防災・危機管理情報


知事定例記者会見(2009年2月12日)

平成21年2月12日(木)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約53分) ※MPEG4形式

  

1 当初予算編成について 

●知事

 皆様、おはようございます。予算関係ということでございますので、予算については最終的な取りまとめをほぼ終わりました。1点、海外への新しい貿易航路、環日本海航路に関するところは、まだ調整中のところがございますが、これについては提案までにぜひ調整してみたいと、今精力的に努力をしているところであります。

 それを除きました予算総額は 3,387億円程度になるのではないかと、今集計をいたしております。これに若干のるぐらいでございますので、のったとしても 3,387億円台のことでございましょうから、ほぼ前年との対比では見通しがついたのではないかと思います。

 今回の予算でございますが、非常に厳しい切迫した財源の状況にございました。税収では85億円ほど減ってしまうという中でございます。それから[地方]交付税もごっそり減りますが、この分は臨[時]財[政対策]債で取り戻す、つまり借金をするんですけども、それを後ほど交付税で返してもらうという財政上の仕組みで取り戻すことになりますが、非常に厳しい中であったということであります。

 ただ、片方で非常に経済の状況が悪い、雇用が非常に厳しくなってきた、こういうことでありますし、来年度もさらにこの状況は続くと見込まれます。ですから、今年度からこれに対して予算として備えをしておく必要があると考えております。そうした結果として 3,387億円程度の予算になると見込んでおりますが、これは平成13年度の当初予算以来の増額の予算編成ということになります。
 
 0.2%の伸びということでございますが、今、我々は融資関係の予算の組み方を従来と変えてきておりまして、それを補正をいたしまして修正しますと、平常ベースでいえば 2.2%伸びるはずのところでありました。ですから 0.2%増ですけども、実質は2%の伸びの予算だと御理解をいただいて結構かと思っております。

 また、現下の県内の経済・雇用状況が厳しいことから、公共投資も一定程度、私たちとしては我々の役割として果たさなければならないと考えております。身の回りの公共投資を精力的に県単独事業で組み入れた結果といたしまして、公共投資も1月補正、2月補正ということもあわせて、いわば15カ月の予算でとりますと、これも 3.7%の伸びということになります。

 当初当初では、これは98.2%、 1.8%減ということになりますが、15カ月予算として考えていただければ 3.7%増ということであります。実はこのように前倒しして組んだ公共投資も含めて、前年より伸びた予算になりますのは平成11年度以来、実に10年ぶりという予算編成になります。それだけ私たちとしては現状に憂慮いたしまして、可能な財源の範囲で頑張らせてもらおうということでありました。

 このために基金を従来どおり取り崩しをいたしますが、あわせて土地開発基金も20億円取り崩すことといたしまして、従来とは違ったやりくりを必要としたという状況でございます。ただ、我々の大目標であります財政の健全化を目指していくための財政誘導指標はきちんと守ろうという、今、筋道で考えておりまして、今見込まれている新年度末の基金残高は 310億円でございますので、さらにもう1年ありますが、今、ぎりぎりのところまで踏みとどまることができているかなと考えております。

 なお、将来負担を増やさないために臨財債以外の交付税措置のないような起債は極力抑制をしまして、こちらの方は8%以上抑制をいたしております。ですから将来負担を抑えながら、そういう中で中身の工夫をして自由度を極力持って公共投資、あるいは産業政策に臨ませていただこうと、こういう予算組みをいたした次第でございます。

 この中で、例えば教育関係では1億円の枠予算をとりまして、人が財産だという人財・鳥取を推進するプロジェクトを新たに起こそうと考えております。また、TORC、[(財)]とっとり[政策]総[合]研[究センター]だとか、そうした県庁外の力もかりながら全県的に鳥取力を伸ばしていく、そういう地域運動を立ち上げようと。これも今回の考えの中に入れてあります。

 私たちは将来ビジョンを年末に策定をいたしましたが、将来ビジョンを動かしていくのは、これは県庁一人の力では決してできないものでございますので、民間の皆様と一緒になってやっていくための、いわば地域おこし運動、鳥取力を向上させる運動に新たに取り組んでいこうと、こういう考え方でございます。

 いろいろと細かい事業もございます。例えば子育て王国を我々としては推進していこうと。子育てをするなら鳥取県にいらっしゃいという、そういうメッセージを発しようということでございまして、この意味で、子育て応援パスポートを今やっていますが、さらにファミリー・サポート・センターを活用して、実際に子どもさんを預かってもらう体験をしてくださいと、その原資は県で出しましょうという、そういう子育ての応援券事業をやろうということにもいたしております。いろいろと新しい新機軸も打ち出しながら、活力と安心の鳥取県を形成していきたいと、こういう決意でございます。

