歌詞
せっせっせ 丸山まるてんドッテンショと 見ればね 見ればね
門の扉におさよと 書いてね 書いてね
おさよ挿したる 八重歯の 櫛はね 櫛はね
だれにもろたか 源治郎さんに もろたかね もろたかね
源治郎このごろ 歯医者にごめんね ごめんね
そこでおさよが 涙をぽろぽろ ぽろぽろ(歌い手:明治39年)
解説
遊び方はこの詞章からもお分かりいただけると思うが、二人が向かい合って「せっせっせ」と手を合わせ、次いでうたいながら詞章に合わせて、その動作を行うものである。類歌は、山陰の地でもあちこちで収録できたが、島根県石見地方、江津市桜江町の歌を挙げておきたい。
せっせっせ 丸山土手から 西も東も見ればね 見ればね
盆の月がたおさよさんが 書いている 書いている
おさよさしすせ 笄(こうがい)お櫛(くし)をね お櫛をね
だれにもろたか 源治郎(げんじろ)さんに もろたかね もろたかね
もろた源治郎さんは はり者(しゃ)で困るね 困るね
出ている涙は 絞り端ゅをもんでいる もんでいる
大阪鉄砲 コウ鉄砲 スッポロポンのポン(歌い手:大正2年生まれ)
この歌もかなり古いもののようで、江戸時代のわらべ歌を集めた岡本昆石編『あづま流行時代子供うた』(明治27年刊)にも、類歌が次のように紹介されていた。
大丸(だいまる)土手から東を見れば、門の扉におとはと書(かい)て、おとハ差したる水牛(すいぎゆ)の櫛は、誰に貰(もら)たと詮議(せんぎ)をすれば、清五郎男(をとこ)におとはが惚(ほれ)て、惚(ほれ)て間もなく身持(みもち)になつて、やアレお医者さん、ソヲレお医者さん、お手(てゝ)が利(きか)ぬ、ねんねんころり牡丹(ぼたん)の花よ、桜の花よ、先(ま)づ先づ一貫 貸しまアゝした。
ただし、ここでは手遊び歌ではなく、手まり歌として出ていたのであった。