●知事
皆さん、おはようございます。昨日は[大阪府守口市の]三洋電機の方に急遽アポイントをいただきまして、佐野社長に面談をさせていただきました。このたび報道されていますパナソニックとの資本・業務提携の協議開始につきまして、地元に多大な経済的な影響を与えることが予測され得るものですから、それについて地元の事業活動をしっかりと継続をしていただきたい、また雇用の確保を図っていただきたい、願わくばパナソニックとのシナジー効果を出して発展するように持っていっていただきたい、それを強力に、強く強く要請をさせていただきました。
佐野社長からは、私ども地元の気持ちというものを、状況というものを深く理解した上で、パナソニック側にも当面、折衝の中で鳥取[県]の事情なんかも伝えていきたいというお話がございました。とりあえずは、丸ごと三洋[電機]がパナソニックとの業務提携に移行するということでありまして、すぐに鳥取の事業所がドラスチックな変化を遂げるということではないのだという点を強調されておられました。
しかし、いずれにせよ現在、世界の景気動向がどんどん悪くなっておりまして、これに伴って鳥取[県]での現状での事業活動の、その問題点は浮上してきているのだろうと思います。ですから、そうした苦境をまずは乗り切りながら、パナソニックとの折衝の中でも、個々の事業活動、そしてその商品価値、技術というものが今後の電機事業のリーダーとして両者が一体となって臨んでいこうという、大きな戦いの中で必要なのだと、それを訴える基本になると思います。ですから、まずは経営の中期的な計画をしっかりと実現することを地域としてもお支えする必要があるだろうというように感じた次第であります。
●知事
それから、[先]週末に松本三江(まつもとみつえ)さん、それから松本孟(まつもとはじめ)さんにお会いをいたしました。改めて痛切な思いを伺わせていただきまして、お母様が、京子さんが一目一目丹精込めて編まれた、そのセーターを手にして、30年も帰ってこない、その嘆きを口にされた際には、私も正直胸が張り裂けるような、そういう思いを持ちました。
ぜひ、孟さんからも強くお話がございましたが、政府に働きかけることを県としてやっていただきたいというお言葉でございました。その意味で、きょう、夕方上京しまして、あした、東京での行事がございますけれども、その時間を割きながら、政府の方へ県単独で要望活動をまずはさせていただこうと考えております。
今申し入れをいたしておりますのは、総理にもと思ったんですけども、どうも日程の都合が外遊か何かでとれないというお返事をいただいておりまして、松本孟さんからお言葉もございました、漆間(うるま)[内閣官房]副長官が今やろうとされていることに共鳴されているようなお話もございましたので、漆間副長官にお願いをし、また現状の御報告をさせていただきたいと思っております。
新情報が出ておりますし、どうも世上報道されるところでは、これまでの表面化していなかった折衝過程の中で、そのほかにも情報が隠されているのではないかと推測されるような、そういう報道も出始めております。政府としては、これまでの戦略が効果的でなかったのであれば、ぜひ方向をある程度転換をするとか修正をしながら、結果を出すような折衝をしていただきたい。これをお願いに上がりたいと思います。
それから、あすは、今、焦眉の課題でございますが、高速道路の建設を確かなものとするために、その要望も行おうといたしておりまして、溝口島根県知事などと一緒に上京させていただくわけでございます。これから道路の整備計画を、恐らく年をまたぐことになりそうな観測が流れておりますが、取りまとめる時期でございまして、今の一般財源化とも絡む、随分交錯した議論になると思います。非常に難しい局面も予想される中で、真に整備の遅れている山陰の高速道路の建設を国として責任を持って果たすように求めてまいりたいと考えております。
また、このたび近畿地方の知事会議が開催をされました。その結果として、来年の6月2日に鳥取市内で近畿ブロック知事会議を初めて開催をすることの了解が得られました。私としては、日本海が見えるところで、しかも関西とのゆかりの深い企業さんの研修所を活用してやってみてはどうかというアイデアを皆さんに申し上げているところであります。詳細はこれから詰めていくことになりますけれども、関西との連携が深まることの一つのシンボリックなことになるのではないかと期待をいたしております。
ただ、鳥取県は、その近畿の知事会の場でも申し上げましたけれども、中国地方の中の一角という、そういう歴史的な地位を持っているわけでございまして、その方での連携・協力体制は従来、引き続いてやっていかなければならないわけであります。来週の月曜日に中国地方の知事会を鳥取県内の米子市で開催をいたします。