 これと関連をして、経済・雇用対策でありますが、この年初来組んでおります1月の補正予算、さらにこのたび提案をしようとしております2月補正予算、さらに当初予算、これを合わせて、15カ月でこの雇用対策をやっていこうということでございます。

 この雇用対策でございますが、全体で 350億円の規模になると見込んでおります。1月補正予算で 100億円強を組みました。それとあわせて2月[補正予算]で 100億円強、さらに今度の当初[予算]で 130億円組むということにいたしまして、全部で 350億円の15カ月、緊急雇用・経済対策を打つということでございます。

 年末にやっておりました 300人、それから年明けの1月の議会で御承認いただきました 1,000人の雇用枠に加えて、さらに雇用枠を増やしていくと。 3,000人にちょっと手が届きませんが、そうした大幅な雇用増を枠としては我々として確保して、ぜひ活用していきたい、直接、間接の雇用を増やしていきたい、こういう考え方でございます。




2 組織改編について 

●知事

 それとあわせて県の機構も手直しをさせていただきたいと思います。活力と安心との両方を推進していこうと思いますが、最近の食の安全の関心の高さ、県民の皆様のニーズにおこたえするために、くらしの安心局というのを新設をしようと考えております。

 このくらしの安心局は、現在の生活環境部の中に設けるわけでございますが、地方機関でございます[総合事務所]生活環境局と[総合事務所]福祉保健局との間の権限関係も一部整理をいたしまして、そうした食の安全ですとか、あるいは消費生活の相談ですとか、そうした充実を図っていきたいと考えております。消費生活センターの休日の窓口オープンもあわせて実施をしていく、こういう考え方でございます。

 さらに、雇用の方も、活力の方の重要な課題もございますので雇用人材総室を新しく設けようと考えております。この雇用人材総室で人材育成と雇用の確保と、それを両方に向き合ってやっていこうということでございまして、商工労働部の中の組織の整理をさせていただこうと考えております。

 このほか、企画の機能を強化するための政策企画の室を設けるとか、あるいは林業関係を、いわゆる川上から川下まで、切る方から使う方まで一体として考える頭になるような、そういう総室制度も設けようと考えております。また、鳥取砂丘の砂丘事務所も設けさせていただくなど、組織としても一部改めて、新年度の予算と相まって、我々としてチャレンジをしていきたいと考えております。以上、予算関連でございます。




3 日程等について 

●知事

 そのほかですと、このたび倉吉に若者仕事ぷらざをオープンをしようと考えております。これは国の労働局と私たちと協力をしましてオープンをしようということでございまして、倉吉の中心部にありますショッピングセンターの中、非常にお立ち寄りいただきやすいスペースで開設をしようと考えております。今、内定[取り消し]の問題など、世上取りざたされている課題もございます。そういう意味で、若年者に対するサポート体制を中部でも強化をしようと考えております。

 また、ソフトウエア関係の会社としてのアイシーコムという会社がありますが、これも従来県内に進出した企業の御紹介で私どもの方に誘致をすることが調いまして、調印式をさせていただくことにしております。

 また、産業関係ということでは、このたびブロッコリーが[販売高が]10億円を突破したということで、大変に私どもも喜んでおりますが、JA鳥取西部でそのお祝いをする、そういうイベント[JA鳥取西部ブロッコリー販売高10億円突破記念大会祝賀会]も用意をいたしております。

 議会が始まりますので、ちょっと先のイベントにはなりますが、食育・食農というのは鳥取県らしいテーマではないかと思います。これを全国に訴えかけていく意味での食育のシンポジウム[これからの「食育」を考える全国研究大会]をしようと、永島敏行さんをお招きをして実施をしようと考えております。これは3月の上旬に予定をさせていただいております。




4 鳥取県漁船の拿捕について 

●知事

 それから、先般、[鳥取県漁船の]拿捕につきましては多くの方々の御理解と御協力を賜りながら、非常にスピード感のある決着になったこと、私も大変に喜んでおります。御家族の皆様の安堵した表情が生涯忘れられないものではないかと思います。家路を急ぐ乗組員の皆様の後ろ姿にお疲れを感じました。しばらくは休んで、ゆっくりと疲れをとっていただきたいと思います。

 これからじっくりと状況を整理しながら、水産会社だとか水産関係者の方々とも相談をさせていただきながら、今後、こういう問題の再発防止に向けた取り組みを話し合っていくことになろうかと思っております。



