内閣府は、平成21年2月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、急速な悪化が続いており、厳しい状況にある。
・輸出、生産は、極めて大幅に減少している。
・企業収益は、大幅に減少している。設備投資は、減少している。
・雇用情勢は、急速に悪化しつつある。
・個人消費は、緩やかに減少している。
先行きについては、当面、悪化が続くとみられ、急速な減産の動きなどが雇用の大幅な調整につながることが懸念される。加えて、世界的な金融危機の深刻化や世界景気の一層の下振れ懸念、株式・為替市場の変動の影響など、景気をさらに下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。
政府は、当面は「景気対策」、中期的には「財政再建」、中長期的には「改革による経済成長」という3段階で、経済財政政策を進める。当面、景気対策を最優先で進めるため、総額75兆円程度の経済対策を着実に実施する。このため、平成21年度予算及び関連法案の早期成立に努める。
日本銀行が、内外の厳しい経済金融情勢の下、政府とマクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、適切かつ機動的な金融政策により経済を下支えすることを期待する。日本銀行は、2月3日、金融機関保有株式の買入れを再開することを決定した。
2008年10-12月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間在庫品増加、民間住宅、政府最終消費支出がプラスに寄与したものの、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)、民間企業設備、民間最終消費支出がマイナスに寄与したことなどから、前期比で3.3%減(年率12.7%減)となった(3四半期連続のマイナス)。
(各論)
(1)消費・投資などの需要動向
個人消費は、緩やかに減少している。消費者マインドは悪化しており、所得は弱い動きとなっている。設備投資は、減少している。住宅建設は、減少している。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、極めて大幅に減少している。輸入は、減少している。貿易・サービス収支の赤字は、増加している。
(2)企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、設備投資の減少や輸出の極めて大幅な減少などから、極めて大幅に減少している。第3次産業活動は、減少している。企業収益は、大幅に減少している。また、企業の業況判断は、大幅に悪化している。倒産件数は、増加している。雇用情勢は、急速に悪化しつつある。
(3)物価と金融情勢
国内企業物価は、下落している。消費者物価は、石油製品価格が下落しているが、それを除いた基調としては横ばいとなっている。株価(日経平均株価)は、7,900円台から8,200円台まで上昇した後、7,600円台まで下落している。対米ドル円レートは、89円台から88円台まで円高方向で推移した後、92円台まで円安方向で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(12月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(12月)、乗用車新車新規登録台数(1月)とも前年を下回った。
建設等では、用途別着工建築物工事金額(1月)は前年を上回ったが 、新設住宅着工戸数(1月)、公共工事請負金額(1月)は前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(12月、季節調整済)が電子部品・デバイス工業等の減により81.8で前月比8.2%低下した。また、大口需要電力実績(12月)のうち鉱工業は前年を下回った。
雇用面では、新規求人倍率(1月)は、0.79倍(前月差0.05ポイント低下、前年同月差0.37ポイント低下)であった。有効求人倍率(1月)は、0.53倍(前月差0.04ポイント低下、前年同月差0.21ポイント低下)と3か月続いて0.6倍を割り込んでいる。
きまって支給する給与(12月)、所定外労働時間(12月)とも前年を下回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(12月)は、全店舗計では62億3,449万円となり、前年同月比8.6%減と9か月続いて前年を下回り、店舗調整後でも前年同月比7.2%減(全国は前年同月比6.2%減)と9か月続いて前年を下回っている。
なお、全店舗計の内訳では、百貨店が25億3,389万円(前年同月比11.6%減)、スーパーが37億60万円(前年同月比6.5%減)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(12月)は、43億4,895万円(前年同月比7.1%減)と3か月続いて前年を下回った。内訳では、ホームセンターが23億4,069万円 (前年同月比4.3%減)、家電量販店販売額が20億826万円(前年同月比10.1%減)であった。
