必要額の見直しはやっていきたいと思います。
○読売新聞 北島夏記 記者
ただ、遠征費となると、もともとゲームの予定は決まってるわけですので、余り補正で加えるというのはなかなか難しいと思うんですが、新たな支援策という形での予算化というのは考えてますか。
●知事
ちょっとそれは精査してみたいと思います。まだ具体的にこれと決めたものはありません。ただ、ちょっと伺ってますと、やはりどうしても年度、今、この時点まで参りますと、見込んでいたのとは額が変わってきているんじゃないかというふうに伺っておりまして、それは精査をして、必要額は御支援申し上げたいと思います。
○読売新聞 北島夏記 記者
それは、少し足りなくなってきてるということですか。
●知事
じゃないかと思いますけどね。詳しい話、まだ知事査定までは上がってきてないので聞いてないんですけど。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
今回の学力テストをめぐって、これまで余り気にしてなかったんですけども、県教委と教育委員会というのは一体みたいに思ってたんですけど、今回、事務局である県教委と、それから教育委員会というのはちょっとねじれの関係が出てきた。例えば県警本部と公安委員会というのは名前が、呼称が違うのではっきり違う組織だってわかるんですけど、我々いつも教育委員会というと県教委って一くくりで記事などにしてきてるんですけど、何かこういう県教委、事務局と委員会とは違うんだという、何かもうちょっと組織名として呼び方を変えるとか、そういうことは考えられませんか。
●知事
独立行政委員会のシステムですから、委員会として独自の決定を当然行い得るわけでありまして、これは法的には定められてることです。そして、教育委員会の名称も教育長の名称も法的に定められた名称でございますので、これをいじるということはいかがかなとは思います。多分ちょっとできないんじゃないかと思います。
ただ、何といいますか、先般もこの場で御質問がありましたけれども、教育委員会のスローガンとしてレイマンコントロールということをおっしゃるわけですね。それは素人で教育について論じましょうと、それは政治からの分離という意味もありますけども、ただ、民意の注入というような趣旨も本来はあると思うんです。
しかし、教育に携わってる人たちが主導権をとってしまい過ぎると、大分県のように内輪の論理だけで昇格だとか、あるいは試験とかいうことがなされたり、そのほかの事務にも民意との断絶が起こる可能性がある、一般論として申し上げれば。ですから、教育委員の構成については、従来、教員OBを優先して入れているという状況はありますけども、私はそこは再考の余地があるんじゃないかなと思ってます。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
今度10月に2人、委員が、任期が切れますけども、そこら辺については選任はどういうふうなスタンスでされるんですか。
●知事
適材適所で任命をさせていただきたいと思ってまして、議会の方に人選を行った上で提案をさせていただきたいと思っています。ただ、従来のような固定的な枠組みにはとらわれない方がいいだろうと、今は私は思っています。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
人選は知事がされるんですよね。
●知事
ええ、こちらに提案権はございます。
○山陰中央新報 太田満明 記者
教育委員に民意を反映させるというんなら、例えば教育委員の公選制というのがあるんですけれども、それを考えるのは飛躍過ぎますか。
●知事
今はまだ、そこを例えば10月に向けて導入するということはちょっと無理だと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
将来的に。
●知事
将来的には、私は教育委員会はもう廃止したらどうかと思います。やはりその存在意義をもう一度問い直すことは少なくとも必要だと思います。廃止というか、全面的な見直しが必要だと思います。
私は知事部局なり、あるいは市長部局、町村長部局の方でできない事務ではないと思いますし、それが議会に対して、また住民に対して投票なり、あるいは提案なりなんなりの責任のとり方として、本来は望ましいのではないかと思います。
これは分権の議論だとか地方自治制度の議論の中で繰り返し議論されていることでありますけども、今回の大分[県]のような事例を見ますと、私は余り内輪に陥らないような仕組みを作るためには、委員会制度自体が隠れみのになってしまうようなことにならないようにする必要があるだろうと。
