含浸処理の終盤には、トレハロースの濃度を上げるために、70~80℃の高い水溶液温度が必要になりますが、機械の性能上、温度を上げられない場合や、高い温度にさらし続けると遺物が傷む場合には、含浸で高温かつ最終段階に高濃度のトレハロース水溶液を別に用意しておき、そこに短時間だけ浸けることが必要になります。これをディッピングといいます。
ディッピングした遺物はトレハロースの衣をまとっており、これを冷却乾燥させると、表面にトレハロースの白い結晶が形成されて、遺物の強度を高めることができます。
遺物の内部まで結晶化が進み、乾燥工程が終了したら、仕上げの表面処理に入ります。
[令和元年10月掲載]