鳥取県の経済は、総じて弱い動きとなっている。
・景気動向指数の一致指数は、全国と同様に景気の弱さを窺わせている。
・企業経営者の景気判断(BSI)をみると、平成20年7~9月期はマイナスとなっており、平成20年度中は
マイナスが続く見込みとなっている。
・個人消費は、総じて弱い動きとなっている。
・住宅着工は、依然として低水準で推移している。
・設備投資は、前期に続き低調に推移した。
・公共工事は、前期を上回ったものの、基調としては減少傾向にある。
・生産動向は、鉱工業生産指数は低水準で推移している。
・企業倒産は、負債総額、件数とも増加する傾向にある。
・雇用情勢は、有効求人倍率が依然として厳しい状況にある。
一致指数の平成20年1月以降の動きは、50%を上回ることもあるが、比較対象の月が大きく落ち込んだ反動によると考えられ、継続的に50%を上回る傾向にはなく、全国と同様に景気の弱さを窺わせている。
企業経営者の景気判断は、20年7~9月期は製造業、非製造業とも前期と比べてマイナス幅が拡大し、依然としてマイナスが続いている。
また、20年10~12月期も、製造業、非製造業ともマイナスとなった。8月調査時の見通しでは全産業で-9、製造業は11、非製造業は-15であったが、いずれも大幅に悪化し、全産業で33ポイント悪化し-42となった。例年、10~12月期は7~9月期に比べて改善する傾向にあるが、今年は、製造業、非製造業ともに悪化した。
全産業の景気は、21年4~6月期まで10期連続のマイナスとなる見通しとなり、厳しい景気判断となった。
大型小売店販売額(店舗調整済み)は、百貨店が平成18年2月以降は、平成20年3月を除き前年を下回っている。
一方、スーパーマーケットは平成19年10月以降は店舗改装効果もあり、前年を上回る傾向にあったが、平成20年7~9月期は、前年を下回った。これを全体でみると、6期続いて前年を下回っている。
ホームセンター・家電量販店販売額は、平成19年10~12月期が店舗新設の効果もあり、3期ぶりに前年を上回り、平成20年7~9月期まで4期続いて前年を上回った。
乗用車新車新規登録台数は、平成15年以降は減少が続いており、四半期でみても平成17年7~9月期以降は減少している。また、平成19年以降は、前年好調に推移していた軽自動車も減少に転じている。
個人消費全体としては、弱い動きとなっている。
新設住宅着工戸数の年計は、平成19年まで3年連続で前年を下回った。
この間、貸家が低調で、貸家系の着工戸数は、平成17年4~6月期以降、11四半期続いて前年同期を下回った。また、平成19年7~9月期以降は、建築基準法改正の影響も加わり、大幅に減少した。
平成20年は、2四半期続いて前年同期を下回ったが、7~9月期は、持家、分譲住宅が前年同期を上回り、6四半期ぶりに前年同期を上回った。これは、前年同期が建築基準法改正の影響で大きく落ち込んだ反動によるものと考えられ、住宅着工は、依然として低水準で推移している。
用途別着工建築物工事金額の平成20年7~9月期は、全国的に前年同期が建築基準法改正の影響で落ち込んだ反動で大幅に上昇している。鳥取県でも「製造業」で大型投資があったこともあり、前年同期を上回ったが、平成18年以前の水準を下回り、前期に続き低調に推移した。
公共工事請負金額は、平成11年度から減少傾向が続いている。
平成20年7~9月期は、市町村及び県の発注が増加したことにより前年を上回り、8四半期ぶりに前年を上回った。
平成19年1~3月期から5四半期連続で2桁の減少が続いており、一時的に持ち直したといっても、低調な水準である。
平成20年7~9月期の鉱工業生産指数(季節調整済)は、前期の大幅な低下の反動もあり、4四半期ぶりに前期を上回ったが、その水準を原指数でみると、7四半期続いて前年同期を下回り、依然として低水準で推移している。
平成18年、19年は、17年を上回っていたが、20年は3四半期続いて100を下回った。平成17年は、製造品出荷額等(工業統計調査)、県内総生産(県民経済計算)が落ち込んだ年であり、総じて弱い動きといえる。
平成20年7~9月期は、前年同期が、倒産の発生が少なく落ち着いた動きとなっていたこともあり、件数、負債総額とも増加した。
負債総額の増加は4四半期続いており、平成20年は7月までの累計が前年を上回った。これは、建設業他で大型倒産が発生したことが影響している。
原因別にみると、販売不振が大半を占めている。
平成20年7~9月期の有効求人倍率は0.68倍で、4四半期続いて前期を下回った。
また、四半期の有効求人倍率が連続して0.6倍台となったのは、平成13年10~12月期から平成15年7~9月期(8四半期連続)以来のことであり、依然として厳しい状況が続いている。