平成27年6月29日
第1 審議会の結論
実施機関の決定は妥当である。
第2 本件審査請求に至る経緯
平成26年10月5日(6日受理) 公文書開示請求
10月20日 公文書不存在決定通知
10月31日 行政不服審査法第5条の規定による審査請求
第3 開示請求の内容等
1 開示請求の内容
警察庁依命通達(昭42・8・1 警察庁乙交 警察庁次長)・昭和61年10月21日警察庁乙交発次長依命通達における「軽微な違反」の定義・解釈を記した警察庁より鳥取県警察本部への公文書
2 実施機関の決定内容
不存在決定
3 実施機関の決定の理由
請求のあった文書については、現存していないので保有していません。
第4 審査請求の理由
警察庁依命通達(昭42年8月1日 警察庁乙交 警察庁次長)・昭和61年10月21日警察庁乙交発次長依命通達における「軽微な違反」は通常の人間であれば、道路交通法における「軽微な違反」と同意だと解釈します。それが、鳥取県警察本部においては、本通達における「軽微な違反」とは道路交通法における「軽微な違反」とは異なる意味であり、「現場の警察官が、違反の状況、現場の交通環境、車両状況、過去の事故実態を勘案して危険性を判断している」と明言されました。
これは「軽微な違反」をいくらでも拡大解釈できる二元解釈に他なりません。
通達はそもそも、上級行政庁が下級行政庁を拘束する内部規律であり、その解釈は上級行政庁にしかなしえません。そのため、必ず警察庁からのなんらかの文書が存在するはずです。
また、警察庁にても鳥取県警察本部で解決すべき問題なので、鳥取県警察本部にて根拠を問うてください、との連絡を頂きました。
鳥取県警察本部へその旨を、質問させていただいたわけですが、回答をいただけなかったため、鳥取県情報公開条例により公文書の開示請求をさせていただきました。
平成26年8月13日鳥交指発第312号 平成26年9月3日鳥交指発第331号 平成26年10月3日鳥交指発350号にて明言されたことから、行政文書は存在するはずです。行政文書の不存在決定はありえないことですので、よろしくお願い致します。
第5 実施機関の説明とそれに対する審査請求人の意見
1 本件請求の対象公文書の性格
本件請求は、「警察庁依命通達(昭和42年8月1日 警察庁乙交警察庁次長)・昭和61年10月21日警察庁乙交次長依命通達における「軽微な違反」の定義・解釈を記した警察庁より鳥取県警察本部への公文書」の開示を求めているものである。
2 不存在決定とした理由
本件請求に係る警察庁の通達については、既に廃止された通達であり、上記請求に係る公文書は、既に廃止された通達に係わる公文書ということになるが、同文書については現存しておらず保有していないことから、不存在決定をしたものである。
〔審査請求人の意見〕
鳥取県公安委員会は、既に廃棄された通達に係る公文書は、現存しておらず保有していないことを理由に、不存在決定をされました。
しかしながら、公文書の定義は次のとおりです。
鳥取県情報公開条例の趣旨、解釈及び運用
第2条第2項公文書
第2 解釈・運用
4 「当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」とは、決裁、供覧等の手続が終了したもの、決裁、供覧等の手続中であるもののほか、次のものをいう。
作成又は取得に関与した職員が検討している段階のものや職員個人が個人的に保有しているものでなく、鳥取県事務処理権限規則(平成8年鳥取県規則第32号)等に基づく決裁権者の確認はなされているが、署名、押印による決裁、供覧等の手続がなされていないものであって、公文書等を各担当課(室)等において組織として共用している実質を備えた状態、すなわち、各担当課(室)等において業務上の必要性から利用・保存している状態のものをいう。具体的には次のようなものがあげられる。
(例)台帳、業務日誌、事務引継書、予算要求書、記録簿、会議資料等
鳥取県警察本部長は、平成26年8月3日付鳥交指発第312号および平成26年9月3日付鳥交指発第331号にて「軽微な違反」の定義を明言されました。
以下の理由により、公文書の開示請求の正当性を説明します。
(1) 廃棄されている公文書も、開示請求の対象となる。除外規定はどこにも見当たらない。
(2) 形式的に廃止された通達における「軽微な違反」の定義を、実質的に組織として利用しているということは明らかである。よって、文章としての文言は現存しているものである。媒体を通して公開することは、物理的に可能であるし、日常的に使用している文言が載っている文書が不存在であることは有り得ない。
以上、鳥取県公安委員会には、鳥取県情報公開条例の趣旨の一言一句理解し、開示請求するものである。
第6 本件審査請求審議の経過
平成26年11月21日 諮問書を受理
12月18日 実施機関が理由説明書を提出
平成27年1月13日(14日受理) 審査請求人が意見書を提出
5月27日 審議
6月2日・3日 事務局による文書存否の確認
6月26日 審議
※ 審査請求人は、本審議会に対する口頭による意見の陳述を求めていない。
第7 審議会の判断
実施機関の理由説明書及び5月27日の審議における口頭陳述からは、当該公文書が存在しないとすることについて、納得のいく説明を受けることはできなかったため、後日、事務局が実施機関において当該公文書の存否を確認することとし、その結果をもって再審議することとした。
再審議の結果、事務局が確認した内容に不自然、不合理な点はなく、「既に廃止された通達であり、保有していない。」とする実施機関の説明を覆すに足りる証拠は確認できなかった。