●知事
皆様、おはようございます。いよいよ鳥取の冬の味覚であります松葉がに漁が、きょう初競りとなります。ことし、ぜひ豊漁、また値段もきちんと評価されて、そして今、原油高など苦しんできた漁業者の皆様の御努力が報われる、そういうシーズンになることを心から期待をしたいと思います。
●知事
昨日、アメリカの方で大統領選挙の開票作業が進められたところであります。その結果、バラク・オバマ候補が現在のところ 349人の選挙人を獲得をいたしまして、相手方のマケイン候補の倍以上の獲得数、圧倒的な勝利となったわけであります。
この地すべり的勝利の背景には、アメリカ社会の中にあった閉塞感があると思いますし、私はアメリカで仕事をしていた時期もございましたので感じるんですが、恐らく米国民にとって、これは歴史が変わるぐらいの興奮の中で迎え入れられた結果ではないかと思っております。
人種的にマイノリティーであるということは、随分と見えない差別を今でも受けていると考えられます。それから海外からの留学生の子孫ということでありまして、さほどアメリカでの歴史が長いわけではない、そういう家族という一面もあります。そういう意味で、非常に象徴的な大統領候補であったバラク・オバマ氏が圧倒的な勝利をおさめたということは、アメリカ人が歴史を変えようと動き出したということではないかと思います。
従来、小さな政府へ小さな政府へという志向性が強かったです。これはビル・クリントンの時代もそうでありましたけれども、そういうところから脱却をして、さらに今度は社会の中の格差是正とか、そうした方向へと転換をしていくわけでありまして、これは世界の経済にも与える影響はあるのではないかと思います。アメリカが持ち直してくることになれば、当然ながらそこのアメリカ市場と緊密に結びついております日本の経済も上向きになる材料は出てくるわけでありまして、今後、バラク・オバマ氏のリーダーシップに期待を申し上げたいと思います。
若干懸念されますのは北朝鮮との関係でございまして、北朝鮮のテロ支援国家指定の解除について、バラク・オバマ候補は好意的な態度を選挙期間中とっておられました。これは日本政府として今進めてもらっている拉致被害者の救出には必ずしも役に立つ姿勢ではないと思っております。
これはアメリカの国で決める事柄ということなのではありましょうけれども、しかし、こうなった以上は、今度は日本側の方で、アメリカ政府が今後、この拉致被害者支援でどれほど力を発揮するかが未知数であるという状況の中では、我が国政府の方へ毅然とした対応をこれからとってもらう必要が強まったんではないかと考えております。
私としては同じように、私ども松本京子さん、またそのほかにも拉致が疑われるかたがおられまして、そうした御家族も鳥取県内に住んでおられます。これをぜひ解決をしてもらわなければならないと思いますので、似たような境遇にある県の知事さんとも共同歩調をとって国に対して訴えかけていく、そういう輪を作る必要があるかなと模索を今もしているところであります。
●知事
次に、今月、鳥取県議会を開会をいたしまして、来月にかけて県議会が開催されるということになります。それに向けまして、今、議案の調製をいたしているところでありますけれども、私どもとして今、経済対策が重要であると。あるいは燃料が依然としてまだ比較的高い状態にあって、灯油などの不安があったり、それからあと肥料高も見込まれるわけでございます。
こうしたところに向けまして、予算ベースでいって10億円を超える規模の緊急経済対策を県としても考えるべきではないか、事業費ベースでいけば40億を超えるような規模で組めないだろうか、今、それで最終調整をさせていただいているところであります。
それから、今回の予算編成の中で、去年もやりましたけれども、生活弱者対策としまして生活保護を受けておられる方々に対します灯油の支援を今年も行うべきではないかと考えております。去年もいろいろと議論が続けられた結果、県側がある程度の主体性を持つ部分として生活保護のところで3分の2の支援を県が行って、市町村が残り3分の1というスキームを作ったわけでありますが、同様のスキームで今年も支援をしていくべきではないかと考えております。
それから、あと市町村の方からかねて要求がありましたけれども、後期高齢者医療制度の導入の際、健康であることを確かめるための健康診査がございますけども、これの促進を図る観点で、私ども県としても健康文化を推進するという鳥取県でございますので、市町村と同じような支援を、その後期高齢者医療制度の枠組みの中におられる方々の健康診査に対しても講じていってはいかがかと考えております。
そうした各種対策も含めまして、11月議会、生活の安定、経済の安定、その辺を念頭に置いて[予算]編成作業、最終段階、進めてまいりたいと考えております。
●知事
本日、鳥取県でこのたび発足しました「とっとり被害者支援センター」の立ち上がりを記念するシンポジウム、犯罪被害者の支援を行う、そうした活動を進めるシンポジウム[鳥取県被害者支援フォーラム]を行うことといたしております。ここには県外、神奈川県の方から実際に犯罪被害に遭われたかたのお話を聞く場を持ったりして、認識を深めたいと思います。
せっかくスタートした犯罪被害者支援センターでありますが、被害者のかたに付き添って警察に行ったり、あるいは裁判に行ったり、メンタルでダメージを受けているかたを支える、そういう運動をスタートさせていきたいと思っております。
さらに来週、11月10日でございますが、ノーレジ袋デーを全県統一で行うことといたしました。ノーレジ袋デー、東部、中部、西部で消費者団体、それから販売事業者の皆さんで協議会を持っていただきまして準備を進めてきたところであります。この結果、47の事業者が参加をし、 300近い店舗で実施をされるということになりました。
本県の特徴は、他県と違いましてクリーニング屋さんとか、あるいはコンビニとか百貨店とか、広がりのある対象店舗で実施をするということであります。この反省を、当日もアンケートをして、その成果について住民の皆様の意識調査を行い、これを総括をいたしまして、できればこうしたノーレジ袋による環境推進活動を県の中でも展開をしていく足がかりにしたいと思っております。
また、来週は関西の方にも参りまして、近畿[ブロック]知事会[議]、それから関[西]経[済]連[合会広域連携部会]にもお伺いをさせていただき、鳥取県と関西との結びつきについてアピールをしたいと思っております。近畿[ブロック]知事会の中では、ジオパークの指定に向けて近畿[ブロック]知事会としても協力してもらいたいと、その意味の話し合いもいたしたいと考えております。
それから、来春から夏にかけて予定をされております近畿[ブロック]知事会[議]を鳥取県に誘致できないか、まず鳥取県で顔を見せてもらって、近畿の知事会の皆さんに来ていただきまして、鳥取[県]がグレーター近畿の中に高速道路も開通して位置づけられてくることの手ごたえを持っていただきたいと考えております。私の方からは以上です。
○読売新聞 北島夏記 記者(幹事社)
それでは各社、質問をお願いします。
○日本海新聞 小谷和之 記者
先ほど拉致の関係で、拉致被害者のいる県の知事さんと連携してということだったんですけども、ちょっと報道によると、埼玉県の上田知事がそういう知事の会というものをつくって何かというような報道もあったんですけど、それのことですか。それに参加するということですか。