さらに引き続いて、これは中[国]経[済]連[合会]と一緒になってやる事業でございますけれども、新しく経済界の代表の方々と、それから首長を交えての意見交換会[中国地域発展推進会議]を行うことにいたしております。これは広域観光について話し合うという設定になっておりますが、この広域観光は国際的な旅客を集める意味でも、また関東方面で旅のテーマとして認知度が薄い中国地方の存在感を高める意味でも重要なことではないかと私は認識をいたしております。こうした連携の輪が中国地方とも広がっていくことを期待を申し上げたいと思っております。私の方からは以上です。
○テレビ朝日 後藤龍彦 記者(幹事社)
各社、質問がありましたらお願いします。
○日本海新聞 小谷和之 記者
給付金なんですけども、きのう大枠が示されまして、県内4市の市長もそういう所得制限の部分は、市町村に丸投げされることに対して、それはちょっとおかしいんじゃないかと、国の制度としておかしいんじゃないかということを言っておられるんですけども、知事自身はどのようにお考えになっておられるのか。あと、線引きする場合は課税所得が 1,800万円以下の部分で線引いちゃだめだよと。この 1,800万円という金額は、県内の所得の状況を見てみると、ちょっとそう多くはない部分で、この制度の趣旨を考えると、なかなかそういった人にも1万何がしというお金が要るのかなと、1,800万もあるような人が要るのかなというふうに思うんですけども、下限の設定として、その辺は妥当かどうか、知事のお考えはどう思うかと。
●知事
この給付金については議論が混乱をしていて、恐らくまだ収束をしてないんじゃないかと思います。報道で、何か決まったことが右に左に動いているように報道がありますけれども、実態としては、例えば法案だとか予算だとかで仕切るわけでありますから、そこで最終的には決めていく筋合いなのかなと思って、今は経過的な議論だろうと、私はやや淡白に見ております。
今回の給付金は、でも、今の議論の進展状況で幾つか問題があるように思います。一つは、急遽昨日伝えられた、地方の市町村の方に丸投げをしているんではないかという、そういう議論でございますけれども、最近、国はこうした中途半端に任せる、それで現場の混乱を招くということが続いているように思います。
私は学力テスト問題もそういうことではないかと思っていまして、本来、学力テストの実施要領にちょっと書いて、それも明示的なものというよりは、こういう考え方を持っているから、あとは自分で適切に判断してくださいと、そういうことで国が思うことをやれと言わんばかりの状況でございまして、これが鳥取県のように特殊な情報公開先進県の条例を持っているところでフリクションを起こす羽目になったと思うんです。
今回の給付金問題もそういった様相を見せているのかなと思います。国が国として景気対策の目玉で打ち出すのであれば、国の事業としてすべて責任をとり得る体制を持たなければならないと思います。もちろん地方でどうしてもできないことがあるだとか、これはどうしても任せざるを得ないところがある、裁量の幅を持たせなければならないところがあるというのであれば、そこについては委任をすることはむしろ当然かもしれません。
しかし、今回は 1,800万円というのも、下限ですか、上限額の下限であって、幅もありますし、それからやり方なども自由度が高いようになっている。さらにその所得制限をつけること自体、自治体の方の負担が伴うのではないかとかいうことになってくるわけでございまして、国として責任ある制度設計をこれから、本来はもう一度議論をやり直してでもするべきではないかと思います。このことが第1点でございます。
それから、第2点として、景気対策という効果を考えた制度設計をその際にはすべきではないかと思います。今回、振り込んで1万 2,000円とか、そういう一人頭の額が入るわけでありますけども、消費にどれだけ回るかということを考えなければならないと思います。
2兆円という総額を使うわけでありますが、2兆円といいますと鳥取県の年間予算の5年分の予算でございますから、大変大きなお金で、私なんかには想像もつかないような額なんですけれども、そのお金を使うのであれば、これだけ経済が疲弊するかどうかの瀬戸際になっている時期でありますので、タイミングよく上手な対策の打ち方を考えなければいけないんじゃないかと思います。
与党内の合意が先行して、結局それの後づけで話が回っているように見えますけれども、基本のところをもう一度押さえる必要があるのではないかと思います。例えば地元で買い物を絶対することになるとかいう仕組みをビルトインするだとか、地方を絡めてやるんであれば、何かそういう工夫を考える余地もないといけないのではないかと思いますし、それを国の方でメニューとしてこしらえるのが一番いいんではないかと思います。
