ニホンミツバチは西洋ミツバチに比べて寒さに強いと言われています。とは言え、日野郡のこの厳寒期、ハチたちが巣箱から出てくることは滅多にありません。
彼らは・・いや、働き蜂はみんなメスですから「彼女たち」と言うべきなのですが、ひと群れに1万匹前後もいるミツバチは互いにびっしりと体を寄せ合い、自ら熱を発して巣箱を快適な温度に保っています。
それでも、時折りやってくるぽかぽかと陽の差す日には、ミツバチもほんの少しの間、外に飛び出します。目的は主にウンチをするためです。
こうしてミツバチたちは花の咲く春をひたすら待つのですが、蓄えていた蜂蜜が春までに足りなくなりそうになると、飼い主である人間が砂糖水を与えてくれます。
というふうに、野生種であるニホンミツバチも、いったん人工の巣箱に住みつけば人間との共生関係が生まれてくるのです。
さて、一昨年の5月に発足した日野町の「ニホンミツバチの会」では、1年後の昨年5月、会員の多くが初めてミツバチの捕獲にめでたく成功しました。ミツバチとの共生関係がスタートしたのです。
中には、イノシシに悪戯されないようにと、巣箱の周囲を砦のごとく防御している会員もいます。
そして9月。初めてのハチミツ採集(採蜜)に向けて講習会が実施されました。
講師には、伯耆町在住で県下有数のニホンミツバチ専門の養蜂家を迎えています。
講習で覚えた技法をもとに、会員たちはそれぞれ初採蜜に挑みました。
ある会員のところには、岡山県の有機栽培農場から、外国人農業研修生が採蜜体験にやって来たこともあります。おにぎりとナメコ汁で採蜜成功を祝いました。
10月には、NHK鳥取の『いちおしニュース鳥取』が取材に来ました。
採れたハチミツは早速、ビン詰めに。糖度は80.6度。とても甘くて、しかも、とてもピ
ュアでフルーティな甘さです。
収穫したハチミツを使ってスイーツを作ってもらった会員もいます。作ってくれたのは日野町の福祉作業所「おしどり作業所」さん。ケーキの名前は「はちみつマドレーヌ」です。
地元のイベントや倉吉市のフリーマーケットで販売され、いずれも完売でした。
12月には今年度4回目の講習会が開かれました。講習内容は、ミツバチの冬の過ごし方と新式の巣箱についてでした。
同じく12月、積雪が溶けるとレンゲがこんなに成長していました。ある会員が休耕地を耕し、種を蒔いておいたものです。
ほかにも、会員全員で空き地や耕作放棄地に菜種を蒔いています。きっと春には、蜜を求めてたくさんのミツバチが飛び交っていることでしょう。
そして年が明けて2015年の正月。
「ニホンミツバチの会」の新年会は、当然のように大いに盛り上がったのでした。写真中、乾杯の音頭を取っているのは会員最長老、92歳の方です。
会員たちによる“ニホンミツバチの住む里山づくり”は、こうして3年目に突入したのでした。
By 地域づくりサポーター 梅林敏彦
日野振興局 2015/01/14