平成22年2月3日(水) 午後1時30分~3時30分
教育審議会委員(22名)、教育次長、次長、関係各課長 他
(1)報告事項
≪各部会・分科会からの報告について≫
・委員からの意見なし
≪特別支援学校における教育のあり方検討委員会の報告書について≫
○報告書の「まとめ」に2点記載してあるうち「発達障がい教育拠点」については、出口の部分で学校現場が非常に困っている。今後の見通しを具体的に示して欲しい。
●発達障がいのある子どもの高校への受入れについては、国も高等特別支援学校ではなく、高校への受入れという方針で動いている。県内では高等学校課とも協力して、高校の中で受入れ体制が整うように、専門性を高めるために教員を大学へ派遣したり、学校で校内研修しているところ。受入れ、支援体制を徐々にではあるが、整えてきている。
○一つ要望しておきたい。まずは、現場がどうなっているのか見に来て欲しい。自分の学校でもよいので是非、日常の様子を見て欲しい。
○発達障がいのある子どもの数が増えてきているのは、これまで隠れていた人が表面に出てきたのか、それとも、実際にそういう子どもが増えてきているのか。
○「発達障がい」の定義が明確になったことや診断技術が向上してきたので、気づかれるようになってきたということ。短期間で急に病気になる人が増えることはないので、隠れていたのが表面に出てきたということである。
≪今後の高等学校教育の在り方の検討状況について≫
○過去、特別支援学校の高等部がなかった頃の子どもたちは、高校に行っていたのではないか。そうすると高校の学級減によって、特別支援の対象の子どもたちは高校に入れなくなってきているのではないか。新しく高等特別支援学校を作ることと、高校の学級減をすることの議論をどう噛み合わせるのか聞きたい。
●生徒数がずっと減ってきている中、高校入試の募集定員は、入試倍率が1倍を切らないように決めていく必要がある。一定の学力検査と面接によって総合的な判断を行なうものであり、発達障がいを理由に入学を排除することはあり得ない。
○以前の高校では、発達障がいのある子どもが高校に入学するという認識がなかった。それが6~8%ぐらいの子どもに発達障がいがあるということが分かってきて、その子どもたちが、高校進学を目指すようになった。そこで高校でも特別支援教育を実施し始めたという状況。
○高校入試で発達障がいや知的障がいを理由に入学できないということは絶対になく、同じ基準で選んでいる。もしかしたら特別支援学校の高等部ができたので、高校ではなく、そちらに向かう子どもたちが増えてきたということはあるかもしれない。
●平成13年から特別支援学校の高等部は、障がいがあって希望する者は全員入学できるようになった。また、特別支援教育の理解が進むとともに、各学校の教育施設も非常に良くなった。よって、高校に入りにくくなったのではなく、理解が進んできて、特別支援学校に行かれる方が増えてきていると考えている。
≪平成21年度全国学力・学習状況調査結果について≫
○調査結果で、中学校は前年並みとのことだったが、県教育委員会としての評価はどうか。
●前年並みと申し上げたが、県内の小中学校は非常にがんばっていただいていると考えている。
○この結果だけではないが、鳥取県では知事も教育に力を入れていただいて、たくさんの予算も付けておられるが、それに応えているという評価をして良いか。
●それもあるし、今までの蓄積もあると思っている。また、今、教育予算に充てられている分は、さらに数年後に結果が表れてくると考えている。
○地区別、郡市別の比較はどういう理由で行なっているのか。
●地区別は教育、行政区域をブロック分けする際の一つの区分として、通常使われているもので、そのブロックごとで違いがあるのかというデータをとっておきたいということ。また、郡部と市部では、学校の規模や数、学習環境などが違うことで、結果に違いが表れてくるのかということを見るためである。
○平均点のみを比較するのではなく、分散傾向を見て比較することも良いと思う。日本の子どもは、平均点は世界の上位にあるが、分散が大きいのが特徴で、上と下の差が大きい。平均点も良いし、分散も小さくて良いということを目指して欲しい。
●毎年、成績上位の秋田県などは分散が非常に小さい。そういうことも参考にしながら、今後の政策や学校でのアドバイス等に役立てていきたい。
≪平成21年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果の概要について≫
・委員からの意見なし
≪平成22年度当初予算要求の状況等について≫
○全国学力・学習状況調査について、文部科学省は来年度から抽出に変更するのに、鳥取県は1千万円もかけて全校実施する必要があるのか。また、既に小学校で行なわれている算数や国語の診断テストとの違いを教えて欲しい。
●今年まで悉皆調査だった全国学力・学習状況調査が来年度から抽出調査になるということで、本県では抽出から漏れた学校について、希望すれば参加できるように分析や採点の業務について、予算面で支援をしようというもの。これまで3年間実施された学力調査を非常に評価しており、今までの成果を生かしていくため、希望する市町村を支援していきたいと考えている。
●2つの調査は内容も違い、特に学力調査は質問紙調査がかなり充実しており、別ものだと考えている。
●今回の予算は県内で対象となる生徒に「一人あたりいくら」ということで計算し、最大限の予算を見ているもの。本県では3年間の学力調査を評価していることもあり、また、国が悉皆調査をしないなら、以前、県が単独で行なっていた基礎学力調査を復活させて欲しいという要望も町村から出ている。そこで問題の質が高く、全国との比較ができて、自分の学校で活用できることを踏まえて、希望する市町村には活用してもらいたいと考えている。