●知事
そうですか。今、私どもは水面下で話し合いをいたしております。それで、拉致被害者を救い出すために地方政府としても政府に協働して、団結をして働きかける必要があるのではないかと。今まで鳥取県単体で働きかけをしたり、[全国]知事会でも私の方で緊急動議を出して決議をしてもらったりということもございましたけれども、政府の首脳に対して数県集まって訴えかける機会を持った方がいいのではないかと思います。
特に今回、民主党がアメリカで政権を握ったわけでありますけども、北朝鮮政策ではブッシュ政権がやっていることをマケイン候補は反対してたんですけども、むしろ追認をしている格好になっております。日本が孤立してしまって、この問題での進展が図られないことになってはいけないと思います。
これはひとえに政府の対応にかかってくる、地方政府では外交上は限界がありますので、その政府の対応を求めていくことなど、我々で手を組んで訴えかけていくことはあるのではないかと思っております。そういう意味で、埼玉[県]の上田知事もそうした水面下ではつながって、協働した取り組みをしようということではないかと思います。
○日本海新聞 小谷和之 記者
埼玉の知事から参加要請が平井知事のもとに来ておるわけでしょうか。
●知事
お互いの間で今、やりとりがあるということですね。
○山陰中央新報 太田満明 記者
それは何県ぐらいが参加するんですか。
●知事
ちょっとそれは今、調整中だと思いますね。片手ぐらいいくんじゃないですかね。ともかく大切なことは、この時期に政府に対して働きかけをしていくことだと思います。
誤解がないように申しますと、私はオバマ政権の誕生は歓迎しております。これは世界の歴史にとって重大なモーメント、ケネディ大統領が誕生したときのようなモーメントではないかと思っております。これには期待をしておりますけども、個別の課題として、我々として取り組まなければならない課題があるなと感じた次第です。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
情報公開条例の見直しが始まってますけれども、制限つき開示ということは一応案として上がっていますけれども、制限つき開示というふうな事例は、ほかに、他に例があるということ、御存じでしたら教えていただきたいんですが。
●知事
今、条例の改正の内容について教育委員会で詳細考えておられるところですから、私としてはそれを見守らせていただいてと思っています。先般、教育委員会の委員の皆さんがお見えになりましてお話を伺ったところでは、今の、制限つきという表現ではありますけども、ただ、罰則があるとか強制的なものではないようでありますから、そうすると、制限という言葉なのかなという感じがするんですよね。いずれにせよ、教育委員会の動向を見守らせていただきたいと思っています。
私どもは、全国でも最先端のことを今、教育委員会としてやろうとしておられると思うんです。ですから非常に難しい課題が幾つもあって、それを解かなければならない、解決しなければならないということでいろんなアイデアが出ているわけでありますから、私としては、なるべくそうした教育委員会の考え方を尊重して取り組まなければいけないかなと思っています。
いずれにせよ、教育委員会に条例制定権はありませんので、私どもの方で提出のお手伝いはしなければいけないわけでありますから、私たちとしては、その責めを果たしていきたいと思っております。他県とか、そうした例については、私は承知しておりません。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
ただ、開示の制限つきと言われたのは、知事が子どもたちに悪い影響を与えないような形で何とか開示できないかというふうなことでサジェスチョンされたと思うんですけれども。
●知事
例えば請求者とか、いろいろそうした制限というか、その方法について、例えばどういう人が開示できますよとか、いろいろと考え方のバリエーションはあるでしょうというように思います。それは、あとはそれが実体法として適切であるかどうかの最後の検証は必要だと思いますけども。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
実体法上として非常に論理的矛盾とか、構造上、制度的に非常に設計上難しいんではないかというふうな専門家の意見ではあるんですけども、知事は法に通じていらっしゃるかたなので、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
●知事
この間、今はまだ粗削りなことだと思うんですね。教育委員の皆様から伺った範囲では、強制力があるものではないということでありますので、そうすると、いろいろ憲法上の表現の自由だとか、いろいろと取りざたされるかもしれませんが、最終的なところは外れるんではないかなと、そうした制約を実体法から見て、受けて、違法であるとか違憲であるとか、それほどまでのことには多分ならないようなものではないかなと思いますけども、具体のものを見てみないと、最後は何とも言えないところがありますね。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
何らかの形で使用制限をつけることが表現の自由を保障する、憲法の検閲をしてはならないという規定に当たるという指摘もありますけれども、そこの御見解は。
●知事
検閲の禁止には当たらないと思いますね。それは多分憲法解釈を間違っているんじゃないでしょうか。検閲の禁止というのは、事前に発表するものの内容を消すとか、そういう方でありますから、むしろ開示を制限することの方が検閲の禁止とかに近い問題かもしれません。
ただ、どちらかというと今、教育委員会がやろうとしているのは、むしろ出せるものはきちんと出すべきではないかという前提に立って、ただ、それが社会的な悪影響を及ぼさないように、自分たちとして一定の措置を講じてみたいと、こういうことではないかと思いますので、検閲の禁止ということには当たらないように思いますけどね、今の教育委員会の案は。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
それでは適正使用、今、現条例に規定されている、あれで十分だという声もありますけれども、そこら辺は。
●知事
ですから、適正使用を現状でも規定がありますよね。その延長でこういうふうにしてほしいということが条例に盛り込まれたとして、現行条例とそんなに大きく踏み出すものでは僕はないと思うんですね。
だから、教育委員会の今の、私もちょっと見てないんです、皆さんは見てるのかもしれませんけども、この間聞いた案では、罰則があるとかいうことではないということであれば、そうすると、じゃあ何か例えば憲法上の論議を起こすとか、そういうことにまでは至らないものだろうと私は見ていますけれども、これは最終的にはこれから時が進んで内容が見えてきてというところだと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