5 北朝鮮による拉致問題について 

●知事

 あわせて昨日、韓国の方で中曽根外務大臣が韓国のイ・ミョンバク大統領、あるいはユ外務大臣とお話し合いをされました。その中で北朝鮮の拉致被害者問題、この解決に向けて日韓両国が手を携えていくという動きが出てきたことは、私は歓迎をさせていただきたいと思います。今までいろいろと政策上の問題もあり、韓国側と日本側と平仄(ひょうそく)の合った拉致被害者救出活動には至っていなかったと思いますが、今般のこの会談がきっかけとなりまして前進することを願っております。

 松本京子さんの課題もございます。一日も早く御帰国いただくように我々としても運動をさせていただいておりますが、本日付で鳥取県の友好交流先の6地域に私の名前で協力を呼びかける書簡を送らせていただくことにしました。世界の中での世論を喚起していかなければならないと思います。日韓両国での共同した取り組みも始まるわけでございますし、私たち地方自治体としてもできることをやっていこうと考えております。




6 新型インフルエンザ実働訓練の実施について 

●知事

 あと、新型インフルエンザ問題でございますが、この週末に初めて実動訓練を鳥取県として行うことにいたします。これには全日本空輸、ANAですね、航空事業者、あるいは空港ビルの関係、また中央病院、いろいろな関係先と協働しての訓練を行おうと考えております。

 東京の方で疑われた患者さんが鳥取に飛行機でやってきたという、そういう想定で私どもの病院の方で受け入れをしたり、それから空港の関係施設を封鎖を行うとか、検体を衛生環境研究所へ送るとか、そうした初動でやるべきことの検証をしたいと考えております。こうした実動訓練を通して、今、我々の方で策定中であります詳細なマニュアルのバージョンアップに努めてまいりたいと考えております。私の方からは以上です。


○日本海新聞 小谷和之 記者(幹事社)

 それでは、各社、どうぞ。




7 当初予算編成について 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 去年は「散々泣く(3379)」って、語呂を考えておられましたけど、今年は。


●知事

 今、まだ締め切っていませんので、まだ1事業、私たちとしては追加をしようと準備をしていますので、まだその数字の中で読み解くことはしておりません。ただ、最終的に予算が伸びるようなことになったことに私自身としては世情を感じていまして、感慨深いものは持っております。


○NHK 三浦太一 記者

 平井知事は産業政策を重要施策に掲げてきましたが、非常に今、厳しい状況の中、まさに今、真価が問われる予算編成だったと思うんですが、経済とか雇用対策の面を中心に、予算の評価について、もう一度お願いしたいんですが。


●知事

 今回、経済・雇用対策として当初予算、2次補正予算を提出をさせていただき、1月の補正予算と合わせて総額 350億円の予算となります。これは異例のものでありまして、ここに私たちとしては経済・雇用の回復への手がかりを得たいと思っております。ただ、これが終着点ではないわけでございまして、この予算を機動的に執行していくことが、まずは第一歩でございますし、経済や雇用は生き物でございます。

 しかも現在、県内のさまざま、会社の苦しみもございまして、これをくぐり抜けていただかなければならない。我々としては守ることとあわせて、攻めていくチャレンジの方もさせていただきたいと考えておりまして、クロモセンターというバイオテクノロジーの活用事業とか、新機軸も打ち出してまいりたいと考えております。

 いずれにせよ4月以降も、我々としては予算編成が終わった後も経済の状況をウオッチさせていただきまして、機動的に対応していく必要性を、まだ痛感している段階であります。アメリカでも70兆円の法案が通ったはなから株価が急落をしているということもあります。決して安心できる状態ではないと思いますので、これで終止符と考えずに取り組んでまいりたいと思います。




8 知事就任2年間の県政運営の評価について 

○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者

 今回の予算を踏まえての質問になるんですけれども、これで4月以降、4年の任期の半分を折り返す折り返し点に差しかかられるわけですけれども、今回の予算編成も踏まえての質問になりますけれども、これまでの2年間の県政運営、自己採点すると、例えば10点満点で何点ぐらいだというふうに自分で採点されますか。


●知事

 そこはあんまり、評価は県民の皆様がしていただくべきことだと思います。私自身は道半ばではないかという思いが強いです。と申しますのも、我々、随分取り組みをして企業誘致の件数は大幅に増えるなどになりましたけれども、片方で状況が悪化してきて社会的な緊迫度が増しているのは残念なことでありますので、これを何とか解消しなければならない。ですから、やるべき課題はまだまだ多いと思います。