あと、 1,800万[円]の額は、これはよくわかりません、私も意味はよくわかりません。恐らく麻生総理[大臣]が 2,000万[円]とおっしゃったので、それから控除を引けば大体 1,800万[円]という、麻生総理は割とお金の単位が違うところがありますので、 1,000万[円]の次は 2,000万[円]ということかもしれませんけども、そういうことで言われて 1,800万になったのかなと思いますが、ただ、私は、もし所得制限を生活支援のために作るというのであれば、真に生活支援が必要な人のスキームにふさわしい制限の考え方があってもよかったんではないかと思います。
逆に減税と見合いで考えるということであれば、その減税をするのに等しい考え方で、所得制限をむしろつけないで、税率を調整する代わりにこういう給付金を出すんだという考え方もあったんではないかと思いますが、現在の示されているのは、その意味では中途半端かなと思います。
恐らく県内でそのベースで 1,800万[円]というのは、そんなに数はいないことになってしまうんではないか。だから他県でも何かそういう動きがあるようですけれども、場合によっては、もうそんなこと考えずにすべて払い込んだ方が、手間を考えればよっぽどコストが安いという地域に鳥取県はなるのかもしれないなという、そういう感覚を持ちました。いずれにせよ、この最後の仕上げのところはやっぱり市町村が御判断されることだと思います。
○日本海新聞 小谷和之 記者
市町村の側は、高所得者の人には辞退を要請できると、そういう項目がどうもつけられるようなんですけども、鳥取県内ではなかなか、多分恐らく 1,000人いないんじゃないかと、この下限の部分では、いうような推察もできるんですけども、県内では知事の所得というのもかなり高所得な部分に入ってくると思うんですけれど、市から辞退を要請されたりとかする場合は、辞退する考えは。
●知事
それはルールに従いますよね、私はもちろん。ただ、それはまだ全体のスキームが決まってないし、私もどの所得でやるのかちょっとわかりませんので。
○日本海新聞 村上俊夫 記者
1,800万が仮に下限だとしても、申告制ということであるなら、それ以下でも辞退は、申告しなきゃ、給付を受けないという方法もあるだろうと思いますけれども、知事自身はそうなったときに、仮定の話なんでわかりにくいですけれども、申告をしないというお考えはありますか。
●知事
私は、設定されたルールで考えたいと思います。それに従うのが法治国家的な考え方じゃないかと思いますので。
○山陰中央新報 今若靖男 記者
先ほどの知事のお話の中でいうと、地元で買う仕組みですね、給付されたものを。これは今まであんまり議論されてなくて、今提案されたような意味があったと思うんですけど、これはやっぱり給付金が活用されて景気対策が地方にまで波及しないのではないかという懸念からの。
●知事
そうですね、結局貯蓄に回ってしまうと、要は銀行の含み資産が増えるだけの話ではないかと思います。これはわかりません、どれだけ、ただ、歩どまりはあるにせよ、消費刺激効果は、私はちょっと世上言われてることとはちょっと違いますけども、一定程度の消費刺激効果は多分あるだろうと思います。
もらったらうれしい、じゃあ旅行に行こうとか、三朝温泉に行こう、皆生温泉に行こう、そういう方々はゼロではないと思いますので、一定の消費刺激効果は期待できるのではないかと思いますが、2兆円というお金を、大金を使うんですから、その使う際にはもっと上手な、もし鳥取県みたいに貧しい県だったらもっと上手な使い方を、知恵を絞って考えるところではないかと思います。
○山陰中央新報 今若靖男 記者
例えばそれは鳥取県民が県外で使うよりは、地元で使えば、地元の金を受け取る商店側の方はもうけになるわけですけれども、この辺はやっぱり地域の、地方の景気対策として制限は加えるべきだというお考えはありますか。
●知事
ええ。ただ、今は振り込み方式ですからね、だから今のではそういう余地がないんだろうと思うんです。だからむしろ商品券がいいかどうかということは、それは議論あると思いますけども、地域でどうせ同じようなお金があるんでしたら、地域の商店街を再確認するチャンスになるような制度とか、そういう工夫が必要ではないかと思います。今のままでは単なる選挙前のばらまきという批判がどうしても残るんじゃないかと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
ただ、昔、地域振興券というのがありましてね、あれは、それこそ使えない町村が出たりしたことがあるんですけども、その二の舞になったんじゃたまらないですよね。
●知事
ええ、ですからそこは工夫でね、例えばこういう範囲内とか、例えば地域にお金を落とす仕組みであれば、こういう範囲内で消費しましょうとか、こういう使途で考えましょうとか、いろいろと設定の仕方はあり得るんではないかと思うんだけども、ただ、今のだと1万 2,000円貯金に入って、しかも通帳の中に入ってしまうと、消費刺激効果がより薄いんではないかという気がします。