現在、こうした制度でありますので、その中での運用改善を図るべきだというのが私の立場ですけども、将来的にはというお話でありましたので、いっそ廃止も含めて全面的に見直しをするというのが制度論じゃないかと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
ただ、教育委員会というのが別というか、独立行政法人的なものとしてできたというのは、戦後の流れの中でございますよね、要は戦争に向かっていく中で、いわゆる教育というものがどういう役割を果たしたのかということがあると思うんですけれども、そういうことに、政治とは別の形で教育というのはあるべきだという考え方だと思うんですけれども、これを知事部局の中で全部見るということになると、そこの考え方とのそごが生まれてくるんじゃないんですか。
●知事
ただ、政治との分離は確かに必要な点があって、それについては法律上のコントロールが可能ではないかと思うんですね。政治的なことを教育の場で実現をすることを廃止するために、現在でも公職選挙法に基づいて、学校の教職員はその立場を利用して選挙運動をすることができないとか、そういうものが定められているわけであります。
あるいは公務員法の規定に基づいて、教職の公務員の規定もありますけども、それについても一定の法的規制も可能なわけであります。ですから、私はその委員会でなければ政治的に中立性が保てないというものでもないと思います。
我々、行政を今やってますけども、知事部局がすべて党派性に満ちて仕事をしているとは思っていません。ですから、かつての時代、戦前と戦後との対比の中で生まれた制度だと思うんですけども、その制度的な意義については問い直す必要があるだろうと思います。
歴史的には教育委員会制度も教育委員の公選制がとられた時期がありましたけども、それはかえって政治性を生んだことにもなりましたし、非常に取り扱いが難しいと思います。これは自由に今後議論されるべき課題ではないかと思います。
○日本海新聞 村上俊夫 記者
知事、レイマンコントロールの話ですけども、今回、僕らがというよりも、僕がということかもしれませんが、見ると、レイマンが教育集団に取り込まれたと、そういう図式に映るんですよね。ところが事務局のトップがその集団と違う発言をするもんだからいろんな混乱が起こった。逆に教育長が頑張らなかったら、教育委員会としては非常に一枚岩で、ストレートな形で、いや、情報公開審議会が言ってもだめですよということを、臨時の教育委員会を開くまでもなく、前段の段階でもう決まってたのではないかと。そういう意味では問題がわかりやすくなかったと思うんですけれども、既に中[央]教[育]審[議会]でも、それから地方分権審議会の場でも教育委員会制度をどうするのかと言われるような抜本的な見直しをかけると、少なくとも必置条件はもう外していいんじゃないかと、それぞれの自治体が置くのか置かないのか決めてもいいんではないかというような論議も既にあるところですけども、今の知事の発言は、特に制度発足自体、イデオロギー的な対立があって、その中で今の委員会制度ができたと。今、そういう対立はなくて、政治ですから一定の党派性というのはあるんだけれども、首長の側で教育もやれるのではないかというふうにとれるんですけれども、そういうふうにお考えですか。
●知事
それは自治体の規模なんかもあると思うんですけども、可能な部分は多いと思います。特に小さな町村まで教育委員会という制度があって、教育長という人がいてという仕組みが本当に妥当するのかどうかですね。むしろもっと自由に、今、村上[日本海新聞記者]さんがおっしゃるように、条例で設置するとか、そういう制度も本当は組めるだろうと思います。
いろいろ比較、法的に外部のことを見てみても、教育はすぐれて地方自治の課題でありまして、地方政府、地方の政治の中心課題でありまして、ただ、そういうシステムに残念ながら今の日本の教育のシステムはでき上がってないんじゃないかと思うんですね。
ですから、学校現場で頑張っておられること、それは私は大変評価をしておりますし、それ自体はむしろ活性化してもらいたいと。それに家庭教育とか地域も一体となって、一緒になって子どもたちの教育をみんなで考えようじゃないかと持っていきたいのが私の真意なんですが、ただ、それをやる以前に、学校の先生方の世界だけが別世界になってしまうということが若干制度的にビルトインされているんじゃないかなと思うんですね。
そこは正す必要があるだろうと思っています。ですから、条例設置だとかいうことも含めて、抜本的にこの教育委員会制度は議論されてしかるべきだと思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
例えば教育委員会には予算権も議案提案権もないというので、手足がもぎ取られてるというんですが、実態はそうなんですけども、じゃあいざ、決定権というのは逆に大きい面もあるという、そういう非常にアンバランスがある気がするんですけど。
●知事