 ただ、今まで不可能と思われていたような航路の問題など、環日本海交流の推進ですね、こういうことでありますとか、あるいは労働関係でもハローワークを急遽県でつくるとか、それから子育て応援のパスポートを行う、あるいは東京でアンテナショップを開設をして、課題はもちろんありますけれども、成果をおさめつつあるというようなことから、道半ば、半分は達したくらいかなと、そういう意味で、まだこれから2年先、残りを埋めていくという気持ちも込めまして、今、7点、6点ぐらいかなと思いますね。まだ6合目、7合目ぐらいじゃないでしょうか。




9 当初予算編成について(再質問) 

○山陰中央新報 今若靖男 記者

 さっき久しぶりに予算が増加したことに感慨深いというようなお話もされましたけれども、実際に制度融資の見かけ上のベースでいきますと、これ8億円プラスになっていて、 0.2という、最後のさじかげんでひょっとしたらへこむというような、そういう際どいようなところで、ぎりぎりでプラスに持っていかれたというか、なったというか、そこら辺の、今年やりたいんだというような知事の思いというのが多分あるのではないかというふうにも察しておりますが、この辺についての最終判断というのは、どういう気持ちを込められたんですか。


●知事

 いろいろ積み上げた結果、増加をしたと。結局片方で公債費がおかげさまで大分減ってきました。今、たしか 540億円台ぐらいに公債費、借金返しが減っていると思います。この水準というのは、もう西尾県政時代の水準まで戻りますので、財政の改善が進んできているわけですね。

 こういうように公債費が減っているなど、下さげの圧力もある中で、我々として逆に今、活力を増進させるため、あるいは安心を獲得するためにしなければならないことというものを積み上げていきました。それがちょうど前年ぐらいのところまで伸びてきたんだと思います。正直申し上げれば景気対策、雇用対策、この部分がなければ減予算だったと思います。


○日本海新聞 小谷和之 記者

 今回、初年度は知事のマニフェストに沿った予算編成で、今回は実質、新年度から始動する将来ビジョンに沿った予算編成ということで、これがスタートしていくわけなんですけども、将来ビジョンに付随して、今、県の方ではグレーター近畿ということで、そういって近畿戦略の予算なんかも今回かなり入っておりますし、プログラム案も今現在策定中なんでしょうかね。そうした広域連携の部分での何か、この予算にちりばめた知事の考えなりというのを改めてちょっと聞かせていただけますか。


●知事

 今までやはり中国地方の一員としての鳥取県の立場があり、見えなかったものがあったと思います。それを新しいグレーター近畿というビジョンで変えていく必要がある部分が多いと思います。これは中国[地方]から出ていくということじゃなくて、ちょうどオーバーラップしたところに我々があって、近畿の中での役割を果たしたり、近畿のいろんな機能を私たちの方で使わせていただいたり、それを心がけていく必要があると思います。6月には近畿知事会を実施をしようと考えておりますが、そうした協働の取り組みを増やしていく必要があると思います。

 その一つのシンボリックなこととして、新年度予算に準備経費を計上させていただこうとしておりますが、ドクターヘリをこの近畿のブロックの中で、グレーター近畿として考えてはどうだろうかと思っております。兵庫県の豊岡病院ですとか、我々ですと県立の中央病院や、また鳥取大学の医学部附属病院があります。こうした機能性の高い病院とヘリコプターに搭乗した医師、機材、これを活用して中山間地域を中心とした医療[需要]に的確にこたえていく必要があるんではないかと。

 数県をまたがる運用になりますが、機材を運用すること自体が1億 8,000万[円]ぐらいかかる高額のものでございますので、これを鳥取県の身の丈に合った形で実現をしていこうとしたときに、近畿の一員としての事業運営でクリアすることができるんじゃないか、こういう挑戦をさせていただきたいと思っております。

 また、関西エリアでの食の博覧会を初めとした我々としての訴えかけの場面は幅広く持っていきたいと考えております。いよいよ鳥取自動車道が来年度の、恐らく年度末には開通をしてくるのではないか、その年度の予算でございますので、私たちとしても大いにそういう夢を膨らませていきたいと思います。

 あわせて、この自動車道開通だとか関西からのお客さんを呼び込むという意味で、山陰海岸ジオパーク構想の推進、また鳥取・因幡の祭典、その中での日本のまつり・2009の実施、こういうところにも新年度の中では力点を置いてまいりたいと思っております。