具体的にその内容というのはわからないんですけれどもね、僕には。ただ、今のお話を聞いてますと、使用制限をかけるということは、例えば言論・表現の自由にひっかかるんじゃないかなと思うんですよ。要は開示請求をして、全部開示するわけでしょう。開示しておいて、それの使用の仕方に制限かけるというわけですよね。そうすると、そこで例えば我々が、例えばの話ですけれどもね、我々が開示請求したときに、そのことに対する使用制限をつけるわけですね、公表するなということで。それというのは言論・表現の自由にもろにひっかかる話になると思うんです。そういうのというのはどういうふうに思われますか。
●知事
実はそこについて、例えば何か後で罰則がかかるとかいうことではあえてなくしてるというのがこの間の説明でしたからね。
○山陰中央新報 太田満明 記者
罰則があるないにかかわらず、使用制限をかけるという事実があれば、それ自体がやっぱり言論・表現の自由にひっかかるわけですね。
●知事
ただ、そこはだから適正使用の、現行でもあるような、そういう規定の使い方の延長であれば、それはそんなに違いはないのかなと思うんですね。
○山陰中央新報 太田満明 記者
違わなければ、そういう文言をあえて入れる必要はないだろうと思うんですけどね。
●知事
そこは議論の余地があるかもしれませんね。ただ、例えば裁判になって憲法上の問題なんかがあるといって争われるよすがもないですよね、例えば罰則がなければ。だから禁止されていませんので、そこをだから争っていって、例えば裁判上、これはこういうふうに、例えば具体的にこういうように自分は処分、行政的な処分ということですけども、行政処分という、そういうカテゴリーの措置を受けたので、これに対して争っていくというようなものでもなくなりますのでね。
ですから、この間の教育委員会の御意見を聞いていると、随分考えられた話なのかなと思って私は伺いました。具体的にはこれから教育委員会でよく詰めていただきたいと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
あまり知事にこの話をしても、何か発表を聞いてと思うんですけれども、やっぱり余り効果がないんなら、あえてそんな文言を入れる必要はないんじゃないかと思うんですけれども。
●知事
そこは教育委員会としての御判断があるんだろうと思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
じゃあ、開示ということは、そもそもどういうふうにとらえていらっしゃいますでしょうか、開示するということはどういうことなのか。
●知事
開示するというのは、情報公開条例に基づいて、これこれの情報を示してくださいと、それに対して開示を行うということですよね。その指定された情報を請求者に対して明らかにするということですよね。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
明らかにするということは、つまり公にすることということですよね。
●知事
そこがですね、そこはちょっと違うと思うんですよ。公にするという、公表するということと開示するということとは、これはやはりカテゴリーとして分けて考えなければならないと思います。
公表するというのは、行政庁が、行政機関が例えばプレスリリースをすると、こういうこと、あるいはホームページに掲載をして出すと。こういう問題が、こういう行為が公表という行為だと思います。開示というのは、これは個別的に、その人がその人の事情に基づいて知りたいと言っているものに対して明らかにするという個別的な行為でありますので、これと、開示と公表とは分けて考えなければならないと思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
ただ、国の情報公開法ですね、あれには公にすることという言葉が非常に、開示することは公にすることだというふうに示してるわけです。県の条例を見ましても、公にされる、することという言葉が非常にいろんな箇所で出てくるし、公にしてはならないこととして非開示条項の中に、公にすることができない情報をイコール非開示情報だというふうに条例の中にも書いてあるんですから、開示ということは公にすることというふうにとらえるべきではないでしょうか。
●知事
それは、先ほどと同じことになりますけども、公にすると、今、弥重[山陰中央新報記者]さんがおっしゃっている意味ですよね、公にするというのは、プレスリリースをするように、とにかく万人がいつでも見れる状態に置くということではないと思います。開示というのは、その請求者に対してお知らせをするということ以上のことはありませんので。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
ええ。ですけど、知らせた情報については、それは何ぴとも知ることができる情報であるという意味で開示したというふうにとらえていいんじゃないかと思うんですけど、どうなんでしょう。
●知事
そこは違うと思います。公表するということと開示するということは、公表というのは、要は万人が知り得る状態に置くことでありまして、行政機関側からいえば、積極的に情報を開示する、そういう行為です。この開示というのは、消極的というのは、これは別にやらないという意味の消極的じゃないんですよね、一つ一つのこと、言われたことに対して明らかにしていくという意味での情報を公開するやり方でありますので、これとこれ、公開と開示とは峻別されていると思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
ですから、そこのところの解釈が非常に、ちょっとあいまいで、我々もあいまいにしてきたかなと思っているんですけれども、情報公開法と県の情報公開条例が全く、そんなに大きく違うものじゃないと思うんですけども、情報公開法では、逐条解説などを見ると、開示するということは公にすることであると、非開示は公にすることができないというふうに定義しているんですけれど、それは県の条例においても同じことじゃないかと思うんですけど。つまり公にすることということは、だれもが知り得る状態にあるということを意味することだと思うんですけど。
●知事
弥重[山陰中央新報記者]さんがおっしゃるとおり、公にするということは何ぴとも知り得る状態にすること。それが公表ということだと思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
いや、そこのとこが情報公開法を見てもですね。
●知事
開示というのは、例えば弥重さんから請求があれば弥重さんに対して開示をすると。それ以上のものではない。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
はい。その開示された情報は、何ぴとが知り得る状態にあるものだということだと思うんですけど。
●知事
そこは、そこまでのことではないと思いますけどね。それはだから、情報公開条例というのは別に世間に対して明らかにしなさいという、例えばAという人がいまして、Aという人が請求をして、これを万人に明らかにしなさいという請求を行って行政機関が万人に明らかにする、ホームページに掲載するなどの措置を行う。
こういうことがあれば、これはその情報開示イコール公表ということかもしれませんが、今の現行の法令体系の中では、情報開示というのはAという人の請求があればAという人に対して返すと。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