ですから、そこが私はさっき責任のとり方として不十分ではないかということを申し上げたんです。みずから予算を作ったり、それを議会に説明したり、説明責任を果たすという仕組みになってないんですよね。
これはやっぱり、理論上はそうすると執行権と一緒になってやるのが一番すっきりすると思いますし、そうでなければ、そっちの教育行政の方で切り離して、それが独自に住民に対して説明責任を果たせるような仕組みを作れるかどうか。ですからかなり大がかりな話になると思うんですね。
だから端的に、例えば廃止してしまうと、それで執行部局の中で、その中の教育行政として政治的中立性だとか、子どもたちに対する配慮だとかを法的にビルトインさせながら制度も組めるのではないかと思ったんです。
○山陰中央新報 太田満明 記者
事務レベル的にいえば知事のおっしゃるとおりなのかもしれないんですけれどもね、でも、教育ってちょっと違う、何か理念的なものしか言えないんですけれども、事務だけで物が考えれるようなものじゃなくて、やっぱり子どもたちを将来どう育てていくかという大前提の部分があると思うので、さっき言った、やっぱり国家権力とは離れたところにあるというのが教育のこれまでの考え方だろうと思うんですよ。僕なんかは、やっぱり戦前の戦争に向かっていった、あの教育って何だったんだろうということをどうしても思ってしまうんで、権力といいますか、政治が教育をつかんでしまうと、そういう国家の思うとおり、コントロールできる人間を作ろうと、いわゆるマインドコントロールしたような教育をやろうとするイメージがどうしても出てしまうんですけれども、それを抑えるためにやっぱり教育というのは政治と離れているんだろうと思うんですよね。それをただ事務レベルだけの判断で、確かに事務的には知事のおっしゃるとおりだろうと思うんです。ただ、日常を見てましても、それは知事部局でやってもいいようなことも教育委員会の方でやってますしね。でも、それだけでこの問題って片づけていいのかなと思ってしまうんですけれどもね。
●知事
だから、戦前のはかり知れない災禍に対する反省は、我々日本国民として、みんなで共有すべきだと思います。ですから、一定の政治的な中立性が保たれるような仕組みを考える必要があると思うんです。
ただ、それが今のこの教育委員会制度の中で全部解決されるかどうか。教育委員会制度があるからそれは解決されるというものでもないんだろうと思うんですね。ですから、そこはむしろ切り離して正直な議論をした方がいいんではないかと思います。
○山陰放送 山本収 記者
ガイナーレの話に戻りますけれども、先ほど余りおんぶにだっこではいけないと言われましたけども、金銭的な直接支援ということになりますと、やっぱり県民の理解というのが大きなポイントになってくると思うんですが、そのあたりをどのようにお考えですか。
●知事
その意味で今回、常田会長が率いて応援団のシステムを立ち上げて寄附を呼びかけようじゃないかと、奉加帳を回そうというのが一つの解決策だろうと思います。そういう運動を通じてガイナーレが県民、あるいは山陰全体の中で評価をされていく、それが本当だと思います。
私は、これから試合がまだまだ続いていきます。その中でガイナーレの選手諸兄が活躍をされてゴールを決められていく、そのたびに勝ち星を重ねていってJ2がいよいよ見えてくる、実現してくるという道筋になってくると、だんだん県民の中の、山陰全体の圏域の中の理解も深まってくるだろうと思います。
そして支える体制ができ上がってくれば、本物の地域のプロサッカーチームになるんではないかと思うんですね。まだ今はおっしゃるように完全に理解が得られているかどうかということはあると思います。ですから今回、このJリーグからの通告がむしろばねになって、地域のまとまりがついてくればなあと期待をしております。
○日本経済新聞 斉藤徹弥 記者
それに関連で、Jリーグ側に、今回の財務基準とか、新たに出てきたわけですけども、そのもう一度再考というか、見直しを求めるというようなお考えというのは。
●知事
今は、それが向こう側の内部規律ですからね、それが提示された以上はそれを目指そうというのが本来かなと思います。今、みんなそういうつもりで急に動き始めたんだと思いますから、まずは自分たちで何とかするという方向を見出したいと思います。
ただ、正直な感想を申し上げれば、何で今、このタイミングで急に去年と方針を変えられたのか、どうせ変えるというんだったらもっと早い段階でお示しいただきたかったかなという、そういう正直な感想は持ちます。
○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者
先ほどの話、聞き漏らしたかもしれませんけれども、基金に関しては元本の取り崩しも含めて、今後、取り扱いを考えていくと理解してよろしいですか。
●知事