○読売新聞 北島夏記 記者

 土地開発基金の取り崩しの関係なんですが、これについて二、三点お伺いしたいんですけれども、一つは、これがイレギュラーな措置とお考えなのかという点が一つ。それから、公約というんですかね、 300億円以上残すという目標を掲げられたときに、この土地開発基金というのは、その中には多分入っていなかったと思うんですけれども、 300億円を維持したといっても、別のところの基金を取り崩すというのはちょっと、当初の目標を達成するというのとは、またちょっと意味が違うんじゃないかなと、その点の御認識をもう一つ。それから、 310億ですかね、残りが。来年度、また恐らく取り崩すことになると思うんですが、この土地開発基金を初めとして財調型以外に基金を取り崩す可能性があるかどうか、そういった手法が今後続くのかどうか、この点をお願いします。


●知事

 これは、議会でも土地開発基金など、こうした既存の財源の活用が議論されたわけであります。12月の議会で議論されましたのは、こういう財源も活用して積極的な経済・雇用対策を打つべきではないかと、こういう論点でありました。ですから、我々としてもその意見におこたえをする意味で、今回、財源の活用としての土地開発基金の取り崩しに踏み切ったわけであります。

 これはイレギュラーなものだと我々も思っております。本来は土地を買うために持っていて、土地を買うお金が土地に化けるといいますか、変換されることで、変わっていくことで土地の機動的取得をしようという基金であります。私たちなりにその規模として、今の持っているほどの40数億円の規模が必要かどうか、半分ぐらい取り崩しても事業運営は可能ではないかという目算のもとに、今回落とさせていただいたわけであります。

 新年度どうなるか、また次の、翌々年度の予算編成でまた基金を取り崩すかどうかは、まだ今は決めておりませんけれども、そうした財源の活用策は、片方でどこの自治体もやっておりますので、我々としても取り組んでいく必要もあるだろうと思っております。

 財政の健全性の尺度としての 300億[円]の基金、この目安とした基金は、これはいわゆる財政調整型の基金でございまして、この財政調整型の基金が最後の徳俵なんですね、我々にとって。赤字になったときに踏みとどまるときに取り崩す基金でありますので、これが 300億円という、私が任期の当初のときに見込んでいたのとほぼ同じような規模にとどめようということでございまして、その意味では、ちょっと土地開発基金とは趣旨が異なるので、この 300億[円]を守ることには、それなりの重要な意味は、私はあると考えております。


○読売新聞 北島夏記 記者

 考え方とすると、 300億円を守るために、本来取り崩してもいい額なんでしょうけれども、それはその 300億円を維持したということにはちょっとならないんじゃないかなという考え方もできると思いますが。


●知事

 例えば遊休土地を活用して売るとか、あるいはとりぎん文化会館みたいにネーミングライツを売るとか、あれと同じような財源活用策であるというふうに考えていただければいいんじゃないかと思います。もちろん総体としての財政の健全性が失われるかどうかが私はポイントだと思うんです。

 その意味で 300億円の財政調整型基金を維持をしておくと、それから将来の負担を増やさないと、この総体で考えていただければいいんじゃないかと思います。私のイメージでは、私どもの任期、議会も知事も任期が終了する年度末の段階で、我々がその前の任期から引き継いだ財政状況というものを悪化させないと、その公約を守りたいということでございます。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 財政の健全化も図りながらということなんですが、実際に今回、国からだいぶ与えられた財源というのは、かなりじゃぶじゃぶに近い形で結構あると思うんです、交付金とかですね。ただ、その原資は何かというと、霞が関の埋蔵金と言われるようなものも今回、一度きりのものとして使っていますし、確かに県債自体は少ないんですが、いわゆる臨財債は 200%ということで、これ、県税収入に匹敵するほどの額ということで、全体を見ると、お金の質というのは余りよろしくない、赤字地方債、国債ということになってくるんじゃないかと思うんですけども、この辺、こういうことが実は10年前にもやっぱり起こっていて、あのときも護送船団とも言われたんですが、その後、全国の自治体は結局苦しい思いもした、本俸である地方交付税を削られるような状況になったと。今回も似たような、財政健全ラインを守るという意味では、そういったところが懸念されると思うんですが、知事のその辺のお考えというのはどうなんでしょうか。


●知事

 私もそこの懸念は持っています。特に今回、地方交付税だけでいくと2割近く減っている、18%ですかね。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 14か15でした。


●知事

 随分減っていまして、それと、それを逆に上回るほど臨財債という特殊な起債が認めらていると。この分は交付税で 100%返ってきますので、交付税の要は前借りといいますか、そういうものなんですよということだと思います。ただ、これが余りにも膨らんでいて、私どもの県だけでなくて、他の交付団体、特に都道府県はそうなんですが、県レベルではこれが非常に広がっています。

