内閣府は、平成20年10月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、弱まっている。
・輸出は、緩やかに減少している。生産は、減少している。
・企業収益は、減少している。設備投資は、弱含んでいる。
・雇用情勢は、悪化しつつある。
・個人消費は、おおむね横ばいとなっているが、足下で弱い動きもみられる。
先行きについては、当面、世界経済が減速するなかで、下向きの動きが続くとみられる。加えて、アメリカ・欧州における金融危機の深刻化や景気の一層の下振れ懸念、株式・為替市場の大幅な変動などから、景気の状況がさらに厳しいものとなるリスクが存在することに留意する必要がある。
政府は、「安心実現のための緊急総合対策」を着実に実行する。また、現下の内外金融市場の混乱を受け、政府は日本銀行と緊密に連携して、(1)国際的な連携を緊密に行う、(2)実態の把握に最善を尽くす、(3)中小企業金融の円滑化に万全を期す、との方針で適切に対処する。さらに、政府は新しい経済対策を早急に策定する。
政府は、「経済財政改革の基本方針2008」に基づき、改革への取組を加速・深化する。民間需要主導の持続的な成長と安定的な物価上昇率を実現させるため、政府と日本銀行は、上記基本方針に示されたマクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、内外の経済金融動向を注視しつつ、政策運営を行う。
日本銀行は、10月14日、ドル供給オペの拡充等、金融市場の安定確保のための対応策を決定した。
(各論)
(1)消費・投資などの需要動向
個人消費は、おおむね横ばいとなっているが、足下で弱い動きもみられる。消費者マインドは悪化しており、所得は弱い動きとなっている。設備投資は、弱含んでいる。住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、緩やかに減少している。輸入は、弱含んでいる。貿易・サービス収支の黒字は、減少している。
(2)企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、設備投資の弱含みや輸出の緩やかな減少などから、減少している。第3次産業活動は、おおむね横ばいとなっている。企業収益は、減少している。また、企業の業況判断は、悪化している。倒産件数は、増加している。雇用情勢は、悪化しつつある。
(3)物価と金融情勢
国内企業物価は、緩やかに下落している。消費者物価の基調を「生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合」でみると、緩やかに上昇している。株価(日経平均株価)は、12,100円台まで上昇した後、8,200円台まで下落し、その後8,400円台で推移している。対米ドル円レートは、106円台から99円台まで円高方向で推移した後、100円台で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(8月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(8月)は前年を上回ったが、乗用車新車新規登録台数(9月)は前年を下回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(9月)、用途別着工建築物工事金額(9月)、公共工事請負金額(9月)とも前年を上回った。
産業面では、鉱工業生産指数(8月、季節調整済)が家具工業、情報通信機械工業等の減により93.2で前月比4.1%低下した。また、大口需要電力実績(8月)のうち鉱工業も前年を下回った。
雇用面では、新規求人倍率(9月)は、1.05倍(前月差0.11ポイント低下、前年同月差0.16ポイント低下)であった。有効求人倍率(9月)は、0.68倍(前月と同水準、前年同月差0.09ポイント低下)と29か月続いて0.8倍を割り込んでいる。
現金給与総額(8月)、所定外労働時間(8月)とも前年を下回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(8月)は、全店舗計では57億5,824万円となり、前年同月比3.1%減と5か月続いて前年を下回り、店舗調整後でも前年同月比3.1%減(全国は前年同月比2.2%減)と5か月続いて前年を下回っている。
なお、全店舗計の内訳では、百貨店が19億3,037万円(前年同月比5.9%減)、スーパーが38億2,787万円(前年同月比1.7%減)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(8月)は、36億3,063万円(前年同月比3.1%増)と6か月続いて前年を上回った。内訳では、ホームセンターが19億9,760万円 (前年同月比1.4%減)、家電量販店販売額が16億3,303万円(前年同月比9.2%増)であった。