○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者
その給付金に関連して、もう一回ちょっと、質問重なるようですけど、知事御自身は、御自身がどう思われてるかということを改めてお伺いしますが、知事御自身にとって給付金というものは、やっぱり平井さん個人としたら喜んで受け取るというような思いでいらっしゃるんですか、どうでしょうか。
●知事
私は、2兆円という総額が鳥取県の予算の5倍ものお金ですから、大切に使ってもらいたいなという複雑な思いも持ちながら、もし仮に受け取れば受け取るということだと思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
知事、先ほど鳥取県は情報公開先進県だとおっしゃいましたけれど、今度、使用制限、開示情報に対する使用制限をつけるということは全国でも例のないということでして、それは制度の根幹を揺るがしかねないというふうに指摘もあるんですけど、これも情報公開先進県であるがゆえの取り組みということなんですか。
●知事
そこは、表現が適切かどうかはあれですが、持てる者の悩みという部分はあるんでしょうね。やっぱり最先端のところの開示が議論になってるもんですから、そのデリケートがゆえに、一定程度条例上の規定を考えようかというのが現在の教育委員会の動きではないかと私は受けとめております。もちろん最終的には議会で条例はきちんと議論をして結論を出すべきものですから、民主主義の手続でその適否は検証していくことになろうかと思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
でも、制限つけるということは、これはあなたにだけこっそり教えますよ、こっそり情報みたいなもんですよ、だからだれにも教えないでねという、それが本当に開示に値するのかどうかということは疑問だと思うんですけど。
●知事
そもそも情報公開を進めようというのは、アメリカの情報アクセスの権利だとか、そうした議論で国際的に開かれてきた新しい人権なわけです、公開請求権というところはですね。これは行政が持っている情報が閉ざされることなく、それを請求した者に示していくと。それによって納税者に対する責任を行政側は果たすべきではないかと、こういう考え方があります。
あと、情報請求はだれでもできるわけですから、その受け取った情報をもとにして政治的意見を形成をして、その政治的意見を行政側に提出することができる、その前提となる権利ではないかと。これがそうした情報公開の開示についての議論の発達過程だと思います。ですから、そういう意味で、今回、開示と公開と、どうしても混同されるんですけども、個別の情報開示については、あなたが知りたい情報はこういう情報なので、これをお示ししますよというのが基本だと思います。
ですから、それと、例えば何かプレスリリースをして公表するというものとは、もともとこれは峻別されているわけでありまして、そこの調整をどう考えようかというのが今の教育委員会の悩みなんではないかと思ってます。
○日本海新聞 村上俊夫 記者
確かに開示と公表は峻別する必要があるということは思いますけれども、しかし、これは同時に非常に連動性もあって、つまり私なら私がある情報に開示請求をすれば、そういう手続をすれば必ず到達するという到達点が明確になっているときの開示のあり方、公表のあり方というのは、それはやっぱりそうでないときとは違ってくるに違いないし、現実に恐らく最終的に開示請求という手続をすればこの情報にはたどり着けるということがわかっているときには、実施団体の方では、それをむしろ言われるような公表の中に取り込んでといいましょうか、全部ではもちろんないにしても、最終的にはそこに行くんだということがわかっていれば公表のあり方も変わってくると。実は、今度の教育の問題なんかは、その公表のあり方が地域の教育力をどう高めるかということに非常に役立つと、そういう僕は認識ではないのかなと。だから、さっき弥重さんが言ったように、これ、あなたにだけ教えますよというようなことが情報公開という公開の制度の中で、もう門外不出ですよと、あなただけで、だれにも言っちゃいけませんよというようなことでは、先ほど知事が言われたような政策づくりで合意形成の素材たり得ない。やっぱりそこのところが一番大きな問題ではないかと思うんですけど、どうでしょうか。
●知事
ですから、だからそこは程度問題があるのかもしれません。今おっしゃるように、例えば同じ学校に通っておられる親御さんがおられて、お互いにこういう情報を今、開示を受けたと。これについてみんなで議論しようじゃないかといって、その政策的な意見を提出するために、要は学校側と話し合って教育を改善しようということに役立てようとやってすることまで制限するのかどうかということはあると思いますね。