 ですから脆弱な地盤の上に予算編成をしているという感は否めないと思います。ですから地方団体として、六団体ないし知事会として従来から訴えていることでありますが、しっかりとした真水での財政調整、すなわち交付税というものを交付していただきたいと。この運動は展開していかなければならないと思います。

 この議論というのは、国政の要は財政構造との裏腹の問題でありまして、国の方が健全な財政構造に持っていって、交付税を配れる原資が向こうにあれば、今度はそうした臨財債というような手法はなくなっていくわけでございますので、国の方の財政立て直しのために今回、議論はややちょっと下火になってきましたけれども、税制構造の改革など、必要な議論は国全体としていただく必要があると思っております。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 あともう1点、いわゆる雇用対策の中で、これもやはり国の2次補正で財源が手当されています雇用関係の基金のうち、ふるさとのですね、アウトソースして新しい雇用を、できれば継続的にやっていこうというところの事業は、これは県内市町村を含めまして、非常に事業額がまだ配分額に満たないような状況だというふうになっているわけで、そういう使い勝手の悪さが、せっかくの国からの財源も上滑りするようなことにつながりはしないかというふうに思って、実際、県も国に対して、その辺の制度改正というか、もっと使い勝手のいいものにしてくれとおっしゃってますが、この辺での心配と、あるいは確実にお金をきちっと使っていけるような道筋ですね、今後これはどういうふうに取り組んでいかれるお考えですか。


●知事

 この 2,500億円、国全体で枠があるふるさと雇用のための基金でありますけども、正直、今でも使い勝手が悪いという認識です。ですから、国にはこれ、年末から申し上げているんですが、こういう制度よりも、もう一つの 1,500億円の基金のように使いやすいものにすべきではないかということを訴えかけております。これは他県も恐らく事情は一緒だと思いますので、そうした働きかけを他県とも一緒になってやっていきたいと思っております。

 せっかくの雇用対策でありますので、打たなければ意味がないわけですから、打てないような対策にすべきではないと思っています。ただ、さはさりながら、私たちとしてもいろいろと企業だとか団体とかにも工夫をしていただいて、このふるさと雇用を活用していただく、それは片方で推進していかなければいけないと思っております。この辺は国の方が本当に現場を見て額作ったのかなという疑問を持つ部分です。


○毎日新聞 小島健志 記者

 22年度末までに基金を 300億以上確保しておくと。今の状況ですと、なかなか難しい状況に来ているというところがあります。一方で公共事業前倒しを含めればプラスに転じていたり、増額予算を組んでおられると。その中で今後、経済状況がさらに悪化した場合、財政規律を破ってでも経済・雇用対策というものに打っていく考えはおありですか。


●知事

 今は正直、そこまでの考えはありません。やはり二兎を追わなければならないんだと思うんです。鳥取県は全国で一番財政規模が小さい県ということに結局はなるわけでありますし、それをお預かりしようと思えば、他県以上に財政の軸足をきちんと持っておかなければならない。これは結局、依存財源が多いんですね。国庫補助金、あるいは交付税といったもの、また起債も、臨財債も含めれば相当多いです。

 こういう依存財源が非常に多いもんですから、制度に左右される、景気の波に左右される、特に他律的になるんですね、よそからの影響を受けやすいということがございますので、その意味で慎重さは他の自治体よりは高く持たなければならないと思っています。ですから、私としてはせめて今の財政誘導指標と我々が言っているものは守りながら運営をしていきたいと考えています。

 ただ、実際にはこれから新年度に入りまして、さらに税収状況だとか、あるいは政権交代等もあれば制度の枠組みもがらがらっと変わるかもしれません。余りにも大きな波がやってくれば、今の財政誘導指標に拘泥していては県民生活の立て直しはできないと判断すれば、次はその規律について考え直す必要があるかもしれません。

 ただ、それを私は一人でやろうとは思いません。もし財政誘導指標を改めるということにするのであれば、これは議会とか県民の皆様の御意見も踏まえながらやっていかなければいけない事柄だと思います。これはいわば公約に属することでございますので、任期中は守るのがエチケットだと思っています。


○読売新聞 北島夏記 記者

 公共事業費ですが、前倒し分を含むと久しぶりの増になります。これは片山さんの時代はずうっと一貫して抑えていくという方針だったようですけれども、今回以降、こういう公共工事をなるべく抑えていくという方針をある程度改めていくという、そういう方針転換ととらえていいんでしょうか。


