防災・危機管理情報


2004年6月14日

なんだ!?これは?(ヤマトメリベ)

ヤマトメリベ

「なんだこれは?」
 6月14日、鳥取県漁協御来屋支所より、「変な生き物がいる」との連絡を受け、駆けつけたところ、この生き物を目にすることとなりました。
 大きさは40㎝もあろうか、寒天質でぶよぶよした体は薄いピンク色を呈し、背中には赤いいぼいぼのついた5対の突起、そして、「ハエ獲り草」のような大きな口。
 なんとも薄気味悪い様相です。
 しかし、体をしきりにくねらせ、触ると柑橘系のあま~い匂いがし、その妖艶な雰囲気にじわじわと魅了されてしまいました。

 さて、この生き物の正体は「ヤマトメリベ」というウミウシの仲間でした。
 体長は50㎝を超えることもあり、浮遊性であること以外、生態などについてはほとんどわかっていません。
 図鑑にもなかなか載っていないほどの稀な種で、日本固有種のようです。
 九州、太平洋側の水族館で飼育例が多数あることから、南方系の種類のようではあります。
 島根県立しまね海洋館「アクアス」の飼育担当者に話を伺ったところ、「島根沖でも冬から春にかけ、見られることがあるが、大きいのは非常に珍しい」とのことでした。
 「たくさんの方に見て楽しんでもらいたい」という漁協の方の意向により、翌日、「アクアス」へと旅立つことが決定しました。
 ところがその夜・・・。

 なんとこの「ヤマトメリベ」が忽然と姿を消したのです。
 「排水口から出て行ったのでは?」「死んで溶けてしまったのでは?」様々な憶測が飛び交いましたが、非常に元気だったこと、排水口はオーバーフロー式であったことなどからどの説もありそうにありません。
 
 「ヤマトメリベ」は私たちの心を惑わす妖怪だったのでしょうか。
 海の中には今回の「ヤマトメリベ」のように私たちの見たことのないゲゲゲな生き物がいっぱいいることを改めて実感しました。

 

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