平成25年度第5回鳥取県和牛産肉能力検定委員会概要
日 時 平成26年3月25日(火)午後1時30分~午後3時30分
場 所 東伯郡琴浦町松谷606 鳥取県農林水産部農林総合研究所畜産試験場
出席者 河本委員、柴田委員、高橋委員、岸本委員、山下委員、田中委員、天野委員、
木嶋委員、宮崎委員、國岡委員、山本委員、小西委員
畜産課 野儀係長、岡垣補佐
事務局 畜試 赤井場長、田中室長、小江研究員
内容
1 協議事項
議題1 平成25年度直接検定第3群「桜5」の選抜・保留について
→「桜5」を直接検定合格とする。
説明等
「桜5(さくら5)」
・平成25年3月17月生。血統は「勝安波-安糸福-平茂勝」。日野町産
・発育+1.1σ。美点は発育、体深、体伸、被毛密度、体上線。惜しい点は前中躯幅、やや 肩端、やや外腿。
・母牛の産子成績は「茂勝栄」「茂勝栄」「安平165乃9」の去勢、去勢、雌産子で枝肉重量474.9kg、408.0kg、391.2kg、ロース芯面積68cm2、49cm2、51cm2、BMSNo11、4、5。
・優良遺伝子領域は枝肉重量1領域、ロース芯面積1領域、BMS 4領域保有。
・ゲノム育種価は良い結果が出ており、期待はできる。
・平成26年度の後代検定3セットのうち、1セットは関5双葉3、残り2セットを零実緒、桜5、麗美福の3頭から選ぶことになる。保留しておきたい。
意見等
○ゲノム育種価とは?
→今までの遺伝子領域保有状況では、本来の育種価とリンクしたものではなかった。この領域があるから実際の能力はこうだというまでの説明はできなかった。ゲノム育種価は、遺伝子の中で、何カ所か有力な場所があり、それぞれに重み付けして、育種価として数値化したもので、現在乳牛などでは進められている。今は期待育種価で能力を表しますが、全兄弟の場合は全て同じ期待育種価になってしまう。一方、ゲノム育種価は遺伝子を見るので個体ごとに違いが出る。このゲノム育種価は、実際に産子成績により判明する推定育種価と近い数字になることが分かってきており、今後はゲノム育種価を活用していきたい。これを用いることで最初の選抜を確実なものにしたいと考える。現在試験研究を進めているところだが、その中で、桜5は実際の母牛の産子成績と比較すると悪くないゲノム育種価が出ている。期待できると思う。
○今回、初めての判断基準が出てきたが、実際には試験種付けして、後代検定をしなくてはいけない。桜5はゲノム育種価は良いが、成績にはバラツキがある。実際に試験種付けを行うとなるとどうかと思う。今のところ、牛を飼っておく余裕があるということか?
→候補牛が少ないので、確保しておきたい。麗美福などの採精状況を確認した上で、改めて判断したいと思う。
○今後、議題にあがってくる牛はゲノム育種価を調べるのか?
→調べる方向で行きたいが、コストがかかる。基本的には調べたい
○非常に全てにおいて魅力ある牛。母親の成績など関係なく残すべき牛だと思う。親の育種価は参考程度で重要視しなくてよい。ものすごく魅力ある牛。
◎「桜5」を直接検定合格としてよろしいか。
→異議なし。
議題2 平成26年度直接検定第1群の選定について
→「勝美照」を導入し、直接検定を行う。
説明等
「勝美照(かつみてる)」
・平成25年11月8月生。血統は「勝安波-勝忠平-美津照」。畜産試験場産
・発育+1.1σ。美点は発育、体伸、体上線、被毛密度、背腰幅。惜しい点は肩付、体深、外腿。
・母牛の産子成績は「百合風」「勝安波」の去勢、去勢産子で枝肉重量584.4kg、455.3kg、ロース芯面積61cm2、58cm2、BMSNo12、9。
・母牛「かつただてる2」はBMS育種価3位の牛。
・4.5ヶ月齢であり、早めの協議になる。試験研究の都合上、雄として残すかどうか判断を 急ぎたいとのことで急きょ議題に挙げた。遺伝病はフリーであることを確認してるが、 遺伝子領域については確認してない。
・6月27日から直接検定をスタートする牛。
意見等
○肩付きはあまり大きく悪いとは思わなかった。
○他の候補牛がいないなら、良いと思う。今後、他に候補としてあがってくる牛は?