そのAという人がまた別の人に、情報は幾らでもウイルスみたいに伝わっていくものなんですけども、それを制限することはできないと思うんですけど。
●知事
そこに対して、今でも適正使用みたいな、そういうような条項がないわけではありませんから、ですからそことの、あとは制度的な組み立て方なのかなという感じはしますけどね。そこはこれから議論が具体的になされて、検討していけばいいと思います。
私はこれは、情報公開というのは、私は地方自治の、今では基本的な一つのテクニックといいますか、ツールになってると思いますので、広く議論してみて、最終的には条例のことであれば議会で最終決着をつければいい問題だと思います。
いろんな、それは見解の相違はあるかもしれません。ただ、今回のちょっと経緯を一応押さえておく必要はあると思うんですけども、断片的にとらえると制限規定の話だけになるかもしれませんけども、制限規定と言われるような、そのお話だけになるかもしれませんが、全体の流れとしてとらえていただければ、むしろ今、教育委員会側は情報を開示をするという方向に持ってきているわけですね。それは従来から他県ではやっていない、他の自治体ではやっていない領域に今、あえて踏み込もうとしていると。
ですから、その中で教育委員会なりの見識を持って考えを深めているところでありますから、そこの事情も斟酌してあげないといけないと思っています。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
ただ、制限規定をするというのは、本当にこれ、全国初の試みになるんじゃないかと思うんですよね。そうすると、いろんな人に意見を聞きますと、人権条例の二の舞になるんじゃないかみたいな、そういう心配の声も聞くんですけれども、非常に制度設計上も無理じゃないかという指摘もありますけれど。
●知事
それは今から、議論がこれから深まっていくと思いますので、11月県議会ぐらいで大いに議論をして決着をつけることはできると思いますけど、人権条例[鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例]のときはずうっとこれ引っ張っているような感じですけどね。今回はきちんと論陣を張って議論をして、それで決着をしていけばいいんじゃないかと思います。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
先ほどから適正使用の延長線上になるんじゃないかというふうにおっしゃってますけれども、教育委員会としては、もう明確に情報の使用に関して制限をつけた上で開示決定をすることができるということを案として上げてます。使用制限をつける開示というものを違憲と考えてないと考えてよろしいんでしょうか。
●知事
結局そこが、ただ罰則がセットになってないこともありますので、そこは非常に微妙な球を投げているんじゃないかなと僕は思っているんですよね。だいぶん考えて、教育委員会の中でも議論されているのかなと思っています。いずれにせよ、まだ教育委員会として勉強会の中で議論している最中だと思います。これから煮詰めていかれて結論を出されるんではないかと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
若干ちょっと変えますけれども、そういう開示方向に動いた場合に、参加しない町村というのが出てくる可能性はありますよね。そのことはどう考えますか。
●知事
そこは、最終的には市町村の御判断でしょうね。教育委員会としては、だけどそういう市町村の理解も得ながら進めるために、今こういう議論になっているんではないかと思います。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
ただ知事、不参加が多数出てきますと、6号の事業遂行の支障に当たるということによって、おのずと非開示情報になってしまいますけど、条例の中で見る限りは。
●知事
それが本当に進んでくればですね。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
はい。
●知事
そこは、そういうことを今度は教育委員会が公開の実施権者として、今度はこの条項に当たると判断すれば、また現行の条例の中でもさばけるかもしれません。ただ、現実問題としては、市町村は全部参加してますからね。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
今、不参加を検討しようという市町村長も結構、検討するという声が上がってきてますけど。
●知事
そこは、ただ、ちょっとごっちゃにしてはいけないのは、不参加を検討すると言っているのは、開示をするから不参加を検討するということでしょう。だからそこはちょっと次元が違うんですよね、市町村側の方は。
例えば市町村ごとの学力テストの情報を開示すべきではないかと。それから学校ごとも開示の方向で調整したいと今、県の教育委員会がにじませているわけですよね。それに対して、現実にそうなった場合に、じゃあ参加しないところが出てくるかもしれないというのが今の議論でありますので、これは今おっしゃるような開示の方法ですか、制限規定とかおっしゃいますけども、そうした開示の方法に対する新しい規定との関係で言ってるわけではなくて、開示されること自体に対して市町村側が問題提起をしていると。
だからこそ教育委員会の方は、じゃあ、そうしたら何らかの手を打たなければならないのかなといって議論が動いてきているわけですから、先ほど申し上げたのは、全国でも最先端を切って教育委員会が今、苦闘している考えの中で、こうした展開になってきていることは斟酌しなければならない材料ではないかと申し上げているわけです。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
知事のおっしゃるのは、制限つき開示になれば地[方]教[育]委[員会]が心配しているような事態はそこで何とか制御できるよということで、不参加の市町村教委は少ないだろうという意味なんですか。
●知事
いや、だから私が申し上げているのは、ここから先は教育委員会の問題ですけども、教育委員会の方でいろいろと配慮をしようと、そういう不参加とか、市町村側に対する影響なんかも斟酌したり、あるいは本来は子どもたちの問題でしょうから、子どもたちに個別に何か当たるような問題があってはいけないというところで、そこで一定の方策を講じようとされているのが現段階ではないかと思うんですよね。だから、そういうことを教育委員会の側で今、議論されていると受けとめています。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
ただ、市町村にしても安心して参加できるためには、制限つき開示というものが確実に担保できるのかどうかというところが気になると思うんですよね。そうすると、条例をつくって、県としてはどういうふうに、例えばネットなんかに、ネットに載ることは公表だというふうにとらえられてるんですけど、ネット上に載ったときなんか、どういうふうにしてリサーチしていかれるんですか。それは可能なんでしょうか。
●知事