運用益で今 1,000万[円]出すというお話なんですね。それはそれでいいと思うんですけども、ただ、お互い2億[円]ずつ出し合った元本もありますけども、現在のところ、必ずしも活用されてるとも思えませんし、地域でそうしたJリーグのチームが誕生するということになれば、子どもたちのスポーツに対する情熱が燃え上がるとか、地域の一体感が増すとか、またあちこち遠征するたびに山陰を売り込む機会にもなる。
そうした宣伝効果なんかも考えれば、この基金の趣旨にも合致をするんじゃないかと思いますので、取り崩しなども検討対象に入れていいんではないかと思います。
○日本海新聞 村上俊夫 記者
その基金の取り崩しに関しては、JR山陰線の高速化で教訓を得ているわけですね。県民運動として募金しましょうと、募金目標これだけです、これだけ不足するからということで基金を取り崩すんだけどもそのとおりにならなくて、結局基金の取り崩し額が増えたというような形で終わってしまったと。今回も確かに言われるような趣旨はわかりますし、そういう形で発表されてるのはいいんだけれども、そのことで基金があるというようなことになっては、本当の県民で支えるという形にならないのではないかと。タイミングとしては知事の発言がちょっと早過ぎたんではないかと思うんですけど、どうですか。
●知事
ちょっと不正確だったかもしれませんけども、J2にもし上がるようなことになったときに要件をクリアできるかどうかという段階になったら、緊急避難的な何らかの措置を考えなければならないのではないかと。その話がずっと今、展開してきて、そうした基金の取り扱いも最終的にはカードとして持っておく必要があるんじゃないかということを申したわけであります。
まずは今、冒頭申し上げましたように、せっかく常田会長が県民運動を盛り上げて、企業に奉加帳を回そうというところでありまして、この取り組みがまず基本だろうと思っています。
それをやって、あとJ2に上がるためには成績の問題もありますし、いろんな課題が出てきて、最後どうなるかというときに、全く放置して県民の夢を捨て去っていいのかどうかというのは、ややこれ、ちゅうちょがあると。そうしますと、最後の砦として考えるべきことはほかにもあるんじゃないかという趣旨です。
○読売新聞 北島夏記 記者
そういうと、じゃあJリーグの成績は満たしたけれども財務状況が満たせないとなった場合に、その取り崩しというのが、カードがあるという考え方ですか。今の時点では。
●知事
それを話し合う必要があるだろうと。
○読売新聞 北島夏記 記者
今のところは成績にかかわらず出すという考えと、成績は足りたけども財務状況がまずいというときに出す、両方の考え方があるということですか。
●知事
成績が悪くて上がれないのに。
○読売新聞 北島夏記 記者
上がれない、今の時点ではまだわかりませんけれど、成績を満たしたけれども財務状況がよくないというときの切り札として、基金の取り崩しがあるというお考えなのか、今の時点で基金も取り崩すということか。
●知事
今すぐということではないですね。ちょっとこれは関係者と話をしなきゃいけませんけども、今、とりあえず資金集めがスタートしました。私、ちょっと勘定がよくわからないんですね。 1,000万[円]、[鳥取]市が出しますと、それで今、募金の目標が 1,000万[円]といって報道されてるように思うんです。それと2億円との差額が私、よくわからないんですよね。
○読売新聞 北島夏記 記者
そうですね、それは。
●知事
ですから、そこが僕も計算がちょっと弱いもんで、計算が間違ってるかもしれないんですけど、そこがどうも数が合わないような気がしましてね、そうすると最後は何か、ほかの手も考えなきゃいけなくなるのかなという思いがあります。
○朝日新聞 井石栄司 記者
先ほど村上さんがおっしゃったように、おんぶにだっこみたいな形に、基金を取り崩すということになったらなってしまうようなことになると思うんですけども、その基金を取り崩す場合に、永続的にこういう問題、経営問題が起きないような、何か条件というか、そういうのは何か条件をつけるんでしょうか。
●知事
そういうことをもしやるとしたら、これは本当に緊急避難だと思うんですね、そういう事態になった場合は。だからこういうことはもうないというつもりでやってもらうということじゃないでしょうかね。
○朝日新聞 井石栄司 記者
財務体質としてはかなり弱いわけですよね、ガイナーレの場合は。
●知事
ええ、それを克服していかなければならない。そのためには、先ほどもありましたけども、地域全体で支えるという、そういう力がついてこないといけないと思うんです。それが今、まだ欠けてるからこういうことになってるんだと思うんですね。
