雪が積もる1月29日、この日は文豪井上靖氏の命日です。
場所は日南町神福にある井上靖記念館「野分の館(のわけのやかた)」。
日南町神福の太田地区は、井上靖氏のご家族が戦時中に疎開された場所で、期間は短かったものの、のちに氏が「生涯忘れることのできないたくさんの思い出に満たされた半年」と残されるほど思い出深い場所だそうです。
その縁あって、記念館が昭和60年に建てられました。
さて命日の日、朝から福栄地区では、ぼたもちを大量に作ります。
なぜ、ぼたもちをつくるのか!ぼたもちはどこへ行くのか!
ぼたもちは「野分の館」にある石碑に供えられました。
井上靖氏が神福に来たときに、住民の方がぼたもちをごちそうしたのがキッカケで命日の日にはぼたもちを供えるのだそうです。
当時は戦時中だったので砂糖が手に入りませんでした。
なので、お供えするぼたもちはなんと!塩ぼたもち!!
命日の日は井上靖氏を偲ぶ会として、「野分の会」の会員の方が平成6年から毎年、「井上靖野分の会 碑前祭」を開催されています。
朝からぼたもち作りをされていたのはこのためだったのです。
会の皆様、石碑の前に整列し、碑文を読んで偲んでおられました。碑文の内容は井上靖氏が残したものだそうです。
この「野分の会」は井上靖記念館「野分の館」の開館作業や掃除、草刈りなどで施設を守り続けておられます。
さて、お供えの塩ぼたもちをいただきます。
塩が小豆の自然な甘味を引き立たせてほのかに甘くて美味!
場所を太田公民館に移し、みんなでごちそうを食べながらの食事会です。
ここでも食べる前に碑文を読みとなえます。
野分の会の皆様、碑文は長いのに全文覚えていらっしゃるんですよね。それだけ碑文を大事にしておられます。
碑文の内容は、ぜひ野分の館へお越しいただきご覧くださいませ!
テーブルに並べられているのは、砂糖のぼたもちと神福地区で獲れたそば粉で打ったそば!
井上靖家族の太田地区での生活や当時の様子、それから続く交流の様子などを美味しいそばとぼたもちで話に花を咲かせていました。
当時を偲び、平和なこの時代に感謝して「井上靖野分の会碑前祭」は続くのでした。
(by 中山間地域振興担当 K )
日野振興局 2014/02/04