昭和54年(1979)9月23日、鳥取市佐治町尾際で採集
歌詞
ねんねんころりよ おころりよ 坊やは良い子だ ねんねしな
ねんねんころりよ おころりよ 坊やのお守りはどこへいた
あの山越えて 里越えて 坊やの土産を買いにいた
里の土産は何もろた デンデン太鼓に笙(しょう)の笛
鳴るか鳴らぬか吹いてみよ ねんねんころりよ ねんころり
(歌い手 女性・大正4年(1915)生)
解説
これは一般的に知られている子守り歌で、寝た子に対して「里の土産に何もろた、デンデン太鼓に笙の笛」系統のものである。続いて鳥取県西部地区の大山町の歌。
ねんねこやー あ ねんねこやー ねんねのお守りはどこへいた
山越え谷越え里に行た お里の土産に何もろた デンデの太鼓に笙の笛
鳴るか鳴らぬか吹いてみよ 張り子の虎や熊のじに それほどもらって何にする
何を駿河(するが)の富士の山 富士はよい山 高い山 山ほどみごとに育つよに
あ ねんねんこしょ あ ねんねこしょ ねんねこせー
寝た子の顔見りゃ可愛てならぬ 起きて泣く子はつらにくや
あ ほんちょの玉子だ ねんねしょ ねんねしょ あ ねんねこせー
(歌い手:大正2年生まれ)
この方は後半部分がなかなか変化に富んでいる。詞章で「張り子の虎」は分かるが、「熊のじ」となるとはっきりしない。また「ほんちょの玉子」も同様である。あるいは「玉子のようにかわいい子だ」というような意味なのかも知れない。
次に島根県石見地方、邑智郡川本町の例。
ねんねんころりや おころりや 坊やのお守りはどぉこいた
あの山越えてさぁといた 里の土産になにもろた てんてん太鼓に笙の笛
たたいて聞かしょか テンテンと 吹いて聞かしょか ピイロロロ
泣かん子には聞かせるが 泣く子には聞かせんよ
ねんねんねんねん ねんねんや(歌い手:明治20年生まれ)
後半部分で、泣く子を嫌い、泣かない子を好む詞章については、大山町の場合と同じなのである。