乗用車新車新規登録台数(1月)は、1,071台(前年同月比19.5%減)と6か月続いて前年を下回った。普通車、小型車、軽自動車とも前年を下回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(1月)は、143戸(前年同月比32.9%減)と2か月ぶりに前年を下回った。減少の内訳では、貸家の減少(前年同月比43.4%減)が大きかった。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(1月)は、8億3,404万円(前年同月比20.9%増)と3か月続いて前年を上回った。用途別では、情報通信業用(前年同月は着工なし)等が前年を上回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(1月)は、36億4,800万円(前年同月比34.2%減)と3か月続いて前年を下回った。発注者別内訳では、独立行政法人等の減(前年同月比80.4%減)が大きな割合を占めた。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(12月)は、生産指数(季節調整済)が81.8となり前月比は8.2%低下、原指数は、90.4となり前年同月比では18.2%低下した。
内訳を前月比で見ると、食料品・たばこが4.4%の上昇、電子部品・デバイスが22.3%の低下、電気機械が8.7%の低下、一般機械が11.3%の低下となっている。
在庫指数(季節調整済)は100.7と前月比8.0%の上昇となった。
【電力】
大口需要電力実績(12月)は、112,153千kWh(前年同月比21.3%減)と5か月続いて前年を下回り、鉱工業も全ての区分で減少し23.1%減少した。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(1月)は、野菜が1,240t(前年同月比1.2%増)と3か月ぶりに前年を上回り、果実も710t(前年同月比2.2%増)と2か月ぶりに前年を上回った。
鳥取市場の鳥取県産青果物卸売量(1月)は野菜が382tで市場全体に占める割合は30.8%(前年同月差6.3ポイント低下)、果実は36tで市場全体に占める割合は5.1%(前年同月差1.8ポイント上昇)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(1月)は、9,694t(前年同月比71.4%増)と2か月続いて前年を上回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(1月)は、0.79倍(前月差0.05ポイント低下、前年同月差0.37ポイント低下)であった。なお、新規求人数(1月)は、3,433人(前年同月比17.2%減)と16か月続いて前年を下回った。
有効求人倍率(1月)は、0.53倍(前月差0.04ポイント低下、前年同月差0.21ポイント低下)と3か月続いて0.6倍を割っている。また、0.5倍台が続くのは、平成14年3月(4か月連続)以来である。
【賃金】
現金給与総額(12月)は、566,869円(前年同月比2.8%増)と5か月ぶりに前年を上回った。そのうち、きまって支給する給与(12月)は、250,635円(前年同月比0.6%減)で5か月続いて前年を下回った。
【労働時間】
所定外労働時間(12月)は、7.9時間(前年同月比19.4%減)と5か月続いて前年を下回った。主力の製造業は27.2%減となった。〔産業別の前年同月比では、電気ガス水道業(前年同月比40.1%増)等で前年を上回り、運輸業(前年同月比33.7%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(12月末)は、1兆8,884億円(前年同月比0.2%減)と2か月ぶりに前年を下回り、貸出金残高(12月末)は、1兆1,262億円(前年同月比2.4%減)と28か月続いて前年を下回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(12月)は、先行指数が10月25.0、11月0.0、12月12.5、一致指数が10月12.5、11月25.0、12月0.0、遅行指数が10月20.0、11月40.0、12月20.0となった。
・ 企業倒産 (1月)は、件数が9件で前年に比べて4件増加(前年同月比80.0%増)し、負債総額は31億9,900万円で前年に比べて22億3,700万円増加(前年同月比232.5%増)した。
・ 消費者物価指数(1月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、100.4(前月比0.5%下落、前年同月比0.3%上昇)となった。
・ 鳥取県の推計人口(2月1日現在)594,058人で、前月と比べて379人(0.06%)減少し、前年同月と比べて4,903人(0.82%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成21年2月調査でみると、平成21年1~3月期は、平成20年10~12月期に比べると、景気、売上高、経常利益はきわめて不調である。また、平成21年4~6月期は、平成21年1~3月期に比べると、景気、売上高、経常利益ともきわめて不調となる見通しとなっている。