防災・危機管理情報


木包丁って、何?

木包丁って、何?

 突然ですが・・・。

 「石包丁(いしぼうちょう)」ってどんな物かご存じでしょうか?

 学校の歴史の時間にもよく登場する道具なので、ご存じの方も多いかと思います。石包丁は弥生時代に使用された石器で、田んぼに実った稲穂を摘み取るために使われました。

 では、「木包丁(きぼうちょう)」って、ご存じですか?

 石包丁に比べると、馴染みのない方も多いのではないでしょうか。実は、稲穂を摘み取る道具は石製の石包丁のほかに、木製の木包丁もありました。石に比べ、木は朽ち果てて残りにくいですが、県内では青谷横木(あおやよこぎ)遺跡や青谷上寺地(あおやかみじち)遺跡など低湿地の遺跡を中心に一定量出土しており、当時はかなり使用されていたことがわかります。刃縁に対して木目が斜行するものが多く、横断面が湾曲しているものも認められます。木目が斜行する造りの方が摘み取りやすく、湾曲した形状は手にフィットしやすいことが考えられます。

 青谷横木遺跡や青谷上寺地遺跡の木包丁には「ヤマグワ」製のものが多いようです。ヤマグワといえば、花弁高坏など秀麗な木製容器にも多く使用されていましたが、前述した木目や断面の特徴とあわせて、使用されなくなった木製容器を木包丁に転用した可能性が指摘されており、貴重な資源の枯渇を防ぐため、リサイクルが行われていた可能性が考えられます。

木包丁(青谷横木遺跡)

花弁高坏(青谷上寺地遺跡)

 

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今回ご紹介した物も含め、現在、鳥取市歴史博物館で開催中(無料で観覧いただけます)の「鳥取県埋蔵文化財センターの名品」で展示している遺物を掲載した図録を、当センター及び鳥取市歴史博物館で販売しています。

[令和2年8月掲載]

  

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センター紹介

 久松山地域は戦国時代以降鳥取城が築かれ、鳥取藩32万石の中心地でした。現在でもこの地域は県庁があり、行政の中心地となっています。

 しかし、戦国時代から遡ること約800年前の奈良時代、県庁から4キロほど離れたこの国府町に国史跡因幡国庁(現在の県庁にあたるもの)がありました。今ではひっそりとした田園地帯ですが、因幡三山(甑山(こしきやま)、今木山(いまきやま)、面影山(おもかげやま))に囲まれ、当時の面影を残す万葉の歴史と古代の出土品にあふれた万葉の里となっています。
 この歴史豊かな万葉の里の一角に埋蔵文化財センターはあります。


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