●知事

 私は、以前から申し上げていますが、今の建設事業者の皆様に業態を転換してくださいということも片方でやっていかなければならないと思います。ただ、業態を転換するということを推奨するだけでは、現実は無理だと思うんです。ですからいわばソフトランディングをする、急激に首を絞めるような形で転換をしろと言っても多分無理なもんですから、ソフトランディングをしながら改めていくというのが現実的ではないかと思っています。

 そういう意味で、片山[前知事]さんの時代とは、この公共投資に対する考え方を若干変えています。片山さんのときも、平成11年度[の肉付け予算後で]は増えていますから、最初の1年は増やしているわけでありますが、その後は減らしてきていると。それは事業の選択と集中を行うということですね、1件1件公共事業を査定をしていくというやり方に切りかえて、結果としてどんどん下がっていったということであります。

 私もそこのところは同じなんです。むだな事業をやるということではなくて、1件1件厳しくその公共事業の着手の当否は今も判断をしております。ただ、その上で総体のボリュームを、要は進捗率をどう考えるかというところは調整があってもいいだろうと思っておりまして、その意味で今回、ふだんできないような身の回りの事業も積極的に取り上げて数値化したというのが今回でございます。

 先ほどもお話がございました地域活性化の交付金もございまして、これは埋蔵金関連のもので、今使えるかどうかというのは問題があるんですけども、ただ、こういう交付金も出てきまして、今だからやれるというチャンスの事業もあるもんですから、そういうものも積極的に取り組んだということです。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 緊急雇用・経済対策で15カ月予算で 350億円にはなってますけども、知事は1期目のちょうど折り返しに当たられるということで、景気後退のこういう突風が吹き荒れる前から、折り返しなので、その成果というか、御就任のときにおっしゃった改革の果実というものを、できれば結果として残したいんだというような決意も前におっしゃっていましたけども、非常に厳しい状態の中での予算編成で 350億円盛って、目標というか、せめてこういうところまで持っていきたいという、何かそういう指標になるようなものというのは設定していらっしゃいますか。


●知事

 それは経済とか雇用についてですか。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 いや、もし数値があればですが、そうじゃなくても、こういうところまで到達したいんだというような目標、何かお感じになっておられるところですか。


●知事

 問題はこういうことだと思うんです、経済・雇用のことでいえば。今、坂を転げ落ちるような感じになっているんですね、これを何とかしなければならないと。とめるためには対症療法として、とりあえず一時的にも雇用の受け皿を作る。この意味で二千数百人の雇用の受け皿を作ろうじゃないかということでありまして、これで急落してきてあふれ出てくる、そういう雇用を受けとめる努力をしようと。

 あと、これともう一つ、当県の場合はよそと違うかもしれませんが、打って出ることは引き続きやりたいと思っています。現在、例えば食品加工関連だとか健康食品とかバイオだとか木材加工だとか、そうした今の製造業との関係で落ち込んでいくものとは別のベクトルを持った業種がある。あるいは農林水産業で私たちは豊かな資源もありますし、ただ、人材がかえって不足をしている、こういうところに人を注入するといいますか、こちらに雇用をシフトさせることも全国から引き入れてやるべきではないか。

 昨日ですか、大阪の方でもU・I・Jターンを絡めて農林水産業も含めた、そうした面接会[鳥取県UJIターンBig相談会(大阪)]をやりましたけれども、結構人も集まっていると。ですから今、雇用のシフトだとか、あるいは地域の中でも都会一辺倒でないシフトが起こり始めるんじゃないか。この波を何とかとらえたいと。

 鳥取県は60万県民の県でございますので、余り大きくとらえなくても、ある程度とらえ込むだけでも雇用だとか経済に対する影響がいい意味で出てくるだろうと、そう思っていますので、この辺の果敢なチャレンジを片方でやっていきたいという目標を持っています。

 そういう意味で、守りと攻めと二正面での作戦を展開をしていくという、非常に難しい、例えば戦国の合戦でいえばしんがりを努めるようなものでありますけども、守りと攻めの両面をやっていく、そういう難しい戦いをあえてしていこうと思っています。


○日本海新聞 村上俊夫 記者

 知事、今の守りと攻めなんですけれども、片方で当面の困難に対する対応と、それから将来への投資と、そういう面もあろうと思うんです。その将来への投資という点では新年度予算は、知事はどういうふうに自己評価されますか。


●知事

 将来への投資としてグレーター近畿を具体化していく意味で、先ほどのドクターヘリを初めとした事業が出てきている、また、我々としては環日本海時代をにらんだ取り組みがなされなければならないと考えていまして、貿易を増やしたり観光の往来を増やす、そういうのも今回入れております。DBS[クルーズフェリー]関連はさらに追加も今、検討しているということであります。