そういう意味で、一つのポイントとしては書き方といいますか、中身としてどういう新しい配慮、どういうことなんですかね、私もちょっと、多分今、教育委員会で考えておられると思うんですが、何かこういう配慮をしなさいというような規定なんだろうと思うんですけども、そういう書きぶりの話が一つあると思います。
あと、もう一つは拘束力も本当は大事なテーマでして、法律の場合であれば、果たして権利を侵害する可能性があるかというところに行くわけですね。その拘束力があるような内容になっているのか、それとも行政機関としてこういうふうにしてほしいという、いわば意思表示をするような規定なのか、これでは全然制限性の度合いが違いますので、これも一つのメルクマールなのかなと思います。
これはいろいろと意見は、私は先鋭的な話を今してますので、鳥取県の場合は。一つのイシューになるような、論点になるような、そういう議論でありますから、意見が分かれる部分はあろうかと思います。ですから、条例なりなんなりというような形で明確にして、公に、パブリックに論戦をして結論を出していくというのが必要ではないかと思います。
多分教育委員会はそこを気にしてると思うんですけども、市町村がそれを見て学力テストに参加するかどうか決めるというタイミングもありますので、早晩決着しなきゃいけないと思います。
近畿[ブロック]知事会[議]の後も、雑談で各知事さんと話ししたんですけども、もう学力テストの開示、非開示で、ここで議論をとめてしまったらいけないと私は思ってまして、ほかの知事さんも同じことを、要はどういうふうに学校教育を子どもたちのためによくしていこうかと、そっちの本当の議論に進めなきゃいけないと思います。その意味で、教育委員会も一つの決着をつけたいという思いで今動いているんでしょうから、それを見守っているわけであります。
○読売新聞 高山千春 記者
今おっしゃられた中に、書き方、中身がどういうものになるのかというようなもので拘束力とか表現の自由に触れるとかという部分、デリケートな部分も決まってくるというようなお話だったんですが、知事としては、使用制限というかなり強い表現で今、パブリックコメントがなされているようなんですけれども、どの程度までなら許容できるとお考えでしょうか。先週は使用制限という言葉を使っていた文面をごらんになっても、罰則がないということで憲法論議にはならないというようなお考えだったかと思うんですが、そこを、罰則がなかったとしても、やはり強い表現にはアレルギーを持っているかたもいらっしゃるようなんですけれども。
●知事
どうでしょうね、私も私なりの行政観がありまして、教育委員会の範疇にだいぶ今、深く入っちゃってると思うんですね。教育委員会の裁量的な議論が今、14日とおっしゃってましたっけ、何か近々あるんじゃないでしょうかね。ですから、そこできちんと議論してもらうのが筋合いだと思いますので、あまり私の方で今、指図をするようなことを言うのは控えた方がいいかなとは思ってます。
ただ、今御指摘のように、いろんな御意見が世の中にあることの存在は、教育委員会としても認識をしていただいて議論をしていただければ、いずれにせよぎりぎりのボールになると思うんですけども、ぎりぎりのボールでの議論をしていただけるんではないかと思ってます。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
関連してなんですけれども、教育情報を地域で共有するところに優先的に予算を配分するということを教育審議会や県教委がおっしゃってまして、知事も支持されたと思うんですけれども、市町村教委からは開示、公表、学力テストをあおるものなんじゃないかという声も上がってますけれども、そこについてはどのようにお考えでしょうか。
●知事
まだ私はその具体的な、何か毎度毎度で申しわけありませんけど、教育委員会で何か案を作られたんですか、それを提示したんですかね。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
素案は。
●知事
提示したんですか。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
はい。
●知事
素案があるんですか。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
はい。
●知事
ちょっとそれの、まだ拝見はしてません。多分予算要求をするための下準備を今されてるんだと思います。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
そうです。
●知事
ぜひ、それも市町村と話し合って議論してもらったらいいと思います。要らぬ誤解を市町村に招く必要も僕はないと思いますんで、最終目的は教育をどうやってよくしていこうか、この突破口を私は鳥取県という地域が温かいコミュニティーであるところならできる教育改革があるんではないか、それを地域から生み出してもらいたいと。その後支えを県も応分の支援をしてもいいんではないかと思ってます。