(2)意見交換
○意見が4点ある。
ア 高等特別支援学校の設置にあたって、廃校を利用するという記事があったが、将来、職に就くためということが大きなポイントであり、周りに小中学校があり、人権教育もできるようなところに設置して欲しい。
イ 発達障がいの件について、国の意向で普通高校に設置するのではなく、県として普通高校を使わなくても、独自に手当てをする方向性があってもよいのではないか。
ウ 高校の再編にあたっては学級減よりも、できるだけ人数減で対応して、学校の先生の労力を軽減するようなことも考えて欲しい。
エ 全国学力調査の予算は非常に評価している。子どもたちが将来独り立ちをしていくために、必要なことを教えるのが先生の役目であり、その学力を子どもにきちんと与えているかどうかわかるのが調査である。ぜひ全ての学校に参加して欲しい。
○先日、テレビで新政権に関する教育の話の中で、教職員組合の加入率の話をやっていたが、県内の状況はどうか。全国的には約27%と低くて困っているとのことだった。
●加入率については組合から数字の報告をもらっており、手元に正確な数字はないが、過半数は割っていたと思う。
○高等学校教職員組合と鳥取県教職員組合とでは加入率が異なるが、鳥取県教職員組合の方が高く、過半数ぐらいだったと思う。
●鳥取県教職員組合では、だいたい半分ぐらいのところではないかと思う。
○鳥取県の今後の教育の方向性について、意見が2点ある。
ア 今後は、他県との比較よりも、鳥取県の子どもたちをどう育てていくかということについて、具体的な姿を明確に出して、教師や保護者、地域とも共有していく必要がある。具体的な姿としてみんなで取り組んでいく方向性が欲しい。
イ 子どもとしっかり向き合うということがメッセージで出されているが、具体的にどうすればよいのか、イメージが沸かないということがある。研修や親子活動を拡充することが必要ではないか。
●1点目は、今年の3月に鳥取県教育振興基本計画を定め、今後5年間は「自立した 心豊かな 人づくり」を基本理念に、6つの施策の方向性をもとに進めていく予定。これに基づき、毎年アクションプランを作成し、評価、チェックし、また指標も示しながら、今後5年間はこの方向性に沿った形で進めていきたい。また、基本計画のPRもしっかり行っていきたい。
2点目の子どもと向き合うということについては、国も予算の一つの柱にしているところ。教員は授業で子どもと向き合うことが一番重要であり、授業以外の事務や作業の軽減、またスクールカウンセラーなどの専門的な職員を配置し、授業に専念できるように取り組んでいきたい。また、教育センターなどの研修もしっかり行なっていきたい。
○「心とからだ いきいきキャンペーン」の来年度予算をみると、子育て支援部局と連携することになっており、これまでずっと言ってきたことが実現され、非常にありがたく思う。
○発達障がいの子どもたちの出口を作り、選択肢を多くすることが大切。出口を多様化することを宿題として考えていって欲しい。福祉とか医療の動きも念頭に置きながら、選択肢が少しでも増えるように、やっていただけたらと思う。
●全国的にも大きな課題である。高等学校課と協力しながら、前向きにやっていかないといけないと思っている。
○全県を対象にしたケータイ電話アンケートの結果を初めて見させてもらい、状況がよく分かった。学校では情報教育で使用するという面では進んでいるが、ケアの面では危機感が本当に薄い。ゲーム機などは幼稚園や保育園児などにもどんどん入ってきて、低年齢化している。就学前の全保護者を対象にした研修などがもっと必要ではないかと考えている。
●ケータイ・インターネットの問題は、地道な学習活動や啓発活動などを継続して行なっていくことが大切。小学校のケータイ所持率は低いが、ゲーム機でもインターネットに接続でき、大人が知らない状況もある。引き続き、学校現場や保護者にも伝えていきたい。
○発達障がいがある子どもに対して、早く気づけば適切な支援ができ、特別なことが減ってきて、普通高校に行ける子どもがたくさん出てくると思っている。学力調査についても、特別支援の対象の子どもも同様に行って、持っている力をしっかりアップしてみんなが胸を張って生きていけるようになって欲しい。子どもへの支援と親への支援の両方が必要であり、県庁の内部でも連携を密にして欲しい。
○テレビで秋田県の小学校の子どもたちの様子が放映されていたが、その表情や姿などを見て感動した。秋田県の学力調査結果が良いのは、家庭の影響が大きいのではないかと感じた。
○鳥取西高校の校舎の建て替えが、今、問題になっている。先日、タウンミーティングもあったが、県教育委員会としてはどうする予定なのか考えを聞きたい。
●鳥取西高校の問題について、鳥取城は国の史跡であり、鳥取市が所有しているところで、国の文化財審議会が諮問、答申を受けて、決定されるもの。ただ、今回の問題は、地元の文化財の専門的な審議会に対して、十分な報告、相談がなかったことが問題になっている。今後どうするかということは、国の史跡であり、国のほうに現状変更の申請を出して、許可が出たら工事に着手することになる。今までは文化庁の指導を受けながら計画・設計を行ってきたところであり、現状変更に係る実行行為ではない。今は県の文化財保護審議会やタウンミーティングなどで広く意見を聞いている状況。幅広く意見を聞いた上で、県の文化財保護審議会にも相談しつつ、現状変更の許可申請を行うことになる。丁寧に理解をしていただくよう説明をしていきたい。