そこは今、ちょっと議論しているところなのでね、その議論の推移を見守りたいと思います。今、だから弥重[山陰中央新報記者]さんがおっしゃるようなジレンマの中で教育委員会が苦悶して、じゃあ一定の何か条例上の措置も加えながら開示ということに向かおうかということを言ってるわけですから、今、まさにおっしゃるようなジレンマを抱えた状況の中で動いているということなんですよ。
○山陰中央新報 弥重節子 記者
一番ジレンマというか、論理的矛盾を抱えている内容だと思うんですけれども、制度上、設計ができるのかなという、ジレンマが多過ぎて。
●知事
そこでぎりぎりの今、球を考えられているんではないかなと私は受けとめているんです。いずれにせよ、教育委員会の今、立案過程を見守っていきたいと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
話題変えていいですか。何か、そっちで、教育委員会の方で論議するべき話なのかなという感じするんで。大橋川のことでお尋ねしたいんですけれども、この前、環境影響調査の1次まとめについては意見を出されたと思うんですけれどもね、あと開削、掘削、これもそれなりに進んでると思いますし、あとは弓ケ浜半島の護岸整備の問題というのが残ってると思うんですけれども、この前、境港市と米子市はたしか議会が反対を出したんでしたかね。県としては、そこのところをどういうふうに対応していかれるのか。県の意見というのをいつごろ、どの時期にまとめられて、どう伝えられるのかということをお聞きしたいんですけれども。
●知事
今おっしゃることを実はこの間、環境影響評価の鳥取県の意見として盛り込んだつもりです。すなわち一つの大きな焦点は、弓ケ浜半島の堤防をきちんと整備をする、大橋川が拡幅をされることで影響を受けると予測をされることに対応した堤防の整備、計画というものが示されなければならないと考えています。
この点において、率直に申し上げて今、国[土]交[通]省の方で一時的に示されていた案で、必ずしも十分とも言い切れないんではないかと、検証の余地はあると思っています。ですから、そこを担保してもらいたいということを私たちとしては国交省の方に投げ返しをしていますし、それと対応して、多分境港[市]も今回、議会として議論を始められているんではないかと思っています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
1次的な案というのは、前回、国交省から出てきたのは短期、中期、長期という案が出てきましたよね。その中で例えば堤防を、長期では 3.5メーターだったかな、にするんだけれども、すぐすぐは 2.5メーターでとめるんだという、ちょっと数字はよく覚えてない、たしかそんな話だったと思うんですけれども、じゃあ最終的な 3.5メーターにするのはいつなんだといったら、これ、まだはっきりしてないと思ったんですが。
●知事
どちらかというと、私は線的な感じかなと思ってましたけどね。ここの箇所は短期で、中期で、長期でと、たしかそういうニュアンスだったと思いますけども、ただ、短期でやると言っていることの完成時期とか、それからあと実際の状況を見た上では別の地点も含めて堤防整備を急がなきゃいけない地域があるんではないかとか、そうした検証がもっとなされなければならないだろうと思っています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
それは中期、長期の時期ということになってくるんですか。あれは地図にたしか場所を落としてあったと思うんで。
●知事
ええ、地図に、はい、そうです。だから、そうした進捗の計画ですね、これが大橋川の整備計画ときちんとくっついて連動してないように見えるんです、我々には。そこの問題意識を持っていまして、あえて環境影響評価の中にこの堤防の整備について盛り込ませていただいたと。議会もそれを同意されて返すという形だと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
たしか地元と協議するようにというふうな内容だったと思うんですけれども。
●知事
ええ、地元とも協議しますし、もちろん鳥取県側としては、これは最終的にはポイントとして見ますよという意思表示をさせていただいたと。
○山陰中央新報 太田満明 記者
ということは、堤防というか、護岸整備に関して、特段県として同意なりなんなり、反対なりという意見を上げる予定はないということなんでしょうか。環境調査の方で入ってると。
●知事
それはだから、今回は環境影響評価に対して意見を出せるタイミングだったですけども。
○山陰中央新報 太田満明 記者
ええ、あれは環境調査だと思うんですけど。
●知事
今度は着工するかどうかについて、着工するんだったらば、鳥取県が同意を与えて、それをもとに島根県が国交省に同意をしてということで進んでいく工事になるんですけども。
○山陰中央新報 太田満明 記者
ですよね。
●知事
ええ、大橋川の場合はですね。そういう約束事はかねてあります。その最終段階で鳥取県が同意を与えるかどうかという我々なりの最終的な意思表示のチャンスがあると思っていますので、私どもとしては、今の段階では同意をすんなり与えられるという確信は持っていませんと、これは率直に国交省にも申し上げています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
それはどういうふうに、要は同意をすんなり与えれる状況ではないということは、同意できないということですよね、現時点では。
●知事
現時点では検証作業がなされていないと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
そのことは国交省にどういうふうに伝えられるわけですか。あるいは計画変更を求めるとか、そういったことになるんでしょうか。
●知事
これは今までも、今回のだから意思表示が、実際読んでいただければそう書いてありますので御確認いただきたいと思うんですけども、今回、環境影響評価に際して、あえてこのことを強調して申し上げています。
それから、国交省の甲村(こうむら)河川局長にお会いしたときも同じ趣旨を申し上げていますし、それから先般、地方整備局長が来られたときも同じ趣旨を申し上げています。
○朝日新聞 井石栄司 記者
この問題は、弓浜半島の、防衛省とか農林水産省とか、県も含めて関係する機関が多岐にわたっているので、国交省だけに言ってて解決するのかなというところはあろうかと思うんですけども、その中で政治的な判断が必要だという部分に対して、与党の方に働きかけていくということは今後されるんでしょうか。
●知事
今、そこで事務的にもやりとりしているところでありますので、これから私はこの問題はクローズアップされてくるだろうと思っています。それは時期と状況を見て、さらに行動を起こすかどうかということでありますが、島根県側のいろいろと動かれている事情なんかもあるでしょうし、私どもとしては今、国交省側とそういう事務的なやりとりをきちんとさせていただこうとしているところです。
○山陰中央新報 太田満明 記者