きのうも実は厚[生]労[働]省の審議会に行ったときが磐田[市]の市長さんと一緒だったんです、鈴木市長さんと。当方で今、Jリーグ昇格に向けて財務で結構大変な問題が持ち上がってるというような世間話をしましたら、J1のチームでも、どこもやはり財務の問題はどうしても抱えるんだそうです。
今スムーズにいってるのは[浦和]レッズ、浦和ぐらいじゃないだろうかと。あとはどこもかしこもサッカーチームというのはそういう課題を抱えているということでありまして、今回クリアしたからといって、あとはもう大丈夫、大船に乗れるというものでもないんです。
ですから、今ようやっと始まりましたけども、チームをみんなで支えようという動きが東部でも燃え上がってきたということは、私、評価してますし、これをさらに今後の財務体質の抜本的改善につなげていただきたいという気持ちです。
ちょっと整理しますと、さっき申し上げたのは、仮にこのままいったとして、成績がよくなってJ2に上がろうと。J2に上がるに当たって、結局こんだけ足りないのが残ったということになった場合、そのまま放置していいかということですよね。それは我々としても、もっと考えるべきこともあるかもしれないと。ただおんぶにだっこということではいけないんではないかと申し上げております。
○山陰中央新報 太田満明 記者
ただ、何だかんだいっても、J2じゃなくて、ガイナーレにもっと頑張ってもらわなくちゃいけないということですよね。とらぬタヌキの皮算用みたいな感じがして、今のところは。
●知事
ガイナーレ御自身も寄附の呼びかけだとかスポンサー探しをしっかりやっていただく必要はあると思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
試合の方でも。
●知事
試合をね、試合はもちろんです。
○山陰中央新報 太田満明 記者
ええ。一番そこが原点だと思うんですけれどもね。
●知事
はい。
○読売新聞 北島夏記 記者
知事、応援団のお一人なんでお伺いしますけども、今、先ほどおっしゃったように2億円ほど足りないという中で、寄附ですが 1,000万円と、これはどこからこう 1,000万円というのが出てきたのか。それから商工会議所、八村さんも加えた商工会議所と県と市という、県の官民あわせての団体として 1,000万円というのは、2億円という足りない額に比べてちょっと少ないんではないか、計算も合わないんじゃないかと思ったんですが、そのあたりはどうお考えなんでしょうか。
●知事
私はちょっとそこ、確かに応援団の一員ではありますけども、そのスキームを作ったわけではなくて、それは皆さんの方が取材されて、よく御存じじゃないんですかね。ちょっと私もそこの詳細までは。
○読売新聞 北島夏記 記者
事務局の県庁のかたに聞いたら、鳥取市が 1,000万円を出してるから 1,000万円だというわけではないというところは伺いましたけれども、何で 1,000万円かというのはちょっと。
●知事
なぜですかね。別に 1,000万[円]に限らんで、もっと集めていただければありがたいというか、それが当然だと思いますけどね。目標が大分高いですから。
○毎日新聞 小島健志 記者
そもそも基金の取り崩しの話まで行ってるんですけども、財務体制というのは県で把握されてるんですか。
●知事
それは、報告は求めることになると思います、我々としても。
○毎日新聞 小島健志 記者
これまで余りにも不明朗だったんではないんでしょうか。
●知事
折に触れてお話を伺ってると思うんです。私ども商工労働[部]の方で担当いたしておりますし、これまでもそういう意味で、私どもでできる支援という意味での人的支援とか、遠征費の補助は、実はガイナーレがプロ化する前からやっておりますけども、遠征費ですとか、それはそれぞれに財務状況は報告を受けるようにしてあるはずです。
○日本海新聞 小谷和之 記者
先日、共同通信のアンケートで、消費税の引き上げに関する各知事のアンケート結果が出てたんですけども、その中で知事は国民的議論ということを前提とした上で、消費税引き上げには賛成だというような立場をとられてたんですが、その賛成の理由、地方税収の充実とか確保とかという観点があると思うんですけども、その辺あたりの理由と、あと税率アップ、なかなか今、厳しい経済環境、状況にあるんですけども、税率アップの時期としては、その妥当な時期といいますか、その辺の何か考えがあればお聞かせいただきたいんですけど。
●知事
今、国、地方を通じて財政は厳しい状況にあると思うんです。もちろん、まず最初にやらなければならない自助努力、我々の方の行政改革努力なんかをやっていく必要があると思うんですけども、ただ、少子高齢化もどんどん進展していって、社会保障に対するニーズが高まってまいりますし、教育改革も議論をされながら、そのための財源が支給される状況でもない。