→基礎雌からの産子で2頭の雄が産まれている。7月以降の導入になる。安福久×もとはな2の受精卵が3つ受胎しているが分娩はまだ。
○母の産子成績を見ても良いと思う。
○畜産試験場が推薦する牛の中では非常に好感の持てる牛だと思う。
◎「勝美照」は直接検定を行うということでよろしいか。
→異議なし。
議題3 「白兎」の選抜・保留について
→「白兎」を現場後代検定不合格とする。
説明等
「白兎」
・検定牛が13頭であり、正式な後代検定(15頭以上)ではないが、合否を確定したい。
・平成20年10月6月生。血統は「安福2002-第1花国-照長土井」。
・鳥取青谷町産
・直接検定 発育-0.5σ、DG1.06。
・母牛「はなえ」は非常に能力高い牛。産子成績は「茂波3」「北乃大福」「茂重安福」の雌、雌、去勢で枝肉重量390.4kg、438.1kg、557.0kg、BMSNo10、11、12。
・現場後代検定13頭の成績。枝肉重量417.6kg、ロース芯面積57.8cm2、バラ厚8.1cm、皮下脂肪2.7cm、歩留まり74.7%、BMSNo.6.5。
・過去の現場後代検定合格牛と比較すると、枝肉重量は小さいが、ロース芯面積、BMSは期待通りの成績を残している。
・BMSの育種価は27番目に位置している。
・本牛は昨年に脂肪壊死にて廃用している。精液は1,300本程度ある。
・枝肉写真をスライドで提示。もも抜けがもの足りない。
意見等
○写真を見る限り、さしが粗い。バラうすい。全共の時に枝肉を見たが、推薦する牛ではない。使いたい人が使えばよい。発育のバラツキが大きすぎる。
○このくらいの成績で残すべきではないと思う。
○みなさんの意見に合わせる。成績バラツキがある。
○選抜しないとなればどういった処理がされるのか?精液は廃棄されるのか?
→必要本数確保して処分する。
○これまでの不合格牛の精液はどうしていたか?
→5年くらいは5,000本程度残して、需要なければ200本にする。白兎の場合は、 数年間は1,300本残して、最終的に200本にすると思う。
◎「白兎」を検定不合格としてよろしいか。
→異議なし。
議題4 平成25年度改良基礎雌牛の選定について
→平成25年度改良基礎雌牛18頭を選定する。
説明等
・前回の検定委員会で提示した20頭に新たに推薦のあった3頭を加えた23頭について種付受胎・子牛生産状況 体型審査等を考慮し、18頭に絞った。
・5頭候補からはずした。外した理由としては、新たに産子成績が判明したが、その成績が求めるものでなかった場合、実際の牛の体型が求めるものではなかった場合すでに雄牛が産まれたもの、またはその見込みが高いものが挙げられた。
・選定した18頭については、生体写真付きの資料を提示している。
意見等
○改良基礎雌牛の選定は非常に農家の励みになる。よい選抜だと思う。
◎平成25年度改良基礎雌牛については18頭に選定してよろしいか?
→異議なし。
2 その他
福増の成績について(報告事項)
・27頭の全後代検定牛の成績が分かったので報告する。正式に格付成績をもらってないので今回は報告までとしたい。
・枝肉重量465.6kg、ロース芯面積64.2cm2、脂肪交雑7.8であり、一般出荷の成績も良い。
最終的な合否は平成26年度になる。
安美津について(報告事項)
・現在現場後代検定中であり、BMS12番も出ており、現時点でBMS平均6.8程度である。 枝肉重量は小さい。
・最近、脂肪壊死の症状が出ている。今のところは良いが、急きょ廃用するという状況も あり得るのでご了承頂きたい。
→了承する。
3 閉会の挨拶
赤井場長挨拶
今年度最後の検定委員会になります。検定委員の任期は2年であり、今回が最後となります。この間、様々な貴重な意見を言っていただき、県の改良事業に携わっていただき感謝しております。引き続きお願いする方もいると思いますので、来年度も引き続きお願いいたします。最後に福増の成績を報告できて良かったと思っている。私事ですが、4月から中小家畜試験場に異動することとなりました。後任は岡垣場長となります。この2年間ありがとうございました。
次回開催予定
検定委員を決定後開催
内容
○直接検定第2群・3群の選定について
○「福増」の選抜・保留について
ほか
H25年度第5回検定委員会資料.pdf