これ、大橋川のという、斐伊川の改修工事ですよね、大もとは。これを実現するためには3つの条件というのが鳥取県側にあって、その中に護岸工事いうことがあるわけなんですけれどもね、あと残っているのはこの護岸工事だろうと思うんですよ、掘削も今やってるし、環境調査もやりましたし。だからこの護岸工事が決着つかないとかかれないということになるんでしょうけれども、そこのところで、だから何度もお聞きしているのは、同意ができないとなればかかれないわけですよね。だから同意できない条件というのを当然ながら国の方に伝えていかなくちゃいけないと。それを変更してもらうのかどうかなんだと。ただ、そのときには確かに空港裏が防衛省であったり、農水省になっているところがあったりするわけなので、そこの調査も生じてくるだろうと。それともう一つ大事なことというのは、僕らは意外と中海の護岸の方しか見ないんですけれども、実は大橋川そのものの中にも問題があるんじゃないかなと思ってて、といいますのは、大橋の改修問題というのが進捗してない、もう70年たって老朽化してるんですけれども、これを建てかえるのか撤去するのかという問題が進んでいないということがあると思うんですけれどもね、そこの辺の連動性というのはどういうふうに考えられますか。
●知事
松江市内の橋梁の問題については、これは島根県なり松江市の方で住民の皆様と対話をしながら解決されるべき課題だと思いますので、鳥取県として物申し上げる筋合いのものではないと思います。だから、そういう意味で我々として、最後に恐らく残ってくるのは堤防の整備の問題ではないかと思います。
そこに焦点を当てて国交省側には重ねて、実はたび重ねて慎重な対応を求めております。その我々の言ってることの一つの反映だと思うんですけど、最近になって境港市の市議会が精力的な調査を開始したり、動きが今広がっているんではないかなと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
大橋のことを言いましたのは、先ほど中期計画、長期計画って言いましたけれども、大橋を撤去すれば、初めから長期計画を見据えて計画できると思うんですけれども、大橋がそのままで残ったままであれば、その計画というのは実現できないわけですよね。というのは拡幅ができないから、大橋川そのものが。
●知事
それは入り口のところのボトルネックの問題だと思うんですけども、ただ、そのほかのところを先行して整備をしていくことは、流量といいますか、それに与える影響は皆無ではないんじゃないでしょうかね。それは要は後ろ側が取れれば水圧が高まるということかもしれませんけども。
○山陰中央新報 太田満明 記者
ということですよね、水量が違いますから。
●知事
ええ、そうです。ですから、そこのところでやはり流量にも影響してくるだろうと。だから我々としては、例えば大橋の方がそのままであったとしても、大橋川の下流と申しますんでしょうか、下の方の流れを、例えば州を取っ払うとかいうことになってきますと、これは鳥取県側の方でかねて申し上げている堤防の問題に絡んでくるんじゃないかと。だから、ここのところの始末をきちんとつけましょうねということを私たちはあえて強調させていただいているというのが現在の流れです。
○山陰中央新報 太田満明 記者
とりあえずそういった意見というのは、環境影響調査の意見の中に入っているということでよろしいわけですね。
●知事
ええ、それに、そこには我々として意図して盛り込んであります。そのメッセージは国交省側にも伝わっていると思いますし、私どももあらゆる機会をとらえて、この問題を指摘をさせていただいています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
ということは、この問題についてあえて、この問題というのは護岸整備について、あえて国交省に対して意見を別の場所で述べるということはないということですね、別の場所というのは、意見書みたいなものを上げることはないということですね。
●知事
結局正式な意見書がまさにこの間の意見書でありますので、あそこで出されていると思いますし、もちろん知事部局以外で、議会で何か意見を出すとかいうこともあるかもしれません。いろんな意見の出し方はあっていいと思いますけど。
○朝日新聞 井石栄司 記者
きのう、この問題で、県議会も自民党の方で、自民党の細田幹事長の方で要請活動をされてたんですけど、その中で細田幹事長の方は、島根県と鳥取県で協力して進めていけばいいというようなことをおっしゃってたんですけど、これ、島根県と本当に協力してやっていける部分ってあるんですか。
●知事
私は、島根県にも同じ問題は発生するので、同じ土俵の中にいるんだろうと思っています。ただ、正直なところを申し上げれば、島根県さんの方は今、話に出ました例えば大橋の問題だとか、いろいろとほかの課題が多いです。ですから、そちらの方の問題のワン・オブ・ゼムなんですね。
我々としては堤防開削の方、これはモニタリングをして、これからも調査をしていくということになっていますけども、ともかく一通り今、潮が通るような格好にはなって、前進をしています。あと堤防の方が残された一番大きな課題だと私たちは思っていますので、我々にとってはこの問題は上位の問題ですよね。そういう意味で、若干の温度差は確かにあるだろうと思います。
だけど、島根[県]側と鳥取[県]側で利害が対立するということではないですよね。その意味では、細田幹事長がおっしゃったように協力して進めていけばいいというのは、そういう意味なんじゃないでしょうか。私、直接聞いてないんでわかりませんけども、恐らく同じことは島根[県]にもあるんだから、一緒に国交省に働きかけていけばいいんじゃないのと、こういうことじゃないんでしょうかね。
○朝日新聞 井石栄司 記者
現時点で島根県とこの問題について、知事協議とか、そういうのを考えていらっしゃいますか。
●知事
松江[市]で協議しましたよね、溝口知事と。あのときもメディアの皆さんも入っていただいてたと思いますが、あのときも私は明確に申し上げたと思います。この堤防の問題というものが鳥取県側では前提条件ですということは申し上げていますので、溝口知事もよくこの点は御認識いただいていると思います。
○朝日新聞 徳永悠 記者
先日、鳥取県の職員労組が人事委員会の給与引き下げ勧告に対して、もしそのまま給与が変わっちゃえば提訴もあり得るという姿勢だけは見せたんですけども、提訴すれば、人事委員会の勧告のあり方自体、それが地方自治法にのっとっているのかどうかというあり方自体も問いたいというようなことを言ったんですけども、知事の認識として勧告のあり方と、もう一つは、こういった労組の姿勢に対してどのようにお考えですか。
●知事
私は今、これから給与についての条例を提出する立場でありますが、地方公務員法の仕組みがございます。これは第三者機関として人事委員会が勧告を行うと。この勧告に当たってはいろんな状況ですね、民間企業の状況だとか、いろんなことを考慮して、あえて知事部局から離れた独立の機関として勧告をしてもらうと。
これを尊重して私たちが議会に提出をして条例を定めて執行するという、そういうスキームになりまして、この中で給与水準の適正化を図ろうというのが地方公務員法の仕組みであります。ですから、私どもとしては尊重義務が法律上ありますので、勧告の趣旨を大枠といいますか、基本に置いて、我々として条例提案をなすべき立場だと思っております。
勧告のちょっと詳細のところは今、分析を我々もしているところでありますけれども、一番大きな論点で言われている民間給与の問題については、民間給与との格差があると、その分を修正するように県の職員給与について勧告をしたというのが今回の大枠のところでありましょうけれども、その考え方自体は、私はそんなに否定されるべきものでもないと思いますし、直ちに違法というものでもないんじゃないかと思います。
