防災・危機管理情報


H22.10.18
総務部長

  

1.要求の基本的な考え方

  

(1)鳥取発・政策主導型予算編成システムの導入

 県政を取り巻く情勢が激しく動いていく時代にあって、依然として厳しい状況が続く雇用・経済情勢への対応をはじめ、福祉、環境、子育て教育、社会資本整備など多方面にわたる政策課題に加え、環日本海地域を視野に入れた大交流時代への対応等については、多面的・複合的な政策展開が求められている。
 これらの課題に適切に対応するため、今回から予算編成の方法を大幅に見直し、予算編成作業を省力化、短期集中化した上で、予算要求に向けた県民、関係機関等との議論を含めた検討の期間を十分確保することに主眼をおいた、「鳥取発・政策主導型予算編成システム」を導入することとする。
 具体的には、新たな政策課題に対応する事業や施策立案実施に高い戦略性が求められる事業等の「政策戦略事業」については、年内は「政策戦略会議」において十分な議論検討を行う期間に充て、予算要求は年明けに行い、査定は知事が行うこととする。
 1月を「政策戦略事業」を中心とした予算編成に充てるため、事務的経費や継続事業等の「一般事業」については先行して予算要求を行い、原則として年内で査定を終えることとする。ただし、知事査定における最終決定までに所要の調整を行う機会を設定する。
 なお、「政策戦略事業」と「一般事業」の区分については、別紙のメルクマールを参照されたい。

(2)骨格予算の編成

 平成23年4月の知事選挙を控え当初予算は骨格予算を編成することとする。通常の当初予算時と同様、要求時に計画している来年度施策の全ての要求を受けることとするが、査定段階で当初予算計上事業と知事選挙後の補正予算時検討事業の振り分けを行い、新規に着手する事業等、新たな政策判断を要する事業については、原則として補正予算時検討とし、当初予算には計上しないこととする。ただし、新規に着手する事業にあっても、経済雇用対策など機動的かつ切れ目なく実施することが必要な事業、教育現場での実践など年度当初からの始動が必要な事業、工事完成期限の関係で補正予算に計上するのでは期限に間に合わないような事業等については、個別に事情を検討の上、必要に応じて当初予算に計上するものとする。

(3)県財政を取り巻く不安定な状況

 国は、「中期財政フレーム」において、平成23年度からの3か年は地方の一般財源総額を平成22年度と実質的に同水準を確保するとしているが、国の財政も大変厳しい状況の中、ひもつき補助金の一括交付金化をはじめ、県歳入の大半を占める地方交付税、国庫補助金の動向は予断を許さない状況である。   
 さらに、県内の景気動向に鑑みれば、一昨年末の米国発の金融危機以降、県内の雇用、経済情勢は深刻な状況に直面し、県内の雇用経済情勢の低迷状況は続いており、さらに最近の円高傾向の継続もあり、県税収入の回復も不透明な状況である一方、公債費は600億円近くの水準が続き、依然として県財政の圧迫要因ともなっている。
 こうしたことから、平成23年度においても、非常に厳しい財政状況が続くものと考えられる。

(4)徹底した事業の棚卸しと見直しの断行

 地方の税財源の見通しが極めて不透明な状況にあって、諸課題、諸政策の実現を図るためには、既存事業の徹底的な見直しと大胆な選択と集中が必要となる。
 そのため、予算編成作業においては、先般行われた事業棚卸し(鳥取県版事業仕分け)結果を尊重するとともに、既存事業の徹底した見直しを行い、効果的な事業の再構築や新たな施策に対する財源の確保に努めることとする。
 よって、予算要求に当たっては、これまで以上に新規事業、継続事業にかかわらず全ての事業について、費用対効果、必要性・緊急性等を検証するとともに、公共関与のあり方、持続可能性、国や市町村との役割分担などの視点で再度、思い切った事業の取捨選択を行っていただきたい。
 また、取捨選択の結果、実施すると判断した場合でも、様々な主体との協働・連携、手続き等の簡素化・省力化、業務の外部委託化・集約化等、最少の経費で最大の効果が上がるよう、より良い手法がないかどうか検討した上で要求していただきたい。
  

2.要求に当たっての留意事項

  

(1)事業の評価を踏まえた要求の徹底

 「将来ビジョン」や「工程表」に留意しつつ、すべての事業について、これまでの取組と成果について評価を行い、ゼロベースで見直しを行った上での要求を徹底すること。
 そのため、「工程表」の進捗状況に基づく主な事業の評価、「事業棚卸し」による事業の検証結果を可能な限り反映した要求を行うこと。

