防災・危機管理情報



 中部担当の自然保護監視員が、日々のパトロールの中で発見したこと、感じたこと等を綴りながら、中部地区の魅力的な自然の数々をご紹介します。
 

2018年3月26日

三徳山のミツマタ

 二十四節気の1つ春分を過ぎ、春の便りが聞こえるようになりました。鳥取県中部地区ではヒバリやウグイスのさえずりが聞こえ、イワツバメの姿も見かけます。春を告げる野鳥の声や姿から春が来たことを実感します。

 さて、今回は三徳山のミツマタを紹介します。3月中旬に三徳山を訪れると、ミツマタの木に黄色い花が咲き始めていました。

ミツマタ
三徳山で見かけたミツマタの木

ミツマタ
ミツマタの花

 ミツマタは、中国・ヒマラヤ地方原産のジンチョウゲ科の落葉低木です。枝が3本に分かれることからこの名前になったそうです。

ミツマタ
ミツマタ(枝の先端が3本に分かれる)

 日本では、16世紀後半の慶長年間以降栽培されていて、樹皮の繊維は長くて強いため、和紙や紙幣の原料として利用されてきました。

 三朝町のミツマタの歴史を文献でひもとくと、ミツマタは三朝町内で広く栽培されていたようです。明治時代になり紙の需要が増すと栽培が増え、明治43年に森地区にできた旭抄紙会社の工場では、三徳地区からもミツマタを購入しました。この工場では、半紙、障子紙、半切(巻紙)、美濃紙の紙製品を作り、鳥取の紙問屋に出荷していました。その後、昭和24年以降は原料生産のみとなり、昭和58年1月には、大谷地区と吉原地区での生産者は20戸となり、平成18年に長い歴史に幕を閉じたということです。

 このようにミツマタは三徳地区の人々の生活を支える植物でした。栽培されていたものが今では野生化していますが、歴史の名残としてこれからも地域に根付いていくことでしょう。

主な参考文献
・三徳山の植生永遠に 森本満喜夫/著 三朝町教育委員会 2010年
・花の三朝路 森本満喜夫/著 三朝町教育委員会 昭和58年
・三朝町誌 山崎勉/編 三朝町役場 昭和40年
・新修 三朝町史 三朝町史編さん委員会/編 三朝町 平成21年
・原色日本植物図鑑・木本編 北村四郎、村田源/著 保育社 昭和46年
・お札の館探検隊 なぜなぜ質問箱(配布版) 国立印刷局 平成24年

中部総合事務所環境建築局 2018/03/26 in 国立公園,植物,中国自然歩道



問合せ先

中部総合事務所 環境建築局 環境・循環推進課

(自然公園担当)
電話:0858-23-3276  Fax:0858-23-3266

(野生鳥獣・狩猟免許担当)

電話:0858-23-3153  Fax:0858-23-3266

  
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