具体的なスキームづくりだとか市町村との協議などを教育委員会の方でやっていただいて、私はそれのちゃんと相談には応じますと、そこは意思表示をさせていただいてるわけです。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
今、応分の支援をしていきたいと言われましたけれども、そういう学力向上を取り組む地域に対して支援をするという、補助金の枠といいますか、どれぐらいの腹づもりでいらっしゃるんでしょうか。
●知事
今はまだそこまで、本当にないですわ。私も今、多分素案を作られてるんでしょう。
○読売新聞 北島夏記 記者
お聞きをする限り、知事がテストの公表とかを含めて、状況によって一定取り組むところには予算を手厚くするという、知事会見でお話がありましたが、それに沿った内容には一見して見えるんですが、これに関してお考えは。
●知事
それで大いに議論してもらったらいいんじゃないですか。そう思いますね。いろいろと市町村側の意見を聞きたいからこそ、こういう早いタイミングで市町村に投げてるんだと思いますよ。教育委員会もそういうスケジュール感でやってると思いますので、市町村からの御意見も承ってやっていけばいいんではないかと思います。
私は、議場でも申し上げましたけど、あえて情報を公開とは言ってないですね、情報を共有と申し上げてまして、そこは幅を持たせて教育委員会にオーソリティーを与えてるつもりなんです。
ですから、厳密な意味での開示決定とか、そういうことではなくて、地域の教育の状況というのをいろいろと分析をしたり、いろんな手法があると思います。そういう中で共有をして、その成果を生かして、家庭教育も頑張る、地域も応援すると、こういう流れを作れないだろうかというのが真意でございますので。
○読売新聞 北島夏記 記者
その補助率、補助枠というのは、そこまではまだですか。
●知事
申し訳ありませんけど、大体要求があって査定をするというのが役所のやり方でございますので。
○読売新聞 北島夏記 記者
となると、当初予算で。
●知事
はい。当初予算で議論したいと思います。その前提で、多分11月議会で情報公開の問題についての裁きも一定程度出てくるんじゃないかと期待してます。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
じゃあその関連なんですけど、大阪府の場合はそういう交付金、市町村への交付金として30億円の基金をつくろうとしてますけれども、そういうお考えについてはどうでしょうか。
●知事
そのロットは、大阪とうちとでは財政規模が全然違いますので比較はできませんけれども、基金をそのためにつくる、ふるさと納税の基金もつくってはいますけども、基金をつくるというのが政策手段として必要な領域ではないと思いますけどね。予算査定の中でモデル的補助としてスタートさせれば十分ではないかと思いますけど。これはちょっと教育委員会の範疇に踏み込みますので、教育委員会で案を考えてもらえばいいと思います。
○朝日新聞 井石栄司 記者
話ががらっと変わるんですけど、DBSフェリーですが、9月の末に50億ウォン集まるという確約書をとって、10月の末の段階でも入ってなくて、今の段階でも入ってないみたいなんではないかと思うんですけども、11月の中旬までにはめどをつけて株式の構成を組みかえるという話だったと記憶してるんですが、これについて新しい情報というのは入ってるかどうかというのと、あと、船の購入というのが、11月の末までにするというのが6月の時点での話だったと思うんですけども、この船の購入についても、新たな情報とかは入ってるんでしょうか。
●知事
現在、確たる情報がないと思いますね。それで確かめる必要があるだろうと私たちも考えておりまして、しかるべく照会をかけたい、あるいは協議の場をDBS側と設けることを考えたいと思っております。来週にもそうした問い合わせをさせていただくべき時期ではないかなと思ってます。
ただ、いろいろとやりとりがある中で、これは本当に断片的なことなので、これですべて語ることも全くできないんですけども、皆様も御案内のように、韓国のウォンが急速に弱くなっている。これがある意味予定外の影響をもたらしている面があるようです。
ですから、2月に就航させるという意思で、韓国のDBS[クルーズ]フェリーは明確な意思を持って、しかも関係者の理解も得ながら動いていることは間違いないんですけれども、ただ、多少今後スキームが変わってくる可能性はあるのかなという感じを持ってますけどね、まだその確たることはわかりません。ただ、船が今の時点で買えるかどうかというのは、それは確かにまだ未確定な部分になってきてると思いますね、ウォンの関係もありまして。
○山陰中央新報 太田満明 記者
船は、もう買ったんじゃないんですか。
