9月から沖合底曳網漁業が解禁されました。今漁期の市場調査の1回目を9月5日に実施しています。当日は網代で5隻入港、賀露は全船(4隻)入港しており、ハタハタとアカガレイの市場測定を行いました。
まずは、網代港地方卸売市場です。この日はハタハタが全体で830箱、アカガレイが1300箱、スルメイカが500箱の水揚げがありました(9月2日の初水揚げではアカガレイの水揚げが殆どだったためハタハタがあったことで一安心)。
ハタハタは体長15~17cmの2歳魚がメインの漁獲で、アカガレイは体長20~35cmの小型の銘柄から大型の銘柄まで幅広いサイズが水揚げされています。
8月に本県沖で実施した第一鳥取丸での沖底漁期前調査(網を揚げる機械の故障により1地点のみしか調査が実施できていません)や、兵庫県調査船「たじま」での調査結果では、ごく一部の海域(青谷沖の水深200m前後)でしかハタハタが獲れておらず、獲れるメインのサイズは2歳魚で小型のサイズ(1歳魚)は少ない傾向が見られていました。
実際に獲れているハタハタは2歳魚メインで、漁業者の方からお話を聞くと、例年よりやや深い水深(水深230m付近)でハタハタが獲れ、今漁期始めのハタハタの漁場形成状況は例年と比較してやや異なっている模様です。
また、釣り等で漁獲されるイメージが強いスルメイカが沖底でまとまった量、漁獲されています。
8月の沖底漁期前調査でもスルメイカが獲れ、その際に測った水温は水深190m台でも10℃程度ありました(例年の水深190m台の水温は4~5℃)。沖底が網を曳く底層でもスルメイカにとっては生息に適した水温になっているようで、餌生物も多いことからスルメイカが留まり、漁獲されている状況と思われます。獲れているスルメイカは身も厚い利用価値が高そうなスルメイカです(実際に良い単価になっている模様)。
その他にもホッコクアカエビやクロザコエビ(もさえび)、ソウハチ、タナカゲンゲ(ばばちゃん)等の水揚げがありました。
続いて賀露地方卸売市場の状況です。
この日は主にハタハタ2340箱、アカガレイ1210箱、スルメイカ1150箱、エテガレイ265箱の水揚げがありました。
ハタハタは1隻当たり最大で970箱の水揚げがありましたが、実際に漁業者の方からお話を聞くと、ハタハタは限られた漁場のみでしか漁獲がなく、獲るのにはやはり苦労されているような状況が伺えました。獲れているハタハタはこちらも2歳魚メインの漁獲になっています。特大サイズのハタハタ(体長25cm程度)を水揚げしている船もありました。
ハタハタ、アカガレイは魚体購入して、当場で精密測定(体長、体重、生殖腺重量、胃内容物の調査)を行っています。この時期のハタハタは産卵に向け、栄養を蓄えており(主に捕食していたのはヨコエビ)、脂のりも十分です。大きくなっている白子や卵巣は煮つけにして食べたらおいしそうです。