いろんなところで矛盾が噴き出していると思うんですね。これは世界的に見て租税の負担の水準が日本はアメリカに次いで低い水準でありますけども、逆に教育施設、行政サービスはヨーロッパ並みになっているということだと思うんです。これが根本的な部分でありますので、ヨーロッパでやってるような消費税というのは税体系として検討しなければならないテーマだと思います。
ただ、これは租税負担が上がるということでありまして、国民の皆様の御議論の上にやっていくべきことでありますし、国会で意思決定をしていただかなければならないテーマでありまして、ですから景気の状況とか、いろんな考慮要素がどうしても入ってくるだろうと思います。
その間、じゃあ何もしなくてもいいかというと、行政サービスは淡々と続けなければなりませんので、そこはその時々で埋蔵金と言われるお金を使ってもらうとか、そうした工夫を、やりくりの工夫をやってつなぎながら将来、抜本的な財政構造を健全化させる選択をするということではないかと思います。
消費税が地方に向くかなと思いますのは、鳥取県も含めて、地方の方に比較的配分される税金であるからです。消費の量というのは人口の大きさにかなり比例的になります。ですから、それぞれの地域で必要とされる行政サービスにこたえるには、こうした消費を指標とした税というのは適格性があると思うんです。
今は企業課税が都道府県の場合、中心になってるもんですから、どうしても東京[都]とか愛知[県]とかに税収が偏ってしまう。向こうは正直、我々から見れば随分裕福な団体でありまして、人の抱える数も極端に我々と違いますし、東京あたりは。また行政サービスの水準も我々は上げたいですけれども、向こうは医療費の無料化の年齢を上げたりということはできるわけでありまして、そこの矛盾はどうしても残ってしまうんです。
ですから、企業課税だとかではなくて、消費なんかを中心とした課税体系に変えていくことが本来、地方の日常的な行政サービスを提供するにはフィットするんではないか、適合するんじゃないかと考えております。そういう意味で、国民的な議論をぜひやっていただいて、消費税の引き上げ問題も予断なく議論していただきたいと思います。
○毎日新聞 小島健志 記者
先ほど決算のお話があったんですけど、経常収支比率が10年前より20ポイント近く上がっていて94%を超えたと。その状況をどうご覧になっているのかということを改めて伺いたいのと、抜本的な対策というのは。
●知事
これは、一つは一般財源が増えてくることが必要です。多分これは全国的にそうだと思うんですね。一般財源である交付税だとか、そういうところが絞られてきていることが、この経常収支比率の向上に影響していると思います。
ただ、我々の方で注意しなきゃいけないのは、そこで比率を引き上げる原因となる公債費、公債費というのは借金返しですね、借金返しのお金だとか、そのほかの経常的な支出を適正レベルに下げていくことが必要だと思ってます。
公債費はおかげさまで平成19年度決算が下がってきてまして、前年よりも 100億[円]ぐらい下がっていると思うんです。そういう意味で、これまで取り組みの効果が現れてきていると思いますが、さらに定数をカットをしていく、そのために事務の効率化を図っていく、そうした努力をやっていく必要があると思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
財政健全化指標が、島根県なんかはもう既に発表してますけれども、それから市町村も徐々に発表していきますけれども、大体この新しい物差しについて、知事はどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
●知事
これはメタボリック検査みたいなものでしょうか、客観的な指標として活用させていただきたいと思います。今、仮試算といいますか、大まかに概算をしてみようということでやってもらったときの感じでは、ひっかかることではないだろうという状況であったようです。今は多分精査してるんじゃないでしょうかね。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
これで一喜一憂ということではないとは思いますけれども。
●知事
ただ、指標にひっかかりますと、健全化計画を作って自主再建の努力を始めるというのは法的に出てきますよね。それは非常に気になる指標です。メタボリックの85センチですか。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
18%のところのラインですか。18%のライン。実質公債費比率の18%のところのラインを。
●知事
そこは多分届かないと思います。あと、それから連結決算だとか将来負担とかございますけども、多分どれも届かないんではないかと思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