●知事
手付は払ってあると。
○山陰中央新報 太田満明 記者
ですよね。全額はまだということか。
●知事
ですから、手付を払ってあるので、それは買うという意思も明確になってますし、それを買わないとなると会社として損が出ますから、それについては、この契約の扱いを今後どうしていくかというのは、一つの議論はなされなきゃならないと思うんですね。
ただ、それは、要はあの船ということなんですけども、船はいろいろあるもんですから、ですから別にその船が買えなかったとして、それがイコール航路開設できないということではないんだそうです。ですから船を、調達を別途して、それで就航を開始するという可能性も出てきているということではないかと私は思っておりますが、いずれにせよ、ちょっと確かめなきゃよくわかりません。
出資形態は、今も海運会社の参加の可能性も含めて調整がなされているところではないかと私は思っておりますが、この辺もこれから問い合わせをしていきたいと思っているところです。
○朝日新聞 井石栄司 記者
先ほど今後スキームが、2月就航のスキームが変わっていくかもというふうにおっしゃった。
●知事
いや、違います。2月就航は、これはどうも変わらないんじゃないかと。それ以外の、例えばどの船を使うとか、資本の参加形態とか、そういうところでの変更という意味でスキームと申し上げたんです。
2月就航のところは、DBSクルーズフェリーはかなり強固な意思でやっておられるようであります。一つ寄せられた情報では、その2月がだんだん近づいてくるもんですから、ソウルで事務所は開設済みですけども、[ロシア]沿海地方でもその手続がとられていて、日本でもそうした手続に入ろうとしていると。
だから日本支社というんですかね、そういう日本での受け皿の手続にも入りつつあると、そういうお話も伺っております。ですから、私どもも情報の分析をしているんですけども、まだ不明確なところもあるもんですから、お問い合わせなり協議をさせていただく必要はあるだろうと考えています。
○毎日新聞 小島健志 記者
三洋の件ですけども、佐野社長の反応をもう少し詳しく教えていただきたいのと、その際に県として具体的な支援策は提示されたのか、また今後、その支援策をまとめていくお考えはあるのか、教えてください。
●知事
佐野社長が最初におっしゃったのは、今回、世上いろいろと報道されてはいるけれども、だいぶ御自身でお悩みになったようです。私もこういう県庁という所帯を預かっている身ですから感覚はよくわかるんですけども、そこで働いておられる、三洋[電機]で働いておられる従業員のかた、あるいは三洋の事業が地域社会に与えている影響、そういうものを考えて、三洋丸ごとで今後も事業継続していく道を探らなければならなかったと。
これは、いろんな選択肢はあり得たようでありますけども、ただ、例えば三洋が、それぞれの部門がばらばらにされてしまう危険とか、それこそ鳥取の事業所を閉ざせと資本家側から突きつけられるようなリスクとか、そういうものを回避しなければならないと、そこに思いがおありだったのではないかと私は受けとめました。
そういう意味で、丸ごと三洋としてパナソニックと資本・業務提携をするという道が今のベストの選択だったと考えておられたというお話でした。そういう文脈でございますので、佐野社長は今すぐ三洋が子会社化と実際に協議がまとまって決まったとしても、鳥取CEなどの鳥取県内の関連部門がすぐに転換してしまうとかいうことにはならないと、これ論理的に多分ならないんだと思います。だから、そのことはまずお含みおきいただきたいと。
ただ、今回こうして急遽動きが出てきたのは、世界的な景気の動向で、三洋だけでなくて、きょうの報道だとパナソニックも液晶生産を減少させるという話が出てましたけど、そういうふうに各社同じような厳しい状況に入ってきて、これを乗り越えていかなければいけない。それをパナソニックとの協議だとか子会社化の進展のプロセスの中でやっていかなければならないわけでありまして、そちらが本当に大変なことだという思いのようでした。
松岡社長は現場を任されて、今、[三洋電機]CEの社長をされているわけでありますけども、経営計画を実現をしていく、簡単に言えば黒字で安定的な操業をして、その過程の中で新商品開発だとか収益の柱を打ち立てていくということだと思いますが、これをきちんとやっていく、そういう地道といいますか、当たり前の取り組みが今、真に求められているということでありました。
ですから、私の方で申し上げましたのは、地域のナンバーワン企業、まさにトップの企業として地元の人たちは考えている、そういう若い人たちがあこがれて入るような職場、このことをわかってもらいたいと。事業を継続して雇用も確保して、できればその展開をパナソニックとのシナジーで出していただきたいということを申し上げたんですが、支援としては、今申し上げました、CEが生まれ変わろうとして新しい業務領域を開いていくとかいうようなときに、その投資に対するお支えなどは当然考えられるでしょうと。