(2)重要施策への的確な対応

 県政の重要施策を実現するにあたっての課題を体系的に把握し、課題への対応の達成状況を踏まえながら、政策戦略会議で議論を深めた上で要求すること。

(3)国の制度・施策に関する情報収集の徹底

 平成23年度は、公共事業をはじめとしたハード整備に係る国庫補助金について一括交付金化が議論されているほか、概算要求時に設定された特別枠の配分等、国の既存の制度・施策の大幅な見直しも予想されるため、様々なチャンネルを使って国の制度・施策についての情報収集・分析を徹底し、的確に予算要求に反映させるとともに、国庫補助金などの財源措置についてもできる限り適切な見積もりを行った上で要求すること。

(4)県民、各種団体など県庁内外からの意見・施策提案への的確な対応

 様々な施策が展開されている現場や県民からの声を常に意識し、各種団体からの意見や提言に素直に耳を傾けて、それらを反映した事業を検討するとともに、若手職員サブチームなど職員からの提案についても、各担当課において十分検討し、政策戦略会議で議論を深めた上で、予算要求を行うこと。

(5)各部局横断的事業と事業手法の多面的な検討

 県政全般を見通し、他部局の施策、政策課題との関連について部局間で十分協議した上で、整合性のある事業を検討するとともに、大括りのパッケージとして対応するべき政策課題への対応については、政策戦略会議で議論を深めた上で要求すること。また、施策の立案の際には、異なった手法による複数の案を作成するなど、より効果的・効率的な手法がないか、できる限り多面的な比較検討を行った上で要求すること。

(6)市町村の役割への配慮

 市町村が住民に一番身近な地方公共団体であり、住民生活に密着した行政を行っていることに鑑み、県の施策実施に当たってもその自主性を尊重するとともに、市町村との役割分担を踏まえ、市町村への大幅な業務移管を検討すること。
 また、市町村が関連する事業については、事前に十分相談、調整を行い、市町村における予算措置等が円滑に行われるよう配慮すること。
  

3.その他の留意事項

  

(1)時間外勤務の縮減に向けた作業の効率化

 予算要求に伴う時間外勤務を縮減するため、財政課が行う要求課からの聞き取りについては、原則として終業時刻までに終了することとする。
 また、予算要求資料については、既存資料の活用を徹底するなど、要求課の資料作成の省力化に努めることとする。

(2)日々の業務改善

 日々の業務改善は、一時的には手間を要することもあるが、結果として、無理・無駄がなくなり、県民のためになることはもちろん、職員の負担軽減にも繋がる。
 例えば、ポスター・チラシ等の広報媒体については、必要性、費用対効果等の観点から無駄が生じていないか、安易に活用していないか等の点検を行うこと。
 また、予算要求のために本庁と地方機関との間で行われる資料作成などにおいても、例年どおりの前例踏襲による無駄な作業が生じていないか、すべての作業を再点検すること。
 このように、予算要求に当たっては、今一度、こうした認識を共有し、日々の業務を十分に点検すること。

(3)新たな財源の確保

 県有資産の処分、県有資産の有効活用による広告料収入の確保、受益と負担の公平の観点から費用を徴収すべきものがないか等、新たな財源の確保について積極的に検討すること。

(4)助成財源の積極的活用

 国庫の財源措置のみならず、各種公益法人等からの事業内容に応じた助成も含めて、当該助成制度が本県の実情や具体的事業に適合したものかどうかを十分に検証した上で積極的に活用すること。
 なお、有利な助成財源があることのみをもって必要性・緊急性の低い事業を行うことがないようにすること。

(5)環境への配慮とコスト意識

 エネルギーの転換など、環境への負荷を軽減し、かつ、コスト削減に繋がるようなアイディアは積極的に取り入れて、事業を検討すること。   
 また、環境方針を尊重し、グリーン購入の推進、ペーパーレス化の推進等について、予算要求段階から配慮すること。

(6)県内資源の活用

 県産品・県産材の活用に努めること。特に、障がい者福祉施設に発注可能な物品及び役務の調達について配慮することとし、予算積算時には障がい者福祉施設から見積を徴取するなど、予算執行段階において積極的かつ計画的な発注につながるよう努めること。
 また、県内在住・県出身の人材、県内事業者の活用についても検討すること。

(7)予算編成過程の透明化

 予算要求段階から、予算編成過程を公開するので、事業名も含め県民へのわかりやすさを第一義的に考えて要求書を作成することとし、特に文言については、いわゆる行政用語を用いないよう注意すること。
  

  

PDF版(平成23年度の当初予算編成等に当たっての留意事項)

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