もちろん訴訟になって争われて、その後どういう結論が出るかって、これはまた別のことでありますが、私は一見明白な違法があって、勧告自体が無効という行政法上の法理みたいなことにはならないだろうと思いますので、私どもとしては勧告の、少なくとも大枠は維持をしながら受け入れていくという方向性だと思っています。今、勧告の中身は詳細に分析を私どもの給与当局ではやっているところです。
○読売新聞 北島夏記 記者
地方分権改革で2点聞きたいんですが、国道と河川の移譲について、きのうの行政懇で話が出ましたが、あんまり市町村側からは何もなかったんですけど、これから例えば流域とか沿線の自治体と話し合いを、意向を聞く必要があると思うんですけど、その温度差もあると思うんですが、そのあたりはどうやって解消していこうというふうにお考えでしょうか。
●知事
温度差が、きのうはちょっと感じられなかったんですけれども。
○読売新聞 北島夏記 記者
あるかどうかわかりませんけども、話し合うというか、地元の意向も、もう聞かれてるのか、それともこれから聞く機会を設けていくのか。
●知事
地元には、直ちに私どもは市町村側に説明に行っています。意見交換しながら進めていくことになると思います。この間、市長会の皆さんが来られたときに、鳥取市長、倉吉市長からもこの点、御意見がありました。お二人とも共通しておりましたのは、財源の問題なんかをきちんと見きわめて結論を出してもらいたいと、こういうことだったと思います。
今、国交省側とどういう経費がこれからかかるのかなど、詰めをして情報を調整をしているところですね。この情報の共有化が図られれば、結論を出すタイミングというのも出てくるかと思います。
○読売新聞 北島夏記 記者
これ、きのうですか、麻生首相が農政局は原則廃止ですね、それから整備局は大幅機能縮小という意向を打ち出したようなんですが、これに関しての知事のお考えはどうでしょうか。
●知事
私は大いに議論されていいんじゃないかと思います。地方支分部局と県とのかかわり方を、今回は道路と河川について一部手直しということでありましょうけれども、[農林水産省地方]農政局なんかも含めて、議論すべき課題は多いと思います。
○読売新聞 北島夏記 記者
これも課題は、ポイントは財政とか。
●知事
あとは事務の移譲でしょうね。例えば農政局が県側に来れば、食品の問題とか、それから農業者の育成ですね、農業振興、例えば担い手農家の問題とか、あるいは転作の問題だとか、多くのことが都道府県側の権限になってくるということだと思いますので、それは農政のあり方が地方分権的に転換してくると思います。
○日本海新聞 小谷和之 記者
それに関連しまして。砂丘らっきょうの偽装問題がありましたよね、ちょっと以前に。そのときに、他県のあれなので県が他県に乗り込んで調査する権限がないという、ありましたよね。
●知事
[権限は]ないですね。
○日本海新聞 小谷和之 記者
農政局が仮に権限移譲で県に事務移管されれば、そういった権限もついてくるわけでしょうか。
●知事
そこは制度の組み方でできていくんじゃないでしょうか。今の仕組みは、我々の方から、鳥取県から中国[四国]農政局に通報します。中国農政局が関東農政局に通報して、そして関東農政局から栃木県に情報がもたらされて、栃木県が調べに行ったと、こういうことなんですね。間に農政局を2つ絡めながら動かす必要があるのかということですよね。端的に鳥取県と栃木県が例えば共同でその現場に踏み込むということも、権限さえあれば可能になりますよね。
○日本海新聞 小谷和之 記者
それは、しかし知事の方も国の方にそれを要望され、その見直しというか、要望されてましたよね、たしか。
●知事
ええ、そうです。
○日本海新聞 小谷和之 記者
そういう権限を県の方によこしてくれというのは。
●知事
はい。
○日本海新聞 小谷和之 記者
ということは、こういった農政局が、新聞報道では原則廃止で、それを地方に移管するかどうかについては、農政局の方にはちょっと触れてないんですけども、仮に県の方に移管されるようなことがあれば、メリットの方が多いというふうなお考えでしょうか。
●知事
そこで実際、人員の問題がありますので、その人員のところで財政と、ファイナンスすべき財政の問題と人員とで、これがどうなるか、それによって私どもとしては、これがメリットになるかどうかということだと思います。そこは、最後はちょっとドライに割り切らなきゃいけないところが金銭的にはあると思いますね。国の方でそうした農政局のあり方なんかを切り込んで考えようというのは、私は大いにやってもらったらいいと思います。
○読売新聞 北島夏記 記者
人とお金次第だけれども、メリットとしては十分あるという考え方ですよね。
●知事
そうですね、今の農業政策が県とか市町村を素通りしていく、そういう農政が最近増えてきたんですね。例えば今度も肥料高に対応する措置が国の緊急対策の中で盛り込まれました。私どももこれにのっかって、県としても応援していこうと思うんですけども、ただ、そのために県でも市町村でもない協議会を作らなきゃいけないと、こういう仕組みになっています。
最近の農林[水産]省の政策はそういうのがすごく増えていて、農政局直轄の組織を作って行政をやっていこうと。だけど、実態からいえば県とか市町村に任せたらいいようなことが多いと思いますので、本当はそうしてもらった方が効率的だし、一々組織も作らなくていいんじゃないかなと思います。
これは多分地方自治に対する警戒感だと思いますね。県とか市町村に一遍ゆだねてしまうと、結局とられてしまうと。いずれ地方交付税で一般財源化されてしまうとか、そういうようになってきてしまうんじゃないかという警戒感があるから、県とか市町村を素通りした機関を作るんだと思うんです。私たちはこういうのを空飛ぶ補助金と言うんですけども、全く関係ないところを飛んでいってしまうと。
○読売新聞 高山千春 記者
ちょっと話が戻って大変恐縮なんですが、きょう政調政審で議員の方々に条例改正の案ということを教育委員会のかたが説明されるようなんですけれども、その案というのはごらんになっているんでしょうか。
●知事
ちょっとすみません、段取りが悪くて、僕はまだ読んでいませんけど。
○読売新聞 高山千春 記者
ああ、そうなんですか。
●知事
多分この間、私が聞いたような内容なんですかね。
○読売新聞 高山千春 記者
はい。そのお聞きになった場で、案というのは、知事はごらんになられてますか。
●知事
あの場では、言葉だけだったですけど。
○読売新聞 高山千春 記者
その後、案というのは、かっちりした文面のものというのは見ていらっしゃらないですか。
●知事
ええ。だから、あのときも説明されていましたけども、これから14日に、14日だったと思いますけど、委員会を開くとおっしゃっていたですね。それに向けて検討作業を進めるんだとおっしゃっていましたので、その検討作業の中で、今、じゃあ議会側に協議をされているんだと思いますね。
○読売新聞 高山千春 記者
じゃあ、その文章自体は、今、知事は、教育委員会が今出している暫定のものというのは見ていらっしゃらないんですね。
●知事
それは見てません。
○読売新聞 高山千春 記者
現状では。
●知事