じゃあ、県民としては安心していいというわけですか。
●知事
ただ、さっき御指摘もありましたように、経常収支比率が気になりますね。94.7%ということは、経常的に入っているお金の9割以上を経常的な支出に回さなきゃいけないという状態でありまして、余裕がなくなっているということを示しています。ですから注意深く財政健全化の努力はやっていかなければならないと思います。
○山陰中央新報 今若靖男 記者
18年度の場合も実質公債費比率は13[%]だったんですが、今回はそれより上回る数字だったんですか。
●知事
またちょっと、じゃあ後で数字を入れさせます。ほとんど同じだったと思います。ちょっと上がったぐらいだったですかね。14か。全国平均よりも2ポイントかそこら下だったと思いますので。
○日本経済新聞 斉藤徹弥 記者
新しい財政指標について、当初より大分複雑でわかりにくいという声があるんですけども、一般県民から見ても、多分よくわからないというのが多分実態だと思うんですけどもこの指標自体についてはどう評価されて。
●知事
ただ、全国でやっぱり私は一つの財政論として、地方公共団体はあじさいの花のようにたくさん咲いている花でありまして、その一つ一つの花の状態を見るために一律に適用した何らかの物差しで測ってみることは大切だと思うんです。
ですから財政指標が持つ意味は、その限りでは私はあるだろうと思います。よその団体と比較して、うちは大分いい状態だよと言えるかどうか、そこを見るために、その指標は活用すべきものだと思います。
ただ、指標だけで全部判断するんではなくて、実際の体力は我々が予算づくりの中で感じるところがありまして、鳥取県は指標以上に脆弱だと思った方がいいと思います。それは依存財源の比率が大きいです。
これは指標の中に入ってくるわけでありませんが、ですから国が風邪を引くと私たちは肺病になると、こういう感じですね。ですからそこのところは十分考えなければならないことでありまして、基本的には脆弱性があると思っています。
○山陰中央新報 今若靖男 記者
夕張のときに、地方議会のチェックが足りなかったんだという、一つ反省材料が上がっていたと思うんですが、国がその4つの指標を作って地方にそれを示して、そのラインではらはらするような自治体は多いと。そうすると国がラインを設けることに対しては、地方議会は相変わらず相対的に判断する力が低いというふうに言われてますが、国がそのラインを設けることが地方分権を阻害するなんていうことにつながらないかというふうに考えられるような気がするんですが。
●知事
これ自体は、ただの目安ですからね。あと、自主再建努力を義務づけると、法的に。そこの目安ですから、それ自体が地方自治の理念に反するとは思いません。大事なのは、今のお話の中にもありましたけども、議会、さらには住民の皆さんがいます。
この皆さんに我々の方で積極的に財政情報を開示をさせていただいて、それを見て、もっとここを切り詰めていくべきだとか、ここは選択してこっちに集中させるべきだとか、そうした御提案をいただいて財政を自律的に健全化させていく、その営みだと思うんです。
これは不断の議会の審議だとか住民の皆様の監視にかかっているわけでありまして、これは指標よりももっと厳格なレベルでかかってくると思います。ふだんからそれをやっていれば、当然指標のことは気にしなくてもいけるようになると思うんですね。
夕張[市]の場合は、相当たくさん公共施設を造ったりして投資が過剰になっていた。そのことに対して十分チェックが行き渡らなかったという、そういう反省だと思うんです。鳥取県では今、事前に査定させてもらって、公共投資にかかる前に査定をするとか、独自のシステムを導入していまして、今のところは危機的な状況にはなっていないということだと思いますが、これからもぜひ監視の目を光らせていただきたいと思います。
○毎日新聞 小島健志 記者
ちょっと関連になるとは思うんですが、いわゆる借金の残高ですね、県債、基金残高の推移が、今回の決算はどうなったかわからないんですけど、2月補正の段階では昨年度より増えていると、19年度ですね。当初予算でも増えていると。もちろん臨財債は含むんですけども、単純に借金が増えているという印象はぬぐえないんですけども、このあたり、やはり臨財債が必ず交付税で措置されるというのを本当に信じていいのか、そもそも借金が増えていること自体どう思われるのか伺いたいんですけど。
●知事
私は、借金が、臨[時]財[政特例]債がゆえに増えていることは、よい状況ではないと思います。ですからきのうも総務省に行ったときに議論した中で申し上げたんですが、やっぱり現ナマで、現金で交付税を出すべきだと思います。交付税は今、借金の形で出している臨財債ですから、これは余り健全な状況ではないと思いますので、やり方を変えるべきだと、これは前から思っています。
