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昭和54年(1979)9月23日、三朝町木地山で採集

歌詞

とんとんたたくはだれさんじゃ 新町ゴウ屋の菊さんじゃ
菊さん何しにおいでたか 雪駄が替わって替えに来た
おまえの雪駄は何雪駄 お紺に紫 あいびろうど
そんな雪駄はうちにゃない あるものないとてくれなんだ やれやれ腹立ち業(ごう)あきや
わしが十五になるときに 西と東に蔵建てて 蔵の回りに松植えて
松の小枝に鈴下げて 鈴がシャンシャン鳴るときにゃ
ととさんもかかさんもうれしかろ 悲しかろ スットントン
(歌い手:昭和9年生まれ)
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解説

  この手まり歌を知ったのが、昭和54年(1979)のことだった。当時、歌い手は40代半ばだった。わたしはまず、このような世代の方からうかがえたことに驚いた。
 わらべ歌を収集していると、世代によって聞かれる歌の範囲が決まっている。この種類の歌は、本来、もっと高い世代の方しか覚えておられないはずであった。それはさておき、島根県の類歌を眺めておく。石見地方、三隅町で見つけたもの。

とんとんたたくはだれさんじゃ 新町ゴウ屋の兼さんじゃ
兼さん何しにおいでたか 雪駄が替わって買いに来た おまえが雪駄はどんな色
お紺に紫  藍色だ やれやれ腹立つ業(ごう)すくや
わたしが十五になる年に 西と東に蔵建てて 蔵の回りに鈴下げて
鈴がジャンジャン鳴るときにゃ じいさんばあさん うれしかろ
とっさんかかさん 悲しかろ  悲しかろ(歌い手:昭和35年生まれ)

 文献では、江戸時代の天保初年ごろ(1830,31)、名古屋地方のわらべ歌を集めた高橋仙果著『熱田手毬歌』の中に次の類歌があった。

とんとんたたくはだれさんじゃ、新町米屋せきだ(雪駄)の和平さん、今頃何しにござらした、和平さん、今頃何しにござらした、がか(代)はつてか(替)へに来たおまえの雪踏は京せきだ、京の室町井筒さん、一人娘のおねね(子子)をつれて、親の金みて十両のしんしょ(身上)、ぬすみぬすみてをばた(小畑)へはしる、を(小)畑こばたのさんと((三度)め(目))茶屋に、ちよいとこしかけ、おまつさんや小まつさんや、とんとんさん。

 ここからも先の歌の古さが、お分かりいただけると思う。


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