(1)まずは、メタボリックシンドロームの予防を!
食べ過ぎ、運動不足などが続くと内臓脂肪型肥満の原因となりますが、メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に加え、脂質異常、高血圧、高血糖のうち2つ以上を合わせ持った状態です。
内臓脂肪が増えると、脂肪細胞は、インスリンの働きを弱める物質を分泌します。そして、インスリンの働きが弱まると、脂質異常、高血圧、高血糖を悪化させ、脂質異常症、高血圧症、糖尿病を引き起こします。
また、糖尿病は、太っていなくても過食や運動不足のほか、睡眠不足や睡眠障害が原因となって発症することがあるので注意が必要です。
このメタボリックシンドロームに着目した健診制度が特定健診・特定保健指導です。特定健診・特定保健指導により、早期に異常を発見し、生活習慣を改善することで、糖尿病を始めとした生活習慣病の予防に繋がります。
(2)糖尿病が進行すると様々な合併症を引き起こすほか、心疾患や脳卒中も招きます。
糖尿病は心血管疾患のリスクを高め、神経障害、網膜症、腎症、足病変、歯周疾患といった合併症を併発するなどによって、生活の質ならびに社会経済的活力と社会保障資源に多大な影響を及ぼします。
特に糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害を3大合併症と呼び、治療をせずに放置していると、失明、人工透析、壊疽による下肢切断を引き起こします。(糖尿病性腎症は現在、新規透析導入の最大の原因疾患であり、網膜症は成人中途失明の原因疾患として第2位に位置しています。)
さらに、糖尿病は、脂質異常症、高血圧症とともに、動脈硬化を進行させ、心疾患や脳卒中の発症にも繋がっていきます。また、糖尿病が歯周疾患を悪化させたり、歯周疾患が糖尿病を悪化させたりと、両者は密接に関係しています。