ただ、その臨財債の点を抜けば、今、起債残高が減少してきているわけでありまして、この20年度でも 100億[円]か何か減ってたと思いますから、その分は健全化へ向かっているだろうと思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
知事、臨財債はもう総務省、21年度ぐらいから、もう発行しないというふうに方針があるという話も聞いたんですけど、そこの辺はどういうふうに受けとめてらっしゃいますか。
●知事
いや、臨[時]財[政特例]債については、まだそういう状況じゃなかったですからね、きのうは。結局従来は特別会計で借り入れてたわけですね。それをやめて個別の団体が借金をして穴埋めする臨財債ということになってきているわけでありまして、これを多分やめるわけには向こうもならないですかね。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
臨財債を続けるとものすごい不健全な財政になっていくということで、取り返しがつかなくなるということで、もう廃止していかなきゃならないんじゃないかというふうな議論が起きているということも聞いているんですが。
●知事
実はちょっときのう、いろいろと議論してみますと、大分厳しいというんですね、交付税も今後。というのは、国税の方が落ちていまして、交付税原資の方が今、シュリンクしているんですね。
ですから冒頭申し上げましたように、例えば我々が4月にとれなかった暫定税率分について、国は保障すると言っているわけでありますが、それも現ナマで出せということを我々は言いますよね。それをやるためには、じゃあお金をどこから持ってくるのかということがあります。
だから非常にやりくりが難しくなっていまして、交付税特[別]会[計]で借り入れるか、臨財債を認めるか、どちらかをやっていかないと、多分21年度に向けては交付税組めないんじゃないかと思いますね、現実論としては。
○山陰放送 山本収 記者
県政課題から外れますけれども、北京オリンピックでジャマイカのウサイン・ボルト選手なんですけれども、 100メートルに続いて、ゆうべは 200メートルでも世界新で圧倒的な優勝ということですけれども、去年、知事はボルト選手と直接面談もされましたけれども、こういった鳥取にゆかりのあるボルト選手の大活躍について、感想をお願いします。
●知事
ボルト選手のこのたびの 100メーター、 200メーターですい星のように駆け抜ける姿は世界中の人を魅了しました。
私も去年、[県立]布勢[総合運動公園(コカ・コーラウエストスポーツパーク)]で御一緒させていただいたり、宿舎の方でお話をさせていただいたりしましたけれども、ボルト選手御自身、鳥取[県]での滞在を非常に喜んでいて、満足して、鳥取[県]に帰ってきたいというふうにおっしゃっていましたから、私も県民と同じように、ボルト選手が活躍してくださったことを喜んでおります。
ぜひこれからさらに世界記録をどんどん塗りかえていって歴史に名を残す名選手になっていただきたいと思いますし、次回は中国じゃなくて鳥取[県]でキャンプを張っていただいて、また県民の前にその雄姿を示していただきたいなと思います。
○山陰放送 山本収 記者
走る姿、ゴールの瞬間、知事、見られてどんな感想を持たれましたか。
●知事
あの長身をぐっとくの字に曲げて0.01秒でも速くしようとして、あの姿は本当に私は胸躍る気がいたしました。この選手と同じ空気をこの鳥取[県]で吸っていたということを思い出して、感慨深いものがありました。
あわせて[男子バレーボールの]山本隆弘選手、惜しくも敗退をしましたけれども、すばらしい活躍を見せてくれたと思いますし、[自転車競技の]和田見里美選手も、これはレースの展開上しようがないといえばしようがないことで、不幸な出来事だったと思いますが、接触による棄権を余儀なくされてしまったということでありまして、お体、大丈夫かなと思いますが、まだ将来がある選手でありますので、今後も活躍してもらいたいと思います。
山本選手も和田見選手も胸を張って鳥取[県]に帰っていていただきたいと思います。
○読売新聞 北島夏記 記者
先ほどおっしゃった教育委員会の廃止を含めた見直しの話なんですけど、これは今回の学力テスト問題を受けての話なのか、大分の話を受けてなのか、両方か、あるいはもともと持論なのか、そのお考えはどこからという。
●知事
それは、大分[県]の問題だとか、今回の教育、学力テストの情報公開をめぐったことが一つのきっかけかもしれませんけど、もともとやっぱり今の教育委員会制度をそのまま続ける合理性は乏しくなっているなという感じは持っています。ですから、これは地方自治のあり方の課題として抜本的な論議をしていただきたいと思っています。
○共同通信 増井杏菜 記者(幹事社)
よろしいでしょうか。終わります。ありがとうございました。