また、事務的な、事務管理要員を鳥取に来ていただくというんでしたら、それも支援ができるスキームをつくりましたし、今後も三洋の変革をにらみながら、支援メニューについても柔軟に考えていく、そういう姿勢で臨みたいということを申し上げました。
○日本海新聞 村上俊夫 記者
知事、企業体に対する支援、これは必要なことで、やられるべきだと思うんですけれども、同時に今後、地域としてやるべきこともあるんではないかと。既に地域産業活性化基本計画もつくって人材づくりにも乗り出してる。実はそこの部分を力いっぱいやりますよということを形の上で見せるということが、今後の両社が事業展開を考えるときに地域としての魅力、ここで事業を続けるべきだというインセンティブになると。当該の企業に対する支援と同時に、地場で今やらないかんことを力いっぱいやるということが必要ではないかというふうに思うんですけども、どうなんでしょうか。
●知事
村上さんがおっしゃるように、私は率直に佐野さんに申し上げたんですけど、正直大阪府なんかと補助金競争して勝てる体力があるわけではありませんと。ただ、例えば工場展開をするときの緑地の緩和とか、今おっしゃるような人材の関係で、液晶の話なんかもさせていただいたんですけども、そうした地域の企業と密着した人材づくり、こういうこともやっていきたいということを申し上げました。
また、商工会議所でも、ぜひこの三洋[電機]の立地継続に協力していきたいという声も寄せられていますよとか、いろいろと我々の熱意と今後の取り組みの気持ちを申し上げたわけであります。
きのうの段階では正直、具体的協議にまだパナソニックと三洋電機が入ってないようでありまして、それ以上、三洋側の取り組みもわかりませんでしたので、話は、きのうのところはそこまでしかできなかったということですね。
○日本海テレビ 山尾義己 記者
今後、パナソニックの方にも要請に行かれるような考えはあるのかということと、もし行かれるとすれば、時期はいつごろになるか。
●知事
事態の変化をにらみながらと考えておりますけども、パナソニックと三洋[電機]とが今、協議を始めたばかりでありまして、協議が調って子会社化を前提とした資本・業務関係が正式に決まってくると、そういう段階でパナソニックの方にお伺いをするのが順序のようですので、そのように今は考えております。ただ、事態が急変するとか、何か展開があったときは考えなければいけないと思います。
ただ、佐野社長にも明確に申し上げましたけども、私としてはパナソニックとの提携関係ができるわけでありますし、パナソニック側には、今まで米子の事業所はありましたけども、鳥取で立地して三洋がどういう事業を展開し、またそれが地域の人たちから熱く支えられていることなど、まだ理解いただけてないところも多々あると思いますので、パナソニックにはぜひお伺いをしてお願いもしてみたいということをお断りをさせていただいてます。
三洋側としても、それは知事の御判断で考えていただいて結構ですと言われてはいますけども、ただ、時期については、協議の邪魔をしない方が三洋にとって行く行くはいいことだと思いますので、慎重にそこは見ながら考えたいと思ってます。
○山陰中央新報 太田満明 記者
関連するんですけれどもね、今、三洋CEそのものの話というのも出てきてるんですけれども、ただ、三洋CEの業容が変わったりしますと、そこの下請がたくさんおられますよね。少し変わっただけで影響の出てくる下請というのが相当あるのかなと思うんですけれども、もし、下請ってほとんど零細であったりするんだろうと思うんですけど、その場合の支援とかなんとかというのは、何か考えられるわけですか。
●知事
そこは、その下請さんも業容を転換していくんであれば、当然我々の方でもお支えをしていく必要はあるだろうと思います。それは柔軟に考えていきたいと思いますが、ただ、パナソニックの大坪社長が経営は甘いものではないとおっしゃっていた真意というのは、非常に今の環境は厳しいということが一つあるんだと思います。それからパナソニックと三洋との協議が今後進む中で、大胆な改革が出てくる可能性は否定していないということではないかと思います。
地域で事業を継続していただくというのがまず第一だと思いますので、それが営めないような赤字企業にしてしまっては元も子もありませんので、そこは非常に苦しい選択なんかも含めて、これから[三洋電機]CEが考えられるんではないかと思いますが、中・長期的なある程度長いスパンで、ここでの事業活動が継続して成長していくという中・長期的なスパンで支援の方も、下請関連も含めて考えていく必要があるだろうと思ってます。
○産経新聞 奥村泰雄 記者(幹事社)
ほかには何か御質問ありますか。なければ、いいですか。じゃあ、終わります。
●知事
どうもありがとうございました。