 あるいはバイオテクノロジーの拠点を鳥取大学の医学部の中に設置をしようと。鳥取県産業振興機構が受け皿となって企業と大学の今進めているバイテクとのマッチングをやって事業化に結びつけていこう、こうした一定の将来の投資が私は必要ではないかと考えておりまして、それも厳しい予算の中でありますけども、盛り込まさせていただいたと思います。

 あと、人の面ですね、人材養成、これも大切な将来への投資だと思いますので、1億円の教育予算枠とか、それから地域づくりネットワークを人材養成も込めてやる鳥取力の育成事業、この辺も将来への投資だと思います。


○日本海新聞 村上俊夫 記者

 個別の問題ですけど、市町村交付金の中に新たに、いわば目的別でくくるという新しい枠組みが作られたわけですけれども、これ、その交付金化したねらいと比べると、ちょっとやや逆戻りではないかという思いもあるんですが、そういう手法をとられた理由を教えていただけますか。


●知事

 これも県議会でも随分議論がありましたけれども、結局県の税金を使って市町村に対してお金を出すことには一定の目的があるんだと思うんです。従来の市町村交付金は、一般財源化を目指したものだと思います。そういう意味で使途に制限はないということで、地方自治の理念には合致をしています。

 その意味で全否定してないんですね、我々も全否定はしてないんですけども、ただ、県が県民の皆さんの税金を使って市町村の応援をするからには、一定の施策誘導も必要だろうと。例えば子育てが重要な課題になる。ですから、その人財・鳥取を目指す意味で子育て環境を整える事業をちゃんとやってくださいと。

 これにお金が回るかどうかの担保がないもんですから、交付金として明確にするとか、あるいは農業関係でもスピルオーバーしてしまって、実際に交付金化した関係で農業に使われずにほかへ回ってしまうと。ですから緩やかな、そうした使途といいますか、促進目的、施策誘導に資するようなシステムへの変換を今回試みているわけであります。

 これは確かに恒久的なものというよりは、今、一遍ちょっと戻している面があると思うんですね。ただ、かつての個別補助金のように、完全に市町村の手足を縛って、それで使い勝手が悪くなるという弊害をもたらさないように、一定の施策目的に沿った形で使ってくださいというまとまったお金を出すと、こういう仕組みに今、変えようという方向です。




10 DBSクルーズフェリーについて 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 1点だけ確認を。先ほどDBSの追加も検討されているということをおっしゃったんですけど、これはこの間の1回 100万円以外に、新たにまた追加されるということなんでしょうか。


●知事

 そこは今、まさにまだ調整中のところでありまして、ただ、要は1航次、1往復して 100万円という、そういう促進補助のベースで考えたいと私は思っています。ただ、これは地元の自治体、境港市さんだとか、そうしたところとの話し合いなどもございますので、今は調整中であると。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 調整中というのは、金額を調整中なのか、そのスキームを調整中なのか、あるいは議会への根回しを調整中なのか、どれに当たるんでしょうか。


●知事

 スキーム全体ですね。スキーム全体は、まだかっちり決まっていません。例えば県と市町村とで全く対等でいくのか、あるいは市町村と県とで1対2とかいう割合にするのかとか、そういういろんな選択肢がありますから、最終的には腹合わせをしていくという段階です。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 それで追加される財源の規模は、今、3387という当初予算案できてますが、億オーダーでまた変わってくるんでしょうか。


●知事

 億オーダーでは変わらないです。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 数千万単位。


●知事

 もうそこに限定して、ですから 3,387億円台で決着することになると思いますね。




11 拿捕再発防止への取り組みについて 

○山陰放送 秦卓史 記者

 すみません、拿捕関連についてですけども、水産関係者等に再発防止に向けて取り組むというふうに言われましたけども、具体的に再発防止の取り組みのイメージというのは。


●知事

 しばらくちょっと時間がかかるかなと思いますのは、今回の事案がどういう事案かということを、これが今、水産庁が調査中であるだとかございますので、そういうものを見守らなきゃならないと思います。その上で、例えばこういう問題があるということが明らかになってくれば、それは水産関係者とよく協議をさせていただいて、国に改善を求めるとか、そういうことはあり得るだろうと思っています。今はまだ事態を確認中であると理解しています。


○日本海新聞 小谷和之 記者(幹事社)

 そのほかございますでしょうか。ないようですので、以上で終わります。ありがとうございました。


●知事

 ありがとうございました。



  

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