ええ。見てないですね。申しわけない。だけど、ただ、それは教育委員会の権限の中ですから、教育委員会としてされるわけで、それが問題だとは思いませんけど。
○読売新聞 高山千春 記者
その趣旨は聞いたけれども、今のどういうふうにして、何条に何を、例えば新たに新設しようとか、そういったところまでは、詳しくはまだ見てらっしゃらないということですね。
●知事
ただ、再三申し上げているように、教育委員会に条例の提出権までは与えられているわけではありませんので、知事部局としては教育委員会のそこの権限関係を補ってあげる必要があるだろうと思っています。ですから、教育委員会のいろんな議論を経て、今、物事が少しずつ展開してきていますので、私としてはその辺の事情も斟酌して、教育委員会の御意見を踏まえて条例案を提出する立場だろうと思っています。
○読売新聞 高山千春 記者
今の文面でもやっぱり制限を付して開示決定することができるという文面になっているんですけれども、この文面に対しても、今、罰則規定がないということを踏まえれば、それほど問題とは思われないんですか。
●知事
直ちにそれが明白な違法とかいうことではないかもしれないとは思いますね。制限規定といっても、罰則がない場合は、結局その使用の仕方について適正な使用を求めるという範疇のことではないでしょうかね。よく自分なりにも、いずれ考えをまとめてみたいと思いますけど、議案提出までには。恐らくきょう、県議会に内々、案を見せようということは、県議会の意見もこれから出てくるんで、それを聞いてみたいという御趣旨が多分教育委員会にあるんでしょう。
私は、申し上げているように、地方自治というのは民主的に解決されるべきものでありますから、いろんな議論を集めて結論を出していけばいいと思いますし、特に情報公開は鳥取県として憲法のように考えているものです。ですから、他県の人からは考えられないレベルのことを今やっているんですよね。
だから、要はあの橋下[大阪府]知事だとか秋田[県]の寺田知事でも開示してない部分を今、教育委員会は出そうとしてもがいているという状況ですから、ですから、その中でいろいろと波及が生まれてきているわけでありますので、その辺の事情を見ながら今回の条例案については考えてみたいと思います。
○読売新聞 高山千春 記者
じゃあ、文面についても、もうちょっと検討して、これからどんどん変わっていくと思われるということですか。
●知事
ちょっとこれからの予測はつきかねます。教育委員会の方の案を私たちとしては基本的には尊重すべきじゃないかなと思っていますけどね。ただ、それが情報公開条例の全体の体裁と比べても、これ一見明白におかしいというものであれば、私どもも御意見を出さなきゃいけなくなるかもしれませんけども。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
最後に一つなんですけど、教育委員会は教育的配慮が必要と認められるときに使用に制限をつけるということをおっしゃっていて、知事も御存じだと思うんですけれども、教育的配慮という言葉をもって開示を制限することについて、知事はどうお考えなんでしょうか。
●知事
教育的配慮という言葉だけではちょっと曖昧かもしれないですよね。もう少し言葉が必要かなという気はします。私は、要は子どもたちに対する悪影響のことを彼らは言いたいんじゃないかなと思っているんですけども、最後、その辺の立法理由があるんであれば、合理性も出てくるんではないかと思っています。教育的配慮が、例えば市町村教育委員会に対する配慮ということであれば、ちょっとおかしいかなと思いますね。
11 パナソニックによる三洋電機の子会社化について
○朝日新聞 井石栄司 記者
入っていないかと思うんですけど、1点お尋ねします。三洋なんですけれども、きのう新しい情報だというのが、パナソニック側への申し入れの日程というんでしょうか、ありますか。
●知事
いや、今はないですね。この間も[三洋電機コンシューマエレクトロニクス(株)]松岡社長にお伺いしましたけども、これから取締役会が招集されるなど、社内の手続が進んでくるのではないかとおっしゃってました。その中で多分情報がだんだんと出てくるんじゃないかと思います。
きのうも三洋の社長さんが、あれは決算ですか、決算の関係でインタビューに答えられているという記事を今朝見ましたけども、あそこでは、三洋側としては経営の独立性というものを求めていると私には読めました。
ただ、これ厄介なのは金融機関が決定権を握っている部分が多いと思います。そちらの方の事情もこれから出てくると思いますので、予断を許さないのかなと私は思っておりまして、いずれ三洋側の首脳のかたとか、もちろんこれは三洋側にお断りをしてですけども、その上でパナソニック側にもお話をさせていただく必要も出てくるだろうと思っております。
○毎日新聞 小島健志 記者
話変わります。ガイナーレですけども、一時的に4位に上がったと。相変わらず財務状況が悪いということなんですが、基金の取り崩しを含めて財政支援をするお考えはあるのか、改めて。その場合、何か条件をつけるのか。
●知事
私は、これも前、この場でも申し上げたと思いますけども、鳥取市と共同で造っている基金がございますので、財務状況だけでJ2に上がれないという事態はぎりぎり回避すべきだろうと思います。その限りにおいて、この基金を活用することは、私はあってもいいと思っています。これはもちろん市町村というか、鳥取市さんとの共同の話でありますので、話し合う必要があるだろうと思いますね。
○毎日新聞 小島健志 記者
ただ、その場合、じゃあ基金を崩した場合、やはり公金が入るということで透明性が非常に問われてくる問題になってくると思うんですが、そのあたり、例えば選手の年俸等、公表すべきなのか、そのあたりの条件はつけるのか。
●知事
そこは鳥取市側と協議すべき課題だと思います。もちろんそうした支援を行うことについてガイナーレ側にも財務上の自覚を持ってもらう必要があると思いますので。
○毎日新聞 小島健志 記者
ただ、時間が迫ってきてますけども、具体的なスキームみたいなのはあるんでしょうか。
●知事
本当に時間が迫ってくれたら大変うれしいと思いますね。これから、まずは私はガイナーレの諸君に大いに力を発揮してもらって、J2入りを勝ち取ってもらいたいと思います。その際に地元の方でできることは、私はやるべきだろうと思いますし、それが住民の皆さんの意識だろうと思っています。ですから、鳥取市側と話し合ってみて、解決はできるだろうと思います。
○毎日新聞 小島健志 記者
確認ですが、J2入りが見込める場合に関しては、鳥取市と協議して財政支援を行うと、基金を取り崩すというお考えでよろしいですか。
●知事
私はそういう方向で最後は考えるべきではないかと思いますが、民間の皆さんの努力による部分だとか、当然ながらそこもあると思うんですよね。公だけが担うわけでもないと思いますので。
ただ、現実には緊急にこれから浮上してくると思います。多分ぎりぎりになるんじゃないでしょうか、結論を出さなきゃいけない時期というのは。ですから、そういうときになって、もう動きがとれない中では、私は基金というのは最後の切り札になってくるだろうと思っています。
○読売新聞 北島夏記 記者(幹事社)
じゃあ、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
●知事
どうもありがとうございます。