乗用車新車新規登録台数(9月)は、1,877台(前年同月比9.1%減)と2か月続いて前年を下回った。減少の内訳では、普通車の減少(前年同月比17.3%減)が大きかった。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(9月)は、289戸(前年同月比28.4%増)と2か月続いて前年を上回った。増加の内訳では、持家の増加(前年同月比37.7%増)が大きかった。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(9月)は、20億4,640万円(前年同月比92.8%増)と6か月ぶりに前年を上回った。用途別では、製造業用(前年同月比473.5%増)等が前年を上回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(9月)は、86億7,200万円(前年同月比14.9%増)と2か月ぶりに前年を上回った。発注者別内訳では、県の増(前年同月比85.0%増)が大きな割合を占めた。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(8月)は、生産指数(季節調整済)が93.2となり前月比は4.1%低下、原指数は、82.4となり前年同月比では13.3%低下した。
内訳を前月比で見ると、食料品・たばこが4.4%の低下、電子部品・デバイスが1.6%の上昇、情報通信機械が9.5%の低下、電気機械が4.3%の低下となっている。
在庫指数(季節調整済)は99.1と前月比0.2%の上昇となった。
【電力】
大口需要電力実績(8月)は、150,031千kWh(前年同月比1.1%減)と2か月ぶりに前年を下回り、鉱工業もその他の製造等が減少し0.9%減少した。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(9月)は、野菜が1,598t(前年同月比5.6%増)と2か月ぶりに前年を上回り、果実も1,440t(前年同月比12.9%増)と2か月ぶりに前年を上回った。
鳥取市場の鳥取県産青果物卸売(9月)は野菜が560tで市場全体に占める割合は35.0%(前年同月差1.6ポイント上昇)、果実は872tで市場全体に占める割合は60.6%(前年同月差3.4ポイント上昇)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(9月)は、7,535t(前年同月比7.5%減)と4か月続いて前年を下回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(9月)は、1.05倍(前月差0.11ポイント低下、前年同月差0.16ポイント低下)であった。なお、新規求人数(9月)は、3,721人(前年同月比13.5%減)と12か月続いて前年を下回った。
有効求人倍率(9月)は、0.68倍(前月と同水準、前年同月差0.09ポイント低下)と29か月続いて0.8倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(8月)は、265,922円(前年同月比2.1%減)と2か月ぶりに前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与(8月)は、250,430円(前年同月比0.7%減)で7か月ぶりに前年を下回った。
【労働時間】
所定外労働時間(8月)は、8.9時間(前年同月比4.3%減)と7か月ぶりに前年を下回った。主力の製造業は13.0%減となった。〔産業別の前年同月比では、複合サービス事業(前年同月比20.0%増)等で前年を上回り、建設業(前年同月比43.1%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(8月末)は、1兆8,999億円(前年同月比1.1%増)と2か月ぶりに前年を上回り、貸出金残高(8月末)は、1兆1,231億円(前年同月比1.5%減)と24か月続いて前年を下回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(8月)は、先行指数が6月31.3、7月56.3、8月50.0、一致指数が6月62.5、7月56.3、8月18.8、遅行指数が6月60.0、7月60.0、8月40.0となった。
・ 企業倒産 (9月)は、件数が4件で前年に比べて2件増加(前年同月比100.0%増)し、負債総額は3億8,000万円で前年に比べて1億9,000万円減少(前年同月比33.3%減)した。
・ 消費者物価指数(9月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、102.2(前月比0.6%下落、前年同月比2.5%上昇)となった。
・ 鳥取県の推計人口(10月1日現在)594,915人で、前月と比べて269人(0.05%)減少し、前年同月と比べて4,915人(0.82%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成20年8月調査でみると、平成20年7~9月期は、平成20年4~6月期に比べると、景気、経常利益はきわめて不調であり、売上高は不調である。また、平成20年10~12月期は、平成20年7~9月期に比べると、景気、経常利益はやや不調となり、売上高はやや好調となる見通しとなっている。