防災・危機管理情報



 中部担当の自然保護監視員が、日々のパトロールの中で発見したこと、感じたこと等を綴りながら、中部地区の魅力的な自然の数々をご紹介します。
 

2010年1月26日

冬の海岸part2 「死滅回遊」

  由良宿のお台場公園周辺や北条の風車が林立する砂丘地一帯は銃猟禁止区域に指定されており、ある日パトロールに出かけました。

 前回の石ころの篦津海岸と異なり、見渡す限り砂の渚が広がっています。漂着ごみが意外に少ないと思っていたら、大物は松林の近くに袋にまとめて置いてありました。清掃がかなりしっかりとされているようです。

 それでも波打ち際には貝殻をはじめ細かなものが沢山打ち上げられています。何か変わったものはないかと探して歩いてみることにしました。

 海岸の漂着物を拾って楽しむのをビーチコーミングというそうです。ごみ拾いと言ってしまえば実も蓋もありませんが、「ビーチコーミング」は何か高尚な感じがしてきます。

ゆっくり回る風車、打ち寄せる波、寒くてもすがすがしい気持ちに満ち溢れます。 漁具に付ける浮き。昔は中空のガラス玉でしたが、今はすべてプラスチックに。 ガラスの破片も角が取れ、曇りガラスのように。これを収集する人もあると聞きます。

 しばらく歩いていたら・・・・、ありました。

アオイガイの殻。大きなものは直径20cm以上になり、この辺りではタコブネとも呼ばれます。名前のとおり、タコの1種が自分の分泌物で殻を作り、体を中に入れて水中を浮遊します。
子供の頃、打ち上げられたものを持ち帰り、そのタコを茹でて食したことがあります。
水っぽくて軟らかく、あまり美味しくなかった記憶があります。
乾いてミイラのようになったハリセンボン。近くの松林の中の遊歩道にありました。カラスかトンビが運んだのでしょうか。
沢山打ち上げられる年もありますが、今年は極めて少ないようです。
沖縄ではアバサーと呼ばれます。以前、那覇の市場で、汁と空揚げを食しました。美味しかったー。今度新鮮なものを見つけたら、捌いて食べます。

 話しが食べることばかりに・・・・・本題に戻ります。

 暖かい海に生息する生物が対馬暖流に乗って流され、冷たい北西の季節風によって岸に打ち上げられる・・・・。たとえ打ち上げられなくても暖流の行き着く先は北の冷たい海、生き延びるチャンスは万に一つもない。

 これが死滅回遊という現象です。

 珊瑚礁が本州南岸でも見られるようになったとか、アイゴという魚が冬でも活動するようになり、海藻を食べ尽くして磯焼けに拍車をかけているとか・・・温暖化の影響といわれています。

 地球の温暖化が続けば彼らも生き延びて、やがて新たな生息地を獲得していくことになるのかも知れません。(自然保護監視員 浜辺正篤)

 





 
 

中部総合事務所環境建築局 2010/01/26 in 県立自然公園,国立公園,植物,中国自然歩道,野鳥



問合せ先

中部総合事務所 環境建築局 環境・循環推進課

(自然公園担当)
電話:0858-23-3276  Fax:0858-23-3266

(野生鳥獣・狩猟免許担当)

電話:0858-23-3153  Fax:0858-23-3266

  
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